2019年7月22日月曜日

会見の目的を明確にせず準備不足で大失敗の吉本興業

7月20日の宮迫さん、田村亮さんの会見を受け、本日14時から吉本興業の緊急会見が開催されました。



冒頭、広報室長から会見の進行についての説明があり、その際に質問がなくなるまで会見を打ち切らないと告げられました。私は、会見の事前準備は万全だという自信の表れだと受け止めました。しかし期待は裏切られ、途中10分の休憩を挟んで5時間半の長時間会見となりました。

まず法務本部長が、これまでの聞き取りなどでまとめた事実関係と経緯を時系列で説明(会見場では記者に紙資料配付)。その後に岡本社長が登場し、お詫びを述べた後に
2人の処分の撤回を告げ、これから会社として取り組むべき2つのテーマが示されます。
・コンプライアンスの徹底
・芸人・タレントファーストで物事を考える
というものでした。更に、社長・会長2名の役員報酬を1年間50%カットすることも発表されました。

これから予想を越えた、長い質疑応答へと移ります。
一言で言えば、一つ一つの質問への回答が簡潔でなく、だらだらと時間をかけて話をするばかりで何も答えが出ないのです。YESかNOを求められてもその答えを明確にしないのです。

7月20日の2人の会見で引きずり出された形の吉本興業ですが、会見を開くことありきで何のために会見を開くのかが明確になっていませんでした。2人の会見内容について説明・反論するのが目的か、それとも全てを認めて謝罪するための会見か。そのどちらも整理されず、具体的なことが何も提示されないため、まれに見る長時間で大失敗の会見となってしまいました。

よく似た記憶に残る会見


過去にも、このような経緯で開かれた会見はいくつもあります。特に昨年はスポーツ関連で同様の会見がいくつも開かれました。なかでも日大アメフト部、日本体操協会の記憶に残る2つの会見がありました。どちらも、直前の選手による(告発)会見を受けて開かれたものです。そして、同じように失敗しています。

日大の緊急会見は謝罪ではなく弁明会見、思い出すのは「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件の会見

準備不足で中途半端な日本体操協会記者会見の矛盾。

今回の吉本興業の緊急会見は、本来なら20日の会見で2人が明らかにした会話の内容について、認めるのかそうでないのかが焦点です。緊急会見を開催するに際し、当然そのことについて整理しQ&Aも準備されているものと思っていました。2人に下した処分を撤回するに至ったのも、その整理の結果だろうと。しかし、その期待は完全に裏切られるものでした。5時間半という無駄に長い記者会見となってしまった原因です。

会見の終盤に、フジテレビ「とくダネ!」の岸本レポーターの質問ー亮さん、宮迫さんの会見の中で、社長が言ったとされる言葉の中で、何か反論できることはありますか?これは事実とは違うと言うことはありますか?」ーがまさにその核心でした。
しかし、岡本社長はこの質問に明確に答えを返すことはできず、結果、二人の告発を否定することができないまま会見を終えることとなってしまいました。

処分や責任を取らせるという場合には、その処分の対象が明確に示されなければなりません。2人の処分取り消しは、そもそも何に対しての処分だったのか(反社会的組織との関わりに対してのはずだった)、どうして(反社との関係は否定されていない)処分を撤回したのか明確に示されませんでした。社長・会長の役員報酬の減額も、会社として何かに対しての非を認めて初めて意味を持つものですが、何に対してのものなのかがはっきりしない、どうでもいい「責任を取ったポーズ」でしかありませんでした。
期待されていた吉本興業の「体制変化」についても、何もありませんでした。サプライズが何もないという「サプライズ」会見だったと言えば良いでしょうか。

日大アメフト部も日本体操協会も、告発会見直後に開いた緊急会見では、告発内容に対する事実関係の認否と説明をするものでした。両者ともその後にも何度か会見を開いていますが、日本体操協会は具志堅副会長の会見でムードが大きく変わることになります。

誰が対応するかで記者会見の印象が変わることを明確に示した、具志堅副会長

吉本興業も、今回の会見は混乱に拍車をかけただけとなってしまいました。日本体操協会の具志堅副会長のように、信頼を取り戻せる人物の登場・納得の会見が待たれます。

今回の会見の様子もTHE PAGEさんのYoutubeチャンネルを貼っていますが、どうやらYoutubeの制限なのか後半4時間のみ、冒頭の1時間半はカットされています。上記岸本レポーターの質問は、3時間36分あたりです。