2018年6月4日月曜日

育児のポータルサイト【こそだて】の19年をユーザーの変化で振り返って見えてくること-1,進む晩産化

(株)ブライト・ウェイは、2000年4月15日に育児のポータルサイト【こそだて】をスタートし、20年目に入りました。
リンク先のURLをご覧いただければお判りの通り、【こそだて】は「co.jp」ドメインです。Yahoo!のサービスドメインが「co.jp」であるのと同じです。2000年当時はまだ「.jp」ドメインがスタートする前で、一般企業が利用できるドメインは、「co.jp」「.com」「.info」「.net」くらいでした。本当に長く続いているものです。

19年前、スタートした頃に【こそだて】を参考に奮闘していたママの子ども達はもう成人しているでしょう。ひょっとしたら、もうパパやママになっているかもしれません。そろそろ一世代(近年は晩産化でもう2/3世代くらいかもしれませんが)まわってユーザーも全く入れ替わっています。長く続けているからこそ定点観測データで分かることもあります。そのなかから2つほど子育てのデータ(主に母親)をピックアップしてみたいと思います。
その第1弾は、ユーザーの年齢です。

晩婚化、共働きが増えた結果

【こそだて】では、基本的にアンケート形式を変えず、マーケティングの資料にと様々なアンケートを実施してきました。同じテーマを毎年、あるいは数年おきに実施しているものもあり、経年変化も見ることができます。これだけ続いているアンケートも滅多にないのではないでしょうか。

左のグラフは【こそだて】のユーザー年齢分布の推移です。上から2001年、2006年、2011年、2018年で実施したアンケート(時期、テーマはバラバラです)の回答者の年齢分布です。
2001年はまだ家庭でのインターネット利用は一般的とは言い難い時期ですので、多少対象に偏りが有るかもしれませんので参考程度に見ていただくとして、2006年は29歳をピークにほぼ綺麗な三角形の分布で、むしろ左に重心があります。ここで、2006年の平均初婚年齢をみてみますと、男性が30歳ちょうど、女性が28.2歳となっています。 まだまだ寿退社、おめでた退社が幅をきかせていた頃ですから、結婚した翌年あたりに第一子を出産すると考えると、ピークが29歳の山形のこのグラフはごく自然と考えられます。

ところが、2011年では見事にユーザー年齢のピークが右にずれるとともに、山のピークがなだらかになっています。リーマンショック(2008年)後の不景気と東日本大震災を経験した年末のアンケート回答者データです。
リーマンショックを機に未曾有の不景気(そういえば、この時に麻生首相が読み間違いをして…)となり、就職は超氷河期に突入しました。 リストラや収入減でそれまで専業主婦でいられた(あるいは働きたくても出して貰えなかった)女性だけでなく、子育て中の母親は子どもを保育所に預けて働かざるをえなくなり、保育所の入所希望が一気に増えます。

保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)より
ガベージニュースさんの
保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(最新)
からグラフをお借りしますと、 2009年から待機児童数が一気に増えているのがわかります。その後保育所の増設・定員増を進めますがそれを上まわる勢いで入所希望が増え、2008年から定員が60万人も増えたにも関わらず待機児童は一向に減りません。


そして2018年ではさらにユーザー年齢のピークが右にずれるのかと思うとそうではありません。本来なら年齢が上がるとともに子育てから卒業するのでユーザーの比率は小さくなるべきなのですがあまり落ちません。

実は年齢分布の各グラフの右は、データを見やすく揃えるために40歳以上をカットしています(40代からは前半・後半と5歳刻み)が、40歳以上の比率はどんどん大きくなっています。
40歳以上の割合が2006年は僅かに2.71%だったのに、2011年は13.1%、今年2018年ではなんと22.7%にまで上昇しています。 2011年からさらにユーザーの年齢分布が平坦になり、山形と言うよりも台形に近い形になっています。共働き家庭が増えた結果、出産のタイミングが計りづらくなり晩産化が一層進んでいるということがここからもわかります。園や学校で父母が顔を揃えたときに、子どもは同じ年なのに、その親は親子ほども年齢が違うことも珍しくなくなっています。以前にも
「少子化対策と同時に晩産化をくい止めないと、人口減少スピードは加速する」
で言及しましたが、 晩産化の進行は、少子化を一層進めることに繋がります。出産は数を問題にするだけでなく、時期(年齢)を先送りしない政策と環境整備が必要です。