就業規則の制定と見直しでも触れましたが、近年ハラスメントの防止については法整備が進み、セクハラ・パワハラ・マタハラ・パタハラなど職場のハラスメントについては厳しく対処するよう求めています。
「ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」のページ |
社会的な役割に性による差を付けない
パワハラは上司や先輩だけでなく、取引関係でもその優越的な立場を背景とする強要や言動も該当します。どんなことがパワハラになるのかは、ここで細かく書く必要も無いでしょう。テレビ東京系列のドラマBizで昨年放送された「ハラスメントゲーム」では、様々なハラスメントを取り上げていました。Paraviでは今でも見ることができます。
ドラマを見るまでもなくどんなことがハラスメントに当てはまるかはだいたい理解できているつもりだと思います。しかし、実際にはどこまでいっても「つもり」であり、日常的にハラスメント行為を行っていることは少なくないのです。#Metoo運動のような分かり易いパワハラ・セクハラ被害もありますが、ジェンダーに関する言動については無意識に、あるいは気付かずに過ちを犯し、時として大きな問題になります。
無意識の「男は、女はこうあるべきだ」という言動が今ではハラスメントとして責められるのです。皆さんの会社では、「職場のお茶くみは女性の役割」だという暗黙の了解はできあがっていませんか?日本においては「性差による役割の固定化」がなかなか解消されません。国会議員や企業の経営ボードでの女性比率が上がらないのもこの意識が変わらないからだと言われています。
小泉進次郎大臣が育休を取得すると宣言して大騒ぎになりましたが、これが良い例です。年配の政治家は、国会議員は雇用関係ではないから育休はけしからんという言い方をしますが、そもそも「子育ては母親(女)がするものだ」という前提で発言していることを若い世代は見抜いています。
就業規則の制定と見直しでも書いていますが、ハラスメントについては、それらの言動を行った者について厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知する必要があります(均等法第11条)。
少数派を排除しない
今はLGBTに対する理解も広まり、高校の制服では女子がスカートだけでなくパンツも選べ、男性がスカートを選ぶことを認めるところも出てきました。アンケートの回答欄で性別の所に男性・女性だけでなく「選ばない」「回答しない」などの選択肢を入れることも増えています。少数派を排除しないというのが基本です。
誰もが知る大手企業が作成したネット配信動画CMでも度々炎上しています。視聴者が「男だから」「女だから」こうあるべきだ、という押しつけや役割意識を動画の中に読み取ってしまうと、あっという間にSNSで吊し上げられ炎上となってしまう時代です。
今時「男が化粧するなんて」という発言などしようものなら総スカンです。今やデート代は男が支払うものという事もありません。
女性を戦力として活用するためにはジェンダーについて正しく理解し、 ジェンダー視点を持った経営を心がけることが令和の経営者の常識となるはずです。
中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)