2013年9月30日月曜日

ソーシャルメディアでの「不祥事」を未然に防ぐ、一つのヒント

経済産業省は50代男性キャリア職員が、自身の匿名ブログに「復興は不要だ」という書き込みや周囲への誹謗中傷をなど不適切な書き込みを繰り返し行っていたとして、この職員に停職2か月の懲戒処分を発表しました。個人名は出ないまでも、贈収賄や便宜供与など業務上の不祥事ではなく、ごく私的な行いに対しても人事院の「懲戒処分の公表指針について」等に従ってホームページ上などで公表されるということになっているのです。国家公務員である以上何が懲戒処分の対象になるかは十分承知していることでしょうが、それでもこんな事をしてしまうのです。一般企業の従業員やアルバイトでは、職務規程や懲戒規定など十分な説明もされないまま働いて居る人も多いでしょう。

ブログを始めとするソーシャルメディアの使い方については、「ネットの炎上投稿 企業はどう対処すべきか」でも触れていますが、今や企業や組織にとっては新たな危機管理の対象となっています。今回の経産省職員のブログの書き込みの顛末については「経産省官僚が匿名ブログを閉鎖したこと」として、The Huffington Post Japanに凜さんがまとめているのでこちらを読んでいただくのがわかりやすくて良いかと思いますが、この記事では、ブログに対する姿勢についても整理してあるので参考になるかと思います。凜さんは「最後に」として「官僚の方が仕事での憂さ晴らしをブログでしようとした気持ちもわからないではありません」と書いているように、組織や日常生活の中で感じるストレスのはけ口としてソーシャルメディアを匿名で利用している人も多く居るのが現実です。

それでは、 企業、特に人事部や教育研修部など従業員教育に関わる組織も人員もいない中小企業ではどのように対応すれば良いのでしょうか。マニュアル作りや指針作りは簡単にできるものではありません。今回の経産省職員の不適切なソーシャルメディアの利用方法を、一つの題材・反面教師としてこのブログを書いているのですが、参考になるものが国家公務員向けに公開されていました。

国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点

がそれです。今年の6月に公表されています。
この留意点の「3.ソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点(1)国家公務員として特に留意すべき事項」は、発表された懲戒処分の文言に対応しています。
懲戒文には「事実の概要」として「ブログにおいて著しく不適切な内容の掲載を繰り返し行った。かかる行為は、国家公務員としての信用を失墜させる行為である」と。

話を元に戻すと、この「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」をベースに、自社仕様に作り替えれば良いのです。全体としては初心者にもわかりやすく、丁寧に説明されています。3-(1)「国家公務員として特に留意すべき事項」を「○○○株式会社職員として」や、「■■■に携わる者として」などと置き換えてみなさんで議論しながら作っていくと、押しつけがましくなく、自分達が守るべきこととして従業員の皆さんにもすんなりと落ちていくのではないでしょうか。

もちろん、それさえもどように進めて良いかわからないという場合は、お気軽にお問い合わせください。お待ちしています。

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2013年9月22日日曜日

EFO(Entry Form Optimization)-入力フォーム最適化

スマートフォンやタブレットの普及に伴い、インターネットの利用はPCからモバイルへと移行しています。携帯電話はすさまじい勢いでスマートフォンへと切り替わりつつあり、検索やWEBサイトの閲覧もスマートフォンからの割合が増えています。

当社が運営する育児のポータルサイト【こそだて】を例に取れば、昨年の8月ではちょうど半分(50.5%)がPCからのアクセスでしたが、今年の8月にはPCからの訪問者数は38%も減少し、全体の26.6%になってしまいました。約7割の68.7%はスマートフォンからのアクセスです(残りがタブレット)。スマートフォンからのアクセスが増えると共に、全体の訪問者数も18%増となっています。


【こそだて】 http://www.kosodate.co.jp/


このように、一般生活者ではPCの購入並びに利用は急激に減少しています。日常のインターネットの利用は、スマートフォンで十分となっており、Net通販などでの購入や問い合わせ・申し込みなども同様です。もちろん、サイト運営者側はスマートフォン専用画面を用意したり、スマートフォンでも見やすいページデザイン作りに力を注ぐことになります。

そこで最近話題となっているのが「EFO」です。
語感だけだと私たちの世代は、テレビドラマの「謎の円盤UFO」を思い出してしまいそうですが、UFOではなくEFO。これは、Entry Form Optimization入力フォーム最適化の頭文字を取った略語です。SEOが Search Engine Optimization の頭文字をとった略語だったのと同じです。SEOは検索エンジンの検索結果で上位表示を目指した対策を講じようとするもの(検索エンジンの評価・集計アルゴリズムを解析して、そこに最適化しようとするもの)でしたが、EFOは言葉は似ていますが、アプローチがちょっと違います。
SEOは、検索結果で上位表示されアクセスを増やすのを目的に、見えない検索エンジンに最適化を目指すものです。しかしEFOはサイトにアクセスした人に対しての最適化です。最終目標である購買、申し込みや問い合わせを完結させるための最適化です。既に、そこにサイト利用者がいて、それを逃がさず最後までフォームを埋めさせ、送信ボタンを押してもらうための見直し行動です。

ここではその詳細は割愛しますが、PCの画面と違って小さな画面、しかもキーボードはなく画面上のソフトキーボードを使っての入力です。自ずと考慮しなければならないことは見えてくるはずです。

必要以上に多くの項目を設定していたりしていませんか?
また、くれぐれも変なEFO業者からの営業に捕まらないように。

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2013年9月14日土曜日

従来からある合わせガラスを「防犯ガラス」にしてGood Design賞受賞

たまにはマーケティングの話題を。
私は2002年に、防犯ガラスの商品化でGood Design賞を受賞しています。

実はこの防犯ガラスは、従来から存在する普通の合わせガラスです。一番身近なのはクルマのフロントガラスで、現在日本国内で販売されている自動車のフロントガラスは、全て合わせガラスとなっています。

合わせガラスとは、2枚のガラスを特殊な樹脂(ポリビニルブチラール=PVB)を挟んで高温高圧の釜で熱圧着して一体化した物です。ガラスが割れても飛散することなく、貫通も容易ではありません。ガラスの透明性・平滑性・扱いやすさに、樹脂の強靱性を併せ持たせ、安全性を高めたものです。またこのPVBは紫外線をほぼ99%遮断する特性があります。そのため、自動車のフロントガラスを通して入ってくる光には紫外線はほとんど含まれていません。サイドウィンドウも合わせガラスにすれば紫外線はほぼカットすることが可能です。事故の際、ガラスの破壊による車外放出も防ぐことができます。

欧米では、学校や公共性が高い建築物には合わせガラスを使うのが一般的です。市民や生徒をガラス事故から守るためにです。テロによる爆破事件が多い地域などでは、ショーウインドウや道路に面したガラスを合わせガラスにして、もしもに備えるところもありますし、高級ブランドショップは盗難被害を防ぐために合わせガラスを採用することも普通です。ショーウィンドウでは紫外線をほぼ通さないので、商品の劣化も抑えられます。
戦闘機のキャノピーガラスや 、防弾ガラスも合わせガラスの応用です。





2枚のガラスの間にポリビニルブチラールを挟んで、熱圧着することにより一体化。
PVBはガラスと一体化することで透明になる






しかし、これだけ優れた機能を持った合わせガラスですが、日本では建築物への普及が進んでいませんでした。PVBの世界Topシェアを持つソルーシア社の日本法人、ソルーシアジャパン(いずれも当時)様より、日本の建築物にもっと合わせガラスを普及させるべくご相談をいただきました。
その時にお話しいただいたのは、「ガラス事故の一番の被害者・負傷者はこども」という事実。こども達をガラス事故から守るためにも、合わせガラスの普及は必要なので協力して欲しいということでした。断る理由はなにもありません。むしろ、御願いしてでも普及に協力したいと思いました。

日本で合わせガラスが普及しない理由は、

1,存在を知らない
2,安全よりもコスト優先

の2つ。
建設省や文部省(いずれも当時)に通い、打開策を探しましたが、何を採用するかは施主の問題であり強制はできないということ。多くの建築家にも話をうかがいましたが、合わせガラスとペアガラスの区別もできていない人が多く居ました。建設省からの「安全ガラスの使用指針」はあるものの、建築基準法での取り決めではないので、建築申請時の強制力はないということでした。それでは、どうやって合わせガラスの存在を知らしめるか?

ちょうどその頃、ピッキング強盗が社会で問題になり、セキュリティへの関心が高まっていました。そこで、突破口として合わせガラスを防犯ガラスとしてセキュリティショップで販売することを提案。日本には防犯ガラスの概念が無いので、ヨーロッパとアメリカの防犯ガラス基準に合格させて、防犯ガラスの基準も紹介。今までのガラス流通とは全く違うマーケティング手法を採り、日本初の防犯ガラス「とおせんぼ」(R)は多くのマスコミにも取り上げられることとなり、一気に防犯ガラスは市民権を得るに至りました。
「とおせんぼ」発売からほぼ半年後、日本の大手ガラスメーカーがいずれも「とおせんぼ」に準じた仕様で一斉に防犯ガラスを発売。日本の防犯ガラスの基準は、この「とおせんぼ」がベースになっています。

今では、多くの戸建て注文住宅のオプションで防犯ガラスが選べるようになり、ハウスメーカーの商品プランによっては標準仕様にもなっています。

2002年、日本初の防犯ガラスの商品化で、GoodDesign賞を受賞※しました。
今では、防犯ガラスだけでなく合わせガラスの普及が進み、家庭や公共施設、一般建築物でのガラス事故による被害は減っていると確信しています。

※合わせガラスが世の中に認知されたことにより、ソルーシアジャパン社は防犯ガラス「とおせんぼ」の事業を譲渡し、本来の中間膜供給事業に専念しています。

●竜巻にも有効

ところで、近年竜巻による被害がニュースを賑わせています。戸建て住宅の被害の多くは竜巻により、屋根が飛ばされることです。どうして屋根が飛ばされるかというと、窓やドアが開いていたり破壊されたりすることにより強い風を建物内に流入させることになり、屋根の上では引き上げる、内側からは押し上げる上昇気流の風圧で屋根を飛ばしてしまうのです。
ですから、竜巻が近づいてきたら窓やドアは閉めること。防犯ガラス(合わせガラス)であれば窓が破壊されて開口部ができることを防ぎます。

泥棒だけでなく自然災害家からも家族と財産を守るためには、合わせガラスは有効です。

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2013年9月8日日曜日

西鉄観光バス運転手の飲酒検知逃れは、ツールや仕組みの問題ではない

8月25日、7年前のこの日に飲酒運転によるいたましい事故が福岡で起きました。その8月25日に、西鉄観光バスは勤務前の飲酒検査で不正があったと発表しました。
それから12日後の9月6日には安田堅太郎社長が謝罪会見をし、社内調査の結果と処分、今後の対応・改善策を発表しました。調査の結果、7人の運転手が3~4年前から不正を働き、修学旅行でも酒気帯び運転をしていた可能性があるといいます
朝日新聞讀賣新聞では、その検知逃れの方法を具体的なイラスト入りで報じています。
よくもまあ、考えたものだと関心すると共に、そこまでしてお酒を飲みたいのかとあきれるばかりです。

さて、この西鉄観光バスの飲酒検知逃れ事件では、具体的な人数や回数、方法などが詳細に報告されているので記者会見の場では突っ込みようがなかったのか、どの新聞記事もほぼ同じ内容となっています。会見の場でこれが全てかと疑問を呈しても、会社側からはこれが調査結果の全てですと返されると、記者は反証することができず、新聞の締め切りまでに裏取りは難しいのです。ただ、可能性については否定できないという論調も見受けられます。

これらの記事を見て、一般消費者もそのまま全て納得することは普通ないでしょう。

まず、宿泊先での飲酒禁止。「昔は客の宴席に呼ばれて酒を飲む運転手もいた。飲酒運転撲滅の機運が高まっているのに、ベテラン組の運転手たちは頭が切り替わらなかった」(朝日新聞)と社長がコメントしているくらいなので、宿泊先での飲酒はずっと継続されていたと考えるのが普通でしょう。
携帯型の飲酒検知器を導入したのが2008年。不正は3~4年前から。しかし、上記宿泊先での飲酒が続いていたのなら、当然検知逃れも当初よりあったと考えられます。現在のような巧妙な道具を使った方法ではないにしても、です。

ベテランの先輩が率先してルールを守らない限り、少なくとも営業所単位で不正が黙認されていたと考えられます。仮に宿泊先で飲酒し、翌日の飲酒検知で陽性だった場合、バスは発車できないことになります。運行管理者や営業の窓口では、そんなことはなんとしても回避しなければなりません。 そのために黙認したり、あえて不正を指示した可能性すらあります。画像をチェックしていた支社の運行管理者も黙認していた可能性も否定できません。

今回の不正を受けて、検知器のストローをステンレスにするなどの改善策を打ち出していますが、何よりも全員の意識改革が必要です。大切なお客様の命を預かっているという意識の徹底です。

誰が見ても仕組みではなく、会社も従業員も意識が変わったと思えるまで、修学旅行などでこどもの命を預けることはできないのではないでしょうか。

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