2019年7月30日火曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用…中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

前回は、ソーシャルメディアの基本として、代表的なツールの基礎情報を整理しましたが、今回はそれらを利用・運用するときに起こしがちなミス・トラブル、リスクについて整理します。
ソーシャルメディアでのトラブルの行き着く先は、「炎上」です。言い換えれば、炎上の火種を作らない運用が大切と言うことになります。また、ソーシャルメディア炎上の火種は、運営主体が自らの発信で作る場合と、従業員やお客様の投稿による場合があります。本稿ではまず、アカウント運営者としてのリスクについて書いてみます。

企業やお店などが公式アカウントでソーシャルメディアを運用する場合、多くは新商品やサービスの告知、そのほか各種お知らせといった情報提供か、共通テーマでのコミュニケーションを通じたファン・コミュニティ作りの2つに分けられるかと思います。

フォロワーが増えない=人気が無いという評価に繋がるリスク


官公庁や大企業・有名企業のアカウントは前者の運用がほとんどです。提供できる情報が多く、情報自体に価値があるために変な小細工の必要もありません。どちらかと言えば堅め、かしこまった運用で、コメントも制限しているケースが少なくありません。

無名の中堅・中小企業の場合、一方通行の運用ですのでシェアされたりRTされたりと話題にされるためには、提供される情報そのものが魅力的・貴重・楽しい・役立つ・共感できるなど受け手に価値がなければ読んでももらえず、フォロワーも増えません。
誰もが知っている様な企業・ブランド・店舗であれば、名前で検索してフォローされることもあるでしょうが、無名の企業や新しいブランド・お店ではアカウントにたどり着かせるだけでも大変なことです。Facebookページやtwitterで情報発信を始めてもフォローするのは従業員やその家族、身近な友人止まりでせいぜいフォロワーは数十人というアカウントがたくさんあります。こうなると、担当者の心が折れて更新頻度が落ちたりおざなりになったりし、結果フォローを解除する人が増えてますます悪循環に陥ります。

フォロワーが少ないアカウントは、人気が無い・役に立たない・オモシロくない、フォローする価値がないということでもあり、それが企業やブランド、お店の評価にも繋がりかねません。
こういう時に、担当者の上司や経営者が無茶なプレッシャーをかけると、たまりかねて誤った方向の企画や投稿に繋がり、結果炎上に発展することもあるので要注意です。

動画コンテンツの投稿は細心の注意を


ブログや動画のコンテンツは、ウェブサイトに埋め込んだりリンクしたりするだけでなく、情報のアーカイブとしても遡って検索対象となります。数年前に投稿したものでも多数の人に閲覧されることも少なくありません。永く残る前提で内容や表現には注意が必要です。投稿したときには問題が無くても、後に法律や社会情勢が変わり許されなくなるような物や事も少なくありません。たばこに関する扱いなどが良い例です。

ブログであれば不適切な内容や表現があれば修正も可能ですが、動画の場合は一部を修正するのは難しく、削除するか削除後に改めてあげ直すことになります。しかしその動画がネットで話題になったりしてしまうと、すぐにコピーされ再投稿、拡散されたりもします。動画の内容は、そこで何を伝えようとしたのかだけでなく、そこに偶然映り込んでしまった物や音(あるいは音楽)も問題になることもあり、制作時に注意するだけでなく、定期的に内容の確認も必要です。特に、ジェンダーの役割に関する表現やハラスメントとして受け取られるような場面には要注意です。近年では大手企業のネットCMでいくつも炎上に発展しています。

調子に乗らない


一方、ファン・コミュニティ作りが主目的の場合には積極的にコメントを求めたり、コメントに答えたりと担当者に相当なコミュニケーションスキルが求められます。ソーシャルメディアをひとくくりで考えず、FacebookとTwitterに別の役割を持たせるなども有効です。発信する情報も硬軟取り混ぜ(多くは硬よりも軟の方が主)、話題によってはタイムライン上で意見が衝突したりする場合もあります。FacebookやInstagramは、投稿後に編集も可能ですが、Twitterは投稿の編集はできません。一度投稿した不適切なtweetはスクリーンショットを撮られたりし、削除してもその画像がまた「削除されたtweet」として拡散されたりして、更なる炎上を招くこともあります。

世間で話題だからと、自社や自社の扱う商品・サービスとは直接関係の無い話題を投稿する際には要注意です。政治・宗教・差別・ジェンダーに関する話題は、基本的に避けたいものです。特に、どんな話題であっても否定的な意見や指摘をすることは避けましょう。担当者の認識不足やちょっとした言葉足らずな投稿が炎上に発展する可能性もあります。

商品やサービスに合わせたキャラクターを設定して、そのキャラクターの世界観で発信する事もよくされますが、過去には自治体のキャラクターが不適切な投稿をして炎上し、アカウントを閉鎖したケースもあります。コミュニティの参加者(フォロワー)が増えて、運用に手応えを感じ始める頃は特に注意が必要です。

まず運用ポリシーを明文化する


ソーシャルメディアを活用する場合、トラブルを回避するためには運用ポリシーとガイドラインを明文化しておくことが重要です。「発信して良いこと」と「発信してはならないこと」を明確にします。複数人で運用する場合には文書化するだけでなく、全員に周知徹底することも同時に行わなければ意味がありません。定期的な勉強会やチェックリストを準備するなども必要です。
流行だから、お金が掛からないからとソーシャルメディアをスタートする事も少なくないでしょう。しかし、それだけに行き当たりばったりや担当者の意欲・スキルに依存し過ぎて、いつの間にか企業やブランドから離れていってしまうこともあります。そうならないためにも、既に運用中のアカウントに対しても運用ポリシーやガイドラインを整備する事をオススメします。