2016年7月24日日曜日

深読みしすぎた石田純一の立候補騒動を振り返る

都知事選告示前に急に開いた7月8日の会見。そのニュースを聞いて、石田純一って、本当はものすごく頭が良いのか、機を見て敏だと感心をしました。

最近は,タレント・有名人の会見と言えば不倫や麻薬絡みばかりだったので、その中での有名タレントの緊急記者会見、しかも都知事選に立候補か?となれば俄然注目度は上がります。
どう逆立ちしたって当選の可能性は低いということは、本人もわかっているはずです。むしろ、「市民団体から立候補を勧められているという噂」に乗じてセルフプロモーションの場として都知事選を利用しているのだと思いました。
タレントさんは政治や宗教の話しはタブーとされているので、あまり政治や政策の批判は表だってしません。しかし、「都知事選に出るのでは?という噂」に対して会見するのであれば、言うこともできるでしょう。国会前でメガホンを持って主張したような過激な姿ではなく、記者からの質問に答える形で改めて政治へのスタンスなどを話すことができます。
このときの会見では、「そんな有り難い声(市民団体からの推薦)はあるけれど、現状では立候補など考えられない。仮に野党統一候補として推してくれるのならば考えなくもない(ニヤリ)」程度の冗談交じりの言い方をして、野党の結束を訴えたのだろう、と思っていました。
タレントさんはテレビやCM、イベントの出演が主な仕事です。出馬の意思表示をしたら事前運動に当たる行動は制限され(公選法違反に なる)ます。テレビ局なども、候補者に平等な扱いをしないとならないので、出演依頼を見合わせることになります。それを前提で、明確な出馬の意思表示はしない会見をしたと思っていました。
 

計算されたマーケティングに、メディアが乗せられている(むしろ乗った?)と考えました。

しかし、その週末に各局のニュースに流れる会見を見ると、明確な出馬宣言ではないものの、「野党統一候補であるならば、ぜひ、出させていただきたい」と出馬に前向きな発言をしていました。しかもかなりまじめな表情で。こういうところは切り取られたニュースや新聞の文字からでは伝わってきません。

そして、2度目の都知事選不出馬会見をニュースで見てさらに驚きました。
野党統一候補の声など掛かるはずもなく、不出馬の会見。すっかり落ち込んだ様子で。本気で知事を目指そうという気があったのだと。

最初の会見をもう少し戦略的に組み立てていれば……
不出馬の会見も(心の中ではどうであれ)笑顔で「ほらね、どこも僕のことを推薦なんてするわけないでしょう、ワッハッハ」で終われたでしょうに。更に言えば、「きっと密かに、僕に変わる統一候補の擁立準備が進んでいるんだと思いますよ」と付け加えれば完璧でした。

8日に会見したときはやるな~と思ったんだけど、僕の考えすぎでした。

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2016年7月22日金曜日

「G20子どもの豊かさランキング2016」 日本3位の違和感

本日、国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが、「G20諸国の子どもの生活実態に関する比較調査の報告書」を発表しました。G20に国として参加している19 ヶ国の子どもの豊かさを、8つの分野ごとに比較し、総合的に評価する「G20 子どもの豊かさランキグ(Child Prosperity Index)」です。日本は総合3位という結果となっています。


評価指標は、
1)保健(出生時の平均余命、子どもの死亡率、子どもの肥満率)
2)教育(就学年数、OECD学習到達度調査(PISA))
3)所得(国民一人あたりのGDP、所得分配の不平等度(ジニ係数))
4)安全(人口10万人あたりの殺人発生件数、人口10万人あたりの交通事故死者数)
5)雇用(若者の失業率、世界奴隷指数)
6)ジェンダー平等(UNDPジェンダー不平等指数)
7)インフラ(電力供給の安定性、安全な飲み水と衛生施設の利用)
8)環境(自然保護区の割合、大気汚染、国民一人あたりのCO2排出量)
の8項目ですが、子どもの豊かさというよりも、子どもをとりまく・育てる環境整備についての評価とも言えます。
ニュースリリースによりますと、8つの指標のうち保健の分野で1位、雇用の分野で2位、安全の分野で3位という結果。一方、環境の分野では自然保護区の割合が低いことや、国民一人あたりのCO2排出量が比較的多いことから平均以下の11位、所得については8位、ジェンダー平等は7位とふるいませんでした。

OECD資料より、みずほ総合研究所作成 「日本の格差に関する現状」2015.8.28 より 
所得についてはジニ係数が高いことが以前より指摘されていましたし、ジェンダーの平等に関しても言わずもがなの状況です。しかし、国民一人当たりのCO2 排出量が比較的多いというのは、意外かもしれません。既にヨーロッパ諸国では自然エネルギーによる発電が主流になりつつあり、原発問題に振り回されて自然 エネルギー利用に舵を切りきれない日本は、いつの間にか先進国の中では遅れを取ってしまいました。 


子どもの貧困率とのギャップ


日本の子どもの貧困率は6人に一人。OECD加盟国の中では下から10番目に悪い状況です。この貧困率と今回の子どもの豊かさランキングとのギャップはなんでしょう。一方は貧困、一方は豊かさ。子どもの貧困で下から10位、ジニ係数でも下から9位なのに、豊かさでは上から3位。
相対的貧困率の国際比較2010 内閣府発表資料より
現実には、子育てを担う若い家族の雇用・就業問題が影を落としています。バブル崩壊後に社会に出た現役の子育て世代は、正規雇用率が低く、所得は横ばいのままです。特に、一人親世帯の貧困率は50%を超えています。
国としては安全で義務教育や国民皆保険など制度としては整備されています。しかし、その整備された制度も、そろそろ財源不足からほころびが見え始めました。富の再配分としての税金のあり方と使い道について、根本的に見直す必要がありそうです。
まるで過去に向かってお金をばらまくような税金の使い方は、もう終わりにしなければなりません。

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2016年7月6日水曜日

東京都知事選 14歳以下の子を持つ有権者数約200万人は、舛添氏の得票数に匹敵

舛添さんの辞任に伴い、来週告示となる東京都知事選。
既に立候補を表明した小池元防衛大臣他、数名が名乗りを上げていますが、主要政党はどの党も候補者を絞り込めずにいます。
過去2回の都知事選は、東京オリンピックへ向けた対応が主な争点でした。しかし、そうして選ばれた2人の知事が相次いで辞任に追い込まれ、東京オリンピック自体でも国立競技場やロゴマークなど次々と問題が浮上してきます。このまま次の知事選も、オリンピックの対応が各候補の主要な公約に登場するのでしょうか?

保育園問題は参院選よりも、より切迫


東京都の予算規模は特別会計や公営企業会計まで含めると約14兆円。オーストラリアやスウェーデンなどの国家予算に匹敵する財政規模です。今回の選挙ではこの巨額の予算の使い道が問われるといっても良いでしょう。参院選でも、子育て支援策が争点になる一方、財源が問題になります。しかし、東京都の待機児童問題は待ったなしです(実際の保育所設置は各区市町村が当事者となりますが)。

平成28年1月1日時点の住民基本台帳ベースでは、東京都の人口は12,966,307人。うち、14歳以下の子どもは1,535,808人。一方、65歳以上の高齢者は2,978,895人です。
前回の2014年都知事選では、 有権者約1069万に対して投票率は46.14%、投票数は493万人でした。舛添前知事は、得票率43.4%、得票数約211万票で当選しています。しかし、その前の2012年選挙では投票率は62.6%あり、猪瀬さんは得票率65.27%で約434万票で当選でした。
2012年は石原都政継承(オリンピック推進派)と反対派の争いで投票率も伸びたものの、東京オリンピック決定後の後継選挙では大した争点もなく、投票率は伸びなかったのでしょう。
不破雷蔵氏のガベ-ジニュースより 
http://www.garbagenews.net/archives/2173255.html

ネットで都知事選のことをあれこれ調べていたら、不破雷蔵さんのガベージニュースにこんなグラフを見つけました。
2012年と2014年の都知事選での世代別投票率の推移です。これで見ると、子育て世代である30代の減少率は他の年代よりも低いことがわかります。それだけ政治に関心が高いのです。深刻なのです。

150万人の子どもがいると、ほぼ200万人ほどの父母・養育者がいることになります。約300万人の高齢者に対して、約200万人の子育て当事者。
東京都の女性の有業率は50%で、都道府県別で見ると下から8番目の低さです。「保育園落ちた、日本死ね!!!」ではないですが、働きたくても働けない多くの女性(加えてその家族)が不満を抱えていることでしょう。
だから、他の年代よりも政治に関心を持ち、1票を大事にしようと思っているはずです。【こそだて】アンケートでは、子育て世代の86%は参院選の投票に行くと回答しています。都知事選でももし実際に同様の投票行動を取れば、170万人以上が投票することになります(実際には、未就学児の家庭と中学生の家庭ではまた背景も投票行動パターンも違うでしょうが)。

いずれにしても、約200万人の子育て当事者の多くは、次期都知事候補がどのような公約を掲げて立候補するか、固唾を呑んで見守っているはずです。