新年早々、週間文春が、タレントのベッキーと人気バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル川谷絵音(かわたにえのん)と熱愛中であることをスクープして大きな話題になりました。そして、ベッキーだけが文春発売日の1月6日に記者会見を行いました。
ベッキーが記者会見を開くと報道されたときには、さすが歴史もあり、これまでも所属タレントが様々に問題を起こしたサンミュージック、今回は対応が早い!と感心したものです。しかし、蓋を開けてみると、この会見が火に油を注ぐ結果となってしまいました。
そして今週、悲願の甲子園出場を果たした滋賀県代表の滋賀学園高校の激励会の直後、バスに乗り込もうとしていた球児に「
1回戦で負けてしまえ」と怒声を浴びせたことが発覚した吉田精一県会議員。
激励会は3月16日で、発覚・報道されたのは30日。そして、こちらも31日に急遽記者会見を開きました。多くの報道陣が集まる中開かれた記者会見で、「誤解を受けたとしたら残念だが、謝罪はしない」と言い放って会場を後にしています。
2つに共通する失敗する会見のパターン
ベッキーも吉田県議も、会見を開いた事が疑惑を晴らすことにはなりませんでした。どちらもむしろマイナスの印象を強くしています(ベッキーはその後週間文春の第2弾報道があり、ますます追い詰められました)。 この2つは、失敗するパターンの見本のような会見でしたので、ケーススタディとして整理してみたいと思います。
失敗パターンその1-質問を受けずに会見を打ち切り、立ち去る
この2つの会見は、謝罪会見と言うよりも疑惑否定会見です。会見場に集まった記者は、疑惑について肯定するにしても否定するにしても、その会見内容について納得のいくまで説明を受けようという気持ちでいます。読者や視聴者に真実を伝えるためにそこに来ています。会見をする側からすれば、ファンや有権者・生活者に自分の代わりにマスメディアを使って伝えたいことを伝えてくれる有り難い存在のはずです。しかし、最初から最後まで一方通行で、質問は一切受け付けませんでした。
橋下徹元大阪市長は、質問が尽きるまで何時間でも質疑に応じていました。そのような姿勢がメディアを味方に付けます。
失敗パターンその2- 明確な反証が示せず言い訳に終始
”友達です””『そんなことでは1回戦で負けるぞ』と運転手に言った”と言われても、それを信じるに足る根拠もなければ周囲の状況とも矛盾します。駐車違反(実はしていない)したドライバーに向かって『そんなことでは1回戦で負けるぞ』などという意味がわかりません。ドライバーが試合に出る訳でもなく、試合の勝敗に関わるわけではないのですから。
どちらも、テレビで会見を見た視聴者は、苦しい言い訳、「嘘を言っている」と確信したことでしょう。
失敗パターンその3-準備不足
素早く会見を開くことは重要です。しかし、どちらも会見を開くことが目的になってしまっていました。タレントさんや議員さんは人前で話す機会が多く、むしろ人前で話すことが仕事のような職業です。それだけになんとかなると高をくくって入念な準備を怠ったのでしょう。
新製品やドラマの発表会見同様に、謝罪や釈明会見でも十分な準備が必要です。そのためには、一人で完結させようとしないことです。
全ては想像力の欠如が原因
人間は感情の生き物ですから、抑えられない発言や行動もあるでしょう。その発言や行動が、後にどのようなことになるか冷静に考えられれば問題は起こらないのですが、こういう感情の発露は冷静に準備する(抑える)ことが難しいのも事実。
だからこそ、起こしてしまった過ちの釈明をする、謝罪をする時には冷静にあらゆる事を想定しながら準備しなければなりません。短時間にどれだけ想像力を働かせることができるか、想像したケースに対応する解決策・答えを準備できるかにかかってきます。これは一人では無理です。
例えれば、人を宇宙に送るくらいに想像力を働かせ、あらゆるケースを拾い出して対応策を準備しなければなりません。そうしないと、小さなほころびから大事故(会見の失敗)へとつながるのです。
下手な会見をするくらいなら、FAX1枚で済ませた方がよっぽど良かったということになりかねません。FAXだと、自分で文字にして何度も読み返すので、ある程度いろんな事を想定し、時間をかけて書き直せます。受け取った方は勝手にいろいろと想像しながら解釈してくれます。
乙武さんは、会見はせず、文章での謝罪を選んだのです。
ブライト・ウェイへのご相談はこちらから。