ラベル リスク回避と危機管理 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル リスク回避と危機管理 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年2月1日月曜日

フードデリバリーを悪者にするのはお門違い。

ここ暫く、ニュースも世間の話題も新型コロナ一色。医療の専門家ではないので、ここでコロナについてあれこれと書くのもどうかと思い、暫く更新がストップしていました。

今朝テレビを見ていると、フードデリバリーの自転車やバイクに対して、嫌がらせやあおり運転をするドライバーがいると取り上げていました。被害に遭ったデリバリースタッフがいる一方で、逆走、信号無視などのルール違反や無謀運転をするデリバリーの自転車映像を流しながら、フードデリバリーの配達員のマナーの悪さも指摘していました。

https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEipFfOIirH73Yn35TWVlJ5OwIUyP-LDRQct-GWV1FBuznF_DmvIMJkq5bNPfRaS7Ru0tbz_5bt1xwUEZR8nbwaEIPnPks3qbQMLCQ-sM514ai-_SvJkQXHfwsEN3brvEURCGRCVh-hauasd/s800/delivery_jitensya.png 

しかし、 この取り上げ方はちょっと的外れだと思いましたので、久しぶりにこのブログを更新することにしました。

目立つから標的にされている

実際に車を運転していて怖いのは、フードデリバリーよりも高齢でふらつく自転車や子どもを乗せて猛スピードで車道を走る電動アシスト付きの子ども乗せ自転車だったり、平気で逆走してくる高齢者や女性の自転車だったりです。福岡では歩いていても、普通の自転車に危ない思いをすることは日常茶飯事です。デリバリーの自転車はむしろ体力のある男性(中には女性もいますが)がしっかり漕いでいるし、看板を背負っているという意識もあるのか、私はそんなに無茶な運転を見かけることはありません。

自動車同様に、オートバイや自転車に乗る人のうちある一定数はルール無視、マナー違反などの粗暴運転をする人や、運転スキルが低い人はいます。そもそも自転車には免許は必要ありませんし、中高年齢者は自転車の運転マナー教習など受けていません。運転免許を持っていなければ、道路交通法もほとんど知りません。しかし、違反すれば罰則もあれば罰金、懲役だって科せられるのです。

フードデリバリーの仕事をしている人がルール・マナー違反をすると、目立つカバンを背負ったりユニフォームを着たりしているので特定されてしまっているにすぎません。フードデリバリーの配達員だから悪いのではなく、交通ルール無視やマナー違反をする人間が悪いのであり、その人間を特定できるようにすれば良いのです。
(そもそもそんな人間を雇わなければ良いということもありますが、事前に見定めるのは困難です)

放送ではバッグのロゴをガムテープで隠している配達員にインタビューしていました。彼は「ロゴを見て嫌がらせを受けることがあるから」というようなことを答えていたと思いますが、ロゴを隠してもその容姿からデリバリースタッフであることは一目瞭然です。しかし、デリバリーが悪いのではないはずです。

運転者を特定できるようにすれば

問題にすべきは、「デリバリー」よりも運転者は「誰」か。

シェアデリバリーサービスも、これからは配送のクオリティが求められるようになるでしょう。自社で料理を作るわけではなく、届けるだけのサービスですから、求められるクオリティは配達スタッフにかかっています。配達スタッフ一人一人の配送クオリティを評価できなければなりません。スマホで管理するだけでなく、第三者の目も活用すべきです。

他の業種でも、従業員の不正やミス・トラブルを無くすために様々な工夫を凝らしますが、そもそもその原因となる要素を排除することが一番の対策です。スーパーのレジであれば打ち間違いを無くすためにバーコード読み込みにする、お金の受け渡しでミスがないよう自動支払機で払う、人が介在しないセルフレジにするなどと進化してきました。コンビニでは防犯カメラが従業員の不正抑止にもなっています。

デリバリーでも今はドライブレコーダーやスマホ、防犯カメラなどいろんな所で記録されています。自動車やオートバイであればナンバーで特定できますが、自転車にはナンバープレートがないので特定できません。しかし、特定できるようにする方法は簡単です。デリバリーの運営会社がその気になれば、配達員を特定できるナンバープレートのような、シリアルナンバーを付ければ良いのです。

最初から大きくシリアルナンバーが印刷されたバッグを渡せば隠しようがありません。問題が報告されれば、動画ですぐに特定されてしまいます。問題に対してどのような処分を課すかも十分認知されていれば、自然とルール・マナー違反は犯さなくなるはずです。

2020年、福岡県での自転車事故は

コロナ禍で、食べ物だけでなく様々なデリバリーを利用する機会が増えています。既に社会インフラとも言えるデリバリーサービスです。そのうちにロボットが配達する時代がやってくるのかもしれませんが、それまでの過渡期には一歩一歩進化するしかありません。

福岡県令和2年12月自転車関連交通事故発生状況

これ(上記リンク)を見れば、問題にすべき点がそもそも違うこともわかります。昨年、自転車事故で9人も亡くなっています。65歳以上が関わる事故は7件に1件以上です。

特定の集団を責めるのではなく、自転車を運転する全ての人に道路交通法や自転車走行上のルールとマナー、罰則などを認知させ、安全運転を徹底することがまずは大事ではないでしょうか。

2020年10月25日日曜日

絶対に言ってはいけない、「下請け・外注のやったこと」

私は東京と福岡、2拠点を毎週行き来して仕事をしているので、車をそれぞれで所有しています。 東京の車は、購入してかれこれ17年になるのに、走行距離は僅か2万5千km足らず。東京では車で動くよりも鉄道で動いた方が早くて時間に正確なので、取材で遠出するときか、荷物を運ぶときくらいしか出番が無いからです。取材で出かけるときには、初めての土地、しかも住宅地の個人宅を訪ねることも多く、カーナビは必需品です。

ところが、車同様カーナビも古く15年ほど前に付けたもので、地図情報も随分前に更新できなくなっています。そのため、東京オリンピックに向けて再開発や新しい道路がどんどんできて景色が変わる今となっては、古地図を見ながら走っているような状態でした。

外出自粛を機にカーナビを買い換え

このコロナ禍で公共交通機関を使うことを控えるようになり、加えて対面の打ち合わせも激減、たまに出かける先もオフィス街ではなくなりました。そのため車で出かける回数が増えた分だけカーナビの地図の古さが混乱の元になるケースも出てきました(ららぽーと豊洲はまだIHIの造船所!)。そのたびに、スマホの地図で確認しなければなりません。さすがにそろそろ替え時かと、カーナビを新しくするために大手カー用品店に出かけました。

取り付ける機種を選んでいざ交換、と思ったらしかし当日の交換はできないというのです。コロナ禍で自家用車の利用が増え、同じようにカーナビを付けたりタイヤを交換したりとメカニックのスケジュールが先まで詰まっているとのこと。しかたなく後日取り付け日の予約をして一旦帰宅しました。

予約した日時に再び出かけ、いざ交換という段になり車を見たメカニックは「これは!」と声を上げました。付いていたのはモニターとは別に本体を助手席の下に設置してGPSの電波を受信するアンテナをフロントガラスに貼り付けるというタイプ。取り外すのが大変で作業に1時間ほどかかり、取り外し工賃も1万円(税別)かかると言います。その工賃だけで安いカーナビが買えてしまう金額ですが、ここまで来たらもう元には戻れません。いずれは替えなければならないものなのでそのまま作業してもらいました。

ETCが壊れた?

それからもコロナ自粛で高速に乗るような機会もないままに過ごしていましたが、カードの更新でETCカードを差し替えました。その時、本来は点灯しているはずの本体のランプが消えているのに気付きました。7月に横浜に出かけた際、首都高に乗ったときは問題ありませんでした。あれ?故障か?とETCから伸びているコードをたどると、グローブボックスの裏でスッパリと切れています。本体の故障ではなくこれが原因のようです。

赤囲みが繋いだ部分

普段から車の面倒を診ていただいている整備工場で診てもらうと、やはりこのコードの切断が原因。繋いでもらいエンジンキーを回すと、緑のランプが点いて「カードを認証しました」と音声アナウンスが。これでETCも復活。気付かないまま高速に乗ろうとしていたら大変なことになっていました。

カーナビを取り外すときに

しかし、どうしてコードが切れているの?助手席のグローブボックスの裏で見えないところにあるコード。触ることもありませんし、わざわざ誰かがそこに手を入れることもありません。2段式の立体駐車場の下段(地下)にあるのでいたずらに遭うことも考えられません。唯一切断できる可能性は、カーナビを取りはずしたときです。早速カーナビを取り付けた販売店に電話をし、確認して折り返しをお願いしました。

作業日も判っていますし、古いカーナビを取り外すという作業だったので、作業者が特定でき直ぐに電話がかかってきました。作業ミスを認めたは良いのですが、「外注の作業員がやったことなので」という言い方をします。これは言ってはいけない言葉です。

「私は御社の客であり、外注会社の客ではありません。作業をした人が下請けであろうが外注であろうがそんなことは関係ないことです。御社に責任がなくなるわけでは無いですよ。それは言ってはいけないことでしょう!」と思わず叱責してしまいました。

外注もアルバイトも

今はどんなビジネスでもアウトソースや派遣、外注は当たり前です。小売店や飲食店では、パートやアルバイトのミスでトラブルになることがありますが、パートだから、アルバイトだからという言い訳はできません。

これまでも大手企業の謝罪会見で「下請けがやったこと」、「外注業者に騙された」などと発言をして更に状況を悪化させた例は多くあります。顧客にとっては社員も派遣もアルバイトもありません。経営トップだけでなく、顧客と直接向き合う現場でも同様の意識が必要です。

※ETCのコード接続作業費についてはカー用品店から整備工場へ連絡を取り、請求をカー用品店にということになりました。

2020年5月13日水曜日

緊急事態宣言解除、コロナ後の事業再開を考える

いよいよ緊急事態宣言の解除が視野に入ってきました。福岡県も早ければ明日にも特定警戒都道府県の指定も外され、宣言の対象から外れる可能性が高まっています。
緊急事態宣言下の新天町商店街 ほとんどのお店は臨時休業
今週に入り、天神はじめ個人の路面店などは徐々に営業再開する動きも見えてきましたが、緊急事態宣言が解除となれば今度はそこに合わせて、業種毎に対応が迫られます。
福岡県は、営業自粛の解除あるいは再要請に関して独自基準を示していません。しかし、示されたとしてもそれは感染者やPCRの陽性率などの「事象」「結果」の数字、データです。企業や私たちに求められるのは、感染者を出さずに経済活動を再開するための行動様式であり企業活動です。

感染防止をしながら日常に戻す


暫くは「あつものに懲りてなますを吹く」状態が続くと思われます。自社の意思や考えよりも第三者からのプレッシャー、世間の空気が暫くは変わらないでしょう。「自粛警察」が直ぐに矛を収めるとも限りません。何よりも、従業員やお客様が安心できる環境が求められます。

(1)オフィスでの感染予防

引き続きテレワークや時差出勤は継続するのが無難です。ニューヨークの感染拡大の要因の一つは地下鉄と見られています。
コロナ以前の働き方に戻すならば、オフィスで執務中にマスクをするのはもちろん、隣や前の席との間についたてを立てるなどの対応も検討しなければなりません。あるいは席の配置や事務所のレイアウトを変更する必要があるかもしれません。
そこまでする労力もお金もないのでしたら、出勤調整(半分ずつ交互に出勤など)して在宅ワークと組み合わせるなどオフィス内のソーシャルディスタンスを確保しましょう。
入り口やフロアに手指の消毒液や除菌剤なども設置し、トイレやパントリーなどの清掃、除菌もこまめに実施しなければなりません。
今回コロナ(COVID-19)が収まっても、第2波(既に今が第2波という見方もあります)、第3波も懸念されていますし、新たな感染症が流行する可能性もあります。
これを機会に働き方、オフィスのあり方を見直し、BCPも合わせて見直す必要があります。

(2)対面やリアルな接触が避けられない業種では

小売や飲食、レジやカウンターで対応するサービス業務など、どうしてもお客様と対面で向き合わなければならない、あるいは多くのお客様を対象にしたサービスを提供しなければならない業態があります。まずは、

①従業員の検温、マスク・手袋・フェイスシールド・透明ビニールカーテン、換気など必要な感染予防
②入場制限ー同時に店内あるいは会場内に入れる人数・組数を制限
③入り口に消毒液設置、必要に応じてサーモカメラでの体温チェック
④ソーシャルディスタンスの確保ー客導線の明確化、レジの順番待ちの位置目印、テーブル・椅子の配置換え、休憩スペースなどのベンチ利用制限など
⑤キャッシュレス、セルフレジ、セルフ包装の導入・推奨
⑥テイクアウト・デリバリー、出張サービス・販売対応
⑦ビデオ会議システムの導入(薬剤師、弁護士や士業、コンサルティングなど)

NAFCOの店頭に出された表示
など、3密を作り出さない人と人、人と物との接触機会を最小限に留める工夫が求められます。始業前、営業中、終業後の消毒・除菌作業などでこれまで以上に人の手が必要になるかもしれません。そのための人手と作業時間の確保も考えなければならないでしょう。

一方で、コロナ以前のビジネスモデルで成り立つかの検証も必要です。新しい生活様式、ソーシャルディスタンスを保った接客や営業スタイルで見込める来客数や収容数は採算にどう影響するでしょうか。客数や客単価も変わるでしょう。取扱商品や商品単価の見直しも必要かもしれません。

(3)ビデオ会議を導入する

移動自粛、在宅・リモートワークが進み、顔を合わせての会議や打ち合わせはビデオ会議システムを利用しての実施が広がりました。企業で採用が進んだのはzoomやマイクロソフトのTeamsなどですが、1対1や少人数なら、LINE(PCで16人、スマホで6人まで)やSkype(50人まで)、Facebook Messenger(50人まで)など、既に多くのみなさんが日常利用しているアプリでも可能です。
ただし、LINEやSkype、Facebookは個人アカウントで仕事のグループを作ることに抵抗があるかもしれません。
いずれにしても、移動コスト・時間の無駄を省くためにも、社内だけでなくお取引先様との連絡でもビデオ会議の利用は進むものと考えます。スマホがあればほとんどの場合は対応できますから、新たな投資は必要ありません。まずは取り組みやすい所から試してみてはいかがでしょうか。

やがては「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、いつの間にか3密も許容するようになるかもしれませんが、それには時間が必要です。その間に新しいビジネススタイル・コミュニケーションスタイルは定着するに違いありません。若い世代ではビデオチャットは当たり前、学校でもすぐにオンライン授業が普通になるでしょう。

4月以降、zoomなどのビデオ会議システムやビデオチャットで画面を見ながらの会議や打ち合わせが増えました。新規のご相談でも、コロナの影響で事務所へ来社して対面でのご相談よりビデオ会議を希望されるようになりました。電話で1時間もしゃべると疲れてしまいますが、ビデオ会議なら相手の表情も見えますし自由度も高くストレスは軽減されます。
ご相談のご連絡、お待ちしています。



2020年2月26日水曜日

女性は職場の花ではなく戦力、ジェンダー規範・ハラスメントについて正しく認識するー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

一部上場企業や誰もが知る大手企業でも度々炎上する、ジェンダー表現やハラスメント行為。九州や地方都市ではいまだに男性と女性の性差による役割意識が強く残っていて、地場企業、同族企業・ワンマン社長の会社ではセクハラやパワハラが黙認されているところもありそうです。
就業規則の制定と見直しでも触れましたが、近年ハラスメントの防止については法整備が進み、セクハラ・パワハラ・マタハラ・パタハラなど職場のハラスメントについては厳しく対処するよう求めています。
ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」のページ
厚生労働省は、「明るい職場応援団」という サイトを立ち上げ、さまざまなコンテンツを用意して情報発信・啓発をしていますが、その中のハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」というページが全体像をコンパクトにまとめていますので、一通り目を通されることをオススメします。

社会的な役割に性による差を付けない


パワハラは上司や先輩だけでなく、取引関係でもその優越的な立場を背景とする強要や言動も該当します。どんなことがパワハラになるのかは、ここで細かく書く必要も無いでしょう。テレビ東京系列のドラマBizで昨年放送された「ハラスメントゲーム」では、様々なハラスメントを取り上げていました。Paraviでは今でも見ることができます。
ドラマを見るまでもなくどんなことがハラスメントに当てはまるかはだいたい理解できているつもりだと思います。しかし、実際にはどこまでいっても「つもり」であり、日常的にハラスメント行為を行っていることは少なくないのです。#Metoo運動のような分かり易いパワハラ・セクハラ被害もありますが、ジェンダーに関する言動については無意識に、あるいは気付かずに過ちを犯し、時として大きな問題になります。

無意識の「男は、女はこうあるべきだ」という言動が今ではハラスメントとして責められるのです。皆さんの会社では、「職場のお茶くみは女性の役割」だという暗黙の了解はできあがっていませんか?日本においては「性差による役割の固定化」がなかなか解消されません。国会議員や企業の経営ボードでの女性比率が上がらないのもこの意識が変わらないからだと言われています。
小泉進次郎大臣が育休を取得すると宣言して大騒ぎになりましたが、これが良い例です。年配の政治家は、国会議員は雇用関係ではないから育休はけしからんという言い方をしますが、そもそも「子育ては母親(女)がするものだ」という前提で発言していることを若い世代は見抜いています。 

就業規則の制定と見直しでも書いていますが、ハラスメントについては、それらの言動を行った者について厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知する必要があります(均等法第11条)。

少数派を排除しない


今はLGBTに対する理解も広まり、高校の制服では女子がスカートだけでなくパンツも選べ、男性がスカートを選ぶことを認めるところも出てきました。アンケートの回答欄で性別の所に男性・女性だけでなく「選ばない」「回答しない」などの選択肢を入れることも増えています。少数派を排除しないというのが基本です。

誰もが知る大手企業が作成したネット配信動画CMでも度々炎上しています。視聴者が「男だから」「女だから」こうあるべきだ、という押しつけや役割意識を動画の中に読み取ってしまうと、あっという間にSNSで吊し上げられ炎上となってしまう時代です。
今時「男が化粧するなんて」という発言などしようものなら総スカンです。今やデート代は男が支払うものという事もありません。

女性を戦力として活用するためにはジェンダーについて正しく理解し、 ジェンダー視点を持った経営を心がけることが令和の経営者の常識となるはずです。

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2020年1月30日木曜日

就業規則の制定と見直しー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

イクボス式 会社の就業規則集(2016)
常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないとされています。就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
まず、正社員でもアルバイトでも、労働条件を明示し、雇用契約を結ぶことから始まります。雇用契約を結んだら、労使共に就業規則に従うことになります。

就業規則は、従業員が守るべき事を明示するだけでなく、雇用主の企業もこれを守る義務があります。しかも、就業規則の効力発生時期は、就業規則が何らかの方法によって労働者に周知された時期以降とされています。雇用契約締結時に就業規則を手渡すあるいは会社のイントラネットや社内サーバのファイルからダウンロードして見るなり方法は様々でしょうが、就業規則の存在と内容について確認をとらなければなりません。生命保険の契約やソフトの使用開始時の規約確認と同じです。

最新の法令に準拠した就業規則になっていますか?


近年は、育児・介護休業法の改正や様々なハラスメント行為の禁止に対応するために、また、働き方改革を進めるために就業規則を見直す企業が増えています。
厚生労働省のウェブサイトでは、「モデル就業規則」がダウンロードできますが、昨年(2019年)3月アップされたモデル就業規則は、随分変更が加えられています。労働基準法や各種関連法規の改定を反映させたものです。このモデル就業規則と見比べながら自社の就業規則を見直すと良いと思います。モデル就業規則は、以下の14章68条で構成され、事例と詳細な解説も交えて、全90ページ(WORD版)になります。

第1章 総則
第2章 採用、異動等
第3章 服務規律
第4章 労働時間、休憩及び休日
第5章 休暇等
第6章 賃金
第7章 定年、退職及び解雇
第8章 退職金
第9章 無期労働契約への転換
第10章 安全衛生及び災害補償
第11章 職業訓練
第12章 表彰及び制裁
第13章 公益通報者保護
第14章 副業・兼業

冒頭の写真は、4年前の2016年に、NPO法人ファザーリング・ジャパンが作成した「イクボス式 会社の就業規則集」(編集は高祖常子・ブライト・ウェイが協力しています)ですが、ここで追加や差し替えを提案していた内容も、最新のモデル就業規則にはかなり取り込まれています。
90ページもあるモデル就業規則の中身をここで紹介するのは無理ですので、以下からダウンロードして、是非ご確認ください。

モデル就業規則 (平成31年3月)WORD版
モデル就業規則 (平成31年3月)PDF版

また、パートタイマー用 モデル就業規則も用意されています。

パートタイム労働者の就業規則の規程例 WORD版
パートタイム労働者の就業規則の規程例 PDF版


2020年4月(中小企業におけるパートタイム労働者、有期雇用労働者については2021年4月)より、パートタイム労働者や有期雇用労働者、派遣労働者の待遇について、職務内容、職務内容・配置の変更範囲等を考慮して、通常の労働者との間で不合理な待遇差を設けることは禁止されますので、注意が必要です。

懲戒処分の対象となるのは?


「リスク回避と危機管理」という視点から就業規則で特に注意しなければならないのは、懲戒処分と副業についての部分です。「第12章 表彰及び制裁」では、
表彰及び制裁について、その種類及び程度に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますので、これらについて定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。なお、セクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントについては、それらの言動を行った者について厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知する必要があります。(均等法第11条、第11条の2、育児・介護休業法第25条)
という書き出しから始まります。

第12章第66条「懲戒の事由」の解説文には「就業規則に定めのない事由による懲戒処分はできません」とあります。続けて、「懲戒事由に合理性がない場合、当該事由に基づいた懲戒処分は懲戒権の濫用と判断される場合があります」とも。

第3章の服務規律の例では遵守事項として「しなければならないこと」「してはならないこと」を列記していますが、「その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと」の解釈をどこまで広げるかは曖昧です。例えば、「業務を離れたプライベートな時間に飲酒運転をし、事故を起こした」「匿名でSNSに会社批判を書き込んだ」「不適切な動画を投稿して事業に支障や損害を与えたアルバイト」には懲戒処分を課すことができるでしょうか。
これまで、バイトテロを始めとする世間を賑わした騒動でも「処分について検討中」という報道に留まることが多いのは、就業規則に定めがないため直ぐに処分が決定できず、弁護士や社労士と相談しながら慎重に進めなければならないからでしょう。

業種や業態、自社の位置づけから考えられる「やってはならないこと」があれば、懲戒の対象として就業規則に明示しておく事をオススメします。

副業・兼業を制限するのは難しい


私が就職した当時は、ほとんどの企業で副業は認められていませんでした。しかし現在は「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由である」との判例をもとに労働者の副業・兼業については認めるのが一般的になっています。ただし、労基法 第38条「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とあり、一日・週の労働時間に副業・兼業の労働時間も通算しなければならないため、注意が必要です。
過重労働・超過勤務が原因で事故が起きた場合、 どちらの雇用主に非があるのかが問われることになります。

従業員が問題を起こした際に、なんらかの懲戒処分を課すと明示することは、トラブル発生を未然に防ぐ事に繋がります。
まずは、自社の就業規則が最新の法令に違反していたり最低賃金を満たしていなかったりしないか、上記モデル就業規則をダウンロードして、解説を読みながら検証してみてください。

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2020年1月27日月曜日

従業員のプライベートでの事故・事件ー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

前回、ソーシャルメディア活用の基礎(4)従業員のSNS利用でも少し触れましたが、従業員が職場を離れたプライベートな時間に事故や事件を起こすことも珍しくはありません。
最近では、近鉄奈良駅でホームからホームへ線路を飛び越え、線路に落ちる動画がネットに投稿され物議を醸しましたが、この動画に映っていたのはなんと奈良市の職員でした。酔った勢いでこんな行動に至ったようです。本人だけでなく、奈良市も近鉄に対して謝罪し、職員に対しては処分を検討中ということです。
私も若い頃には(こんな危険ではた迷惑ではないにしても)、いろんな所に登ったり飛び越えたりした記憶もあり、一歩間違えれば人ごとではありません。同じように自分が酔ったときの行動と重ね合わせて、人知れず反省した人は多いのではないでしょうか。

本人に悪気は無くても世間を騒がすことになり、その事案によっては家族や所属企業も世間から非難の対象になることもあります。 誰も見ていないと思っていても、近くにいた人が見たり撮影したりするだけでなく、今は防犯カメラやドライブレコーダーなどに記録されることも増えています。

プライベートな時間の言動については、従業員一人一人に自覚を持ってもらう以外に手の打ちようがないのですが、それでも常に大人の行動を心がける、意識するよう問いかける必要はあります。それが社是であったりミッションステートメントであり、会社の存在意義、仕事の意味と仕事に向かう姿勢を意識できていればそうそう変な行動はしないものです。

それでも事故・事件は起きてしまう


事故や事件は避けたくても、起きるときには起き、望んでいなくても巻き込まれてしまいます。一人で起こした単独の事故や事件の場合と、被害者や迷惑を掛けた人がいる場合とで考えるべき事と対応が変わってきます。単独であれば基本は自己責任ですから、本人のケガの状態や損害状況、罪状などを確認して会社として本人や家族に必要なフォローを検討すれば良いでしょう。
しかし、第三者を巻き込んだ場合(と自殺)には様々なことを考慮しなければならなくなります。事故や事件の背景に、会社での就業環境に問題ありとされることも少なくありません。過労やサービス残業、健康管理やストレスチェック、衛生管理、貸し出した業務用備品(社用車やパソコンなど)の管理状態などが問題視され、雇用主の会社に損害賠償請求や刑事罰が下されることもあります。

プライベートではありませんが、つい先週、深夜に社用車が盗まれ、そのクルマが起こした事故の被害者が車の持ち主である会社に「管理に問題があったために盗まれ、事故に繋がった」と損害賠償請求を起こした裁判の最高裁判決が下されました。高裁では所有者である会社の管理に問題があったとして790万円の支払いを認めましたが、最高裁では一転棄却しました。 
盗難車で事故、管理側の責任認めず 最高裁
実は、このような盗難車での事故により、所有者が訴えられるケースは多いと言います。物損事故はもちろんですが人身事故であった場合、更に感情も含めて複雑になります。

最悪の場合を想定できるか


本人や家族、警察から事故や事件に関わる連絡を受け取ったら、本人や家族のフォローと同時に、本人だけでなく自社についても法的責任、経済的負担・賠償責任、社会的責任 の視点で常に考え、判断しなければなりません。最悪の場合には、記者会見や裁判の準備も視野に入れなければなりません。
最初の知らせを受けたときに、どこまで深刻に受け止められるかで初動が違ってきます。従業員がプライベートな時間に起こしたことだからと他人ごとで済ませていると、あとで大変なことになりかねません。企業が責められるのは、ほとんどの場合初動でミスをしています。
少なくとも、警察から照会があった場合には一大事発生という前提で対処するのが賢明です。少なくとも、過去にこの時点でご相談いただいたクライアント様は、結果大事には至りませんでした。

後から出てくる真実


冒頭に紹介した近鉄奈良駅のできごとは、読売新聞によると
動画をスマートフォンで撮影した友人が「友人限定」でインスタグラムに投稿。短時間で削除されたが、複写された動画が18日になってツイッターなどで拡散したという。
とあるように、友達限定であっても一旦ネットにアップされると広く拡散されるのは、昨年さんざん話題になったバイトテロの時にも同じでした。本来は外に出るはずはないものが、何者かによって公にされたり、後になってSNSに投稿されて炎上したり話題になったりと、時限爆弾や地雷は至る所に潜んでします。場合によっては捏造やフェイクニュースの事もありますが、その場合でもウソであることを証明しなければなりません。

今、企業にはSDGs やESG(Environmental、Social、Governance)重視が求められています。ミッションステートメントが従業員に共有され、企業の存在意義だけでなくそこで働く従業員もそれを共有する一員だと自覚が持てる企業経営こそが、一番のリスクマネジメントに繋がるでしょう。

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2020年1月20日月曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(4)従業員のSNS利用 その2…中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

多くのソーシャルメディアは、誰でもアカウントを取得して利用できます。
前回は、ロイヤリティが低い非正規・臨時雇用の従業員が引き起こすバイトテロについて予防策を書きましたが、今回は従業員が引き起こす間接的な炎上が、自社やブランドに影響を与える可能性について取り上げます。

従業員が個人でSNSを利用することに制限をかけることは事実上不可能です。社会的にも副業を容認する流れの中で、職場を離れた所で何をしているか、どんな時間の使い方をしているかまで制御・束縛はできません。特に個人の趣味の分野については、趣味のために働いているというくらいに重きを置いている人も少なくありません。会社の中では いち従業員に過ぎない人でも、「その世界」では有名人であったり、ネットの世界では別な名前で活動している人もいます。

プライベートな時間の問題


ごく普通の従業員でも酔って喧嘩をしたり、交通事故を起こしたり、最悪なケースでは意図せず薬物や反社会的勢力との関係を持ったり犯罪に巻き込まれるようなこともあります。通常なら、プライベートな時間に起こした過失事故や業務と関わりの無い犯罪だと、所属企業の名前が出るようなことはありません。実際、これまでにクライアントさんの従業員がストーカー行為で逮捕されたり、殺人!で逮捕された際にも、動機や背景は会社と関係の無いプライベートな問題であり、マスコミに社名が出たり会社に取材に来ることはありませんでした(警察から身元確認の連絡があったので、一応最悪の場合に備えての準備はしていましたが)。

しかし、上記のような「別の顔」を持った従業員が、会社以外の場で問題を起こすことも少なくありません。ネットでは匿名で利用できるサービスも多く、別な名前で多くの読者やフォロワーを持つブログやアカウントも存在します。

ネット上の匿名投稿は調べれば……


匿名だから何を書いても大丈夫だろうと安心し、失敗するケースはよくあります。
一つは、自社や上司、会社の業務に対する不平不満・批判などの悪口を匿名で書き連ねるケース。その内容がネット上で炎上したり問題視されて拡散されるようなことになると、会社の評判や業績にも大きな影響を及ぼします。過去には、経済産業省のキャリア職員が匿名ブログで国の施策に対して著しく不適切な内容の掲載を繰り返し行ったとして、停職2カ月の懲戒処分を受けています。
その事件を受けて書いたブログ→ソーシャルメディアでの「不祥事」を未然に防ぐ、一つのヒント
問題のブログ(既に閉鎖)自体は匿名で書かれていたものの、内容が過激だったことでたびたび炎上し、問題視したネット民が素性を暴いてネット上に公表し、発覚しました。

もう一つよくあるのは、クライアント様やお取引先様を批判したり誹謗中傷するような投稿をしている書き込みの主が、自社の従業員であった場合です。ターゲットにされたクライアント様が問題視して投稿者を調べたら、取引先の従業員だということが判明し大問題になるというケースです。取引停止など、取引や業務遂行に影響を及ぼすこともあります。

批判する側とされる側(ターゲット)に雇用関係や取引、業務上の関係などがありながら、「匿名」やハンドルネームでの仮面を被り、(素性を知られることは無いだろうと高をくくって)不平や不満だけでなく第三者的な立場で批判や誹謗中傷などを繰り返す者が少なからずいます。

ネットでの副業が問題になる


副業でアフィリエイト収入を目的にブログやYoutubeチャンネルを開設することも珍しくありません。より多くのアクセスを得るために、時に誤った情報を載せたりあえて炎上するような投稿をしたり、過激な動画や批判を浴びるような不適切な動画を投稿する人もいます。
ブログの場合、アフィリエイト収入を稼ごうとすればブログ主宰者の信用も重要になります。そのため、プロフィールは丁寧に書き込むことが多いのですが、そこに現職の所属先を掲載する人も少なくありません。また、経歴を詐称する人もいます。

このようなプライベートな時間や副業が問題を起こしたり法に触れる行為に至った場合、会社の業務や評判に悪影響を及ぼし損害を与えた場合、どのような対応をするかを明確にしておく必要があります。公務員では業務時間外のプライベートであっても、飲酒運転は懲戒解雇などの厳しい処分が一般的になっています。
懲戒規定を見直し、業務外のプライベートな時間の行いであっても懲戒処分の対象になるということを告知することです。

ソーシャルメディア活用の基礎(1)
ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用
ソーシャルメディア活用の基礎(3)従業員のSNS利用
ソーシャルメディア活用の基礎(4)従業員のSNS利用 その2

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年10月16日水曜日

災害の度に話題になるハザードマップ、正しくチェックしていますか?

福岡市中央区の浸水ハザードマップ

台風19号では全国の広範囲で甚大な被害が出ています。特に大雨による河川の増水・氾濫による被害は大きく、10月16日時点で、全国55河川76カ所の堤防決壊が確認されています。山間の渓流や支流だけでなく、過去にも何度も氾濫をし、十分な対策を取ってきたと思われる千曲川や阿武隈川、多摩川などの一級河川でも今回被害が出ています。荒川が氾濫していれば首都機能も混乱して、災害復旧はもっと困難になっていたことでしょう。

台風19号が九州を直撃していれば…


福岡市では、1999年と2003年に大雨で御笠川が氾濫し、博多駅周辺が冠水して死者を出すなど大きな被害が出ました。当時の雨量は時間雨量で80mm~100mm、累計360mm程度でした。その後福岡市は河川の改良工事を進め、雨水を素早く排水するために排水溝を大型に改良するとともに、地上や地下に雨水を一時的に溜める施設を作るなど多くの対策を講じてきました。その甲斐あってか、昨年の大雨特別警報が出た際にもなんとか大きな被害を出さずに済んだようです。

今回の台風19号や近年各地で水害を引き起こす雨量は1時間100mmを越え、24時間雨量が1000mmを超えたところもあります。地球温暖化の影響で過去のデータが通用しなくなってきています。福岡市の水害対策は主に局地的な都市型の対策で、地表に落ちる雨を早く排出する、あるいは逃がす対応です。しかし、今回の台風19号のように広範囲で大雨が降ると、上流で降った大量の雨を受け入れた主要河川の水量のコントロールはできません。過去のデータをもとに「これなら大丈夫」という事が通用しなくなっているのです。台風19号が九州を縦断していれば、那珂川や御笠川、室見川などが氾濫していてもおかしくありません。

ハザードマップをチェックすると!?


台風19号の水害でも、過去では鬼怒川の堤防決壊や九州北部豪雨・西日本豪雨などの大雨による水害や土砂崩れなどで大きな被害が出ると必ず引き合いに出されるのが「ハザードマップ」です。災害が発生した場所は、いずれもハザードマップで危険性を指摘されていた場所だからです。
今回千曲川の氾濫で被害に遭った長野市の新幹線車両基地も、ハザードマップでは10m上の浸水が予想されるとなっていた場所だそうです。

みなさんはハザードマップで自分の住んでいる場所や職場周辺の危険度を正しくチェックしていますか?例として福岡市周辺のハザードマップをチェックしてみましょう。

まず、福岡市の場合は、市のウェブサイトからダウンロードできる「福岡市浸水ハザードマップ」があります。「区」別に用意されたpdfから中央区を開くと、事務所がある今泉近辺は浸水時に1m~2mに達すると想定されるピンク色に塗られています。
この前提は、「那珂川が、おおむね100年に1回程度起こる大雨(24時間総雨量328mm)によりはん濫した場合および樋井川が、おおむね70年に1回程度起こる大雨(12時間総雨量256mm)により、はん濫した場合想定される浸水」とあります。台風19号が直撃していればこの想定雨量を大きく上回ったでしょう。
福岡市博多区の浸水ハザードマップ
福岡県の御笠川水系洪水浸水想定区域図

















もう一つ福岡県が公開しているハザードマップがあります。
福岡県管理河川の洪水浸水想定区域図について
こちらは行政区別ではなく水系別です。福岡市の博多区を中心に流れる御笠川水系のハザードマップを見ると、浸水予想地域は福岡市のそれとは随分違います。それもそのはず、前提となる降水量が市のそれとはかけ離れています。市の想定は24時間総雨量が御笠川325mm、那珂川328mm、多々良川水系339mmにより氾濫としています。対して県の想定では流域全域に24時間で966mmと市の3倍の降雨量が設定されています。台風19号の豪雨はまさにこの降雨量でしょう。
県のサイトには「想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域の公表」とあります。しかし、この勢いで大雨が続くと今後「想定最大規模降雨」は更に引き上げられる可能性があります。

市のハザードマップだけチェックして安心していると、実は県や他のハザードマップでは浸水地域になっていたと言うことは十分にありえます。何事もその前提や条件を必ず確認することです。水害始め自然災害の備えだけでなく、これから工場建設用地を取得したり社屋を建設するような際には、一つの情報に偏ることなく、複数の情報源から正しい情報を集めて最適な場所を選び、災害にも備えたいものです。

台風19号を機にBCPの見直しを

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年10月13日日曜日

台風19号を機にBCPの見直しを

氾濫をなんとか免れた荒川。河川敷のグラウンドやサイクリングロードは水没

史上最大の台風とも言われた台風19号は、日本の広い範囲で大きな被害をもたらしました。記録的な大雨によって千曲川を始め多くの川で堤防が決壊したり氾濫、越水と水害による被害が目立ちます。
また、広範囲に停電も発生し、1カ月前の台風15号直撃で房総半島全域にわたる大規模停電が長期にわたった事を考えると、経済活動が本格的に再開する連休明けまでに全て復旧するか心配です。

台風は強く大型になる一方


昨年関西に大きな被害を与えた21号、先月の15号、そして今回の19号と地球温暖化の現れと思われる日本近海の海面温度の上昇で、台風が強く大きな勢力を保ったまま日本を襲うようになってきました。
台風だけでなく、ここ数年毎年発生する大雨による大水害。昨年、西日本に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨(西日本豪雨)では、福岡も大雨特別警報(警戒レベル5相当)が発表され、携帯(スマホ)に緊急メールが次々に届き緊張したことを思い出します。那珂川、室見川、御笠川などは氾濫寸前、久留米市は広い範囲で冠水被害に遭いました。
これからも、台風や大雨など自然災害は想定されることです。

BCP最後に見直したのはいつ?


ビジネスでは様々なリスクを想定して準備しなければなりません。2011年の東日本大震災の後に、多くの企業が取り組んだのがBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)の策定です。自然災害や火災、テロ行為など緊急事態が発生した際に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ事業の継続・早期復旧を可能とするための計画を策定しマニュアル化しました。そのときに作成されたBCPでは、自然災害による緊急事態は地震を想定したものが多かったはずです。

本来はBCPも定期的(できれば毎年)な見直しが必要ですが、一旦策定すると安心してそれ以来見直しをしていないという企業も多いと思います。 地震や雨、風による直接被害だけでなく、長期間の停電や通信不通なども想定しなければなりません。交通インフラ・物流の寸断による影響もあります。今回の千曲川の決壊では、北陸新幹線の車両基地が水没し多くの新幹線車両が窓の直下まで水に浸かっている状況も映し出されています。こうなると、明日以降の運行に影響が出ないということはないはずです。

これを機にCPの策定も


さらに、昨年からは公共交通機関で計画運休が広がりました。災害が発生する前から人や物の動きが制限されたり止まったりと、影響を受けます。このような通信や交通インフラ が止まったときの想定はしているでしょうか?
何も的確な手を打たず、指示も出さずに放っておくと重大な危機を招きかねない事象も多く存在します。従業員が業務中に交通事故を起こした、発注した部品が届かない、食中毒を出してしまった、個人情報を漏洩してしまった、店舗に車が突っ込んできた、社長が突然倒れた…

そのような、事業運営上想定できる危機に際して、事前に対応手順をまとめたものがCP(Contingency plan 緊急時対応計画)です。BCPはめったに起きない事態が発生した後の長期的な対応を想定した計画になりますが、CPは日常起こりうる危機に対して瞬発力が求められる準備です。実際の企業運営にはBCPよりもCPの方が実用的で重要とも言えます。

台風19号の被害報道をきっかけに、今一度自社のBCPの見直しをしましょう。 BCP・CPの策定がまだでしたら、これを機に取り組んでみてはいかがでしょう。
もちろん、お声かけいただければお手伝いさせていただきます。

災害の度に話題になるハザードマップ、正しくチェックしていますか?

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年8月27日火曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(3)従業員のSNS利用…中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

ソーシャルメディアでの炎上は、アルバイトを始めとした従業員の投稿が火種の多くを占めます。個人アカウントでの投稿なので、コントロールが難しいことと、アルバイトなどは会社やブランド、雇用主に対してのロイヤリティが低いために、行動の基準が自分優先・自分本位になりがちなためです。

バイトテロ投稿は静から動、
不注意から確信へ


SNSへの不適切投稿による「バイトテロ」は、5年ほど前に一度大きな話題となり、今年になって再び立て続けに発生しています。5年前は単に自己顕示欲で注目を浴びたいなどから、主にTwitterに文字か写真で外に漏らしてはいけないような情報を投稿するパターンが主でした。しかし今年の炎上投稿はほぼ間違いなく動画です。5年前のバイトテロ騒ぎの後に暫く沈静化していた不適切投稿ですが、昨年あたりから主流になってきた「ストーリーズ」のへの投稿が原因のようです。

「ストーリーズ」はFacebookやInstagramの比較的新しい機能で、投稿後24時間で表示されなくなります。公開範囲も指定できるので、友人だけに24時間公開して、あとは見られないという安心感からも利用者が増えているようです。
しかし、Youtubeでもそうであったように、投稿された動画が話題になると、他の誰かがそれをコピーして再投稿するということは容易です。元の動画が表示されなくなっても、削除されても結局多くの人の目にとまることになり炎上に至ります。

5年前のバイトテロは、どちらかというと不注意や悪意のない、いたずらの延長で炎上したようなケースが多かったのに対し、今年のものはいずれも行動自体は確信犯です。バレることがないという前提で不適切な行動を動画に撮影し、身内ウケを狙っています。それだけに悪質と言えます。

不適切な投稿を防ぐには


動機は何であれ、
(1)問題行動を自ら実行し
(2)動画に撮る(撮らせる)
(3)投稿する
3つの段階を経て初めてネットに公開されます。

撮影をする、投稿するという行動を未然に防ぐためには、SNS利用に関するガイドラインを作成し、雇用契約時に確認する事が重要です。短期のアルバイトなどでも仕事場に関する投稿・書き込みをしないという誓約書を取っておくことです。最悪の場合は法的な措置や損害賠償請求の可能性について釘を刺しておくだけでも行動抑止に繋がるはずです。

不祥事を防ぐ根本的な解決には、原因となる「物」を排除するという方法があります。例えばスーパーなどで従業員の現金窃盗や事故を防ぐために、現金を自由に取り出せないレジの導入が進んでいます。入出金を完全自動化する、セルフレジにする、キャッシュレス化を進めるなどは、人手不足も相まって広まっています。
これと同様に、仕事場へのスマホ・携帯電話など(動画)撮影・録音可能な機器の持ち込みを制限するなどは簡単にできます。
精密機器や食品工場などでは、ポケットの無い上下一体の制服に着替えないと入室できないところも普通です。コンビニやファストフード店など、制服に着替えて仕事をする業態なら制服のポケットを無くす(あるいは必要最小限に抑える)ことで、スマホなどの機器の持ち込みは防げます。

そこまでの投資ができないのなら、パイロットやドライバーが乗務前に実施するチェックのように職場に入る際のチェックリストを作成し、毎回チェック(スマホを持ち込んでいない)をするという方法もあります。
しかし、深夜のコンビニやファストフード店のように、一人で全てを担当するワンオペではチェックそのものも無意味になる可能性があります。結局は、ガイドラインの周知徹底ということになるのでしょうか。

夏休みに入り、報道は連日「あおり運転」にフォーカスしていますが、夏休みが終わると再び不適切動画や告発動画が投稿されて注目を集めるかもしれません。もしも自社・店舗での動画が投稿された時には、従業員の不適切な行動や投稿を未然に防ぐための措置を講じていたかどうかが問われます。
今一度、SNS利用のガイドラインの確認、周知徹底を。

ソーシャルメディア活用の基礎(1)
ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用
ソーシャルメディア活用の基礎(3)従業員のSNS利用
ソーシャルメディア活用の基礎(4)従業員のSNS利用 その2

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年7月30日火曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用…中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

前回は、ソーシャルメディアの基本として、代表的なツールの基礎情報を整理しましたが、今回はそれらを利用・運用するときに起こしがちなミス・トラブル、リスクについて整理します。
ソーシャルメディアでのトラブルの行き着く先は、「炎上」です。言い換えれば、炎上の火種を作らない運用が大切と言うことになります。また、ソーシャルメディア炎上の火種は、運営主体が自らの発信で作る場合と、従業員やお客様の投稿による場合があります。本稿ではまず、アカウント運営者としてのリスクについて書いてみます。

企業やお店などが公式アカウントでソーシャルメディアを運用する場合、多くは新商品やサービスの告知、そのほか各種お知らせといった情報提供か、共通テーマでのコミュニケーションを通じたファン・コミュニティ作りの2つに分けられるかと思います。

フォロワーが増えない=人気が無いという評価に繋がるリスク


官公庁や大企業・有名企業のアカウントは前者の運用がほとんどです。提供できる情報が多く、情報自体に価値があるために変な小細工の必要もありません。どちらかと言えば堅め、かしこまった運用で、コメントも制限しているケースが少なくありません。

無名の中堅・中小企業の場合、一方通行の運用ですのでシェアされたりRTされたりと話題にされるためには、提供される情報そのものが魅力的・貴重・楽しい・役立つ・共感できるなど受け手に価値がなければ読んでももらえず、フォロワーも増えません。
誰もが知っている様な企業・ブランド・店舗であれば、名前で検索してフォローされることもあるでしょうが、無名の企業や新しいブランド・お店ではアカウントにたどり着かせるだけでも大変なことです。Facebookページやtwitterで情報発信を始めてもフォローするのは従業員やその家族、身近な友人止まりでせいぜいフォロワーは数十人というアカウントがたくさんあります。こうなると、担当者の心が折れて更新頻度が落ちたりおざなりになったりし、結果フォローを解除する人が増えてますます悪循環に陥ります。

フォロワーが少ないアカウントは、人気が無い・役に立たない・オモシロくない、フォローする価値がないということでもあり、それが企業やブランド、お店の評価にも繋がりかねません。
こういう時に、担当者の上司や経営者が無茶なプレッシャーをかけると、たまりかねて誤った方向の企画や投稿に繋がり、結果炎上に発展することもあるので要注意です。

動画コンテンツの投稿は細心の注意を


ブログや動画のコンテンツは、ウェブサイトに埋め込んだりリンクしたりするだけでなく、情報のアーカイブとしても遡って検索対象となります。数年前に投稿したものでも多数の人に閲覧されることも少なくありません。永く残る前提で内容や表現には注意が必要です。投稿したときには問題が無くても、後に法律や社会情勢が変わり許されなくなるような物や事も少なくありません。たばこに関する扱いなどが良い例です。

ブログであれば不適切な内容や表現があれば修正も可能ですが、動画の場合は一部を修正するのは難しく、削除するか削除後に改めてあげ直すことになります。しかしその動画がネットで話題になったりしてしまうと、すぐにコピーされ再投稿、拡散されたりもします。動画の内容は、そこで何を伝えようとしたのかだけでなく、そこに偶然映り込んでしまった物や音(あるいは音楽)も問題になることもあり、制作時に注意するだけでなく、定期的に内容の確認も必要です。特に、ジェンダーの役割に関する表現やハラスメントとして受け取られるような場面には要注意です。近年では大手企業のネットCMでいくつも炎上に発展しています。

調子に乗らない


一方、ファン・コミュニティ作りが主目的の場合には積極的にコメントを求めたり、コメントに答えたりと担当者に相当なコミュニケーションスキルが求められます。ソーシャルメディアをひとくくりで考えず、FacebookとTwitterに別の役割を持たせるなども有効です。発信する情報も硬軟取り混ぜ(多くは硬よりも軟の方が主)、話題によってはタイムライン上で意見が衝突したりする場合もあります。FacebookやInstagramは、投稿後に編集も可能ですが、Twitterは投稿の編集はできません。一度投稿した不適切なtweetはスクリーンショットを撮られたりし、削除してもその画像がまた「削除されたtweet」として拡散されたりして、更なる炎上を招くこともあります。

世間で話題だからと、自社や自社の扱う商品・サービスとは直接関係の無い話題を投稿する際には要注意です。政治・宗教・差別・ジェンダーに関する話題は、基本的に避けたいものです。特に、どんな話題であっても否定的な意見や指摘をすることは避けましょう。担当者の認識不足やちょっとした言葉足らずな投稿が炎上に発展する可能性もあります。

商品やサービスに合わせたキャラクターを設定して、そのキャラクターの世界観で発信する事もよくされますが、過去には自治体のキャラクターが不適切な投稿をして炎上し、アカウントを閉鎖したケースもあります。コミュニティの参加者(フォロワー)が増えて、運用に手応えを感じ始める頃は特に注意が必要です。

まず運用ポリシーを明文化する


ソーシャルメディアを活用する場合、トラブルを回避するためには運用ポリシーとガイドラインを明文化しておくことが重要です。「発信して良いこと」と「発信してはならないこと」を明確にします。複数人で運用する場合には文書化するだけでなく、全員に周知徹底することも同時に行わなければ意味がありません。定期的な勉強会やチェックリストを準備するなども必要です。
流行だから、お金が掛からないからとソーシャルメディアをスタートする事も少なくないでしょう。しかし、それだけに行き当たりばったりや担当者の意欲・スキルに依存し過ぎて、いつの間にか企業やブランドから離れていってしまうこともあります。そうならないためにも、既に運用中のアカウントに対しても運用ポリシーやガイドラインを整備する事をオススメします。

ソーシャルメディア活用の基礎(1)
ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用
ソーシャルメディア活用の基礎(3)従業員のSNS利用
ソーシャルメディア活用の基礎(4)従業員のSNS利用 その2

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年7月19日金曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(1)ー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

初めて聞く社名や新たに取引を開始する企業などは、かつてなら帝国データバンクや東京商工リサーチに問い合わせをし、企業データを取り寄せたりしていました(しかも有料で)。しかし、今ではネット検索でどのような会社か、どんな評判かある程度まで簡単に調べられます。そのため近年、企業は自社の事業や商品・サービスを紹介するためにウェブサイト(ホームページ)を持つことは常識になってきています。自社サイトを持っていないと社名が同じというだけで別な会社と間違われたり、あらぬ疑いを受けることもあります。実は株式会社ブライト・ウェイは他にもあり、そのうちの1社は2chでもスレッドが立っていたこともあり、一時期 間違いの問い合わせが来たこともありました。
2017年には、東名高速のあおり運転で追突事故の原因を作ってしまった容疑者の名前と同じというだけで、誤った情報を信じた人から嫌がらせを受けた工務店がニュースでも取り上げられました。


東名高速追突事故の二次被害、デマによる嫌がらせや営業妨害から考えるホームページの重要性 

企業アカウントでソーシャルメディアを活用する


最低限の情報提供ツールとして自社サイト(ホームページ)を持ったとしても、基本的にはアクセスを待つことしかできません。そのため、SEO(検索エンジン最適化)やリスティング広告を駆使するなどしてサイトの訪問者を増やす努力をします。しかし、それにしても辿り着いたサイト上では一方的な情報発信に留まります。

そこで企業でも活用が増えているのがソーシャルメディアです。アカウントにたくさんのファン・フォロワーが付けば、そのファン・フォロワーに対してこちらから情報発信・コミュニケーションが可能になります。ソーシャルネットワークサービス(SNS)のFacebookやTwitterなど多くのプラットフォームは無料でアカウントを開設でき、利用開始も簡単です。しかしその分スタートする前に十分な準備も必要です。

企業が活用する主なソーシャルメディアは、

1,ブログ
2,Twitter
3,Facebook
4,Instagram
5,LINE
6,Youtube

等があります。順に特徴を簡単に整理してみます。

1,ブログ
写真や図・グラフなども駆使しながら、専門的なノウハウを提供するのに適しています。ブログの専門性のある記事コンテンツは検索対象にもなり、ブログが強力な営業ツールとなっている企業も少なくありません。社長のブログや担当スタッフのブログなどは読み物として固定ファンを持つ場合もあります。
AmebaココログBlogger(このブログはこれです)などのプラットフォームを利用すれば無料で開設できますが、運営会社の都合で閉鎖になったり利用制限が掛かるリスクもあります。自社サイト内にCMS(コンテンツ管理システムContent Management System)で構築するのが望ましく、ブログの更新によりサイトの充実も図れ、結果として検索エンジンに対するサイトの評価を上げることに繋がります。

2,Twitter
アメリカのトランプ大統領が利用していることで有名です。投稿できる文字数に制限(日本語では140文字)があるため、文章は簡潔を求められます。投稿はtweet(つぶやき)と言い、Twitterの最大の特徴はRetweet(RT リツイート)機能。気になるtweetや他のみんなにも知って欲しい情報があればRT(拡散)され、多くのフォロワーがいるアカウントがRTすると、意図せずあっという間に広がることもあります。一度投稿したtweetは修正がききません。削除は可能ですがRTされた物までは削除できないので、企業アカウントではより慎重に運用する必要があります。本人確認がないので、なりすまし(偽)のアカウント(企業でも)も多く存在します。
また、フォローは承認制ではなく、フォロワーが一方的に気になるアカウントをフォローするだけの繋がりです。知り合いでなくても勝手にフォローします。有名人以外では、フォローの決め手はプロフィール欄が重要になります。趣味や関心事が同じとか、フォローする理由がなければフォローしません。
利用者のタイムライン(ホーム画面)には、フォローした人のtweetがリアルタイムで流れていきます。多くのアカウントをフォローしていると、タイムラインはどんどん流れていくので保存性に乏しく、注目されないtweetは直ぐに過去のものになります。
アカウントの運用は、硬派(情報発信型)と軟派(キャラクター型)に分かれ、官公庁はほぼ硬派運用です。軟派の運用では、伊藤ハムの「ハム係長」や加ト吉のうどん部長(退職)も有名です。硬派運用アカウントはその発信する情報にフォロワーがつき、軟派運用ではそのキャラクターの言動にファンが付きます。こそだてではキャラクターのムーがつぶやいていますが情報発信型です。
Twitter内では検索も可能で、通常の検索エンジン同様&検索など絞り込みもできます。#(ハッシュタグ)を使ったグルーピングはイベントの情報共有や#Metoo運動のようなキャンペーンで有効です。

3,Facebook
こそだてFacebookページのヘッダ
企業の場合は、Facebookページ(スタート当初はFunページと言っていました)での運用になります。ページ情報にはかなり詳細な情報が登録可能です。個人商店などはウェブサイトを持たず、Facebookページをホームページ代わりに運用しているところも少なくありません。
Facebookページの投稿は、そのページに「いいね!」してくれた人にしか表示(リーチ)されず、しかも現状では表示されるのは「いいね!」してくれた人の1割以下という状況です。「いいね!」してくれた人が1万人いても、その人たちに表示されるのは1,000人にも届きません。その投稿が役に立つとか、みんなに知らせたい内容であれば、TwitterのRTに相当する機能として「シェア」があります。その投稿に「いいね!」や「シェア」が付けばリーチが広がります。
現在、こそだてのFacebookページの「いいね!」は8,000を越えていますが、リーチは投稿によって少ないと500程度から、多いときで3,000前後と幅があります。
しかし、これからスタートするのであれば、まず何よりもページの「いいね!」を獲得するのが容易ではありません

4,Instagram
画像・動画投稿を中心としたソーシャルメディアです。2017年に新語・流行語大賞を獲得した「インスタ映え」も記憶に新しいかと思います。羨ましがられるような写真や驚きの写真、美しい映像がこぞって投稿されています。Instagramは映像が主役で、文章は説明・補足です。Twitter同様に、検索機能がありますが、検索対象は3つ。人物(ピープル)とタグ(#)、スポットの3つの検索です。検索窓にワードを書き込むと、その3つから検索履歴を参考にオススメがまず表示されます。
twitterと違い全文検索ではないので、文中に#(ハッシュタグ)付きのワードを入れることでタグ検索が可能となり、#○○○で検索して美しい場所やインスタ映えする食べ物を探します。
突然外国人が多く訪れるようになった観光スポットなどは、Instagramがきっかけという事は少なくありません。例えば、これから福岡を訪問しようとする観光客が、#fukuokaで検索して出てくる画像の中から「これは!?」というところを見つけて訪問したり、再度詳細をGoogleで検索したりといった流れです。Instagram自体にはRTやシェアといった拡散機能はありません
Instagramを運用する際には、映像としての「世界観」の統一と、テキストに入れる#キーワードが重要になります。フォロワーを増やすには映像の世界観(に加えられる情報)のファンを増やすこと、検索で見つけてもらうには、#キーワードを多く入れることが重要になります。

5,LINE
LINEは個人間やグループ間でのコミュニケーションツール(トーク)としての利用が中心です。トークに表示されるためには、友達にならなければなりません。LINEの公式アカウントを取得(無料・有料)するのはもちろん、友達登録してもらうための施策が必要です。飲食店などでは、友達になると割引や特別サービスのような特典を付けてメニューやSHOPカードにQRコードを載せて勧誘したりしています。
友達登録してもらえれば、通常のトークと同じようにメッセージを配信できるようになります(プランによって配信可能数などが異なります)。
スマホが普及する以前、ガラケーで空メールを送らせてメールアドレスを取得していたのと同じと思えば良いかと思います。

6,Youtube
Youtubeについては、2つの使い方があります。1つはチャンネルとして多くの視聴者を獲得する使い方。いわゆるYoutuberといわれる人は、多くのチャンネル登録者を持つ人たちです。1回動画をアップすれば、すぐに数万人が動画を見るというYoutuberも少なくありません。しかし、Youtubeでも他のソーシャルメディア同様、役に立つ動画、面白い動画など「観たい」と思わせる動画を次々アップし続けないとチャンネル登録してくれません。Youtubeの企業アカウントでチャンネル登録が多いのは、CMを制作できる大企業がほとんどです。他では、料理レシピやガーデニング、釣りなどの分野に特化したノウハウを提供しているチャンネルです。
もう一つは、チャンネル登録者を増やすという目的ではなく、自社のウェブサイトや他のソーシャルメディアに動画をアップするのを主目的とする運用です。社長のご挨拶動画や新商品の解説、使い方マニュアルなどをサイトに埋め込むような使い方です。管理画面で公開範囲やコメントの可否なども選べます。
動画は写真や文字とは比べものにならない情報量を持ちます。それだけに、撮影場所・背景、服装や表情、さらには音(BGMを入れる場合には著作権)などにも十分チェックする必要があります。

他にも、最近若者に利用者が増えているTikTokや今やソーシャルゲームのプラットフォームとなってしまったmixi、あるいはビジネスに直接影響する口コミサイトでもある価格.comや食べログなどもありますが、ここでは割愛させていただきます。
ソーシャルメディアを活用する際に重要なのは、誰に向かって何を発信するのか?どういうコミュニケーションをとるのかということです。ソーシャルでもメディアですからコンテンツが重要なのは言うまでもありません。

21日投開票の参議院選挙でも、各政党・候補者はソーシャルメディアを駆使して戦っているようです。 

SNS選挙様変わり 動画作成や投稿、候補者自ら工夫

ソーシャルメディア活用を考えるときには、天国と地獄の境にいる候補者くらいの本気度を持って取り組まなければ、良い結果が出るはずはありません。
次回は、ソーシャルメディアの運用リスクについてまとめます。

ソーシャルメディア活用の基礎(1)
ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用
ソーシャルメディア活用の基礎(3)従業員のSNS利用
ソーシャルメディア活用の基礎(4)従業員のSNS利用 その2

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)


2019年7月12日金曜日

経営TOPにもしものことがあったらー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

代表取締役社長ジャニー喜多川に関するご報告
7月9日、ジャニー喜多川さんがお亡くなりになり、テレビのニュースはこの話題でもちきりでした。
50年以上にわたり日本の芸能界に影響を持ち続けたプロデューサーでありヒットメーカーの死は、日本の芸能界にとって衝撃であると同時に、株式会社ジャニーズ事務所という企業にとっては代表取締役社長の死でもあります。 社内においてもジャニー喜多川さんは絶対的、偉大な存在であることは間違いないでしょう。
ジャニー喜多川さんがここまでお元気でおられたことと、所属タレントの口からジャニーさんとの会話や多くの逸話が語られることから突然の感じはありますが、87歳は通常ならとっくに一線を退いていても不思議ではない年齢です。2017年の男性の平均寿命は81.09歳ですから、近い将来には体調不良で一線を退くことを想定して準備をされていたことでしょう。会社経営という面での実務は既に副社長以下で組織的に動いていたはずです。

後進の指導やプロデュースには、滝沢秀明さんが2018年でタレント活動を終了しプロデュース業に専念すると発表し、今年新たに興された関連会社・ジャニーズアイランド社長に就任するなど、次世代へバトンを繋ぐ準備は進められていました。 このように、株式会社ジャニーズ事務所にとって代表取締役社長の死去は想定内のできごとであり、これから事前に準備されていたシナリオに沿って淡々と様々なことが進められると思われます。

権限の承継とバックアップ


映画では、アメリカ大統領が暗殺された、あるいはそれに準じる事件が発生した際には、大統領権限が副大統領、下院議長へと順に継承される場面が描かれることがあります(「ホワイトハウス・ダウン」など)。日本でも、「シン・ゴジラ」では総理他多くの閣僚が亡くなり、農水大臣が内閣総理大臣臨時代理として就任しました。このように、国家や地方自治体、大企業ではTOPにもしものことがあった際の権限の承継について、明確に規定されています。しかし中堅・中小企業では、そのような権限の承継について明文化しているところはほとんどありません。

企業の代表が突然死亡した例で記憶に残っているのは、日航機墜落事故で亡くなった阪神球団の小津社長。任天堂の岩田社長も社長在任中に胆管腫瘍のため55歳という若さで亡くなっています。しかし、阪神球団は阪神グループ、任天堂はもともと山内家の同族経営から岩田社長を中心とした集団指導体に代わり、前年にも一度手術・入院、その後療養などで社長不在でも支障なく会社運営できる体制ができていました。

ところが、中堅・中小企業の多くはオーナー経営。創業者・オーナーに権限も情報も集中しているところがほとんどです。 そんな企業で、TOPにもしもの事があったら?皆さんの会社のTOPが事故で亡くなったり、心臓や脳疾患で倒れたり、あるいは出張先で行方不明になったり…… そんなときに慌てることなく会社運営は継続できますか?

コンティンジェンシープラン(CP)の策定


コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)とは、その策定対象が潜在的に抱える脅威が万一発生した場合に、その緊急事態を克服するための理想的な手続き、手順を決めたものです。 企業活動では、社長が出張先で事故に遭ったとか、工場から出火したなど、様々なリスクやトラブルが想定できます。それらを事前に拾い出し、万が一発生した際の対応について、手順や取り決めを文書化しておくのです。特にオーナー企業やTOPに権限が集中している企業では、経営TOPを対象としたコンティンジェンシープランの策定が必要です。オーナーに想定外のもしもというのが一番のリスクです。想定外を想定内にしておかなければなりません。

今日、SNSで「亡くなった夫のスマホのパスワードが分からなくて開けない」という投稿がありました。PCやスマホには重要な情報が詰まっているため、パスワードや生体認証でセキュリティをかけますが、反面そのPWを知る人がいなければ開けなくなって情報が取り出せなくなるリスクもあります。
個人の頭の中にしかない情報や未整理な情報を整理保管するのに参考になるのは、「エンディングノート」や「もしもノート」として販売されている整理ノートです。パスワードや暗証番号を記すページもありますし、他にも整理すべき項目の参考になります。
時間があるときに少しずつ整理し、「もしもの時にはここに」と厳重に保管するか誰かに託しておくこともあわせて検討しておきましょう。

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-目次に代えて(まえがき)



2019年7月10日水曜日

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-まえがき

これまで、世の中で注目された事件や謝罪会見などを題材にブログを書いてきました。それは引き続き取り上げながら書いていこうと思いますが、一方で一貫したテーマで少し整理しながら書いていこうと思い立ちました。


コーポレート・ガバナンスからレピュテーション・マネジメントへ 


近年、企業の不祥事や問題発生を回避するという時に必ず出てくる「コーポレート・ガバナンス」。謝罪会見でも何度も聞いた言葉です。ウィキペディアによれば、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組みとあります(これも日経連「我が国におけるコーポレート・ガバナンス制度のあり方について」からの引用)。企業統治と訳されますが、ガバナンス=統治は権力やルールで押さえつけるイメージで私は好きではありません。特に、中堅・中小企業においては下町ロケットの佃製作所のように同じ志を持ち、同じ目的・目標に向かって一丸となって前向きに進みたいものです。

そして、こういう話題で必ず登場するもう一つの言葉は「コンプライアンス」。法令遵守と訳されることが多いですが、私は「消費者や社会の期待に応えること」と捉えています。

そこで、私は「統治」や「法令遵守」という「~でなければならない」ではなく「他者の目や期待」を意識し、「自らを客観的に見る」事で自立的に判断・行動する「Reputation Management(R) レピュテーション・マネジメント」を提唱(2001年に商標登録)しました。あらゆるステークホルダー(利害関与者)とのコミュニケーション・リレーションシップを良好に築き、最適化することがReputation(評判)を高く維持し、結果、企業業績の最大化にも繋がると考えています。

取り上げるテーマ


これまでご相談いただいたテーマや世の中で頻繁に起こっているトラブル、これから問題が多発しそうな隠れたリスクなどを順に拾いながら進めたいと思います。順不同ではありますが、以下のようなテーマを考えています。

雇用契約・就業規則
SNS・ソーシャルメディア
・法人登記や商標・特許など
ジェンダー規範、ハラスメント
経営者の死亡・入院・誘拐など
・安全管理・衛生管理
自然災害とBCP
従業員のプライベートでの事故・事件
・火災・盗難
・社会保険
・個人情報の取り扱い
・不祥事
・品質管理とクレーム対応
SDGs(持続可能な開発目標)の視点
など

危機的状態に限らず、好ましくない事象の発生確率を下げ、実際に発生した際の被害を最小限に留めるための準備と対応について整理できればと思いますが、私は法律や会計の専門家ではありませんので、そういった専門分野についてはリスクの拾い出しと注意喚起程度にとどめさせていただきます。また、投資リスクなどの経営判断についても言及しません。

「好事魔多し」といいます。業績が好調なとき、あるいは新規事業やプロジェクトに目処が立ちそうなときなど、思わぬトラブルに見舞われがちです。そんなトラブルを起こさぬよう、巻き込まれないよう、そして起こってしまっても慌てないよう、準備と予習に役立てていただければと思います。

これから不定期ではありますが、順次アップしていきたいと思います。