2014年12月26日金曜日

2014年の謝罪会見を振り返り

今年も残りわずかとなり、一年を振り返る時期となりました。

今年も多くの企業不祥事などで謝罪会見が行われましたが、やはり記憶に残るのはベネッセコーポレーション(以下ベネッセ)とマクドナルドでしょうか。
どちらも、会見の直接の原因を作ったのは社外の人間や取引先でした。ベネッセは個人情報の管理をしていた関連会社に派遣されていた派遣社員が、換金目的で大量に個人情報を持ち出し、名簿業者に売り渡していました。
マクドナルドは、チキンナゲットの製造を委託している上海の企業の作業現場で横行していた不適切な行為(消費期限切れの鶏肉使用や床に落ちた肉を平気で原料に戻すなど)が発覚し、その様子がテレビの画面でも度々流されたものです。

いずれも会見ではTOP自らが謝罪したところまでは良かったのですが、自分達は被害者(でもある)とのニュアンスを残しながらの謝罪(特にマクドナルドは明確に被害者だと発言)だったために、顧客や消費者、マスメディアには反省していないと受け取られました。その結果、謝罪会見後も両社を責める空気は弱まらず、業績も低迷したままです。

どちらも大きな会社で、きちんとした広報部門を抱えています。それなりに経験も知識もスタッフのスキルもあったはずです。しかし、会見ではそれが活かされた様子はありません。TOPが広報の助言を無視あるいは事前に確認をせずに独断で発言した事によるものでしょう。
ベネッセの原田社長はマスコミ慣れしているが為に、自ら墓穴を掘った感もあります。マクドナルドのカサノバ社長は、アメリカ流に中国の会社との訴訟を前提とした「騙された、自分達が被害者」発言が口をついて出たのでしょう。
きちんと広報担当者と事前打ち合わせをしていれば、被害者・消費者に対しての基本スタンスを明確にし、言ってはならないことも確認できていたはずです。

謝罪会見においては、被害者・消費者に対して自社が加害者であるという立場を意識した上で臨まなければなりません。少しでも責任回避の発言・態度が顔を覗かせると、「ほらやっぱり、口では謝罪しているけど本心は違うじゃない」となってしまいます。何処に原因があろうと、消費者やユーザーにとっては最終提供者が加害者であることは間違いないのです。

一方でまったく逆のケースが年末に向けて話題となっています。
自動車部品メーカーのタカタが、エアバッグのリコールを巡ってアメリカや日本で非難されています。これは、自動車という最終商品の一部品の不具合を、誰が加害者として責任を持つかということの問題でもあります。部品メーカーが独断で最終商品であるクルマのリコールを決定して良いのかということです。リコールとなれば、クルマの所有者は自動車メーカー(ディーラー)へ持ち込み、エアバッグの交換をする事になります。当然メーカー(ディーラー)には予定外の負担が発生します。原因も特定されていない段階で、部品納入メーカーがそんなことをして許されるのかという関係性の問題でもあります。
そこで、トヨタがこの問題を自動車メーカー全体のこととして取り組むよう各社に呼びかけ、HONDAを始め「検査リコール」という形で消費者の不安を取り除こうと動き始めました。

あらゆる物がグローバルに流通し販売される時代となり、ブランドを守り発展させるためにはこれまでより視点の高い現場目線と経営判断が必要になったことを、改めて印象づけた年だったと言えます。

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