2015年5月8日金曜日

少子化対策と同時に晩産化をくい止めないと、人口減少スピードは加速する


5月5日はこどもの日、そしてこの週末の10日は母の日。こどもの日と母の日がこんなに近いと、お父さんは家族サービスで大変でしょうか?
母の日レポート2015 フルレポート(英語)より
さて、こどもの日には新聞各紙の社説では子育てを取り上げていました。そして、5月7日にはセーブ・ザ・チルドレンが「母の日レポート2015」を発表しています。「お母さんにやさしい国ランキング (母親指標:Mother’s Index)」の1位は今年もノルウェー、日本は昨年と同位の32位でした。
日本の報道では、日本がどうして32位なのかと言うことに話題が集中していますが、このレポートの主題はそこではありません。日本語版リリースは、以下の文章で締められています。

下位の国々の母親と子どもの状況は深刻で、平均して30人に一人の女性が妊娠に伴う原因で死亡し、8人に一人の子どもが5歳の誕生日を迎える前に亡くなっています。「お母さんにやさしい国ランキング(母親指標)」用に収集したデータは、豊かな国と貧しい国の間の途方もない格差と、母親と子どもの健康と福利の向上を加速させる喫緊のニーズを示しています。さらに、これらのデータは、武力紛争とガバナンスの欠落がこれら悲劇の要因となることを表しています。最下位11か国中、9カ国が紛争の影響を受けた、または脆弱国とされる国々で、国民の基礎的なニーズを満たすために必要な機能が根本的に破たんしていることを示しています。

人口が都市部に集中し、格差が拡大している中、日本についても以下の指摘がなされています。

グローバルな視点から見る日本の格差の現状
東京は乳児死亡率が世界でも最も低い都市の一つですが、日本では職業による保健格差があることが改めて分かりました。例えば、乳児死亡率が最も高い無収入世帯は、国家公務員や企業の上級管理職などの高所得世帯より、子どもが1歳未満で亡くなる可能性が7.5倍になります。(1,000人当たり10.5人対 1.4人)


今年のレポートの主題は、様々な格差の指摘とその格差による不幸から子どもを守るための提言でした。

5歳進んだ晩産化で、500万人の子どもが減った!


こどもの日の社説や母の日レポートを見ながら、色々と思いを巡らせているうちにふとあることに気がつきました。晩婚・晩産化による出生数への影響です。
厚生労働省のデータによると、30年前の1985年(昭和60年)の平均初婚年齢は男性28.2歳、女性25.5歳です。2013年は男性30.9歳、女性29.3歳となっています。女性は約4歳遅くなっています。30年前なら子作りが順調(?)に進めば、子ども2人(人口維持に必用な合計特殊出生率が2.07人)を産んで、平均出産年齢は28歳というところでしょうか。
平成25年人口動態統計 母の年齢(5歳階級)・出生順位別にみた出生数より  
ところが、今は平均初産年齢が30歳を越えてしまいました。子ども2人を持つ平均年齢は33~34歳でしょう。厚生労働省の人口動態統計の「母の年齢別出生数」の推移を見ても明らかです。実際、当社が運営する【こそだて】のアンケートを見ても、ユーザーの中心年齢は2000年では29歳前後だったのに現在は33~35歳と約5歳上がっています。
昭和60年の出生数は 1,576,889人、合計特殊出生率は1.76 平成25年の出生数は 1,029,816人、合計特殊出生率は1.43)

日本ではここ数年の子どもの出生数は約100万人です(今年、100万人を下まわる可能性もあります)。母親の数が同じで合計特殊出生率が仮にずっと同じであれば、毎年100万人の子どもが生まれることになります。これは平均出産年齢が28歳でも33歳でも同じですが、28歳から33歳に移行する間にギャップが生まれます。


極端にわかりやすい例を考えてみます。
今年まで女性は28歳で子どもを産んでいたとします。ところが来年からは33歳まで産まなくなるとすると、今年27歳以下の女性が33歳になるまで5年間は子どもが産まれないことになります。実際には晩産化は徐々に進行していますので、このような出生0という年は存在しませんが、5歳の晩産化はこの30年で見ると5年間500万人分の出生が消えたことと同じです(実際には先送り)。
別な見方で、100年間の新陳代謝をみてみましょう。
仮に、25歳(計算しやすい数字としました)で出産するサイクルであれば100年で4世代となります。これが33歳で出産となると同じ100年で3世代です。
総人口は変わらなくても、新陳代謝のスピードは遅くなります。

今後ますます晩婚・晩産化が進むと、出産に適した年齢から外れていき、子どもを望んでも母胎が出産そのものに耐えられないことにもなってしまいます。
子育てを支援するだけでなく、世の中が早い出産を促すようにならなければ、人口減少はさらに加速するのではないでしょうか。

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