2019年10月30日水曜日

九州北部豪雨で被災し、引っ越し先の千葉で台風被害に遭った従姉妹家族

2年前の7月、朝倉市杷木に暮らしていた従姉妹家族が九州北部豪雨で被災したことは、ちょうど2年ほど前にここでも触れました。
九州北部豪雨で被災した親族の見舞いに行って……

その従姉妹家族は今年3月、最後の落ち着き先にご主人の実家がある千葉へ引っ越しました。
 ところが引っ越して半年、やっと落ち着いたと思った頃に台風15号が千葉県を襲いました。台風は何度も経験し、おまけに九州北部豪雨で被災までしています。自然の猛威には敏感になっているので、それなりの備えはして台風を迎えています。幸いなことに屋根が吹き飛ばされたり車がひっくり返されたりといった大きな被害は無かったものの、それなりに家の周りは大変だったようです。

しかし、それから立て続けに19号、21号と台風がやってきて、21号の影響で活発化した秋雨前線は、再び千葉県に九州北部豪雨のような大雨 をもたらしました。はたしてその従姉妹の家は大丈夫だろうかと心配はしていたものの、前回の豪雨での被災時の話を聞いていたので、むやみに電話もできないなと思っていました。

そこへ昨夜、突然ご主人から電話が掛かってきました。
台風被害を報じるニュースを見、心配をした母は台風の度に電話をしていたようで、私も心配していたのではとかけてきてくれたのです。幸いなことに大きな被害は無かったということですが、今回も現場にいたからこそのなるほどという話が聞けました。

暴風に備えて雨戸を閉めていたら


台風15号では暴風による被害が甚大でした。そのため、台風19号、21号が近づいてきた時には家の各窓の雨戸という雨戸を全て閉め切って台風に備えたと言います。別な友人も雨戸が無い戸建ての窓に、スチロール?の緩衝材を窓という窓に養生テープで貼り付けた写真をFacebookにアップしていました。
ところが、台風21号がもたらしたのは暴風ではなく大雨。雨戸を閉め切っていたため外の様子が全くわからないまま一夜を過ごし、雨が治まって外に出ると…
大雨によって家の前の道路は川のように濁流が流れた形跡があり、いろんな物が流されていたと言います。従姉妹の家は道路から少しかさ上げした土地に建っているので家が浸水被害に遭うことはなかったものの、もしも近くの川が氾濫していたら、外の様子もわからないままに孤立していた可能性があったと言っていました。

「羮に懲りて膾を吹く」ではないですが、大きな災害の後はその記憶がより慎重な行動に走らせ、場合によってはそれが悪い結果を引き起こすことありえます。これからの自然災害に備えるためには、経験と五感、テレビやラジオ、ネットからの情報をフルに取り入れて臨機応変、的確な判断が生死を分けることにもなりそうです。




2019年10月16日水曜日

災害の度に話題になるハザードマップ、正しくチェックしていますか?

福岡市中央区の浸水ハザードマップ

台風19号では全国の広範囲で甚大な被害が出ています。特に大雨による河川の増水・氾濫による被害は大きく、10月16日時点で、全国55河川76カ所の堤防決壊が確認されています。山間の渓流や支流だけでなく、過去にも何度も氾濫をし、十分な対策を取ってきたと思われる千曲川や阿武隈川、多摩川などの一級河川でも今回被害が出ています。荒川が氾濫していれば首都機能も混乱して、災害復旧はもっと困難になっていたことでしょう。

台風19号が九州を直撃していれば…


福岡市では、1999年と2003年に大雨で御笠川が氾濫し、博多駅周辺が冠水して死者を出すなど大きな被害が出ました。当時の雨量は時間雨量で80mm~100mm、累計360mm程度でした。その後福岡市は河川の改良工事を進め、雨水を素早く排水するために排水溝を大型に改良するとともに、地上や地下に雨水を一時的に溜める施設を作るなど多くの対策を講じてきました。その甲斐あってか、昨年の大雨特別警報が出た際にもなんとか大きな被害を出さずに済んだようです。

今回の台風19号や近年各地で水害を引き起こす雨量は1時間100mmを越え、24時間雨量が1000mmを超えたところもあります。地球温暖化の影響で過去のデータが通用しなくなってきています。福岡市の水害対策は主に局地的な都市型の対策で、地表に落ちる雨を早く排出する、あるいは逃がす対応です。しかし、今回の台風19号のように広範囲で大雨が降ると、上流で降った大量の雨を受け入れた主要河川の水量のコントロールはできません。過去のデータをもとに「これなら大丈夫」という事が通用しなくなっているのです。台風19号が九州を縦断していれば、那珂川や御笠川、室見川などが氾濫していてもおかしくありません。

ハザードマップをチェックすると!?


台風19号の水害でも、過去では鬼怒川の堤防決壊や九州北部豪雨・西日本豪雨などの大雨による水害や土砂崩れなどで大きな被害が出ると必ず引き合いに出されるのが「ハザードマップ」です。災害が発生した場所は、いずれもハザードマップで危険性を指摘されていた場所だからです。
今回千曲川の氾濫で被害に遭った長野市の新幹線車両基地も、ハザードマップでは10m上の浸水が予想されるとなっていた場所だそうです。

みなさんはハザードマップで自分の住んでいる場所や職場周辺の危険度を正しくチェックしていますか?例として福岡市周辺のハザードマップをチェックしてみましょう。

まず、福岡市の場合は、市のウェブサイトからダウンロードできる「福岡市浸水ハザードマップ」があります。「区」別に用意されたpdfから中央区を開くと、事務所がある今泉近辺は浸水時に1m~2mに達すると想定されるピンク色に塗られています。
この前提は、「那珂川が、おおむね100年に1回程度起こる大雨(24時間総雨量328mm)によりはん濫した場合および樋井川が、おおむね70年に1回程度起こる大雨(12時間総雨量256mm)により、はん濫した場合想定される浸水」とあります。台風19号が直撃していればこの想定雨量を大きく上回ったでしょう。
福岡市博多区の浸水ハザードマップ
福岡県の御笠川水系洪水浸水想定区域図

















もう一つ福岡県が公開しているハザードマップがあります。
福岡県管理河川の洪水浸水想定区域図について
こちらは行政区別ではなく水系別です。福岡市の博多区を中心に流れる御笠川水系のハザードマップを見ると、浸水予想地域は福岡市のそれとは随分違います。それもそのはず、前提となる降水量が市のそれとはかけ離れています。市の想定は24時間総雨量が御笠川325mm、那珂川328mm、多々良川水系339mmにより氾濫としています。対して県の想定では流域全域に24時間で966mmと市の3倍の降雨量が設定されています。台風19号の豪雨はまさにこの降雨量でしょう。
県のサイトには「想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域の公表」とあります。しかし、この勢いで大雨が続くと今後「想定最大規模降雨」は更に引き上げられる可能性があります。

市のハザードマップだけチェックして安心していると、実は県や他のハザードマップでは浸水地域になっていたと言うことは十分にありえます。何事もその前提や条件を必ず確認することです。水害始め自然災害の備えだけでなく、これから工場建設用地を取得したり社屋を建設するような際には、一つの情報に偏ることなく、複数の情報源から正しい情報を集めて最適な場所を選び、災害にも備えたいものです。

台風19号を機にBCPの見直しを

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年10月13日日曜日

台風19号を機にBCPの見直しを

氾濫をなんとか免れた荒川。河川敷のグラウンドやサイクリングロードは水没

史上最大の台風とも言われた台風19号は、日本の広い範囲で大きな被害をもたらしました。記録的な大雨によって千曲川を始め多くの川で堤防が決壊したり氾濫、越水と水害による被害が目立ちます。
また、広範囲に停電も発生し、1カ月前の台風15号直撃で房総半島全域にわたる大規模停電が長期にわたった事を考えると、経済活動が本格的に再開する連休明けまでに全て復旧するか心配です。

台風は強く大型になる一方


昨年関西に大きな被害を与えた21号、先月の15号、そして今回の19号と地球温暖化の現れと思われる日本近海の海面温度の上昇で、台風が強く大きな勢力を保ったまま日本を襲うようになってきました。
台風だけでなく、ここ数年毎年発生する大雨による大水害。昨年、西日本に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨(西日本豪雨)では、福岡も大雨特別警報(警戒レベル5相当)が発表され、携帯(スマホ)に緊急メールが次々に届き緊張したことを思い出します。那珂川、室見川、御笠川などは氾濫寸前、久留米市は広い範囲で冠水被害に遭いました。
これからも、台風や大雨など自然災害は想定されることです。

BCP最後に見直したのはいつ?


ビジネスでは様々なリスクを想定して準備しなければなりません。2011年の東日本大震災の後に、多くの企業が取り組んだのがBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)の策定です。自然災害や火災、テロ行為など緊急事態が発生した際に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ事業の継続・早期復旧を可能とするための計画を策定しマニュアル化しました。そのときに作成されたBCPでは、自然災害による緊急事態は地震を想定したものが多かったはずです。

本来はBCPも定期的(できれば毎年)な見直しが必要ですが、一旦策定すると安心してそれ以来見直しをしていないという企業も多いと思います。 地震や雨、風による直接被害だけでなく、長期間の停電や通信不通なども想定しなければなりません。交通インフラ・物流の寸断による影響もあります。今回の千曲川の決壊では、北陸新幹線の車両基地が水没し多くの新幹線車両が窓の直下まで水に浸かっている状況も映し出されています。こうなると、明日以降の運行に影響が出ないということはないはずです。

これを機にCPの策定も


さらに、昨年からは公共交通機関で計画運休が広がりました。災害が発生する前から人や物の動きが制限されたり止まったりと、影響を受けます。このような通信や交通インフラ が止まったときの想定はしているでしょうか?
何も的確な手を打たず、指示も出さずに放っておくと重大な危機を招きかねない事象も多く存在します。従業員が業務中に交通事故を起こした、発注した部品が届かない、食中毒を出してしまった、個人情報を漏洩してしまった、店舗に車が突っ込んできた、社長が突然倒れた…

そのような、事業運営上想定できる危機に際して、事前に対応手順をまとめたものがCP(Contingency plan 緊急時対応計画)です。BCPはめったに起きない事態が発生した後の長期的な対応を想定した計画になりますが、CPは日常起こりうる危機に対して瞬発力が求められる準備です。実際の企業運営にはBCPよりもCPの方が実用的で重要とも言えます。

台風19号の被害報道をきっかけに、今一度自社のBCPの見直しをしましょう。 BCP・CPの策定がまだでしたら、これを機に取り組んでみてはいかがでしょう。
もちろん、お声かけいただければお手伝いさせていただきます。

災害の度に話題になるハザードマップ、正しくチェックしていますか?

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年10月10日木曜日

ノーベル賞受賞、心に染みた吉野さんの一言

10月1日の消費税増税対応や、そのタイミングに合わせて実施された価格改定や新商品発売など、さまざまな事象に対応していてあっという間の9月~10月の月の変わり目でした。

そんな慌ただしい毎日が落ち着いた昨日、そろそろ関電の毒饅頭受け取り謝罪会見についてまとめようかと思っているところに嬉しいニュースが飛び込んできました。旭化成の吉野彰名誉フェローに、ノーベル化学賞の受賞が決定したというニュースです。
近年、私たちの生活を劇的に変えたリチウムイオン電池の開発での受賞。私自身、携帯電話3台(うちスマホ2台)、携帯Wifiルーター、ノートPC、予備の充電用バッテリーと、日常的に6つのリチウムイオンバッテリーを持ち歩いていることになります。
今や、青色LED(同じく中村修二氏がノーベル賞を受賞)とリチウムイオン電池は生活の中に浸透して、なくてはならないものになっています。このような、普通に生活している市井の人々に身近な物の開発でノーベル賞を受賞されると、ノーベル賞自体も身近に感じてしまいます。

吉野さんは旭化成の社員として研究を続け、定年後の現在もフェローとして研究を続けていらっしゃるようです。肩書きも教えていらっしゃる大学の名前ではなく、旭化成名誉フェロー、受賞の会見時も背景に旭化成のパネルが設置されていました。
2002年にノーベル賞を受賞された島津製作所の田中耕一さんも、今はシニアフェローとして島津製作所で研究を続けていらっしゃるようです。
田中さんや吉野さんのように、企業で研究を続けた結果としてノーベル賞を受賞すると、その所属企業にも注目が集まりますし、そこで働いている従業員にとっても栄誉として受け止められ、仕事をする上でのモチベーションにも繋がることでしょう。

日本経済新聞では
出社後に開かれたセレモニーでは、約300人収容のカフェテリアが大勢の社員で埋まった。盛大な拍手で出迎えられた吉野さんは、大きな花束を受け取ると「皆様の子どもさんが『お父さんの会社ってすごいね』などと喜んでくれるのが一番うれしい」と話した。受賞決定の連絡は9日午後6時15分ごろだったと明かし、電話を受けた際は「ドッキリカメラかと思った」など振り返り、会場を沸かせた。
 とありました。

ブライト・ウェイの企業案内でも、コンサルティングの目標に「子ども達に自慢できる社会や企業にすること、子ども達と真正面から向き合える社会や企業になることをみなさんと一緒に考え、行動します」と入れていますが、まさに吉野さんの言葉はそれでした。

ノーベル賞受賞者が出なくても「お父さんの会社は凄いね」とこども達に喜んでもらえる会社を一緒に目指しましょう。