2019年7月15日月曜日

後手後手になってしまったメルパルク仙台の最悪の対応

メルパルク仙台で結婚式・披露宴を行った利用者が、打ち合わせと違う不適切な対応をされたと式後にクレームを入れ、納得できる説明を求めました。しかしその後行われた式場側の数回の説明は、到底納得できるものではなかったといいます。

ゼクシィに投稿されたクチコミ
ゼクシィのメルパルク仙台の口コミ欄(花嫁・ゲストのクチコミ)には、当人が投稿したクチコミがあります。

式場とのやりとりとその顛末はしらべぇの

「結婚式トラブル」で苦悩し続けた夫婦 出席した友人の勇気ある告発の結果

で詳しく書かれています。
このトラブルはネットからテレビのニュースにとどまらず、さらには昨日のサンデージャポンでも取り上げられ、多くの人が知るところとなりました。

ナジャ、メルパルク問題に「わざとやった?」 藤田ニコルも苦言

この問題がネットで話題になり始めた当初、ホテル側は「事前に打ち合わせした内容と実際に提供された飲食や装花との差額分を返金する」としていたようですが、テレビでまで問題が取り上げられるようになった結果か、しらべぇの記事によると最終的には、「今回の費用を請求しないということと、プラスアルファとして海外の挙式や挙式のやり直しなどを提案された」とあります。

コンプレに対して式場が犯した2つのミス


私も2年間(株)福岡サンパレスの社長を経験し、ホテルでは結婚式・披露宴にも多くのお客様をお迎えしました。自身の経験からも打ち合わせと違う不適切な対応の数々は許せるものではありません。このようにいくつものトラブルが同時に起こってしまうというのは、打ち合わせした事が全く現場に伝わっていなかったということです。ホテルの責任において、申込書・打ち合わせ記録や聞き取りから原因はすぐに特定できるはずです。式のトラブルについてここで言及する必要は無いでしょう。

当日の式で起きたトラブルを時間を遡って修正することは不可能です。そこで、ここではその後の対応のミスがブランド価値と将来の売り上げを大きく毀損する可能性について検証してみたいと思います。報じられている記事やネットの情報から、事後の対応でここまで問題を大きくする前に収束できたタイミングが2回ありました。

まず、式後に被害者から指摘・コンプレイン(苦情)が入った段階での対応の問題です。申込書や打ち合わせメモが残っているはずなので、式場がお客様と事前に交わした約束が守られなかったことはすぐに把握できたはずです。その段階で誠心誠意の受け止めができていたのでしょうか?
もし、この段階でホテルが非を認め、お客様が納得できる回答ができていればそこで納まって、テレビでまで話題になるようなことにはならなかったはずです。メルパルクはかつては郵便貯金会館で、今はワタベウェディング100%出資のメルパルク(株)が運営しています。ワタベウェディングと言えば婚礼事業が専門の会社。そのグループ会社とは思えない失態と事後の対応です。

ゼクシィの口コミ欄に投稿された日付は6月30日となっています。ここに、「ゲストの引き出物の中に原価まで細かく書かれた発注表が同封」とあります。この発注表の事を知ったのは、友人が帰宅後引き出物を開いたら入っていたと、写真付きで報告があったからでした。6月の何日に式が執り行われたのかはわかりませんが、この投稿までには数日のやりとりがあったはずです。ここで被害者が納得できる回答が得られていれば良かったのですがそうとはならず、結局6月30日に我慢しきれずに告発投稿に至ったのです。

2つめのミスは、この6月30日の投稿に対してのレスポンスです。クチコミへの返信は7月5日。あまりにも遅すぎます。通常、婚礼担当者はこのような口コミサイトは常にチェックしているはずです。少なくとも翌日の7月1日には投稿されたことを把握しているでしょう。そこからさらに4日も経過しての返信が、木で鼻をくくったようなテンプレートの文章でした。
他社の事例では、スリーエムジャパンはSNSでのトラブル発生時には4時間以内にステートメントの掲載をルールづけているくらいですから、その彼我の意識の隔たりは歴然です。これでは被害者の気持ちは治まるどころか悲しみは増すばかりです。

その落胆ぶりを見ていた友人が、7月6日にTwitterに怒りの告発をしたことでいっきに拡散(約12万のRetweet)・炎上し、メディアが知ることになりました。
そして、メルパルク仙台もようやく7月8日、ウェブサイトにコメントを掲載しましたが、これまた他人事のような「お知らせ」でお茶を濁しています。この後特に公式な見解もゼクシィの口コミ欄へのコメントもありませんでしたが、上記の「結婚式トラブル」で苦悩し続けた夫婦 出席した友人の勇気ある告発の結果では、「今回の費用を請求しないということと、プラスアルファとして海外の挙式や挙式のやり直しなどを提案された」ということですので、この数日のクチコミ投稿→Twitterで拡散→炎上でメルパルク仙台もやっと自分たちの対応の問題に気がついたのでしょう。

式後、最初の指摘・コンプレインの段階で適切に向き合っていればこんなことにはならなかった(対面で話を解決し、土俵をネットに移さずに済んだ)はずです。しかし今は、誰でも情報発信が可能で、マスメディアもネットの情報をチェックし、フォローしています。
今回のメルパルク仙台は、目の前にいる苦情を申し出たお客様に対応することだけを考え、そのお客様やそのお友達・フォロワーのSNSでの拡散を軽視していました。結果として、目先の損失を避ける対応をしたことが、「婚礼費用全額+式のやり直し費用」だけでなく、メルパルク仙台の評判を大きく落とす事になりました。そして更には、親会社のワタベウェディングのブライダルのクォリティにまで疑念を抱かせることにも繋がりかねず、グループのレピュテーション(評判)にまで大きな影響を与える結果となりました。

日常の現場で起こる様々なトラブルは、その場の対応で完結したと安易に考えてはいけません。苦情や被害を訴えるお客様は、いったんは矛を収めて帰っても、実のところは不満足で十分に納得したわけではなく、火種がくすぶったままということは多いのです。お客様の立場になって、その真の気持ちを想像できなければ本当の解決にはたどり着けません。
メルパルク仙台の対応は、お客様の気持ちではなく、会社の立場・損得を優先させたことで最悪の結果を招いたと言って良いでしょう。