2018年6月30日土曜日

ゴルフ片山晋呉プロの記者会見から、プロスポーツとファンの関係を考える

ゴルフの片山晋呉プロが、プロアマ戦で一緒にまわったお客様に不愉快な思いをさせた問題で、6月27日に記者会見を開きました。

問題発生から十分な時間をかけ、調査委員会による事実確認や規約との整合性などを詳細に明らかにし、処分と改善策まで明確にした会見でした。日大アメフト部の加害学生の会見と同様に、弁護士(テレビでもお馴染みの野村修也氏)が事実関係を詳細に説明する場面や、記者から今回の告発をしたA氏について質問が及んだ際の対応(誰にとか、どう感じたかというのは問題ではなく、片山プロの行為自体に問題があったとして質問自体に問題を提起)など、重なることが多く見られました。謝罪会見としてはよく準備され、丁寧な対応をしたこと、またワイドショーのメイン視聴者である中高年主婦の関心から外れていた(男子ゴルフに興味が無い)ことで、その後ほとんど話題になりませんでした。

一方でこの会見は、プロスポーツのあり方について改めて考えさせられる会見でした。プロスポーツの選手・アスリートの報酬の原資はどこからくるのか?と言うことです。

プロスポーツは誰のために?


第二次世界大戦後、日本は娯楽に飢えていました。戦後の復興・高度経済成長期には映画や演劇などの劇場娯楽が中心でしたが、テレビが徐々に普及して行きます。そのテレビを通して映し出されるプロレスやプロ野球中継は、街頭テレビや銭湯の脱衣所、各家庭で一番の興味関心事となりました。日本のプロスポーツの隆盛の始まりは、競技場という劇場の興業が、テレビというメディアに場を移してからとも言えます。当時のテレビは録画放送はない(できない)ので、まさに日本中がライブで時間を共有していました。
視聴者・ファンにとって、スター選手はテレビや雑誌を通して見る姿が全て。今みたいに写真週刊誌も無ければSNSもなく、メディアに出る選手の姿は試合のライブ放映以外では、雑誌や週刊誌の記事。それは設定されたインタビューか、憧れ持ち上げる記事が中心の時代です。テレビや映画のスクリーンで見る有名人は、トイレにも行かない(はずはないのですが)普通の人とは違う存在でした。
 
それだけに、かつてのプロスポーツ選手には、わがままや奇行が言われる人も多くいました。プロレスでは、ヒール・悪役や覆面レスラーは日常でもそういうキャラクターを演じなければなりませんでした。プロ野球では、球団毎のカラーもありました。紳士の巨人軍と野武士軍団の西鉄ライオンズというように。

昭和の時代、プロの世界で生き残るには、実力と結果(成績)が全て。極論すればプロ野球選手の興味関心は自分の成績だけ。打率やホームラン数、勝ち星など、より良い個人成績を上げて、翌年の年俸をいかに上げるか。プロゴルファーも、上位入賞して賞金を獲得することが何よりも大事でした。
プロ野球やゴルフツアーにスポンサーとなる企業は、人気プロスポーツを本業の宣伝の道具として価値を認めています。新聞の拡販や認知度向上による売上拡大など、本業の業績が上がることを前提に選手への報酬や賞金を拠出していました。

時代が変わった


21世紀に入り、プロスポーツも多様になり、観戦する側は選択肢が広がりました。野球やサッカー、テニス、ラグビー、相撲や陸上などのメジャーなスポーツから、モータースポーツや今ではeスポーツまであります。それぞれのスポーツが、いやスポーツだけでなく、他のショービジネスやエンタテインメントとでファンの争奪戦を繰り広げている状況です。現在のプロスポーツのスポンサーの比重は企業からファンに移りつつあります。同時に強いチームだけが人気がある、集客できる時代ではなくなりました。
プロ野球の球団経営は、親会社からの安定的なサポートをあてにできなくなりつつあります。単独でも収益を上げて行かなければなりません。多くのファンを獲得し、主催試合には多くの来場者を呼び込み入場料収入を上げ、沢山のグッズを購入して貰う。人気球団になればテレビやラジオの放映権も高く売れます。そのためには多くのファンを獲得できる、愛される球団、選手、アスリートでなければなりません。

プロ野球でファンに目を向け始めたのは、Jリーグの発足によるサッカー人気の盛り上がりでした。テレビやラジオではプロ野球よりもJリーグ中継の視聴率が上がり、放送の枠もサッカーに切り換えられ、球団の収入も減っていきます。福岡ダイエーホークスでは、1993年の福岡ドーム開業による人気が一服し、Jリーグ人気と共に来場者が減り始めます。その状況に危機感を持ち、いち早くファンに目を向けたのが当時のオーナー代行、中内正さんでした。
大型スクリーンを活用したファンサービスや勝利の花火など、来場したファンを楽しませるための工夫を次々と取り入れました。ファンクラブのサービスも、当時12球団で随一と言われました。一方、当時の選手の意識にはばらつきが大きく、全員がファンに向いているとは言えない状況でした。ファンサービスに対する球団の対応も当初は消極的で、ホークスファンクラブの責任者をしていた私は、当時の球団代表と度々衝突していました。選手がファンサービスに積極的となったきっかけの一つは、選手一人一人にスポットを当てる「Mr.Hawks」キャンペーン(これを機に選手の意識が大きく変わったのですが、永くなるので詳細は別の機会に改めさせていただきます)。この後は市民球団ホークスとして、市民・ファンと一体となった球団は万年BクラスからAクラスに、さらには日本一を奪取。そして今では常に優勝争いをする常勝軍団となりました。
ホークスが強くなった理由の一つは、いち早くファンに目を向けたことだと思っています。


話を片山プロに戻しましょう。
今回のトラブルの原因は野村氏が指摘し、片山プロも会見で自ら認めているように、時代の変化についてこれなかったことです。新たにゴルフを始める若者はどんどん減少し、プレー人口は減少の一途を辿っています。競技としての人気が下がれば、スポンサーにとっては宣伝の場としての大会の魅力も下がってしまいます。しかしプレーヤーは減っても、観客や視聴者が増えれば、それはまた新たな魅力です。フィギュアスケートなどは、競技人口は少なくても観客・ファンは増え続けています。ゴルフを取り巻く環境は大きく変わり、プレーするスポーツから見る・見せるスポーツに変わりつつあるのです。試合で勝つことだけでなく、プロゴルフを支えているファンやスポンサーにも目を向けることが重要になっているのです。
その変化に対応する形で、協会でも規約改定などはしていました。しかし、仏作って魂入れずで、選手に対しての勉強会や研修会は実施していなかったということを、自ら認めていました。
プロのアスリートとして受け取る報酬や賞金の出所は、そのスポーツに興味を持ち支えてくれるファンの存在がベースに有ると言うことを認識しなければならないのです。ごく普通のビジネス、商売と同じでお客様の存在を正しく理解し、お客様に向き合わなければならないことは同じです。





2018年6月27日水曜日

旧大名小学校での殺人事件を他人事と考えず、我が身(会社)に置き換える

サッカーワールドカップの日本vsセネガルの試合が間もなく始まろうという、6月24日(日)の午後8時頃、福岡市民には馴染み深い天神の旧大名小学校(Fukuoka Growth Next)で開催されたIT系勉強会の講師が刺される事件が発生しました。
刺されたのは有名ブロガーHagexこと岡本顕一郎氏(41)。

勉強会開催を告知するページ
Hagex-day.infoスクリーンショット
Hagex氏は、自らのサイトで福岡での勉強会を告知していました。ひょっとしたらこの勉強会には知人が参加していたかもしれません。この建物内にはスタートアップ企業も複数入居しています。春に訪問した、ココヘリのAUTHENTIC JAPANさんもあります。 犯人は自転車でそのまま姿をくらましたことから大名~天神界隈は一時騒然となったようです。私もお昼によく出かける大名の人気食堂一膳飯屋「青木堂」さんは、犯人が逃走中ということで危険を感じてシャッターを下ろし鍵を閉めたそうです。

岡本氏を殺害したとして自ら出頭した松本容疑者は、福岡市内に住む無職の42歳。

犯人とは何の接点もありませんが、馴染みのある、身近な人達に近い場所で起こった事件に驚愕しました。

思えば最近、行きずりや無差別殺人、昨日(6月26日)には冨山で交番の警官が襲われ、奪われた拳銃で一人が殺されるといった凶悪事件も起きています。

昨年の九州北部豪雨や先週の大阪北部地震などの自然災害だけでなく、このような事件や事故に何時巻き込まれるかもしれません。企業では、東日本大震災の後自然災害に備えたBCPを策定している企業が増えて来ましたが、このような自然災害以外の予期せぬ自称に対してどう対応するか準備している企業はほとんどありません。

福岡の事件では岡本氏の勤務先の社長がマスコミ対応していました。富山の事件では現場となった小学校の校長が会見を行いました。このように、被害者になった場合にもマスコミの対応が必要になるケースがあります。小学校の場合はマスコミ対応以前に、事件発生時の対応(犯人に対する対応、生徒の安全確保、各方面への連絡と救援要請など)も必要でした。
このような不測の事態に対しての対応を、事前に準備しておくことは必要です。

コンティンジェンシープラン(CP)の策定を


コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)とは、その策定対象が潜在的に抱える脅威が万一発生した場合に、その緊急事態を克服するための理想的な手続き、手順を決めたものです。今回の富山の小学校の例で言えば、不審者が学校敷地内に侵入した場合はどう対応するかということが事前に決められ、徹底されていたのだと思います。
企業のケースでは、社長が出張先で事故に遭ったとか、海外でテロに巻き込まれた、あるいは従業員が拘束された、工場から出火したなど、業種や業態で様々なリスクやトラブルが想定できます。それらを事前に拾い出し、万が一発生した際の対応について、手順や取り決めを文書化しておくのです。

特にオーナー企業やTOPに権限が集中している企業では、コンティンジェンシープランの策定を急がれる事をオススメします。




2018年6月21日木曜日

同質性が強い組織では、社会的視点を無くして権力者に尻尾を振る、問題が見えなくなる

6月15日の受動喫煙対策強化を目指す健康増進法改正案を審議した衆院厚生労働委員会で、参考人として招かれたがん患者が意見を述べている最中に、自民党の穴見陽一議員が「いい加減にしろ!」とヤジを飛ばしていたとして炎上しています。

本業ジョイフルへの影響も?


きっかけは今日のBuzzFeedが報じた
受動喫煙対策を訴える肺がん患者にヤジ 国会議員「いい加減にしろ!」
ネットでは穴見議員に対する批判が巻き起こり、毎日新聞でも
自民議員、がん患者にやじ 受動喫煙巡り衆院厚労委
と、患者団体が反発していることを報じています。

穴見陽一議員は、九州では馴染みのあるファミリーレストランチェーン「ジョイフル」の代表者でもあります。ネットでは、「ジョイフルには二度と行かない」など、ジョイフルボイコットの声まで上がる事態です。

同質集団が抱える潜在的な問題


今日の新聞で、もう一つ目に付いた記事があります。 
経団連、この恐るべき同質集団
この記事によると、経団連の正・副会長は
(1)全員男性で女性ゼロ(2)全員日本人で外国人ゼロ(3)一番若い杉森務副会長(JXTGエネルギー社長)でも62歳。30代、40代はおろか50代もいない。
19人の正副会長全員のだれ一人として転職経験がないのだ。別の言い方をすれば、全員が大学を出て今の会社の門をたたき、細かくみれば曲折があったにせよ、ほぼ順調に出世の階段を上ってきた人物であるということだ。
そして、
日本企業がかつて躍進したのは社員の同質性が高く、それが品質の改良などに威力を発揮したからだ。だが、近年は同質性より異質性が重要になった。異なるモノの見方や経験がぶつかり合うことで、そこにイノベーションが生まれる。
 移民や外国人の活躍する米シリコンバレーの繁栄がその証しであり、逆に同質性を色濃く引きずる日本企業は失速した。

とあります。
話がいきなり経団連に飛んでしまいましたが、穴見議員の発言は今の政府自民党がこのような同質性を求めている現れではないかと思えてくるのです。穴見議員ではなく経営者の穴見陽一氏であれば、現場に出てお客様の顔を見、そこで食事を楽しむファミリーの姿を想像することができるはずなので、このような野次は出なかったかもしれません。

しかし、自民党のほとんどの重鎮議員は愛煙家で、受動喫煙対策強化を望んでいません。自民党議員という立場で衆院厚生労働委員会の場に臨むと、「愛煙家の集まりとしての政府自民党」の一員として上司に尻尾を振るような言動になってしまうのでしょう。これまでも国会や地方議会で不用意な野次を飛ばして問題になる議員がいましたが、「普通の感覚や視点」を忘れて、そこにいる「同質集団の中でのパフォーマンス」を演じてしまうのです。

このような傾向は、企業や行政組織、NPOやNGOなどでもありますし、直近では日本大学アメフト部の問題がまさにここに起因していたと言えます。 同質集団の空気を崩さないばかりか、そこで優れたパフォーマンスを示して認めて貰おうという欲求や圧力が生まれたときに、社会一般の常識や視点を無視してしまうのです。
また逆の例が神戸製鋼や三菱マテリアル、スバルや三菱自動車などデータ改ざんや隠蔽といった、常識的には悪い事だとすぐわかる事でも、その組織では正当化してしまうような空気と歴史を作ってしまうのです。

私が経営課題解決の相談を受けて取りかかるときには、主要なメンバー(企業規模によっては従業員全員)と個別に面談させていただくようにしています。可能であれば全員にアンケート※をとらせていただき、経営者が気づかない課題や問題点をあぶり出すようにしています。
「うちは結束が固い」と信じている組織ほど、外部から見ると根本的な問題を抱えている事は少なくないのです。

※もちろん、面談やアンケートの個別内容を経営や会社へ伝えることはありません。

2018年6月20日水曜日

加計理事長の会見は、日大アメフト部、レスリング栄氏の謝罪会見をお手本に?



6月19日に突然加計学園の加計理事長が緊急の記者会見を開きました。
(貼り付けた動画はANNnewsチャンネルのノーカット動画の分割された最初の部分です)

報道によると、 会見を開くと連絡があったのは当日の朝、2時間後に開催するというもの。最近どこかで聞いたような。そうです、日本大学アメフト部内田前監督の緊急会見も連絡は僅か1時間前でした。しかも、会見会場は東京や大手マスメディアの拠点から離れた岡山の学園本部。2時間では東京の政治部記者や週刊誌の記者は間に合うはずがありません。
更に、会見の取材を認めたのは地元岡山の記者クラブ(どの記者クラブなのでしょう?県政記者クラブ?商工会議所の経済記者クラブ?岡山の事情にうといので分かりません)の会員のみに限定しての事だと言います。これでは、仮に開催時刻に駆けつけることができても、会見場に入ることもできません。

これもどこかで聞いたような話です。
わずか5日前の栄氏の駒沢体育館での会見。「事前(1週間前)に登録していない記者は入場できない」と同じです。加えて、会見時間は25分と最初に決められていました。これまたお尻を決めていた栄氏の会見と同じです。

大阪では死傷者が出る大きな地震が発生した直後、記者の目も生活者の関心も地震に向いている最中。他に大きなニュースが続いている時に、記者も来られない会見をあえて開き、「説明をした」という既成事実を作って逃げようとする魂胆がありありです。これも栄氏の会見と重なってしまいます。

こんな、批判ばかりの過去の会見の悪い所をそのまままねた会見が評価されるはずがありません。これを見た視聴者には「絶対嘘をついている」という印象しか残っていないはずです。そんなことは当然分かっていながらこの会見を開いたのですから、自ら「嘘をついています」と言っているようなものです。
しかし、加計理事長としては、非を認めれば獣医学部の認可取り消しや、文科省から学校法人に対するペナルティも有るかもしれないので絶対に認める訳にはいかないのです。この際、安倍総理との友情もどうでも良いでしょう。学園を守ることが第一です。

だからこそ、視聴者に評価される立派な会見ではなく、批判されても逃げ切るために、日大や栄氏の批判だらけの会見を手本にして、この会見を組んだのが透けて見えてしまいます。





2018年6月18日月曜日

何回謝罪会見をしたら終わるのか?三菱マテリアルー日本大学と至学館大学の騒動の陰で


昨年末から今年にかけ、相撲やレスリング、日本大学アメフト部や至学館大学まで巻き込んで、スポーツ周辺で世間の注目を集める絵に描いたような謝罪会見が相次ぎ、マスコミもそちらの報道に集中していました。
結果としてその影に隠れるように三菱マテリアルの謝罪会見は、ほとんど報道されないまま見過ごされているようなので、「空飛ぶタイヤ」の映画が公開されたタイミングでもありますし、振り返ってみます。

三菱自工のリコール隠し


「空飛ぶタイヤ」は、三菱自動車工業のリコール隠しによる死傷事故を題材に池井戸潤氏が小説化し、2009年にはテレビドラマ(amazon primeで見られます)にもなりました。そしていよいよ映画化され、6月15日(金)に封切られました。
三菱自動車工業はリコール隠しだけでなく、その後 燃費データの改ざんをしていたことも明るみに出て、今や日産自動車が筆頭株主となっています。
ウィキペディアによりますと、リクルートの先輩でもある田中辰巳さんは、
この体質のために「隠蔽といえば三菱自動車、三菱自動車といえば隠蔽」と言われるくらいに隠蔽の代名詞となったと手厳しい評価を下している。
とあります。

また「三菱」か?


その同じ三菱を冠するグループ会社の三菱マテリアルは、自動車がやって来たことと同じようなことを繰り返していたのです。グループ子会社が製品データを改ざんして出荷していたことが発覚(しかも40年も遡って発覚)して昨年11月に謝罪会見をおこないました。
しかし、その後も12月に再び別の子会社で改ざんが明るみに出て謝罪会見。更に今年2月と3月にも新たに発覚した同様の内容で謝罪会見をし、とうとう(やっと?)社長が引責辞任を発表する会見を6月11日行いました。
いったい何回謝罪会見を開いたのでしょう?


一般生活者には直接の取引や関わりの無い素材メーカーなので、ほとんどテレビなどでの報道はされませんでしたが、ビジネスの世界では一気に信用を落としてしまったはずです。一度ならず二度、三度と新たな不正が発覚し、その度に謝罪会見を繰り返す。これが最後と言われてもまだ出てくるんじゃないかと疑心暗鬼になってしまいます。
(「三菱マテリアル 改ざん」で検索すると山のように出てきます。さらに「まとめ」もたくさん作られています)

自動車のリコール隠しも再び思い出されるこのタイミング。データの改竄や隠蔽は三菱グループの企業体質だと刷り込まれるかもしれません。

昨年中に全ての膿を出しきれなかったことで、グループ全体に大きな傷を付けてしまったことは否めません。




2018年6月15日金曜日

栄氏の謝罪会見は、日大内田前監督の二の舞いを避けたかったのだろうが…



伊調選手らへのパワハラ が内閣府から認定され、その後公の場に出ていなかった栄氏が突然記者会見を行いました。昨日6月14日の午前9時20分からのことです。
この会見は、色々な制限が付いたもので、様々な憶測と更なる批判の的となっています。

生中継不可、20分の制限付き


会見は午前9時20分からなので、民法各局は朝の報道番組やワイドショーの放送時間。生で中継することも可能でした。しかし、生中継は禁止と事前に通告され、それを受け入れなければ会見の取材を認められなかったと言うことです。さらに、会見時間も20分間のみ。理由は、10月に開幕する世界選手権の代表選考会を兼ねる全日本選抜選手権の試合前だからということ。至学館大学レスリング部監督として会場に来ており、試合開始前の20分のみの取材対応という理屈です。
また、会見は屋外での囲みかと思ったら違っていました。
The PAGEの試合が開催された駒沢体育館のウォーミングアップ場ということです。駒沢体育館への取材入館も、
 とあり、1週間前に取材申込をしていなければ会見場へも入れなかった訳です。栄氏の会見は前日の夕方にマスコミ各社へ連絡があったということなので、当初より大会を取材する目的だったごく限られたメディアのみを対象として会見を設定したことになります。

制限を設けるほど深まる不信感


直前には、日大アメフト部の内田前監督とコーチの謝罪会見が大失敗となり、かえって火に油を注ぐことになってしまいました。あの会見を他山の石として、ある意味用意周到に準備された会見でした。
日大の時の様に限りなく質問が続くのを避けるために、最初から理由を付けて会見の終了時刻を設定しておくというのは、「はれのひ」社長の謝罪会見でもありました(あちらは会場の制限時間)。

取材制限は、限られたメディアにしか案内しない、事前に申請を受け付けたところに限るなどはあります。厳重なセキュリティが求められるサミットやオリンピック、あるいはF1やAmerica's Cupなど大きな規模のスポーツイベントなどでは事前申請と許可が当たり前です。取材者を制限するというのは、記者クラブ主催の会見でもよくあることです。日大悪質タックル問題では、加害学生の会見は日本記者クラブ主催で開催されましたので、記者クラブ会員以外は取材できなかったはずです。 今回はこれを逆手に取って、週刊誌やゴシップ紙など都合の悪い取材を排除するために最初から取材可能なメディアに制限を掛けてしまいました。

それにしても、生中継は不可というのはどんな意図があったのでしょうか。プロモーションを目的とした解禁日時指定というものもありますが、今回のような謝罪会見で制限をかけることはかえって心象を悪くします。試合開始前に会見が流されるのを嫌ったのでしょうか。放送される時点では別の場所にいたかったのでしょうか。

いずれにしても、会見の模様はテレビやネットで何度も放送され、再生されることに変わりはありません。

今回の会見で伝わってくるのは、形だけでいいから謝罪を済ませてしまおう、できるだけ短時間で強引にでも終わらせてしまおうという姿勢です。これでは伊調選手や関係者への謝罪にもなりません(そもそも謝罪する気持ちも無さそうです)。レスリング協会の中で「謝罪は済ませた」という既成事実を作りたかったのでしょうか。

昔の株主総会(シャンシャン総会)を思い出す、日大アメフト部前監督らとはまた違う醜悪な謝罪会見を見せられたという感想を持つのは私だけでしょうか。

2018年6月6日水曜日

TOKIO山口達也と日大アメフト部員の記者会見、明暗を分けたのは

問題となった日大と関学のアメリカンフットボールの試合から1か月。悪質タックルの問題は日本大学の経営のあり方を問う問題にまで発展して、終わりが見えなくなってきました。
一方で、試合中にタックルをした日大DFと被害者の関学QBの学生との間には和解も成立し、被害者の父親からは加害学生へのエールも送られて、当時者間ではひとまずの区切りが着いた感じでしょうか。

日大の悪質タックル事件は、加害学生が記者会見を開いた事で大きく動きました。誠実に理路整然、具体的に語った会見は、加害学生への印象を大きく変えて、非難の矛先はその指示をしたとされる監督・コーチへと向います。それに対して、日大アメフト部、学長、理事の会見・対応はお粗末なもので、大学関係者への追求は全く収束する気配がありません。今更日大サイドの記者会見を語っても何も参考にならない(悪い例としては参考になりますが)ので、その会見のわずか1か月ほど前に開いた山口達也さんの会見と較べながら、失敗しない謝罪会見のポイントを振り返ってみたいと思います。

会見を開くまでの条件は良く似ていたのに


山口達也さんのケース(以下A)と日大アメフト部員のケース(以下B)は、実は事件発生(本人認知)から記者会見を開くまでの時間経緯は良く似ています。

1,準備期間はどちらも十分にあった 

Aでは、本人に加害者の自覚がなく、(被害届けを出されて)事件を知ったのは3月末頃、事務所へ報告したのが4月16日、NHKが報道して世間が知るところになったのが4月25日でした。そして翌日の26日に急遽記者会見を開いています。
事務所が事件を知り、記者会見を開くまで準備期間は実質10日間あったことになります。
一方Bのケースは、5月10日に関学から日大アメフト部へ申し入れ書が届いたことで、翌11日両親と共に謝罪に出向こうとしたところから動きが始まります。 記者会見は22日なので、こちらの準備期間は11日ということになります。
通常、企業不祥事などで記者会見を開く場合は、即日あるいは翌日ですから、準備期間は数時間~1日程度です。それと比較すればAもBも準備期間は10日前後と十分にありました。

2,身内がサポートし、弁護士も

事件に対応するに当たり、両者同じような体制を組んでいます。
Aはジャニーズ事務所が全てを仕切り、事務所が元検事の敏腕顧問弁護士を付けました。
Bは父親(と家族)が学生をサポートし、父親が自ら弁護士事務所に相談に行き、2人の弁護士と共に謝罪会見に臨んでいます。
どちらのケースも、本人だけでは対応せず、身内のサポートと第三者となる弁護士を付けて会見に向けた準備をしています。

明暗を分けたのは危機感と想像力の差


確かに、AとBでは伝えるべき内容・主旨に違いはありましたが、記者会見という一つのイベントとして見ると時間も十分に有り、身内のサポートも敏腕弁護士も付けて条件は同じようなものです。しかしAはダメダメな会見になり、Bは加害者でありながら被害者でもあるという同情までも誘うような結果になりました。この差はどこから来たのでしょうか。

謝罪会見に臨む際には最低でも
1,事実・経緯・原因などの確認→ポジションペーパーの作成
2,Q&Aの作成
3,ネガティブリストの作成・確認
4,会見場の選定と事前確認(会場セッティング、進行、会見者)
など詳細に詰めて準備しておかなければなりません。

しかし、Aでは上記についてほとんど準備されている様子はありませんでした。ジャニーズ事務所が会見を仕切る、敏腕弁護士が付いているという奢りがあったのでしょうか。

一方、Bの会見は驚くことに日本記者クラブで行っています。ここで会見するということは、日本記者クラブが主催ということです。進行に関する主導権は会見者にはありません。それだけに事前に十分な確認と打ち合わせが行われたはずですし、会見側の準備はあらゆる事を想定しなければなりません。

Bでは「記者会見の主旨と開くに至った経緯」を整理し、ペーパーが会見場で配られています。聞き取りから作成したポジションペーパーをベースにしたのでしょう。このペーパーに沿った形で代理人弁護士から経緯の説明があり、本人はより具体的に、自分の言葉で詳細説明を行っています。代理人弁護士と本人との役割分担もはっきりしていました。質疑応答に際しても、答えて良いことと悪いこと、口にしてはいけないことがはっきりと認識されているようでした。事前に十分確認されていた様子が分かります。

Aのチームは、事務所スタッフは芸能記者との普段のやりとりの延長で考え、弁護士は法廷での攻防に気持ちが行っていたのでしょうか。自分の得意な土俵の事だけを考えたような、あまりにも安易な記者会見でした。
Bのチームはごく普通の一般人(しかもまだ学生)がマスメディアの前に顔と名前を晒して、日本中の人に見られるその先のことまで十分過ぎるほど想像し、必死で守ろうとしていました。その必死さは感情に流されることではなく、理性的に必要な協力者を探し、やるべき事を整理し、十分な準備をすることであり、ギリギリまでその精度を高めることだということを理解していました。

奇しくも、記者会見の終盤では双方の弁護士がAではもらい泣き、Bでは声を詰まらせるという形で感情が表に出る場面がありました。見る者が受けた印象は全く違ったでしょう。会見を終えた瞬間、それぞれの弁護士は何を思っていたのでしょうか。

ところで、前回の鉄腕DASH! グリルやっかいで1時間はきつかったですね。DASHファンとしては物足りなさで胸が苦しくなりました。早く復活して欲しいものです。

山口達也のジャニーズ事務所契約解除報道を受けて

息子を「卑怯者にしたくない」父の愛情が支えた、日大アメフト部員会見




2018年6月5日火曜日

【こそだて】のユーザーデータから見えてくること-2,夜中も起きて、子育ては24時間

2000年にスタートした育児のポータルサイト【こそだて】の時系列データから読み取る、子育ての変化。第1弾は進む晩産化のデータでした。
第1弾 育児のポータルサイト【こそだて】の19年をユーザーの変化で振り返って見えてくること-1,進む晩産化

ピックアップ第2弾は、アクセス時間の変化に注目します。

 

サイトアクセスの時間帯変化


通常、サイトのアクセス分析はGoogle Analyticsを活用していますが、Analyticsのサービススタートは2005年。【こそだて】でAnalyticsを採用するのはまだその数年先になります。しかし、2005年からサーバーにインストールした簡易解析ソフトは今でも現役でデータ収集を続け、経年変化も簡単に比較することができます。
1日24時間のアクセス推移を、各年の4月のデータで抜き出し、2006年からのグラフを並べてみました。
アクセスは年ごとに変動しますので、絶対値ではなくグラフの形、相対的な変化に注目してください(そもそもこのグラフでは絶対値は比較できません)。

2006年から2013年くらいまでは、それほどアクセス時間の変化はなく、だいたい同じような形です。
午前は、家族を送り出し落ち着いた所でPCを開き、お昼頃に少しアクセスが下がるものの、午後は買い物や夕飯の支度を始めるまで徐々にアクセスが増えていきます。そして夕飯の時間帯に大きく落ち込みそれから再び増えていきます。
 アクセスのピークは午後10時台。子どもを寝かしつけ、家事も一段落してPCを開いているのでしょう。

2012年の5月~6月に、 ソーシャルメディアの活用について」アンケートを採っています。この時に最も利用されていたSNSは「mixi」で、5割以上の人が利用していました!Facebookは2位で38.3%。しかし、前年の15.5%から大きく伸びています。「今後最も利用すると思うものは?」の回答の1位はFacebookです。
このアンケートの時点では、スマートフォンの所有率は3割に届いていませんでした。ちょうどスマートフォンが普及を始める時期であり、同時にSNSもmixiからFacebookへ移行する転換点だったのでしょう。

スマホの普及で変わるアクセス


2014年頃からは、夕飯の時間帯の落ち込みはだんだんと緩和され、時間帯による山と谷がなくなって全体になだらかなアクセスとなっていきます。2018年には以前はほとんどアクセスの無かった深夜早朝、午前3時台でさえそれなりのアクセスがあります。24時間ずっとだらだらとアクセスが続いているのです。

これは、【こそだて】へアクセスするデバイスが、PCからスマートフォンに移行した事によるものと考えられます。PCは電源を入れ、画面が立ち上がってサイトにアクセスするまでにそれなりの手順と時間を要します。インターネットへのアクセス方法がPCしかないときには、調べ物をするにもSNSにアクセスするにも、PCに向かうという改まった行為、時間が必要でした。しかし、スマートフォンはいつも身近にあり、すぐに使えます。思い立ったとき、必要なとき、空き時間に片手でスマホの電源を入れるだけです。赤ちゃんを抱っこしながら調べ物をしたりもできます。2014年頃から【こそだて】もレスポンシブ化し、スマートフォンへの対応を進めています。

2018年現在、【こそだて】へのアクセスデバイスは8割以上がスマートフォンです。そして【こそだて】へのアクセス流入は8割が検索からですので、子育てに関して何か困り、調べ物をしてたどり着いているのでしょう。スマートフォンを使って何かを調べて【こそだて】にたどり着いているというのが、利用者の姿です。

子育ては24時間フルタイム


さて、アクセスの時間帯に話を戻します。普通なら就寝中の深夜にアクセスがあり、それが少なくない数であることに注目しなければなりません。重要なのは、【こそだて】にアクセスしているということです。SNSなど、他のサイトにアクセスしている数は含まれません。何故こんな深夜に起きて【こそだて】にアクセスしているの?と。

考えられるのは、赤ちゃんの夜泣きや授乳で起きた、あるいは熱を出した子の看病かもしれません。授乳をしながら調べものや記事を読んでいる、あるいは熱を出した子を抱っこしながら病気の可能性や対処方を調べているのでしょうか。普通の人が休んでいる時間にも我が子と向き合う母さんの姿が想像されます。
子育ては、1日を通して忙しい時間や暇な時間が有るわけではないということが、このアクセスレポートからも見て取れます。

スマートフォンの普及で、これまで見えなかった深夜の子育ての様子が、少し見えたような気がします。普通の人が寝静まっている時間に、子どもを抱いて頑張っているお母さん、お父さん。天晴れです。






2018年6月4日月曜日

育児のポータルサイト【こそだて】の19年をユーザーの変化で振り返って見えてくること-1,進む晩産化

(株)ブライト・ウェイは、2000年4月15日に育児のポータルサイト【こそだて】をスタートし、20年目に入りました。
リンク先のURLをご覧いただければお判りの通り、【こそだて】は「co.jp」ドメインです。Yahoo!のサービスドメインが「co.jp」であるのと同じです。2000年当時はまだ「.jp」ドメインがスタートする前で、一般企業が利用できるドメインは、「co.jp」「.com」「.info」「.net」くらいでした。本当に長く続いているものです。

19年前、スタートした頃に【こそだて】を参考に奮闘していたママの子ども達はもう成人しているでしょう。ひょっとしたら、もうパパやママになっているかもしれません。そろそろ一世代(近年は晩産化でもう2/3世代くらいかもしれませんが)まわってユーザーも全く入れ替わっています。長く続けているからこそ定点観測データで分かることもあります。そのなかから2つほど子育てのデータ(主に母親)をピックアップしてみたいと思います。
その第1弾は、ユーザーの年齢です。

晩婚化、共働きが増えた結果

【こそだて】では、基本的にアンケート形式を変えず、マーケティングの資料にと様々なアンケートを実施してきました。同じテーマを毎年、あるいは数年おきに実施しているものもあり、経年変化も見ることができます。これだけ続いているアンケートも滅多にないのではないでしょうか。

左のグラフは【こそだて】のユーザー年齢分布の推移です。上から2001年、2006年、2011年、2018年で実施したアンケート(時期、テーマはバラバラです)の回答者の年齢分布です。
2001年はまだ家庭でのインターネット利用は一般的とは言い難い時期ですので、多少対象に偏りが有るかもしれませんので参考程度に見ていただくとして、2006年は29歳をピークにほぼ綺麗な三角形の分布で、むしろ左に重心があります。ここで、2006年の平均初婚年齢をみてみますと、男性が30歳ちょうど、女性が28.2歳となっています。 まだまだ寿退社、おめでた退社が幅をきかせていた頃ですから、結婚した翌年あたりに第一子を出産すると考えると、ピークが29歳の山形のこのグラフはごく自然と考えられます。

ところが、2011年では見事にユーザー年齢のピークが右にずれるとともに、山のピークがなだらかになっています。リーマンショック(2008年)後の不景気と東日本大震災を経験した年末のアンケート回答者データです。
リーマンショックを機に未曾有の不景気(そういえば、この時に麻生首相が読み間違いをして…)となり、就職は超氷河期に突入しました。 リストラや収入減でそれまで専業主婦でいられた(あるいは働きたくても出して貰えなかった)女性だけでなく、子育て中の母親は子どもを保育所に預けて働かざるをえなくなり、保育所の入所希望が一気に増えます。

保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)より
ガベージニュースさんの
保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)
からグラフをお借りしますと、 2009年から待機児童数が一気に増えているのがわかります。その後保育所の増設・定員増を進めますがそれを上まわる勢いで入所希望が増え、2008年から定員が60万人も増えたにも関わらず待機児童は一向に減りません。


そして2018年ではさらにユーザー年齢のピークが右にずれるのかと思うとそうではありません。本来なら年齢が上がるとともに子育てから卒業するのでユーザーの比率は小さくなるべきなのですがあまり落ちません。

実は年齢分布の各グラフの右は、データを見やすく揃えるために40歳以上をカットしています(40代からは前半・後半と5歳刻み)が、40歳以上の比率はどんどん大きくなっています。
40歳以上の割合が2006年は僅かに2.71%だったのに、2011年は13.1%、今年2018年ではなんと22.7%にまで上昇しています。 2011年からさらにユーザーの年齢分布が平坦になり、山形と言うよりも台形に近い形になっています。共働き家庭が増えた結果、出産のタイミングが計りづらくなり晩産化が一層進んでいるということがここからもわかります。園や学校で父母が顔を揃えたときに、子どもは同じ年なのに、その親は親子ほども年齢が違うことも珍しくなくなっています。以前にも
「少子化対策と同時に晩産化をくい止めないと、人口減少スピードは加速する」
で言及しましたが、 晩産化の進行は、少子化を一層進めることに繋がります。出産は数を問題にするだけでなく、時期(年齢)を先送りしない政策と環境整備が必要です。




2018年6月1日金曜日

日大騒動に隠れてしまった、レオパレス21の酷い記者会見

テレビ東京 ガイアの夜明 のサイトより

日本大学の騒動の報道が続いている最中の5月29日、レオパレス21が突然記者会見を開きました。
会見の主旨は、レオパレス21が設計・販売したアパートに建築基準法違反の疑いがある物件が見つかったというものです。本来はアパートの天井裏に有るべき界壁(防火や防音のための壁)が無いアパートが多数見つかったため、1996年~2009年に建設されたアパート約3万8000棟を調査し、同様に界壁が無いアパートが見つかれば補修を行うということでした。4月27日に同様の内容でニュースリリースは一度出されていたのに、です。

記者会見は5月29日の16時から開かれたのですが、実は同日の21:54スタートの「ガイアの夜明」で、この問題について取り上げた「マネーの魔力 2」の放送が予定されていました。どうやら記者会見を開くことになったのも、「ガイアの夜明」の取材で建築基準法違反が明らかになったためで、放送の前に先手を打とうと突然記者会見を開いた感が否めません。
実際に同日の「ガイアの夜明」で「マネーの魔力 2」が放映され、後半にはその記者会見の様子も取り込まれています。

レオパレス21は、取締役専務執行役員の田尻和人氏が会見に臨み説明をされています。この会見は残念ながらテレビ東京系列以外のテレビ局の動画配信やYouTubeで見つけることができませんでした。しかしガイアの夜明にはしっかりと2分半ほどその様子が収まっています。会見全編を振り返る事はできませんが、この2分半から伝わってくることがいくつかあります。

マクドナルドのあの会見と重なる


まず、レオパレス21として形だけ謝罪をしてはいるものの、あくまでも「下請けの施行ミス」というスタンスです。冒頭のお辞儀もおざなりです。
会見に臨んだ田尻専務の表情も、謝罪をしているといよりも不満顔、どうして「俺が説明しなければならないんだよ」と怒っているようにも見えます。
全体のトーンとしては、中国の委託先工場での賞味期限切れ鶏肉使用が発覚した際のマクドナルドのカサ・ノバ社長の会見を彷彿とさせます。その後マクドナルドがどうなったかはご存じの通りです。

「ガイアの夜明」はテレビ東京ビジネスオンデマンド(有料)で見ることができますので、会員になられている方はご覧ください。