2018年10月18日木曜日

データ改ざん、隠蔽報道の度に思い出す「七つの会議」

大手メーカーのデータ改ざん・隠蔽報道が絶えません。日産やスバル、三菱マテリアルなどが謝罪会見を開いたのは、まだ記憶に新しい出来事です。
そして今週テレビ・新聞を賑わせているのは、油圧機器メーカーKYBによる免震・制振装置の検査データ改ざん問題。KYBは、もともと萱場製作所(後にカヤバ工業)を起源とするオイルダンパーやショックアブソーバ、サスペンションまわりの油圧緩衝パーツメーカーとして、自動車・二輪メーカーやモータースポーツの世界で有名な「カヤバ」でした(2015年よりKYB株式会社)。KYBのウェブサイトで製品別売上高を見ると、今でも6割は自動車・2輪社向けであることがわかります。


さすが池井戸潤


これだけデータ改ざん・隠蔽について社会の目が厳しくなっているのに、まだ同じ事が繰り返されるのを一般の生活者は不思議に思うでしょう。5年前、ホテル・レストランで立て続けに発覚した食材偽装・メニュー不適切表示の際には、身に覚えがあるホテル・レストランはここぞとばかりに一斉に公表しました。しかし、自動車や建物、あるいはそれらに使用される素材や部材においては、人命や財産の安全に関わる問題であり影響が大きいためにおいそれとは公表できません。過去にまで遡っての補償の問題も出てきます。多くの企業では、それに関わった人たちは口をつぐみ隠蔽しようとします。内部告発や第三者からの指摘で明るみに出るまで長い間隠し続け、その間に傷を深くしていきます。

このような企業ぐるみのデータ改ざんや隠蔽の報道に触れる度に思い出すのが、5年前にNHKでドラマ化され放映された「七つの会議」です。日本的な組織で働いている人は、自分の会社の事かと思う様な会議の様子が描かれます。組織のリアルな葛藤が描かれていて、引き込まれました。下町ロケットと同じく池井戸潤氏の小説が原作です。
今年映画にもなった「空飛ぶタイヤ」も、三菱自動車工業のリコール隠しを題材にした池井戸潤氏の小説が原作でした。そして今度は「七つの会議」が映画化され、来年2月の封切りを控えています。どちらも企業不正の隠蔽を暴く内容です。

企業の不正とそれに立ち向かう会社員の姿を描く映画やドラマが次々と作られている背景には、潜在的な企業への不信感が市民にあるからでしょうか。昨年も「不正や悪事を見逃すと、いずれ時限爆弾や不発弾が爆発する」でも言及しましたが、問題の先送りと隠蔽は、いずれ企業に「倍返し」で解決を迫ることになるのです。





2018年10月5日金曜日

「台風に強い家」商品化は早い者勝ち!

昨日、
立て続けに襲来する大型台風で、ハウスメーカーのマーケティングは方向転換、差別化の絶好のタイミング 
をエントリーしました。気になり「台風に強い家」は商品化されていないのかと検索してみたところ、大成建設ハウジングのパルコンが性能説明で「風雨に強い家」としての解説ページを持っている程度です。ということは、「台風に強い家」をすぐに商品化してローンチすれば、競合他社に先行することができます。

大切なのは、「台風に強い家」をどう定義するかということです。
クライアント様のソルーシアジャパン社(当事)と私たちは、2002年に防犯ガラスでGoodDesign賞を受賞しました。それまで日本には「防犯ガラス」という概念もなければ規格も存在していません。そこで、規格が確立していた欧米のsecurity glass審査機関に持ち込んで合格証を取得し、欧米の規格を元に独自に規格を設定し商品化しました。基準は、手に隠し持てる道具(ドライバーや金槌)を使い、手首が入る穴を開けるのに5分以上かかる強度。この商品が注目され認知されたことで、後にこの規格をベースに各社が防犯ガラスを発売し、市場が形成されました。
官民合同会議が「防犯性能の高い建物部品」の普及を促進するため、CPマークを制定(2004年)する前です。

それでは、「台風に強い家」の規格をどう決めたら良いでしょう? 台風被害は、「暴風」によるものと「豪雨」によるもの、さらに雨風が引き起こす洪水や土砂崩れ、飛来物による建物破壊、さらには高潮まであります。

「○○mの風に耐える」家


風に強いという場合には、壁全体にかかる風圧に建物が耐えられることに加え、サッシやガラス、ドアなどの建具も風圧に耐えられなければなりません。また、壁に垂直に当たる風だけでなく、軒や庇に下から吹き上げて持ち上げようとする風圧にも耐えなければなりません。

建築基準法で定められる耐風圧性能は、地域毎に基準風速が違う等複雑です。日本の内陸部や日本海側ではほとんどの地域の基準風速は30m/s。しかし、室戸市や枕崎市では40m/s、沖縄では46m/sと基準風速は違います。東京と沖縄で求められる耐風性能が違うのは当然です。しかし住宅等級の耐風等級は、この基準風速をベースに決められるので、地域によって変わる事になります。全く同じ家を建てても、建てる地域によって耐風等級が変わるということです。これでは解り辛い。
今年、関西地方を直撃した台風21号は 最大瞬間風速58.1m/s、大阪市でも47.4m/sを記録しています。大阪市の基準風速は34m/sなので、基準風速の1.4倍の風です。昨年も台風が東北や北海道を直撃して大きな被害が出るなど、台風の進路も過去の常識では考えられなくなっています。今後、地域に関係なく暴風や竜巻による被害の発生が考えられます。こうなると、日本全国地域がどうというよりも「風速○○mの風に耐える家」がニーズになってきます。
壁材、工法、建具まで全て含めてデータに基づいた性能表示と共に、「風速○○mの風に耐える」と明示されていれば安心できます。

「時間雨量150mm/hに耐える」家


数十年に一度の大雨に対して出される「大雨特別警報」や「記録的短時間大雨情報」が珍しいものではなくなってきました。 ゲリラ雷雨で都市部がいきなり冠水することも日常茶飯事です。もちろん、台風に伴う豪雨被害も毎年報告されています。
雨に対して家に求められる性能としては、箱形の家だと屋根(屋上)の排水能力、それに浸水阻止能力。今年の短時間に降った雨だと、時間雨量120mm程度の大雨があったと記憶しています。今後は150mm/sなんていう大雨も考えられます。短時間の大雨と冠水であれば、地上から○○cmまでの水は入らないとかという性能表示があると安心できます。

いずれにしても、具体的な性能表示をして「台風に強い家」を打ち出すハウスメーカーの登場は近いと思います。あとは何処が最初に出すか、どんな付加価値を付けるか(停電や孤立に備えるオプションなど)ですね。

一番は、パルコンでしょうか?





2018年10月4日木曜日

立て続けに襲来する大型台風で、ハウスメーカーのマーケティングは方向転換、差別化の絶好のタイミング

今年は、毎週のように台風がやって来ます。先週末の24号、その前には21号が日本全国に大きな被害をもたらしました。そして再び、今週末にも25号が日本海側を日本に沿うように通過する予想です。

育児のポータルサイト【こそだて】では、毎年「災害への備え」についてアンケートを実施しています。日頃から意識する自然災害について、東日本大震災前年の2010年、直後の2012年、そして今年を抜き出すと以下の様になります。

●日頃から何か自然災害を意識していますか?  (2012  2010)
1位 地震のことが気がかり……………………82.4% (90.9% 75.3%)        
2位 台風が気がかり……………………………18.6% (20.4% 23.4%)        
3位 特に何も意識していない…………………14.7% ( 6.7% 19.0%)        
4位 水害が気がかり……………………………13.7% (10.9% 10.3%)        
5位 津波が気がかり……………………………11.7% (13.2%   -  )        
6位 大雪が気がかり…………………………… 9.4% (  -     -  )        
7位 火山が気がかり…………………………… 2.3% ( 4.3%  2.4%)        
8位 雪崩・山崩れが気がかり………………… 1.3% ( 2.1%  2.4%)        
  その他……………………………………… 1.0% ( 1.3%  1.2%)
※複数選択

一貫して地震に対する意識は高いものの、東日本大震災後に大きく高まり、その後は少しずつ下降しています。逆に「特に何も意識していない」は、2012年には6.7%にまで減少していたのに、今年は震災前の19.0%ほどではないにしても14.7%にまで戻しています。
台風は一貫して地震に次ぐ感心事ではありますが、これも徐々に関心が薄らいでいるようです。
今年はこれだけ台風が多く発生・襲来し大きな被害をもたらすと、来年のアンケート結果には変化が出るのではと思っています。

「住宅の強さ」の中身とは?


阪神淡路大震災、東日本大震災を経験し、ハウスメーカー各社は地震に強い家、震度7にも絶える家を売りにプロモーションをしてきました。今では大手ハウスメーカーの家は地震に強いのは当たり前となっています。しかし、この数年の自然災害による住宅被害、特に新築物件に於いては地震での倒壊よりも水害や突風・強風による被害の方が多いように見られます。
大規模な洪水が発生すると、水位が上がれば低地の家はその被害から逃れることはできません。1999年、福岡市の洪水の際には実家周辺も一面30cmほど冠水しました。実家は道路面から50cmほど盛り土をした土地に建っていたので被害はありませんでしたが、隣は床下浸水していました。2015年の鬼怒川堤防決壊、大規模水害の際には、他の家が次々に濁流に流される中、それに耐えた白い家が話題になりました。この白い家は流失は免れましたが、当然のことながら浸水被害は被りました。
また、あまり報道されませんが、強風(あるいは突風・竜巻)による住宅被害も多く発生しています。2012年にはつくば市で発生した竜巻で、ほぼ新築の住宅が基礎ごと持ち上げられてひっくり返り、一人が亡くなる惨事も起きています。竜巻や強風では、窓ガラスが割れてそこから中に風が入り込み、屋根ごと吹き飛ばすという被害もよく発生します。

「家が強い」と言っても、「強い」の対象は様々です。「地震」に強い、「風」に強い、「火災」に強い、「水」に強い、あるいは「泥棒」に強いなど。

ソフトが伴う提案がポイント


地震に強いは、日本ではもはやデフォルトの性能となっています。地震にも横風にも強い基礎と構造があるという前提に立てば、これからマーケティング的に強調するべきは水や風に強い家と言うことになるでしょう。

浸水を最小限に抑える作り(止水機能や密閉性)、浸水しても被害が及ばない収納庫や構造などのハードの提案だけでなく、ハザードマップを元にもしもの水害で孤立する事までを考慮した設計提案など、ソフトでの差別化も有効です。
風に強い家は、防犯ガラスを全面に採用することで、ガラス破損による怪我も防ぐ事ができ、開口部を作らない事で屋根を飛ばす被害も抑えることができます。

ハウスメーカーはすぐにでも広告プロモーションの内容を変更して、住宅検討中の潜在顧客にアピールする絶好のタイミングだと思います。




2018年9月9日日曜日

日本体操協会が取材窓口を一本化できないのは「権力闘争」が背景に?

宮川選手の会見に始まる日本体操協会のパワハラ問題。
29日の協会の記者会見の翌日朝には、塚原副会長の取材に対するコメント、そして協会の2度目の記者会見。
その後31日には、塚原夫妻からは反論の声明文がFAXで送られました。宮川選手へ直接謝罪の申し出をしたもののそれが拒否されると、「宮川紗江選手に対する謝罪」とするFAXがマスコミ各社へ配付されました。

そこまでの経緯は
体操協会からではない塚原副会長のプレスリリースから見えてくるもの 
であらかた整理しています。

その後、速見コーチが宮川選手を平手打ちする動画がフジテレビ系列で流され、これを機に再び様々な議論が巻き起こっています。
  

日本体操協会の広報窓口は機能しているのか?


日本体躯協会2018年度組織図

日本体操協会が30日に記者会見をした後、塚原夫妻は独自に報道各社に対してプレスリリースを配信し、個別取材にも応じています。
今日も、フジテレビ系列のMr.サンデーで、宮根氏と2時間に及ぶインタビューに答えています。そのインタビューの中で、「権力闘争」という言葉も飛び出しました。

野次馬的にはますますオモシロイ展開になってきた!というところですが、客観的に見ると「体操協会大丈夫なの?」という展開です。

塚本夫妻は現時点でも日本体操協会の副会長と女子体操強化本部長という立場。それなのに協会を通してとは思えないプレスリリースをFAXしたり、メディアの取材に単独で応じ、時には協会批判とも受け取れるような発言をしています。

この状況を見る限り、日本体操協会のガバナンスは既に崩れていると見て良いと思われます。あるいは塚原夫妻は日本体操協会のコントロールから外れて暴走をしていると言っても良いでしょう。
日本体操協会の組織図を見ると、コンプライアンス委員会も広報委員会もあります。しかし、実態として機能しているのか疑問としか言いようが無い状況です。塚原夫妻がマスコミに登場し発言している様は、協会の役員として看過できるものなのか、第三者として見ていても疑問を抱かざるをえない状況です。

ガバナンス・広報のコントロールを欠いていると受けとめられる状況は、組織のあり方として非常に危ういといわざるをえません。
今回は宮川選手に対する暴力・パワハラに端を発した問題でしたが、このまま体操協会全体を見直さざるをえない問題と捉えるのが一般の受けとめ方になって来ているのではないでしょうか。ますます先がオモシロク、いえ混迷しそうです。

2018年9月6日木曜日

もう一度、IDカードを下げて外出していないか注意を

1992年アメリカズカップ取材時のIDカード
先日、83歳の母親がテレビドラマを見ながら、こう尋ねてきました。

「近頃は、首からなんか札下げるのが流行っとるんね?」

最近、オフィスビルではセキュリティチェックが厳しくなっています。そもそもテレビ局や大手広告代理店では、オフィスの入退出はIDカードをかざすのが当たり前です。そんなこともあり、オフィスや病院を舞台にしたドラマだと、職場の場面では登場人物が首からIDカードをぶら下げているのが普通になりました。

かつては、IDカードはF1やアメリカズカップなどの国際的なイベントの際、世界中からやってくるジャーナリストを一般人と明確に識別し、セキュリティエリアへの立ち入りを許可するためなど、限られたシーンで求められていました。そのため、IDを取得するためには定められた要件を満たす事前の申請書類の提出が必要で、認められれば発行PINの通知かIDカードが送られてきました。今のようにICカードなど無い時代ですから、顔写真付きです。
一方国内では基本顔パスみたいなもので、見慣れない顔だと停めて確認する程度。名刺がID代わりでもありました。国会やプロ野球の球場だと記者クラブ章やペンクラブのバッジなどで識別していました。

首からカードを下げる様な場面は、参加した人をグループ分けするなどのイベント性の強いシーンに限られました。名札を首からぶら下げて外を歩くことは、小学生が名札をつけて歩いているような恥ずかしさを感じたものです。

外をオフィスの延長で考えない


昨年、「ピースサインの写真よりも怖いIDカード下げた外出」 をここにエントリーして警鐘を鳴らしました。しかし、冒頭の母の発言のように、テレビや映画、Net配信の番組でIDカードをぶら下げた登場人物を多く見ていると、どこでもそれが普通で場合によってはカッコイイと思ってしまう人も出てくるでしょう。職場で同僚はみなIDカードをぶら下げ、一緒に昼食を食べに外に出れば外でもIDカードをぶら下げています。本人達は何の違和感も感じません。しかし、まわりから見れば異様な集団であり、しかもIDカードのおかげでどの会社のどの部署のグループかまで容易に識別できてしまいます。スマホで写真を撮れば、一網打尽でグループの情報が取れてしまいます。
あれだけ個人情報について神経質になっていながら、不思議です。

今、小学生でも学校の外では名札を着けないか裏返すようにしています。名前で呼ばれて話しかけられると警戒心は薄れ、犯罪に巻き込まれる可能性が高まるとの懸念からです。スマホで写真を撮り、拡大すれば名前がすぐにわかります。
IDカードから顔と名前、所属がわかれば、今ではネット検索でいろいろなことが解ります。ストーカーの危険だけでなく、ネット上の情報プロファイリングにより自宅住所や家族・交友関係まで探り当てられまてしまいかねません。

テレビや映画でみんな首からIDカードを下げているからと、それが施設の外に出ても普通の事、格好いいことと勘違いしないよう、今一度従業員に徹底しましょう。それが徹底できないのなら、蓋付きのIDカードホルダーの導入を検討するべきです。





2018年9月3日月曜日

体操協会からではない塚原副会長のプレスリリースから見えてくるもの

8月29日の宮川選手の記者会見を受けて、日本体操協会が緊急記者会見を行いました。翌日には塚原副会長が「全部うそ」とコメントし、同時に「プレスリリース」で全て明らかにすると言っていました。その日の午後には体操協会の2回目の記者会見が開かれました。
31日、協会の記者会見を無視するかのように、塚原夫妻からFAXによるプレスリリースが配信されました。内容は、宮川選手の会見内容に反論する声明文でした。
第三者委員会も立ち上がらないうちに、一方的な反論リリース。この時点で協会は2人になんらかの処分を下しても良いくらいです。プレスリリース(声明文)の内容についてはこちらの The PAGE の記事が詳しく書いています。




「宮川紗江選手に対する謝罪」のFAXを報道各社に送っています。
FAX全文がデイリースポーツニュースに掲載されています。

塚原夫妻「宮川紗江選手に対する謝罪」FAX全文

声明文、謝罪文の内容やそれに対する宮川選手ならびに世間の受けとめ方は様々なメディアで報道されていますので、ここではそこは話題とせず、広報的な視点からの疑問と問題転を取り上げます。

プレスリリースっていったい何?


宮川選手の記者会見の翌朝、塚原副会長が「プレスリリースします」としきりに口にしていました。私は、日本体操協会から、協会としての見解・対応をプレスリリースするということだろうと思っていました。協会は30日に緊急対策会議を開き、第三者委員会を設置し調査する事を決め、記者会見でそれを発表しました。報道を見る限り、緊急対策会議には塚原副会長は出席していなかったようです。しかしこれが塚原副会長が言うプレスリリースなのかと思いました。

プレスリリースは、報道機関向けの発表・情報提供のことです。文章での提供だけでなく、記者会見や発表会もプレスリリースの形態の一つです。30日に開いた体操協会の記者会見もプレスリリースです。
ところが翌31日、塚原夫妻からはプレスリリースとして5枚の声明文がマスコミ各社へFAXされました。

通常プレスリリースは、政府・行政機関や企業・団体などから発信されます。芸能人や政治家などが個人名で、事務所を通じ報道各社へコメントや謝罪文などをFAXすることもあります。報道機関に向けた発表という意味では、これもプレスリリースに違いはありません。しかし、主語が個人の場合、報道される際には個人の「コメント」や「謝罪」とされ、プレスリリースが届いたとは普通言いません。今回の塚原夫妻の「声明文」や「謝罪文」は、塚原副会長が「プレスリリース」と何度も口にしていたために、報道でもプレスリリースという表現になっているのでしょう。プレスリリースの発信元は2人が経営する体操クラブからか、会社からか、それとも自宅からなのか?少なくとも日本体操協会からリリースされたものでないことは確かです。

リリースをFAXで済ませる意図


報道機関・媒体社には、毎日膨大な数のプレスリリースが届きます。記者会見や発表会はその中では極々一部で、ほとんどはメールや封書、FAXです。記者はリリース全部に目を通すのは不可能です。記者に注目され、取り上げられる確率を上げるために、記者会見や発表会を開催します。
逆に、注目されたくない発表・説明や謝罪に際しては、できるだけ報道されないようにと形だけのプレスリリースで逃げようとします。特に独裁的な立場の人は会見を避ける傾向があります。ウェブサイトに謝罪文を掲載(しかも責任の所在は曖昧)し、FAXを送付するのみというケースがほとんどです。芸能人がプライベートな報告や謝罪をする際にFAXだけで済ませることが多いのも、質問を受けたくないからです。

今回の塚原夫妻は、本来ならば記者会見を開いて説明し、記者の質問にも答えるべき事案です。それをFAXだけで済ませようとしている段階で、宮川選手の告発内容や世間からの批判に正面から向き合うことなく逃げている姿勢がありありです。
そもそも、日本体操協会の人間として発言をしてきた塚原夫妻の言動が問題になっています。協会が2人に説明を求め、会見を開くべきでしょう。しかし、それができないということでしょうから、協会内での塚原夫妻の力がいかに強いか、同時に協会の体質が窺えます。

プレスリリースの発信の仕方、記者会見の開き方を通して、文字や映像から伝わる情報だけでなく、発信者の意図や姿勢が受け取る側に情報として伝わるということです。
今回、日本体操協会の初動(29日の会見)も、その後の対応も決して褒められたものではありませんが、塚原夫妻がそれを帳消しにするようなファインプレーを演じ続けてくれた、皮肉な結果とも言えます。マスコミは塚原夫妻ばかりを追いかけていますが、そもそもは日本体操協会に突きつけられた問題なのです。






2018年8月31日金曜日

誰が対応するかで記者会見の印象が変わることを明確に示した、具志堅副会長

前日(29日)の宮川選手の会見で明らかになった、塚原夫妻によるパワハラに関して、日本体操協会は会見を行い、緊急対策会議を開き第三者委員会を設置し調査すると発表しました。

この会見では、二木会長が冒頭に第三者委員会を設置する旨を報告してわずか40秒ほどで退場。以後は具志堅副会長と前日記者会見を行った山本専務理事が質疑に対応しました。
塚原千枝子強化本部長は宮川選手の主張を否定し、30日の朝には塚原副会長が(宮川選手のいっていることは)「全部うそ」と発言したりした後の会見です。当然記者の質問は塚原夫妻の発言やそれに対する協会の考え方などに集中します。前日の緊急会見で、山本専務理事は弁護士を同席させてしどろもどろな対応でしたが、今回は具志堅副会長が自分の言葉で、しかし協会の方針から逸脱することなく明快に答えていました。

塚原副会長が「全てうそだ」と発言したことについても、「第三者委員会の結論も出ていないにもかかわらず、残念な言葉です」「言うべきじゃない言葉だったんじゃないかと思います」とし、不適切な発言だったとしました。また、宮川選手の発言に対しては「18歳の少女が嘘をつくとは思わない」としながら、「これが本当でしょう、これが嘘でしょうとは私の中では言えないんですよ」と続けています。新聞やテレビのニュースでは前段のみが切り取られ強調されていましたが、具志堅副会長は一方に偏ることなく、「だから第三者委員会に委ねるしかない」と言葉を繋いでいました。宮川選手が正しいと思っているとも言っていません。
最初から最後まで、協会の当事者として他の選手やコーチ陣のことまで思いを巡らせながら、非常に誠実に自分の言葉で質問に答えていました。

速見氏も仮処分を取り下げ


この会見を受けてか、速見コーチも、地位保全の仮処分申し立てを取り下げました。速見氏のコメントには、29日の協会の記者会見で「処分はされても指導はできる」「無期限は永久ではない」ことが示されたことも理由にあげてありますが、実際には具志堅副会長の会見が大きく影響したのではないかと考えます。

今回は謝罪会見でもなく、第三者委員会を設置し調査することを伝えるための会見でしたが、30分あまりの質疑応答で協会のスタンスが一気に整理された感があります。
それだけに、前日の会見がなんとも中途半端感が際立ってしまいます。

これまでのレスリング協会・日大・ボクシング連盟の酷い会見をさんざん見たあとの今回の会見です。記者会見が事前準備だけでなく、誰が出席し誰が答えるか、スポークスパーソンがいかに重要であるかを改めて示してくれた会見でした。

それにしても、塚原夫妻は真っ向否定・反論する声明分を発表する一方、ボクシングの「奈良裁定」ならぬ「朝日生命裁定」みたいな話も出てきたりと、これまで同様にまだまだスッキリとはいきそうにありません。どんな結末になるのでしょうか。




2018年8月30日木曜日

準備不足で中途半端な日本体操協会記者会見の矛盾。


昨日29日、体操の宮川紗江選手(18)が、専属コーチである速見佑斗コーチに対する日本体操協会からの無期限登録抹消などの処分について、処分の見直しを訴える記者会見を開きました。過去には暴力行為を受けたことは確かにあったが、それは危険な行為に対する厳しさと愛情によるもので、パワハラは無かったとし、逆に体操協会からのパワハラを告発しました。

この会見を受け、 同日夜に日本体操協会が緊急記者会見を開きました。残念ながら、この会見を見ることができず、動画も見つけることができませんでしたが、会見の要旨はこの記事で見ることができます(動画も)
【速報】「宮川選手の聞き取り必要ない」 日本体操協会が反論

この会見で記者からの質問に次のように答えています。
「暴力に関して処分までの間に宮川選手には聞き取りをしていないということか?」
「聞き取り調査は、必要限度で実施しているということで、暴力認定については、宮川選手から聞き取りをする必要はないと思っています」。

2013年にもあった 暴力指導問題


昨日の会見を伝えるデイリースポーツの記事
体操協会が主張 速見コーチの暴力内容を公表 直近は今年5月、宮川は異なる説明
では、
関係者への聞き取り調査で判明したとされる暴力行為は以下の通り。
 【2013年9月】NTC(ナショナルトレーニングセンター)で国際ジュニア合宿の時、顔をたたく行為
 【2015年2月】海外合宿での大声で怒鳴りつける行為
 【2016年1月】海外試合で顔をたたき、顔がはれた。練習中に怒鳴る行為。他コーチからの引き留め。
 【2016年3月】国際大会中、Tシャツをつかみ、引きずり降ろす行為。
 【2016年5月】前所属先で頭をたたく、怒鳴る行為。日常的に実施。
 【2016年1月】海外合宿中、1時間以上立たせる行為。
 【2017年1月】前所属先で再び暴力があり、無期限の出入り禁止処分。
 【2017年8月】NTCで髪の毛を引っ張り、出口まで引っ張り出した行為。
 【2017年9月】NTCで髪の毛を引っ張り倒す、押し倒すほどの行為。
 【2018年4月】NTCで指導中、大声で怒鳴る行為。
 【2018年5月】東京体育館のサブ会場で、怒鳴る行為。
とあります。
日本体操協会の暴力・パワハラは、2013年にも問題となり、JOCと協会が8月22日に会見を行っています(冒頭の動画-KyodoNews )。この時は選手がJOCに暴力的指導を受けたと告発、大阪府警が捜査に乗り出し、12月にコーチが書類送検されています。
今回の聞き取り調査で示された暴力行為で、最初に出てきた2013年9月は、この会見を開いた直後です。体操協会としてもナーバスになっていた時期でしょうし、速見コーチもそんな状況はよく分かっているはずです。叩いたとしても軽いビンタ程度だったのではないでしょうか。どの程度から暴力行為と見なすかは難しい(合意の上での猪木議員のビンタは他者から見れば暴力か?)ですが、一番の問題は宮川選手への聞き取りをしていない事です。当初のリリースではパワハラとしていたのを暴力行為と訂正したのも、宮川選手の介入を避けるためだったのでしょう。
2013年の会見では、双方の聞き取り調査をしていますが、今回は一方のみです。

なぜ準備不足のまま会見を開いたか?


もう一つの疑問は、明らかに準備不足のまま会見を開いたことです。通常なら、宮川選手の会見を受けて、「○日◎時に、□□で会見をひらきます」とマスコミに連絡して準備をすればよかったものを、拙速すぎます。協会内の「ドン」の怒りを買い、「すぐに会見して否定しなさい」と指示されたような会見です。

力を持つ側の一方的な主張に対して、もう一方の当事者が事実を暴露するという形では、宮川選手の会見は、日大アメフト部の時と重なります。また、密室で丸め込もうとする行為は日本ボクシング連盟(日大も)と同じです。
今年に入って立て続けに明るみに出るスポーツ界での問題。いずれも誰かが嘘をつき、事実を隠そうとしていたことが最後には明るみに出ています。このように拙速な会見を開く時に共通するのは、自分に非があると現場は認識している場合が多く、それを認めさせない「ドン」が悪あがきをし、最後には「ドン」がその地位を失って幕を下ろします。

今回の日本体操協会でも同じ事が起こりそうな予感がします。




2018年8月29日水曜日

自動運転と併行して、信号機のAI制御の導入を


自動車メーカーやIT企業による自動運転車の開発競争が佳境に入ってきました。evシフトも加速し、環境に優しい車、安全な車の普及も進むのでしょう。
とはいえ、evが普及するには充電設備の設置が同時に進まないとならないのですが、こちらはそう簡単ではありません。内燃機関の自動車は、燃料を補給するのにさほど時間はかかりませんが、evの場合は充電に短くても数十分の時間がかかります。1台の給電器で単位時間に給電できる車の数は、内燃機関の自動車の数分の1~十数分の1になってしまいます。それだけ多くの給電設備を備える必要がありますが、これがそう簡単ではありません。 日本では燃料でも走るPHEVが暫くは主流になるのではないでしょうか。

自動運転の実用化目標を2020年に置いた各企業の取り組みは報道でも伝わってきます。しかし、個人的には渋滞の解消やスムーズなトラフィック環境のために、信号機のAI化を進めて欲しいものです。今の信号システムは、基本は決められた間隔でその交差点の信号が同期して変わる仕組みです。
この単純な仕組みにセンサーとAIを導入して交差点の信号の間隔を最適化することで,都心の渋滞の解消は進むはずです。交通量の少ない郊外だと、センサーが車を関知しAIが判断して信号を変える様にすれば、交差する道路に車がいないのにじっと信号が変わるのを待つような無駄な停車もしなくてよくなります。
最も単純で効果的な例は、工事のために信号を設置して片側交互通行にしているところなどです。田舎道での工事現場だと、全く対向車がこないのに2分くらい信号が変わるのをただ待つだけということがよくあります。基本は両側赤信号にしておいて、車が停まったらそちらを青にして通すくらいのことは簡単です。それなりの交通量でも、どちらかの車の量が多いのが普通ですので、上下の通行時間を非対称にすることでよりスムーズになります。

信号のIT化により物流の効率化と燃費の向上、排気ガスの減少などによる経済効果、温室ガス削減効果など誰か計算できないでしょうか?自動運転車の普及が進めば、信号機は自動車とも通信をするターミナル的存在になるのかもしれません。信号機のハイテク化は歩行者の安全にも繋がるのではないでしょうか。
国土交通省や警察庁主導で、信号機のIT化を是非とも進めて欲しいものです。それとも、既に検討されているのでしょうか?


2018年8月16日木曜日

小さな子どもとその家族の事を考えれば、サマータイムの導入は絶対にありえない


サーカスのMr.サマータイム、40年前ほど前大ヒットしました。この曲を聴くと、何だか気持ちがウキウキしたものです。そのMr.サマータイムが再び2018年版として公開されました。やっぱり良いですねえ。

ところがここにきて暗い気持ちになるサマータイムの話題が持ち上がっています。2020年の東京オリンピックに向けて導入が検討されているサマータイムの事です。
サマータイム導入の目的は、暑い時間帯の競技を避けることだといいます。暑い時間帯の競技を避けるのであれば、競技時間を変えれば良いだけの話です。オリンピック期間中は公共交通機関に特別ダイヤを組むよう要請することで対応可能でしょう。西鉄だって、大晦日には太宰府天満宮への初詣に対応して、夜通し電車を運行しているのですから。
また、通勤時間のピークと選手・観客の移動時間とが重なって混乱するからというのであれば、企業に対して業務開始時刻をずらす要請をする、あるいは夏休みをオリンピック期間中にするなどの方法も考えられます。少なくとも、影響は首都圏・東京圏に限定されます。

戦後復興期の前回であれば、明るい未来のために日本国民が一丸となってオリンピック成功に協力するという気運はあったでしょう。しかし多様な価値観と生活スタイルに細分化された2020年の日本において、オリンピックのために全国民の生活時間をずらすということはとうてい容認できない人たちも出てくるでしょう。

 乳幼児の体内時間は簡単には対応できない


今、働き方改革や子育て支援を盛んに口にする政府与党ですが、サマータイムの導入によって最も影響を受けるのは、小さな子どもと子育てをしながら働いている家庭だということに思いが至っていません。

乳幼児の生活リズムは、サマータイムになったからといって変わる訳ではありません。寝る時間や起きる時間、食事の時間など急に変えられるはずがありません。朝いきなり起こされても暫くは寝ぼけたままで着替えも支度もできず、ぐずる姿が容易に想像できます。生活リズムの変化に対応できず、ストレスや体調を崩す子もたくさん出そうです(私は医者ではないので断定はできませんが)。
子どもの生活リズムを作るのは、親にとっては大変な苦労を共にします。折角作った生活リズムを崩されるのですから、子育て中の家族にとっては大変な迷惑です。当然、保育の現場も大混乱することでしょう。

親子で作る生活リズム(miku41号)

こんな事を続けていて、子どもを安心して産み、育てられる日本が実現するとは思えません。 社会全体で子育てをする国とはほど遠い、目先の事しか考えない現政府の姿勢がここでも見えてしまいます。

保育園問題と同様に、子育て家族はサマータイムに無関心であってはなりません。サーカスのMr.サマータイム、今改めてその歌詞を見直すと随分意味深ですね。
(Mr.)サマータイム、気まぐれから何もかも無くした私……
誰が何もかも無くすのでしょうか?

日本全体でウキウキする2020年の夏が迎えられますように。





2018年7月31日火曜日

日大 第三者委員会の指摘で明らかになった口封じ工作と機能しなかった危機管理規定の存在

昨日、悪質タックル問題で日大の第三者委員会が、最終報告書を発表し、夕方記者会見を開きました。
記者会見は1時間45分ほどに及び、冒頭の事実経過説明では、当該選手とその父親を呼び出し、当時理事だった井ノ口氏が「本件タックルが内田氏の指示によるものではなかったように説明するよう促し、本件タックルが故意に行われたことになればバッシングを受けることになるよ。私の言うことに同意してくれれば、私が一生面倒をみる。ただ、そうでなかったときには、日大が総力を挙げて、潰しにいく」といって口封じを図ったと詳細な説明も行われました。
この恫喝のような口封じに、よく屈しなかったものだと、改めて親子の意志の強さに感心します。

最終報告書の要旨説明では、責任の所在が不明確であること、学生ファーストの視点の欠如、説明責任を果たす姿勢の欠如などが指摘されましたが、なかでも私が注目したのは2点です。

機能しなかった危機管理規定


1点目は、危機管理規定が存在しながら機能しなかったことです。
会見では「適切な事故対応を行う上で必要な責任体制がとられていなかったこと。日大には危機管理規定、 危機対策本部等の仕組みが設けられていたが、それらが有効に機能することなく、事故対応の措置がほとんど後手に回り、日大のレピュテーションダメージを拡大させることになった」と指摘しました。
具体的には「当事者意識が希薄で適切な基本方針が欠如し、日大としては一競技部の問題とせず全学的に対応する問題と捉え、日大本部として深くコミットし適切に対処すべきであった。しかしながら、日大幹部には当事者意識が希薄であった事に加え、対応方針の決定やそれに基ずく措置の実施に関する責任の所在も不明確であったことから、主体的かつ実効的な事故対応ができなかった」とまとめています。
危機管理規定が存在し、恐らく危機対応マニュアルも整備されていたのでしょう。しかし、 危機対策本部を立ち上げ指揮を執る人間が不在だったということです。

一般企業でも、BCPやCPといった危機対応プランを策定しますが、マニュアルが整備された段階で安心してしまい、実際の運用のシミュレーションや継続的な見直しを続けているところは多くはありません。
いざというときに重要なのは、準備したプランの発動を誰が宣言し、責任を負って指揮を執るかということです。そこが明確でなければ、どんな立派なマニュアルでも絵に描いた餅です。

危機に際しての広報の役割


2点目は広報のあり方について言及されたことです。
広報のあり方も適切さを欠いていたと指摘し、「日大ひいてはそのブランドイメージが悪化の一途を辿っていった。日大においてはしっかりとした説明責任を果たし、信頼の回復に努めるべく適切な広報に努めるべきであったが、事故対応における基本的な視点が欠け、広報としての本来の役割が果たせていなかった」とまとめました。
近年、企業に於いても広報業務を外注し、社内に広報の専門部署を置くことは少なくなってきました。広報部門があっても、このような場合の危機対応について経験や訓練を積んだ担当者は極めて希な存在です。内田前監督らの緊急会見の司会進行をした、日大広報の担当者も元記者で素人ではありませんでしたが、あのような批判をうけることとなりました。

記者からも「日大で広報が適切に機能しなかった 構造的な原因があったのか」との質問がありました。それに対しては、「説明しようとする姿勢に欠け、都合の悪いところにはできるだけ蓋をしてしまおうという発想になりがちだった。説明責任の乏しさが広報の根本的な考え方の問題」と答えています。
広報業務、特に危機に際しての対応は、第三者のアドバイスも求めながら進めないと我田引水となり、取り返しが付かない結果を招きかねません。当事者でありながら第三者の目と想像力が求められるのです。

この報告を受け、内田・井上両氏を懲戒免職としただけで日大は何も動く様子はありません。拡大した日大のレピュテーションダメージが回復するとも思えません。質疑応答では、田中理事長の進退についての質問が大多数でした。大学・理事長の責任の取り方については、第三者委員会もはっきりと言及することなく終わってしまったことにより、この報告書自体も絵に描いた餅になってしまいそうです。
このまま、内にも外にも説明責任を果たすことなく時が経つのを待っている限り、日本大学の来年の志願者が減ることは避けられそうにありません。

2018年7月23日月曜日

大災害の時に避難所・ボランティアの情報を集約する仕組みをそろそろ国で立ち上げるべき

平成30年7月豪雨は西日本各地に甚大な被害をもたらし、まだ行方不明者の捜索は続いています。被災地の復興には相当な時間がかかるでしょう。昨年、福岡県朝倉市、大分県日田市を中心に大きな被害を出した九州北部豪雨被害も復興半ばです。杷木で被災した従兄弟家族は諦めて転居しました。日田市の花月川にかかっていた鉄橋が流された久大線が、やっと全通にこぎ着けたのは被災して1年を過ぎた今月14日でした。

毎年発生する、大規模な自然災害。もう、特別なことではなくなってきています。災害が起こる度に避難所が開設され、そこでの避難生活を余儀なくされる人が多数発生します。その避難場所も、自治体が用意したところもあれば自然発生的に、あるいはやむを得ずそこに逃げ込んでそのまま避難所となるような場合も有ります。熊本地震の時には、支援物資を送ろうにも、どこに避難場所があり、そこに何人避難しているのか、何が足りないのか、国や自治体が把握できずに支援物資が溜まるだけで必要な人のところへ届かないという事態も発生しました。
その時に,このブログで

避難所の登録サイトを、国か県が早急に立ち上げを 

と書いたのですが、それ以来何も変わっていません。

ボランティア要請の登録サイトも必要


加えて毎回ボランティアについても支援物資と同じような問題が起こっています。災害直後の片付けは、重機と多くの人手が必要になり、ボランティアが重要な役割を担うことになります。今回の豪雨被害でも各地でまだまだ多くのボランティアの助けを必要としています。これから夏休みに入る学生も、ボランティアに参加しようと考えている人は多いでしょう。しかし、ボランティアについての情報もそれぞれの自治体毎に情報を発信しているので、先ず被災地の自治体を確認することから始めなければなりません。広島県や岡山県、愛媛県は被害が大きく、連日テレビでも報道されていますが、福岡県や山口県、岐阜県など他の県でも同じように土砂災害や川の氾濫による被害を受けて、ボランティアの助けを必要としているところは多く存在します。
避難所の情報と同じく、ボランティアが必要な被災地(自治体)が 登録できるサイトも必要ではないでしょうか。
  

官房機密費を使ってでも


このくらいのサイト、その気になればあっという間に作ってくれるIT企業はたくさんあるでしょう。年間12億近くも使って、領収書も要らず使い道も公開されない官房機密費(報償費)のほんの一部をまわすだけでもできてしまいます。
総理は被災地を訪問するパフォーマンス(広範な被災地を端から回れるはずもない)よりも、早急に被災地・避難場所とボランティアの情報サイトを立ち上げる宣言なり指示(コンテストでも良い)を出して、どこかで必ず発生する次の災害に備えて欲しいものです。





2018年6月30日土曜日

ゴルフ片山晋呉プロの記者会見から、プロスポーツとファンの関係を考える

ゴルフの片山晋呉プロが、プロアマ戦で一緒にまわったお客様に不愉快な思いをさせた問題で、6月27日に記者会見を開きました。

問題発生から十分な時間をかけ、調査委員会による事実確認や規約との整合性などを詳細に明らかにし、処分と改善策まで明確にした会見でした。日大アメフト部の加害学生の会見と同様に、弁護士(テレビでもお馴染みの野村修也氏)が事実関係を詳細に説明する場面や、記者から今回の告発をしたA氏について質問が及んだ際の対応(誰にとか、どう感じたかというのは問題ではなく、片山プロの行為自体に問題があったとして質問自体に問題を提起)など、重なることが多く見られました。謝罪会見としてはよく準備され、丁寧な対応をしたこと、またワイドショーのメイン視聴者である中高年主婦の関心から外れていた(男子ゴルフに興味が無い)ことで、その後ほとんど話題になりませんでした。

一方でこの会見は、プロスポーツのあり方について改めて考えさせられる会見でした。プロスポーツの選手・アスリートの報酬の原資はどこからくるのか?と言うことです。

プロスポーツは誰のために?


第二次世界大戦後、日本は娯楽に飢えていました。戦後の復興・高度経済成長期には映画や演劇などの劇場娯楽が中心でしたが、テレビが徐々に普及して行きます。そのテレビを通して映し出されるプロレスやプロ野球中継は、街頭テレビや銭湯の脱衣所、各家庭で一番の興味関心事となりました。日本のプロスポーツの隆盛の始まりは、競技場という劇場の興業が、テレビというメディアに場を移してからとも言えます。当時のテレビは録画放送はない(できない)ので、まさに日本中がライブで時間を共有していました。
視聴者・ファンにとって、スター選手はテレビや雑誌を通して見る姿が全て。今みたいに写真週刊誌も無ければSNSもなく、メディアに出る選手の姿は試合のライブ放映以外では、雑誌や週刊誌の記事。それは設定されたインタビューか、憧れ持ち上げる記事が中心の時代です。テレビや映画のスクリーンで見る有名人は、トイレにも行かない(はずはないのですが)普通の人とは違う存在でした。
 
それだけに、かつてのプロスポーツ選手には、わがままや奇行が言われる人も多くいました。プロレスでは、ヒール・悪役や覆面レスラーは日常でもそういうキャラクターを演じなければなりませんでした。プロ野球では、球団毎のカラーもありました。紳士の巨人軍と野武士軍団の西鉄ライオンズというように。

昭和の時代、プロの世界で生き残るには、実力と結果(成績)が全て。極論すればプロ野球選手の興味関心は自分の成績だけ。打率やホームラン数、勝ち星など、より良い個人成績を上げて、翌年の年俸をいかに上げるか。プロゴルファーも、上位入賞して賞金を獲得することが何よりも大事でした。
プロ野球やゴルフツアーにスポンサーとなる企業は、人気プロスポーツを本業の宣伝の道具として価値を認めています。新聞の拡販や認知度向上による売上拡大など、本業の業績が上がることを前提に選手への報酬や賞金を拠出していました。

時代が変わった


21世紀に入り、プロスポーツも多様になり、観戦する側は選択肢が広がりました。野球やサッカー、テニス、ラグビー、相撲や陸上などのメジャーなスポーツから、モータースポーツや今ではeスポーツまであります。それぞれのスポーツが、いやスポーツだけでなく、他のショービジネスやエンタテインメントとでファンの争奪戦を繰り広げている状況です。現在のプロスポーツのスポンサーの比重は企業からファンに移りつつあります。同時に強いチームだけが人気がある、集客できる時代ではなくなりました。
プロ野球の球団経営は、親会社からの安定的なサポートをあてにできなくなりつつあります。単独でも収益を上げて行かなければなりません。多くのファンを獲得し、主催試合には多くの来場者を呼び込み入場料収入を上げ、沢山のグッズを購入して貰う。人気球団になればテレビやラジオの放映権も高く売れます。そのためには多くのファンを獲得できる、愛される球団、選手、アスリートでなければなりません。

プロ野球でファンに目を向け始めたのは、Jリーグの発足によるサッカー人気の盛り上がりでした。テレビやラジオではプロ野球よりもJリーグ中継の視聴率が上がり、放送の枠もサッカーに切り換えられ、球団の収入も減っていきます。福岡ダイエーホークスでは、1993年の福岡ドーム開業による人気が一服し、Jリーグ人気と共に来場者が減り始めます。その状況に危機感を持ち、いち早くファンに目を向けたのが当時のオーナー代行、中内正さんでした。
大型スクリーンを活用したファンサービスや勝利の花火など、来場したファンを楽しませるための工夫を次々と取り入れました。ファンクラブのサービスも、当時12球団で随一と言われました。一方、当時の選手の意識にはばらつきが大きく、全員がファンに向いているとは言えない状況でした。ファンサービスに対する球団の対応も当初は消極的で、ホークスファンクラブの責任者をしていた私は、当時の球団代表と度々衝突していました。選手がファンサービスに積極的となったきっかけの一つは、選手一人一人にスポットを当てる「Mr.Hawks」キャンペーン(これを機に選手の意識が大きく変わったのですが、永くなるので詳細は別の機会に改めさせていただきます)。この後は市民球団ホークスとして、市民・ファンと一体となった球団は万年BクラスからAクラスに、さらには日本一を奪取。そして今では常に優勝争いをする常勝軍団となりました。
ホークスが強くなった理由の一つは、いち早くファンに目を向けたことだと思っています。


話を片山プロに戻しましょう。
今回のトラブルの原因は野村氏が指摘し、片山プロも会見で自ら認めているように、時代の変化についてこれなかったことです。新たにゴルフを始める若者はどんどん減少し、プレー人口は減少の一途を辿っています。競技としての人気が下がれば、スポンサーにとっては宣伝の場としての大会の魅力も下がってしまいます。しかしプレーヤーは減っても、観客や視聴者が増えれば、それはまた新たな魅力です。フィギュアスケートなどは、競技人口は少なくても観客・ファンは増え続けています。ゴルフを取り巻く環境は大きく変わり、プレーするスポーツから見る・見せるスポーツに変わりつつあるのです。試合で勝つことだけでなく、プロゴルフを支えているファンやスポンサーにも目を向けることが重要になっているのです。
その変化に対応する形で、協会でも規約改定などはしていました。しかし、仏作って魂入れずで、選手に対しての勉強会や研修会は実施していなかったということを、自ら認めていました。
プロのアスリートとして受け取る報酬や賞金の出所は、そのスポーツに興味を持ち支えてくれるファンの存在がベースに有ると言うことを認識しなければならないのです。ごく普通のビジネス、商売と同じでお客様の存在を正しく理解し、お客様に向き合わなければならないことは同じです。





2018年6月27日水曜日

旧大名小学校での殺人事件を他人事と考えず、我が身(会社)に置き換える

サッカーワールドカップの日本vsセネガルの試合が間もなく始まろうという、6月24日(日)の午後8時頃、福岡市民には馴染み深い天神の旧大名小学校(Fukuoka Growth Next)で開催されたIT系勉強会の講師が刺される事件が発生しました。
刺されたのは有名ブロガーHagexこと岡本顕一郎氏(41)。

勉強会開催を告知するページ
Hagex-day.infoスクリーンショット
Hagex氏は、自らのサイトで福岡での勉強会を告知していました。ひょっとしたらこの勉強会には知人が参加していたかもしれません。この建物内にはスタートアップ企業も複数入居しています。春に訪問した、ココヘリのAUTHENTIC JAPANさんもあります。 犯人は自転車でそのまま姿をくらましたことから大名~天神界隈は一時騒然となったようです。私もお昼によく出かける大名の人気食堂一膳飯屋「青木堂」さんは、犯人が逃走中ということで危険を感じてシャッターを下ろし鍵を閉めたそうです。

岡本氏を殺害したとして自ら出頭した松本容疑者は、福岡市内に住む無職の42歳。

犯人とは何の接点もありませんが、馴染みのある、身近な人達に近い場所で起こった事件に驚愕しました。

思えば最近、行きずりや無差別殺人、昨日(6月26日)には冨山で交番の警官が襲われ、奪われた拳銃で一人が殺されるといった凶悪事件も起きています。

昨年の九州北部豪雨や先週の大阪北部地震などの自然災害だけでなく、このような事件や事故に何時巻き込まれるかもしれません。企業では、東日本大震災の後自然災害に備えたBCPを策定している企業が増えて来ましたが、このような自然災害以外の予期せぬ自称に対してどう対応するか準備している企業はほとんどありません。

福岡の事件では岡本氏の勤務先の社長がマスコミ対応していました。富山の事件では現場となった小学校の校長が会見を行いました。このように、被害者になった場合にもマスコミの対応が必要になるケースがあります。小学校の場合はマスコミ対応以前に、事件発生時の対応(犯人に対する対応、生徒の安全確保、各方面への連絡と救援要請など)も必要でした。
このような不測の事態に対しての対応を、事前に準備しておくことは必要です。

コンティンジェンシープラン(CP)の策定を


コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)とは、その策定対象が潜在的に抱える脅威が万一発生した場合に、その緊急事態を克服するための理想的な手続き、手順を決めたものです。今回の富山の小学校の例で言えば、不審者が学校敷地内に侵入した場合はどう対応するかということが事前に決められ、徹底されていたのだと思います。
企業のケースでは、社長が出張先で事故に遭ったとか、海外でテロに巻き込まれた、あるいは従業員が拘束された、工場から出火したなど、業種や業態で様々なリスクやトラブルが想定できます。それらを事前に拾い出し、万が一発生した際の対応について、手順や取り決めを文書化しておくのです。

特にオーナー企業やTOPに権限が集中している企業では、コンティンジェンシープランの策定を急がれる事をオススメします。




2018年6月21日木曜日

同質性が強い組織では、社会的視点を無くして権力者に尻尾を振る、問題が見えなくなる

6月15日の受動喫煙対策強化を目指す健康増進法改正案を審議した衆院厚生労働委員会で、参考人として招かれたがん患者が意見を述べている最中に、自民党の穴見陽一議員が「いい加減にしろ!」とヤジを飛ばしていたとして炎上しています。

本業ジョイフルへの影響も?


きっかけは今日のBuzzFeedが報じた
受動喫煙対策を訴える肺がん患者にヤジ 国会議員「いい加減にしろ!」
ネットでは穴見議員に対する批判が巻き起こり、毎日新聞でも
自民議員、がん患者にやじ 受動喫煙巡り衆院厚労委
と、患者団体が反発していることを報じています。

穴見陽一議員は、九州では馴染みのあるファミリーレストランチェーン「ジョイフル」の代表者でもあります。ネットでは、「ジョイフルには二度と行かない」など、ジョイフルボイコットの声まで上がる事態です。

同質集団が抱える潜在的な問題


今日の新聞で、もう一つ目に付いた記事があります。 
経団連、この恐るべき同質集団
この記事によると、経団連の正・副会長は
(1)全員男性で女性ゼロ(2)全員日本人で外国人ゼロ(3)一番若い杉森務副会長(JXTGエネルギー社長)でも62歳。30代、40代はおろか50代もいない。
19人の正副会長全員のだれ一人として転職経験がないのだ。別の言い方をすれば、全員が大学を出て今の会社の門をたたき、細かくみれば曲折があったにせよ、ほぼ順調に出世の階段を上ってきた人物であるということだ。
そして、
日本企業がかつて躍進したのは社員の同質性が高く、それが品質の改良などに威力を発揮したからだ。だが、近年は同質性より異質性が重要になった。異なるモノの見方や経験がぶつかり合うことで、そこにイノベーションが生まれる。
 移民や外国人の活躍する米シリコンバレーの繁栄がその証しであり、逆に同質性を色濃く引きずる日本企業は失速した。

とあります。
話がいきなり経団連に飛んでしまいましたが、穴見議員の発言は今の政府自民党がこのような同質性を求めている現れではないかと思えてくるのです。穴見議員ではなく経営者の穴見陽一氏であれば、現場に出てお客様の顔を見、そこで食事を楽しむファミリーの姿を想像することができるはずなので、このような野次は出なかったかもしれません。

しかし、自民党のほとんどの重鎮議員は愛煙家で、受動喫煙対策強化を望んでいません。自民党議員という立場で衆院厚生労働委員会の場に臨むと、「愛煙家の集まりとしての政府自民党」の一員として上司に尻尾を振るような言動になってしまうのでしょう。これまでも国会や地方議会で不用意な野次を飛ばして問題になる議員がいましたが、「普通の感覚や視点」を忘れて、そこにいる「同質集団の中でのパフォーマンス」を演じてしまうのです。

このような傾向は、企業や行政組織、NPOやNGOなどでもありますし、直近では日本大学アメフト部の問題がまさにここに起因していたと言えます。 同質集団の空気を崩さないばかりか、そこで優れたパフォーマンスを示して認めて貰おうという欲求や圧力が生まれたときに、社会一般の常識や視点を無視してしまうのです。
また逆の例が神戸製鋼や三菱マテリアル、スバルや三菱自動車などデータ改ざんや隠蔽といった、常識的には悪い事だとすぐわかる事でも、その組織では正当化してしまうような空気と歴史を作ってしまうのです。

私が経営課題解決の相談を受けて取りかかるときには、主要なメンバー(企業規模によっては従業員全員)と個別に面談させていただくようにしています。可能であれば全員にアンケート※をとらせていただき、経営者が気づかない課題や問題点をあぶり出すようにしています。
「うちは結束が固い」と信じている組織ほど、外部から見ると根本的な問題を抱えている事は少なくないのです。

※もちろん、面談やアンケートの個別内容を経営や会社へ伝えることはありません。

2018年6月20日水曜日

加計理事長の会見は、日大アメフト部、レスリング栄氏の謝罪会見をお手本に?



6月19日に突然加計学園の加計理事長が緊急の記者会見を開きました。
(貼り付けた動画はANNnewsチャンネルのノーカット動画の分割された最初の部分です)

報道によると、 会見を開くと連絡があったのは当日の朝、2時間後に開催するというもの。最近どこかで聞いたような。そうです、日本大学アメフト部内田前監督の緊急会見も連絡は僅か1時間前でした。しかも、会見会場は東京や大手マスメディアの拠点から離れた岡山の学園本部。2時間では東京の政治部記者や週刊誌の記者は間に合うはずがありません。
更に、会見の取材を認めたのは地元岡山の記者クラブ(どの記者クラブなのでしょう?県政記者クラブ?商工会議所の経済記者クラブ?岡山の事情にうといので分かりません)の会員のみに限定しての事だと言います。これでは、仮に開催時刻に駆けつけることができても、会見場に入ることもできません。

これもどこかで聞いたような話です。
わずか5日前の栄氏の駒沢体育館での会見。「事前(1週間前)に登録していない記者は入場できない」と同じです。加えて、会見時間は25分と最初に決められていました。これまたお尻を決めていた栄氏の会見と同じです。

大阪では死傷者が出る大きな地震が発生した直後、記者の目も生活者の関心も地震に向いている最中。他に大きなニュースが続いている時に、記者も来られない会見をあえて開き、「説明をした」という既成事実を作って逃げようとする魂胆がありありです。これも栄氏の会見と重なってしまいます。

こんな、批判ばかりの過去の会見の悪い所をそのまままねた会見が評価されるはずがありません。これを見た視聴者には「絶対嘘をついている」という印象しか残っていないはずです。そんなことは当然分かっていながらこの会見を開いたのですから、自ら「嘘をついています」と言っているようなものです。
しかし、加計理事長としては、非を認めれば獣医学部の認可取り消しや、文科省から学校法人に対するペナルティも有るかもしれないので絶対に認める訳にはいかないのです。この際、安倍総理との友情もどうでも良いでしょう。学園を守ることが第一です。

だからこそ、視聴者に評価される立派な会見ではなく、批判されても逃げ切るために、日大や栄氏の批判だらけの会見を手本にして、この会見を組んだのが透けて見えてしまいます。





2018年6月18日月曜日

何回謝罪会見をしたら終わるのか?三菱マテリアルー日本大学と至学館大学の騒動の陰で


昨年末から今年にかけ、相撲やレスリング、日本大学アメフト部や至学館大学まで巻き込んで、スポーツ周辺で世間の注目を集める絵に描いたような謝罪会見が相次ぎ、マスコミもそちらの報道に集中していました。
結果としてその影に隠れるように三菱マテリアルの謝罪会見は、ほとんど報道されないまま見過ごされているようなので、「空飛ぶタイヤ」の映画が公開されたタイミングでもありますし、振り返ってみます。

三菱自工のリコール隠し


「空飛ぶタイヤ」は、三菱自動車工業のリコール隠しによる死傷事故を題材に池井戸潤氏が小説化し、2009年にはテレビドラマ(amazon primeで見られます)にもなりました。そしていよいよ映画化され、6月15日(金)に封切られました。
三菱自動車工業はリコール隠しだけでなく、その後 燃費データの改ざんをしていたことも明るみに出て、今や日産自動車が筆頭株主となっています。
ウィキペディアによりますと、リクルートの先輩でもある田中辰巳さんは、
この体質のために「隠蔽といえば三菱自動車、三菱自動車といえば隠蔽」と言われるくらいに隠蔽の代名詞となったと手厳しい評価を下している。
とあります。

また「三菱」か?


その同じ三菱を冠するグループ会社の三菱マテリアルは、自動車がやって来たことと同じようなことを繰り返していたのです。グループ子会社が製品データを改ざんして出荷していたことが発覚(しかも40年も遡って発覚)して昨年11月に謝罪会見をおこないました。
しかし、その後も12月に再び別の子会社で改ざんが明るみに出て謝罪会見。更に今年2月と3月にも新たに発覚した同様の内容で謝罪会見をし、とうとう(やっと?)社長が引責辞任を発表する会見を6月11日行いました。
いったい何回謝罪会見を開いたのでしょう?


一般生活者には直接の取引や関わりの無い素材メーカーなので、ほとんどテレビなどでの報道はされませんでしたが、ビジネスの世界では一気に信用を落としてしまったはずです。一度ならず二度、三度と新たな不正が発覚し、その度に謝罪会見を繰り返す。これが最後と言われてもまだ出てくるんじゃないかと疑心暗鬼になってしまいます。
(「三菱マテリアル 改ざん」で検索すると山のように出てきます。さらに「まとめ」もたくさん作られています)

自動車のリコール隠しも再び思い出されるこのタイミング。データの改竄や隠蔽は三菱グループの企業体質だと刷り込まれるかもしれません。

昨年中に全ての膿を出しきれなかったことで、グループ全体に大きな傷を付けてしまったことは否めません。




2018年6月15日金曜日

栄氏の謝罪会見は、日大内田前監督の二の舞いを避けたかったのだろうが…



伊調選手らへのパワハラ が内閣府から認定され、その後公の場に出ていなかった栄氏が突然記者会見を行いました。昨日6月14日の午前9時20分からのことです。
この会見は、色々な制限が付いたもので、様々な憶測と更なる批判の的となっています。

生中継不可、20分の制限付き


会見は午前9時20分からなので、民法各局は朝の報道番組やワイドショーの放送時間。生で中継することも可能でした。しかし、生中継は禁止と事前に通告され、それを受け入れなければ会見の取材を認められなかったと言うことです。さらに、会見時間も20分間のみ。理由は、10月に開幕する世界選手権の代表選考会を兼ねる全日本選抜選手権の試合前だからということ。至学館大学レスリング部監督として会場に来ており、試合開始前の20分のみの取材対応という理屈です。
また、会見は屋外での囲みかと思ったら違っていました。
The PAGEの試合が開催された駒沢体育館のウォーミングアップ場ということです。駒沢体育館への取材入館も、
 とあり、1週間前に取材申込をしていなければ会見場へも入れなかった訳です。栄氏の会見は前日の夕方にマスコミ各社へ連絡があったということなので、当初より大会を取材する目的だったごく限られたメディアのみを対象として会見を設定したことになります。

制限を設けるほど深まる不信感


直前には、日大アメフト部の内田前監督とコーチの謝罪会見が大失敗となり、かえって火に油を注ぐことになってしまいました。あの会見を他山の石として、ある意味用意周到に準備された会見でした。
日大の時の様に限りなく質問が続くのを避けるために、最初から理由を付けて会見の終了時刻を設定しておくというのは、「はれのひ」社長の謝罪会見でもありました(あちらは会場の制限時間)。

取材制限は、限られたメディアにしか案内しない、事前に申請を受け付けたところに限るなどはあります。厳重なセキュリティが求められるサミットやオリンピック、あるいはF1やAmerica's Cupなど大きな規模のスポーツイベントなどでは事前申請と許可が当たり前です。取材者を制限するというのは、記者クラブ主催の会見でもよくあることです。日大悪質タックル問題では、加害学生の会見は日本記者クラブ主催で開催されましたので、記者クラブ会員以外は取材できなかったはずです。 今回はこれを逆手に取って、週刊誌やゴシップ紙など都合の悪い取材を排除するために最初から取材可能なメディアに制限を掛けてしまいました。

それにしても、生中継は不可というのはどんな意図があったのでしょうか。プロモーションを目的とした解禁日時指定というものもありますが、今回のような謝罪会見で制限をかけることはかえって心象を悪くします。試合開始前に会見が流されるのを嫌ったのでしょうか。放送される時点では別の場所にいたかったのでしょうか。

いずれにしても、会見の模様はテレビやネットで何度も放送され、再生されることに変わりはありません。

今回の会見で伝わってくるのは、形だけでいいから謝罪を済ませてしまおう、できるだけ短時間で強引にでも終わらせてしまおうという姿勢です。これでは伊調選手や関係者への謝罪にもなりません(そもそも謝罪する気持ちも無さそうです)。レスリング協会の中で「謝罪は済ませた」という既成事実を作りたかったのでしょうか。

昔の株主総会(シャンシャン総会)を思い出す、日大アメフト部前監督らとはまた違う醜悪な謝罪会見を見せられたという感想を持つのは私だけでしょうか。

2018年6月6日水曜日

TOKIO山口達也と日大アメフト部員の記者会見、明暗を分けたのは

問題となった日大と関学のアメリカンフットボールの試合から1か月。悪質タックルの問題は日本大学の経営のあり方を問う問題にまで発展して、終わりが見えなくなってきました。
一方で、試合中にタックルをした日大DFと被害者の関学QBの学生との間には和解も成立し、被害者の父親からは加害学生へのエールも送られて、当時者間ではひとまずの区切りが着いた感じでしょうか。

日大の悪質タックル事件は、加害学生が記者会見を開いた事で大きく動きました。誠実に理路整然、具体的に語った会見は、加害学生への印象を大きく変えて、非難の矛先はその指示をしたとされる監督・コーチへと向います。それに対して、日大アメフト部、学長、理事の会見・対応はお粗末なもので、大学関係者への追求は全く収束する気配がありません。今更日大サイドの記者会見を語っても何も参考にならない(悪い例としては参考になりますが)ので、その会見のわずか1か月ほど前に開いた山口達也さんの会見と較べながら、失敗しない謝罪会見のポイントを振り返ってみたいと思います。

会見を開くまでの条件は良く似ていたのに


山口達也さんのケース(以下A)と日大アメフト部員のケース(以下B)は、実は事件発生(本人認知)から記者会見を開くまでの時間経緯は良く似ています。

1,準備期間はどちらも十分にあった 

Aでは、本人に加害者の自覚がなく、(被害届けを出されて)事件を知ったのは3月末頃、事務所へ報告したのが4月16日、NHKが報道して世間が知るところになったのが4月25日でした。そして翌日の26日に急遽記者会見を開いています。
事務所が事件を知り、記者会見を開くまで準備期間は実質10日間あったことになります。
一方Bのケースは、5月10日に関学から日大アメフト部へ申し入れ書が届いたことで、翌11日両親と共に謝罪に出向こうとしたところから動きが始まります。 記者会見は22日なので、こちらの準備期間は11日ということになります。
通常、企業不祥事などで記者会見を開く場合は、即日あるいは翌日ですから、準備期間は数時間~1日程度です。それと比較すればAもBも準備期間は10日前後と十分にありました。

2,身内がサポートし、弁護士も

事件に対応するに当たり、両者同じような体制を組んでいます。
Aはジャニーズ事務所が全てを仕切り、事務所が元検事の敏腕顧問弁護士を付けました。
Bは父親(と家族)が学生をサポートし、父親が自ら弁護士事務所に相談に行き、2人の弁護士と共に謝罪会見に臨んでいます。
どちらのケースも、本人だけでは対応せず、身内のサポートと第三者となる弁護士を付けて会見に向けた準備をしています。

明暗を分けたのは危機感と想像力の差


確かに、AとBでは伝えるべき内容・主旨に違いはありましたが、記者会見という一つのイベントとして見ると時間も十分に有り、身内のサポートも敏腕弁護士も付けて条件は同じようなものです。しかしAはダメダメな会見になり、Bは加害者でありながら被害者でもあるという同情までも誘うような結果になりました。この差はどこから来たのでしょうか。

謝罪会見に臨む際には最低でも
1,事実・経緯・原因などの確認→ポジションペーパーの作成
2,Q&Aの作成
3,ネガティブリストの作成・確認
4,会見場の選定と事前確認(会場セッティング、進行、会見者)
など詳細に詰めて準備しておかなければなりません。

しかし、Aでは上記についてほとんど準備されている様子はありませんでした。ジャニーズ事務所が会見を仕切る、敏腕弁護士が付いているという奢りがあったのでしょうか。

一方、Bの会見は驚くことに日本記者クラブで行っています。ここで会見するということは、日本記者クラブが主催ということです。進行に関する主導権は会見者にはありません。それだけに事前に十分な確認と打ち合わせが行われたはずですし、会見側の準備はあらゆる事を想定しなければなりません。

Bでは「記者会見の主旨と開くに至った経緯」を整理し、ペーパーが会見場で配られています。聞き取りから作成したポジションペーパーをベースにしたのでしょう。このペーパーに沿った形で代理人弁護士から経緯の説明があり、本人はより具体的に、自分の言葉で詳細説明を行っています。代理人弁護士と本人との役割分担もはっきりしていました。質疑応答に際しても、答えて良いことと悪いこと、口にしてはいけないことがはっきりと認識されているようでした。事前に十分確認されていた様子が分かります。

Aのチームは、事務所スタッフは芸能記者との普段のやりとりの延長で考え、弁護士は法廷での攻防に気持ちが行っていたのでしょうか。自分の得意な土俵の事だけを考えたような、あまりにも安易な記者会見でした。
Bのチームはごく普通の一般人(しかもまだ学生)がマスメディアの前に顔と名前を晒して、日本中の人に見られるその先のことまで十分過ぎるほど想像し、必死で守ろうとしていました。その必死さは感情に流されることではなく、理性的に必要な協力者を探し、やるべき事を整理し、十分な準備をすることであり、ギリギリまでその精度を高めることだということを理解していました。

奇しくも、記者会見の終盤では双方の弁護士がAではもらい泣き、Bでは声を詰まらせるという形で感情が表に出る場面がありました。見る者が受けた印象は全く違ったでしょう。会見を終えた瞬間、それぞれの弁護士は何を思っていたのでしょうか。

ところで、前回の鉄腕DASH! グリルやっかいで1時間はきつかったですね。DASHファンとしては物足りなさで胸が苦しくなりました。早く復活して欲しいものです。

山口達也のジャニーズ事務所契約解除報道を受けて

息子を「卑怯者にしたくない」父の愛情が支えた、日大アメフト部員会見




2018年6月5日火曜日

【こそだて】のユーザーデータから見えてくること-2,夜中も起きて、子育ては24時間

2000年にスタートした育児のポータルサイト【こそだて】の時系列データから読み取る、子育ての変化。第1弾は進む晩産化のデータでした。
第1弾 育児のポータルサイト【こそだて】の19年をユーザーの変化で振り返って見えてくること-1,進む晩産化

ピックアップ第2弾は、アクセス時間の変化に注目します。

 

サイトアクセスの時間帯変化


通常、サイトのアクセス分析はGoogle Analyticsを活用していますが、Analyticsのサービススタートは2005年。【こそだて】でAnalyticsを採用するのはまだその数年先になります。しかし、2005年からサーバーにインストールした簡易解析ソフトは今でも現役でデータ収集を続け、経年変化も簡単に比較することができます。
1日24時間のアクセス推移を、各年の4月のデータで抜き出し、2006年からのグラフを並べてみました。
アクセスは年ごとに変動しますので、絶対値ではなくグラフの形、相対的な変化に注目してください(そもそもこのグラフでは絶対値は比較できません)。

2006年から2013年くらいまでは、それほどアクセス時間の変化はなく、だいたい同じような形です。
午前は、家族を送り出し落ち着いた所でPCを開き、お昼頃に少しアクセスが下がるものの、午後は買い物や夕飯の支度を始めるまで徐々にアクセスが増えていきます。そして夕飯の時間帯に大きく落ち込みそれから再び増えていきます。
 アクセスのピークは午後10時台。子どもを寝かしつけ、家事も一段落してPCを開いているのでしょう。

2012年の5月~6月に、 ソーシャルメディアの活用について」アンケートを採っています。この時に最も利用されていたSNSは「mixi」で、5割以上の人が利用していました!Facebookは2位で38.3%。しかし、前年の15.5%から大きく伸びています。「今後最も利用すると思うものは?」の回答の1位はFacebookです。
このアンケートの時点では、スマートフォンの所有率は3割に届いていませんでした。ちょうどスマートフォンが普及を始める時期であり、同時にSNSもmixiからFacebookへ移行する転換点だったのでしょう。

スマホの普及で変わるアクセス


2014年頃からは、夕飯の時間帯の落ち込みはだんだんと緩和され、時間帯による山と谷がなくなって全体になだらかなアクセスとなっていきます。2018年には以前はほとんどアクセスの無かった深夜早朝、午前3時台でさえそれなりのアクセスがあります。24時間ずっとだらだらとアクセスが続いているのです。

これは、【こそだて】へアクセスするデバイスが、PCからスマートフォンに移行した事によるものと考えられます。PCは電源を入れ、画面が立ち上がってサイトにアクセスするまでにそれなりの手順と時間を要します。インターネットへのアクセス方法がPCしかないときには、調べ物をするにもSNSにアクセスするにも、PCに向かうという改まった行為、時間が必要でした。しかし、スマートフォンはいつも身近にあり、すぐに使えます。思い立ったとき、必要なとき、空き時間に片手でスマホの電源を入れるだけです。赤ちゃんを抱っこしながら調べ物をしたりもできます。2014年頃から【こそだて】もレスポンシブ化し、スマートフォンへの対応を進めています。

2018年現在、【こそだて】へのアクセスデバイスは8割以上がスマートフォンです。そして【こそだて】へのアクセス流入は8割が検索からですので、子育てに関して何か困り、調べ物をしてたどり着いているのでしょう。スマートフォンを使って何かを調べて【こそだて】にたどり着いているというのが、利用者の姿です。

子育ては24時間フルタイム


さて、アクセスの時間帯に話を戻します。普通なら就寝中の深夜にアクセスがあり、それが少なくない数であることに注目しなければなりません。重要なのは、【こそだて】にアクセスしているということです。SNSなど、他のサイトにアクセスしている数は含まれません。何故こんな深夜に起きて【こそだて】にアクセスしているの?と。

考えられるのは、赤ちゃんの夜泣きや授乳で起きた、あるいは熱を出した子の看病かもしれません。授乳をしながら調べものや記事を読んでいる、あるいは熱を出した子を抱っこしながら病気の可能性や対処方を調べているのでしょうか。普通の人が休んでいる時間にも我が子と向き合う母さんの姿が想像されます。
子育ては、1日を通して忙しい時間や暇な時間が有るわけではないということが、このアクセスレポートからも見て取れます。

スマートフォンの普及で、これまで見えなかった深夜の子育ての様子が、少し見えたような気がします。普通の人が寝静まっている時間に、子どもを抱いて頑張っているお母さん、お父さん。天晴れです。






2018年6月4日月曜日

育児のポータルサイト【こそだて】の19年をユーザーの変化で振り返って見えてくること-1,進む晩産化

(株)ブライト・ウェイは、2000年4月15日に育児のポータルサイト【こそだて】をスタートし、20年目に入りました。
リンク先のURLをご覧いただければお判りの通り、【こそだて】は「co.jp」ドメインです。Yahoo!のサービスドメインが「co.jp」であるのと同じです。2000年当時はまだ「.jp」ドメインがスタートする前で、一般企業が利用できるドメインは、「co.jp」「.com」「.info」「.net」くらいでした。本当に長く続いているものです。

19年前、スタートした頃に【こそだて】を参考に奮闘していたママの子ども達はもう成人しているでしょう。ひょっとしたら、もうパパやママになっているかもしれません。そろそろ一世代(近年は晩産化でもう2/3世代くらいかもしれませんが)まわってユーザーも全く入れ替わっています。長く続けているからこそ定点観測データで分かることもあります。そのなかから2つほど子育てのデータ(主に母親)をピックアップしてみたいと思います。
その第1弾は、ユーザーの年齢です。

晩婚化、共働きが増えた結果

【こそだて】では、基本的にアンケート形式を変えず、マーケティングの資料にと様々なアンケートを実施してきました。同じテーマを毎年、あるいは数年おきに実施しているものもあり、経年変化も見ることができます。これだけ続いているアンケートも滅多にないのではないでしょうか。

左のグラフは【こそだて】のユーザー年齢分布の推移です。上から2001年、2006年、2011年、2018年で実施したアンケート(時期、テーマはバラバラです)の回答者の年齢分布です。
2001年はまだ家庭でのインターネット利用は一般的とは言い難い時期ですので、多少対象に偏りが有るかもしれませんので参考程度に見ていただくとして、2006年は29歳をピークにほぼ綺麗な三角形の分布で、むしろ左に重心があります。ここで、2006年の平均初婚年齢をみてみますと、男性が30歳ちょうど、女性が28.2歳となっています。 まだまだ寿退社、おめでた退社が幅をきかせていた頃ですから、結婚した翌年あたりに第一子を出産すると考えると、ピークが29歳の山形のこのグラフはごく自然と考えられます。

ところが、2011年では見事にユーザー年齢のピークが右にずれるとともに、山のピークがなだらかになっています。リーマンショック(2008年)後の不景気と東日本大震災を経験した年末のアンケート回答者データです。
リーマンショックを機に未曾有の不景気(そういえば、この時に麻生首相が読み間違いをして…)となり、就職は超氷河期に突入しました。 リストラや収入減でそれまで専業主婦でいられた(あるいは働きたくても出して貰えなかった)女性だけでなく、子育て中の母親は子どもを保育所に預けて働かざるをえなくなり、保育所の入所希望が一気に増えます。

保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)より
ガベージニュースさんの
保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)
からグラフをお借りしますと、 2009年から待機児童数が一気に増えているのがわかります。その後保育所の増設・定員増を進めますがそれを上まわる勢いで入所希望が増え、2008年から定員が60万人も増えたにも関わらず待機児童は一向に減りません。


そして2018年ではさらにユーザー年齢のピークが右にずれるのかと思うとそうではありません。本来なら年齢が上がるとともに子育てから卒業するのでユーザーの比率は小さくなるべきなのですがあまり落ちません。

実は年齢分布の各グラフの右は、データを見やすく揃えるために40歳以上をカットしています(40代からは前半・後半と5歳刻み)が、40歳以上の比率はどんどん大きくなっています。
40歳以上の割合が2006年は僅かに2.71%だったのに、2011年は13.1%、今年2018年ではなんと22.7%にまで上昇しています。 2011年からさらにユーザーの年齢分布が平坦になり、山形と言うよりも台形に近い形になっています。共働き家庭が増えた結果、出産のタイミングが計りづらくなり晩産化が一層進んでいるということがここからもわかります。園や学校で父母が顔を揃えたときに、子どもは同じ年なのに、その親は親子ほども年齢が違うことも珍しくなくなっています。以前にも
「少子化対策と同時に晩産化をくい止めないと、人口減少スピードは加速する」
で言及しましたが、 晩産化の進行は、少子化を一層進めることに繋がります。出産は数を問題にするだけでなく、時期(年齢)を先送りしない政策と環境整備が必要です。




2018年6月1日金曜日

日大騒動に隠れてしまった、レオパレス21の酷い記者会見

テレビ東京 ガイアの夜明 のサイトより

日本大学の騒動の報道が続いている最中の5月29日、レオパレス21が突然記者会見を開きました。
会見の主旨は、レオパレス21が設計・販売したアパートに建築基準法違反の疑いがある物件が見つかったというものです。本来はアパートの天井裏に有るべき界壁(防火や防音のための壁)が無いアパートが多数見つかったため、1996年~2009年に建設されたアパート約3万8000棟を調査し、同様に界壁が無いアパートが見つかれば補修を行うということでした。4月27日に同様の内容でニュースリリースは一度出されていたのに、です。

記者会見は5月29日の16時から開かれたのですが、実は同日の21:54スタートの「ガイアの夜明」で、この問題について取り上げた「マネーの魔力 2」の放送が予定されていました。どうやら記者会見を開くことになったのも、「ガイアの夜明」の取材で建築基準法違反が明らかになったためで、放送の前に先手を打とうと突然記者会見を開いた感が否めません。
実際に同日の「ガイアの夜明」で「マネーの魔力 2」が放映され、後半にはその記者会見の様子も取り込まれています。

レオパレス21は、取締役専務執行役員の田尻和人氏が会見に臨み説明をされています。この会見は残念ながらテレビ東京系列以外のテレビ局の動画配信やYouTubeで見つけることができませんでした。しかしガイアの夜明にはしっかりと2分半ほどその様子が収まっています。会見全編を振り返る事はできませんが、この2分半から伝わってくることがいくつかあります。

マクドナルドのあの会見と重なる


まず、レオパレス21として形だけ謝罪をしてはいるものの、あくまでも「下請けの施行ミス」というスタンスです。冒頭のお辞儀もおざなりです。
会見に臨んだ田尻専務の表情も、謝罪をしているといよりも不満顔、どうして「俺が説明しなければならないんだよ」と怒っているようにも見えます。
全体のトーンとしては、中国の委託先工場での賞味期限切れ鶏肉使用が発覚した際のマクドナルドのカサ・ノバ社長の会見を彷彿とさせます。その後マクドナルドがどうなったかはご存じの通りです。

「ガイアの夜明」はテレビ東京ビジネスオンデマンド(有料)で見ることができますので、会員になられている方はご覧ください。




2018年5月31日木曜日

今アメリカで起こっている変化に、日本の企業は気づいているのか?

今日の日経新聞電子版で、ネットフリックスは「三日天下」かという記事が配信されました。動画配信大手「ネットフリックス」の時価総額は約1536億ドル(約16.7兆円)となり、メディア大手ウォルト・ディズニー(約1490億ドル)を2日連続で上回り、「企業価値が最大の米メディア」となったというものです。
この「三日天下」という表現の背景にあるのは、ディズニーのオウンゴールによる株価下落による恩恵だというのです。ディズニー傘下の米テレビ局ABCが、人気ドラマ「ロザンヌ」の打ち切りを決めたことなどによる影響とあります。主演女優のロザンヌ・バー氏がTwitterに人種差別的な投稿をし、それを問題視したABC、ディズニーが業績好調の柱であった番組打ちきりを決めたというのです。 

この日経の記事だけでは詳細が分からなかったのですが、昨日のYahoo!ニュースで、LA在住の映画ジャーナリスト猿渡由紀氏による1本のツイートでキャリアを失ったスターの愚行と、トップ番組を容赦なく切ったテレビ局の英断」という記事が掲載されていて理解できました。この記事によると、
「Roseanne」は、今年、最も話題を呼んだ人気番組である。録画で見た人も入れると、視聴率はアメフトの中継をも抜き、全米で堂々のトップだ。ABCが久々にメジャーネットワークで首位を得られたのには、この番組のおかげが非常に大きい。そんなお宝番組を、ABCは、半日も経たないうちに、あっさりと切り捨てたのだ。 

番組打ち切りに対する評価が日経の記事と違うのは、従来のアメリカ的に直近四半期毎の売上・利益を追い求める株主やマーケットの視点ではなく、LGBTや#MeTooの広がりに見る世相・社会の空気の変化を捉えた、数字に表れる業績だけでない視聴者からの信頼やブランドなどの無形資産(Intangible)を守ろうとするreputation(評判)を軸にした視点によるものです。 短期的な業績への影響で株価が下落したことを「非」とするのか、それとも視聴者の信頼を裏切らなかったことを「是」とするのか。

今月世間を騒がせた日大アメフト部と重ねて見ると、日本一の栄冠を掴んだフェニックスの立役者である内田前監督やコーチを、問題が発覚した時点で解任していたら、ということになります。

これまでも、過去に起こった企業不祥事では、消費者や被害者を守るよりも先に自己や会社を守ろうとした構図は多くの場合同じです。あるいは義理・人情に厚いと思い違いした会社が、不祥事を起こしていながらその当事者を守ろうとするケースもありました(今回の日大も)。多くの日本企業(特に歴史があるオールドエコノミーに属する)で同様の事が起きた時には、今の日本大学の振る舞いに似たようなことになってしまうのは容易に想像できます。
内向きな視点でしか対応しなかったばかりに、世間の批判を浴びながらマーケットから退場せざるをえなくなった企業が、過去にはたくさんあります。

日本の企業・組織では、まだまだダイバーシティや平等についての理解が浸透していません。保守的で良くも悪くも人を大切にする日本の企業が、身近なしがらみや義理・人情を捨て社会的な視点を持つことができなければ、従来型の不祥事だけでなく、パワハラやセクハラ、人権に関わるような問題が起こった時に適切な対応はできないでしょう。






2018年5月30日水曜日

学部別謝罪文に見る日大16学部の危機に対する感度の差。最も危機感を感じているのは?

日本大学のアメフト部悪質タックル問題は、まだ、被害届けを出された加害選手の捜査は続いていますが、関東学生アメリカンフットボール連盟の処分発表で一つの区切りが見えてきました。
このタイミングを見計らったのか、日本大学の学長は5月29日、Webサイトに「日本大学学長から採用ご担当者の皆さまへ(お願い)」とする文面を掲載しました。
日本大学Webサイトより
実は学長が会見した5月25日までに、「日本大学学長からお詫びとお願い」ならびに日大16学部がそれぞれ学生向けの謝罪文を掲載(一部PDFリンク)していました。

AERAでは、全16学部の謝罪文をまとめて掲載しています。
日本大学16学部の謝罪声明(大学ウェブサイトから)

また、日大全16学部の「謝罪」を検証 多くはマニュアル文面のなか光ったのは「日芸」とする教育ジャーナリスト 小林哲夫氏の分析記事も掲載しています。

ここから見えてくるのは、今回のトラブルに対する学部ごとの感度の違い、危機意識の違いです。定型文をそのまま「流用」して掲載している学部もあれば、学生へ独自のメッセージを発信している藝術学部などもあります。
今回、誰もが注目し、在学生も不安を感じているのが危機管理学部とアメフト部員が多く在籍している文理学部でしょう。

最も危機感が見えるのは文理学部


2016年に開設された危機管理学部にはまだ卒業生もなく、1・2・3年生しか在学していません。今回、日大がまさに危機管理力を問われた一連の対応では、「危機管理学部」の対応も注目されていました。一番不安と不満を感じているはずです。その学生に向けてのメッセージは「危機管理学部は,学生の皆さんを必ず守ります」。大学がアメフト部の学生ではなく、常務理事である内田前監督を守る姿勢をはっきりさせたことで生じた混乱です。危機管理学部としては同じ過ちを犯す訳にはいきません。まずは学生を守る姿勢を明確にすることです。しかし、それ以上に言葉を継ぐと藪蛇にもなりかねないので、シンプルにまとめています。

一方、 文理学部は、まず25日に
文理学部の在学生ならびに保護者、卒業生のみなさまへ
として、文理学部が置かれている状況を説明しながら理解を求めています。
そして、28日には 報道機関の皆さまへ
29日には 就職活動中の学生の皆さまへ
と立て続けに文章を掲載しています。


「私たちは、日本大学アメリカンフットボール部全体が生まれ変わる必要があることを自覚しています」と声明文を発表したアメフト部。苦悩する多くの部員の姿を、学部の教職員や学生も目の当たりにしているはずです。加藤直人アメフト部部長が文理学部長でもある学部の危機感、状況がここからも見て取れます。

マンモス大学として、必ずしも一枚岩になれていない、温度差を感じざるを得ない学部毎の対応。 視野に入れなければならないステークホルダー(利益関与者)を見落としていないか、今一度検証が必要なようです。

結果的に、一番貴重な体験をしているのは、アメフト部の学生達なのかもしれません。この騒動を乗りきり、彼らが社会に出るときには一皮むけ成長した良い漢(おとこ)になっているのではないでしょうか。企業の採用担当者にとっては欲しい人材に育っていることでしょう。




2018年5月25日金曜日

内外から猛批判の日本大学。どう対応すれば良かったのか?

日本大学アメリカンフットボール部員が、関西学院大学との試合中に危険なタックルをしたことに端を発する騒動。私はこれまでこのブログで、ポイントになる記者会見を3回取り上げて書きました。

「危機管理学部」を持つ日本大学、常務理事でもある内田監督のありえない会見

息子を「卑怯者にしたくない」父の愛情が支えた、日大アメフト部員会見

日大の緊急会見は謝罪ではなく弁明会見、思い出すのは「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件の会見

特に23日に開いた前監督・コーチの会見は大きな話題となり、アメフト部だけでなく日本大学そのもののあり方にまで批判の目が向けられるようになりました。アメフト部の部員や父母会だけでなく、教職員組合など学内でもミーティングを開いたり声明文を公表したりと、内部からの突き上げも激しくなっています。

今回の対応はどこで間違ったのでしょうか?どうすれば良かったのでしょうか?現在進行形ではありますが、一度整理したいと思います。

クライシス(危機)であることを認識できない


先ず何と言っても、感度の鈍さです。政治家やオーナー企業のTOPなど、絶大な権力を持った人が率いる組織は客観的な視点を持てず、世の中の変化に付いていけないことが往々に有ります。今回もその典型でした。

2007年に立て続けに発覚したミートホープ事件や赤福、石屋製菓のまき直しなどの食品偽装、2013年秋に一斉に報じられたホテル・レストランの料理メニュー偽装表示(バナエイエビを芝エビなど)などは、それまで「その業界では常識」、見て見ぬふりをするのが当たり前だったことです。しかし世間では「非常識、消費者への裏切り行為」だと認識されるようになっているのにも関わらずそれに気づかず、あるいは無視した結果です。
世間は嘘や偽装に対して厳しい目を持つようになり、今ではそのような行為はSNSなどネットですぐに拡散され、誰もが知ることになります。

今回のアメフトの危険行為も、早くからYouTubeにはアップされ、内田前監督も周囲からそれを報され、関学大からの抗議文が届く前に見ていたというような発言がありました(22日の会見)。恐らくこの動画に対しては、批判や問題視するコメントがあったから見つけた人は内田前監督に報せたのでしょうが、それが問題だとは感じなかった(恐らく今でも)のです。
この時に客観的な視点で動画を見、コメントを受けとめていればすぐに対応できたのでしょうが、そうではありませんでした。結果、関学大からの抗議文に対しても木で鼻をくくったような回答文を返すことになります。

日大アメフト部だけでなく、日本大学そのものも、今になってもクライシス(危機)に対する対応をしているようには見受けられず、この状況を危機とは認識していないのではないかとさえ思えます。日本大学には危機管理学部があり、その道の専門家もいるので、いつでも助言を求めることはできるはずですから。

クライシス対応は初動が全て


それでは今回はどの時点で、どのように対応すれば良かったのでしょうか。
クライシスマネジメントの鉄則は初動を間違えないこと。危機を認識したら事実確認と情報収集に務め、状況を見極めてできるだけ早く動くことです。企業の場合は即座に「緊急対策本部」を立ち上げ、できるだけ高位の役職者(基本はTOP)を本部長として事に当たるのが基本です。

今回、危機であると認識するタイミングは大きく2つありました。
1番目は上記の通り、Netに動画がアップされ、それが非難されていると認識した時点。
2番目は関西学院大学から抗議文が送付されたタイミング(10日あるいは受け取った日)。

1番目のネット動画に気がつきすぐに対応を取っていれば、10日の抗議文の前に対応も可能でした。関西学院大が抗議文作成に着手する前に適切な謝罪に出向いていれば、そこでこの問題は世間を騒がすことなく終っていた可能性があります。ところが、上記の通りそれを危機だと受けとめる感度がないのですから、ここで動かなかったのは当然と言えば当然でしょう。

しかし、抗議文を受け取った時点では否が応でも動かざるをえません。回答書を求められているのですから、適切に対応する必要があります。動画を見れば分かるとおり、明らかに危険なプレーであり被害者は全治3週間のケガを負っているのですから、まず事実を認めて謝罪する必要があります。
普通なら、以下の様な対応となります。

1,非を認め、謝罪と回答文持参(説明)のために、翌日(できれば朝一番)のアポイントを取る
2,事実確認をするとともに、何故このプレーが起きたのか、背景と原因の調査・特定
3,責任の所在を明確にし、必要であれば(被害者が納得できる、できるだけ重い)処分を下す
4,再発防止策を提示する

これは、まだ関学大が記者会見をする前を想定した対応ですが、抗議文を送付すると同時に記者会見を開いた場合には、すぐさま会見を開くか1~3についてコメントを公表します。 4については策定中として、後の公表でも良いでしょう。

必要なことは、できるだけ早期に最大限の謝罪の意を表明し、責任転嫁や言い訳をせず、反省と処分、今後への改善・対策を明確に示すことです。そしてもう一つ重要な事は、身内だけで対応せず、客観的な目を持った第三者を入れて進めることです。そうでないと、どうしても自己保身に向いてしまいます。
宮川選手は、そのとおりのお手本のような会見でした。

永い目で見れば膿を出す良い機会に


上記はあくまでも問題を起こした際の基本的な対応に過ぎませんが、実際には、日大アメフト部は責任を回避することに終始します。さらに、日本大学の組織や体質が背景に有り、責任の所在・本質は別な所にあることが見えてきました。

今回仮に上記の様に初動を誤らず大事に至らなかったとしても、それはテクニックとしてその場をしのいだに過ぎなかったでしょう。
日本大学では、いずれまた同じような事がアメフト部以外でも起こることを予感させてしまう対応であり、組織風土の様に思えます。今回このような大問題になったことで、同じ悲劇を繰り返す可能性を残すよりも、(膿を出し切り改善されれば)今後の事を考えると良かったのかもしれないとも思えてきました。
 




2018年5月24日木曜日

日大の緊急会見は謝罪ではなく弁明会見、思い出すのは「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件の会見



昨日、日大アメフト部内田前監督と井上コーチの緊急記者会見が開かれました。
前日の宮川選手の謝罪会見を受けての対応だろうと思われますが、マスコミに会見のお知らせFAXが届いたのは当日の午後7時過ぎ、受け付けは7時半から、開始は8時からというものです。

あまりに突然の記者会見の開催。しかも、直前に文春砲が炸裂し、内田前監督が試合直後に話した音声データが公開されています。これだけ切迫した案内だと、よほどの重要な内容なのだろうとマスコミ各社は推察したはずです。内田前監督は空港での会見発言を撤回し、全てを認める会見をするのか、あるいは学長が世間に対して謝罪するのかもしれないと思いながら会場に集まったのではないでしょうか。

上から目線の考えられない進行


会場は日本大学会館で、仕切りと司会進行は日大広報部の人のようです。しかし、会見が始まると予想とは違う展開となりました。 会見の一部始終は今朝からテレビのニュースや新聞各紙で紹介されていますし、上に貼り付けた動画(The PAGE)でも最初から最後(コーチの退室)まで確認できますので、発言の詳細や内容へのコメントはここではあえていたしません。

体裁は謝罪のようですが、内容は良い訳、弁明に終始しました。謝罪しているようで謝罪していない。非を認めているようで認めない。結局宮川選手が悪いという主張です。

当然記者からは質問が相次ぎますが、ここに司会が度々割って入ります。ネットでも司会進行に対する書き込みが多数有ったようです。
開始1時間45分過ぎあたりから記者と司会者の激しいやりとりが始まります。マイクを通さず記者から「この会見は、みんな見てますよ」という声に対して、司会者は「見てても見てなくてもいいんですけど。同じ質問を繰り返されたら迷惑です」と返し、記者席からは失笑が漏れます。さらに、「司会者のあなたの発言で、日大のブランドが落ちてしまうかもしれないんですよ」というと「落ちません」と即答し、再び笑いが起きる場面もありました。

会見を見終わると、結局何が語られたのかよく分からず、ただただ司会者(日大)の傲慢さだけが印象に残りました。
この、謝罪しているようで責任を認めない会見は、7年前の 「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件の社長の最初の会見(逆ギレ会見と話題になりました)を思い出します。運営会社「フーズ・フォーラス」はその後倒産し、奇しくも今月13日に賠償請求訴訟の判決が下されています

会見の設定事態が逃げる気満々


そもそも、会見の設定が変でした。24日に再回答書を関西学院大に送る予定でしたから、その回答を送るタイミングで会見しても良いものです。それをあえてせずに、会見開始僅か1時間前にマスコミにFAXを送り、しかもそのFAXには会見場所も記されていなかったようです(フジテレビ「特ダネ」での情報)。 報せはするけど来てくれるなといわんばかりです。

通常、午後8時からの会見というのは余程のことがないと設定しません。政府からの緊急の報せや大きな自然災害に関しての気象庁の会見、それ以外では企業不祥事に関してTOPの謝罪会見くらいです。
なぜなら、午後8時台はテレビのゴールデンタイムで報道番組はありません。報道で取り上げて欲しければ絶対に避ける時間帯です。日中の会見だと、どこかしらの局がライブで放映可能ですが、8時台は急に番組の編成を替えることはできないのでライブ放映するところはありません。実際、会見をライブで流したのはネットメディアだけでした。

会見場では、記者の質問用に用意されたマイクは1本だけで、それも係の人が渡すのではなく、会場の記者が手渡しリレーで送っていたというのです。これではマイクから遠い記者はマイクが動いている合間に発言したくなります。時間稼ぎをして質問をできるだけ少なくし、時間切れを狙ったようにも見えてしまいます。
実際、この会見内容なら、こんなに緊急に設定せず、今日24日の午後で十分でした。

これは明らかにほっかむりをして、時間が経てば他の話題に隠れて忘れ去られるだろうと逃げる作戦です。司会者の「見てても見てなくてもいいんですけど」との発言は見てくれない方がいいんですけど」というのが本音でしょう。

結果としては日本大学構内で、日本大学広報部が仕切った会見でこの有様を世間に晒してしまいました。日本大学は巨人軍の球団公式スポンサーだったようですが、日大に関する広告を外したそうです。日大アメフト部だけでなく、日本大学に対する視線は一層厳しいものになったことは明かです。





2018年5月22日火曜日

息子を「卑怯者にしたくない」父の愛情が支えた、日大アメフト部員会見


関西学院大学とのアメリカンフットボールの試合で、危険なタックルをして関学大QBの選手にケガをさせた日大アメフト部の宮川選手が、本日記者会見を開きました。
加害者である宮川選手の謝罪会見ですが、ここ最近の謝罪会見とは少し様相が異なっていました。

日本記者クラブの異例の対応


会見場は日本記者クラブ。会見の進行役は記者クラブの企画委員である、スポーツニッポン新聞社の方です。
まず、進行役が記者クラブで会見を行うことになった経緯などを説明します。それによると、試合後マスコミの取材を受けてこなかった加害選手の「記者会見を、日本記者クラブで行いたい」との要望が代理人(弁護士)を通じて申し入れられたと言うことです。それに対し、「社会を騒がせている事案であり、真実を知るには本人の説明が不可欠」と判断して申し入れを受けたということが説明されました。
また、記者クラブの取り決めとして「会見時に弁護士の同席は認めないことになっているが、今回については会見者が20歳になったばかりの学生さんであり、今後の(発言による)責任問題などを考慮して、代理人である弁護士の同席を特例として認めた」ことも告げられました。

家族で危機に向き合った姿


続いて、代理人である2名の弁護士(西畠正氏、薬師寺孝亮氏)から、顔出し・本名を隠さず会見に至った経緯と両親の思い、謝罪の意を明確にしたい旨などが話されました。また、「これから長い将来のある若者であり、この先どのような不測の事態が起こるかもわからない、被害を被らないよう」代理人の立場からマスコミに対して配慮を求めました。
その後、 会見の主旨と開くに至った経緯の説明(←マスコミに配付された主旨と経過 参照)がありました。

経緯の説明では、試合の後、宮川選手とそのご両親は、関学大の被害学生に対して、早くから謝罪のために接触を試みようとしていたことがわかります。しかし監督・コーチからは個別に謝罪に出向くことを認めて貰えません。そして15日、日大アメフト部から関学大に対して回答書が送られ、その中では監督・コーチからの指示でタックルをしたことが否定されていました。謝罪もできない上に、このままでは宮川選手が勝手に行動をして怪我をさせたことになりかねない。そこで宮川選手のお父さんが西畠弁護士の元を訪れたということでした。

翌日、両弁護士が宮川選手から詳細な聞き取りを行い(陳述書はこの聞き取りを元に作成されたのでしょう)、同時に関西学院大へ個人的に謝罪に出向きたいと申し入れをしました。その申し入れは受け入れられ、18日に宮川選手と両親で謝罪に出向いています。
この経緯を見ると、宮川選手のお父さんは関学大アメフト部から日大アメフト部に申し入れ書が送られた翌日の11日以降、ずっと仕事を休んで宮川選手につきっきりだったようです。10日以上家族の為にずっと走り回り、家族がひとつになって今回の問題に向き合っていたことがこの会見から伝わってきました。

恐らく記者クラブとも入念に打ちあわせをしたはずです。十分な準備をして臨んだ会見は、宮川選手本人の決意とそれを支えた両親、息子に卑怯者の誹りを向けさせたくないという父(と代理人)の思いが会見場を支配していたように見えました。

記者会見の全容は、上に貼った動画(SankeiNews)と、マスコミ各社の報道でご確認ください。以下は、陳述書の全文を書き起こしたハフポスト記事です。
危険タックルの日大アメフト選手「1プレー目で潰せば出してやる、と言われた」(陳述書全文)

この会見を受けて、24日に予定されている再回答書を含め、日本大学はこれからどのような対応をするのか、日本中が見守ることになります。対応次第では来年の学生募集や卒業生の就職にも影響しかねない重大な局面を迎えそうです。




2018年5月21日月曜日

「危機管理学部」を持つ日本大学、常務理事でもある内田監督のありえない会見


5月6日に行われた日本大学と関西学院大学とのアメリカンフットボール定期戦で、日大の選手がボールを持っていないクォーターバックの選手にタックルをして全治3週間のケガをさせたなど、「意図的で危険」なプレーを繰り返したことに対して抗議文(10日付け)を送付したと、関西学院大学が12日に会見を行いました。
(経緯は朝日新聞の記事「アメフト日大との定期戦取りやめも 関学大が抗議文」などに)

その会見で提供された当該試合のプレー動画は繰り返しテレビの報道番組などで流され批判が高まり、日大の対応に注目が集まっていました。
そして15日、日大からの回答書がアメフト部コーチによって関学大に持参され、それを受けて17日に関学大が再び会見を開きました。
「疑問、疑念を解消できておらず、誠意のある回答とは判断しかねる」との見解を表明し、日大側の24日までの再回答を待つとしました。
日大回答は「疑念を解消できず」 関学大会見 - 毎日新聞ー会見動画有り
日大回答は「疑念を解消できず」 関学大会見

ところが19日(土)、日大の内田監督は、関学大に謝罪と説明に行った帰りという伊丹空港で突然会見を行いました(上の動画)。さらに到着した羽田空港でも再び会見をしました。


危機管理学部はお飾り?


内田監督は、1度目はピンクのネクタイで会見に臨み、関西学院大学を「かんさいがくいんだいがく」と名前を間違えるなど、そもそも会見内容について語る以前の問題です。何も事前準備をしないまま会見に臨んだことは明らかです。羽田空港の2度目の会見ではピンクのネクタイを外し、名前も正しく「かんせいがくいん」としていましたから、移動する機内で指摘されたのでしょう。2度とも内田監督は「全て私の責任」を繰り返すばかりで、何も重要な事は明らかにしていません。日本大学には広報部もあるはずですが、「一人で責任をとれ」と大学から突き放されたのでしょうか。あるいは自分が責任を取るといえば、騒動は収まると思って一人で対応しているのでしょうか。

日大アメフト部の監督である内田正人氏は、日大の常務理事でもあり、報道では大学の実質ナンバー2ということです。今回の騒動は、日大アメフト部のみならず、アメリカンフットボールというスポーツのイメージも日本大学という大学のイメージも同時に大きく毀損しかねないものです。既にマスコミにも大きく取り上げられ、世間の耳目を集める問題に発展している中で、大学としても最優先で対応しなければならない案件のはず。しかも驚くことに、日本大学には「危機管理学部」が設置されています。

危機管理学部」の教授陣は危機管理の専門家であるはずですし、5月12日の関学大の会見を受けて何かしらの行動(事実関係の確認、大学・アメフト部への問い合わせ、危機管理の専門家としての助言)に移っているはずです。少なくとも私なら、すぐに関係者にアプローチして「翌日の5月13日には何かしらの会見かコメントを発表する準備を」、と助言したはずです。しかし、その後の15日の回答書、19日の内田監督の会見ともに危機管理の専門家がサポートした形跡は見受けられません。自分達が所属する大学の危機に際して、何も動かなかったのでしょうか?

今日、タックルを受けた関学大の学生の父親が、警察に被害届けを出したそうです。これからは警察の捜査も始まることになります。
サイトの理事長あいさつでは「日本一教育力のある大学」を目指すという日本大学ですが、今回の対応の仕方次第では、その「教育力」自体にも疑問符が付きかねません。
日大には法学部も有り法律の専門家もたくさんいらっしゃいます。 今後、どのような展開になるかも普通に想定できるはずですから、学内の専門家を総動員して目の前に迫る危機に対処するのでしょう。ある意味、大学の総合力を検証されるような事態になりました。

24日の回答書の再提出、恐らくその提出後に開かれる会見に注目したいと思います。