2013年7月27日土曜日

親会社”花王”の株価まで下げてしまったのは

カネボウ化粧品が7月4日に公表した美白化粧品の自主回収
当然、親会社の花王の危機管理部門のバックアップも受けながら対応は進んでいるはずです。
過去に私が対応したクライシスの中に、一部上場の大企業の子会社が関係する事案がありました。その時には、発覚後間髪を入れず親会社の危機管理室からベテランの専門家が現場に送り込まれ、一緒に事の収束に当たりました。非常に頼もしかった一方、スタンスの明確な違いにも驚いたものでした。彼らのミッションは、親会社本体への影響を最小限に抑えること。もっとはっきり言えば、一切親会社の名前を出さずに収束させることです。

カネボウ化粧品でも、花王のクライシス対応の専門家が発覚当初から一緒に対応し、7月4日の時点では既にあらゆる事(最悪の事まで)を想定したうえの公表。その後は発表前に想定した範囲内で粛々と収束に向けた作業が進むものだと思っていました。
ところが23日に新たにカネボウ化粧品から公表された

お詫びと自主回収発表後の状況、並びに弊社の対応について(第2報)

では、10万人を超えるお客様より自主回収についての問い合わせがあり、「白斑様症状」を含む不安の声は6,808名(7月19日現在)より寄せられ、そのうち「3箇所以上の白斑」「5cm以上の白斑」「顔に明らかな白斑」のいずれかの症状について申し出があった方が2,250名に上っていると明らかにされました。

この発表が、23日の東京証券取引所の取引時間終了後であったため、24日は朝から大きく花王の株価を下げることになりました。7月4日、最初の公表時にも下げていますが、24日の下げ幅はそれを遙かに上回っています。

7月24日までの1ヶ月間の花王の株価の動き 25日Yahoo financeの画面キャプチャ



市場がこれほど大きく反応したのには、いくつかの理由が考えられます。

まず、被害者の数が想定を越えていたこと。それに伴い、カネボウ化粧品だけでなく親会社の花王の業績への影響が避けられないと見られたのでしょう。

次に、7月4日公表時にある程度収束の目処が立っていたと期待していたのに、そうではなかったという失望感とディスクロージャーに関する消費者の厳しい目もあるでしょう。24日、阿南久消費者庁長官が「もっと早く公表すべきだった」と対応を批判しました。それを伝える報道によると、5月13日の時点で、カネボウ化粧品には美白化粧品で肌がまだらに白くなる症状の情報が3人から寄せられていたとされます。
5月13日の時点で公表し、回収には踏み切らないまでも使用中止を呼びかけていれば、さらなる被害の拡大は防げていたはずです 何故50日も公表しなかったのでしょうか?
これでは、旧茶のしずく石鹸の小麦アレルギー問題と同じ展開です。

重ねて見ている人は多いでしょう。

花王は、5月13日を起点にいつこの件を知ったのでしょうか?
今放送中のNHKのドラマ「7つの会議」のように、組織ぐるみ、あるいは誰かが不祥事を隠そうとしたのでしょうか?
カネボウ化粧品の関係者と組織はどのように振る舞ったのでしょうか?
花王の株を下げたのは、カネボウ化粧品なのか花王自身なのか?
知りたいところです。いえ、いずれ真実がわかるでしょう。

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2013年7月5日金曜日

カネボウ、美白化粧品の自主回収発表

参院選の公示日の7月4日※、カネボウが美白化粧品の自主回収を発表しました。

お詫びと自主回収についてのお知らせ

美白化粧品の使用によって、肌がまだら状に白くなる被害情報が39件あったということです。うち14件は既に回復し、15件は治療中。使用を止めれば回復するということがわかっているようです。ということは、昨日の発表に至るまで、最初の被害報告(あるいは問い合わせ)からかなりの月日が経過していることが想像できます。

同じような例では、旧茶のしずく石鹸の小麦アレルギー問題を思い出します。詳細は国民生活センターのレポートにありますが、事業者は厚生労働省の報告に基づき購入者に対してDMによる注意喚起はしたものの、一般公表・回収をしなかったために認知が遅れ、そのために症状の悪化や発症を招いています。厚生労働省の連絡から自主回収の公表まで、7ヶ月かかったことが被害を拡大させたと非難されました。

カネボウの 美白化粧品の被害についても、自主回収発表に伴い被害者が増えることは予想されます。会社はこの事実をいつ確認したのか、どのくらいの期間使用したら発症するのかなどが明らかではありませんが、会見では「治療費や補償については誠意を持って対応する」としています。
原料に問題がある可能性が否定できないとなった時点で公表するのが一番ですが、今回の公表・自主回収発表のタイミングが早かったのかそれとも遅かったのかは、これからの経緯と報道をみないとわかりません。現状では被害者から「逃げる」姿勢は見られないので、被害者との間で必要以上に感情的に向き合うようなことは無さそうです(とは言っても、肌は女性の命。顔がまだら状になったりしたら、感情的にならないはずもないですが)。旧カネボウの粉飾決算で会社の解体、化粧品部門は花王の傘下に入って立て直しを進めていた矢先のこと。よもや同じ過ち(嘘をつく、逃げる)は繰り返さないと思います。
これからは、カネボウだけでなく、花王グループとして事態の収拾にあたることになるのでしょう。意外とマスコミで取り上げられることは無いまま、静かに収束するような気もします。 

自主回収や治療・補償 費用に数十億円の費用が発生するばかりでなく、ブランドへの信用・信頼も揺らぎかねません。さらには他のメーカーの美白化粧品についても、同様の問い合わせや不安が広がる可能性もあります。他のメーカーでも問い合わせへの準備が必要でしょう。
もちろん、福岡にも多い化粧品や健康食品の通販各社にとっては他人事では無いはずです。

それにしても、問い合わせ電話(フリーダイヤル)の受付時間は、当面の間は24時間受付とするべきではないでしょうか。

※悪いニュースを公表する際に、相対的な扱いを小さくするために大きなニュースがある日や休日に合わせる戦術を採ることがあります。今回の発表のタイミングが、そのために遅らせたり早めたりしたのではない事を信じたいものです。

とうとう親会社の株価にまで影響が出てしまいました。
親会社”花王”の株価を下げてしまったのは

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参院選ネット選挙スタート-福岡の候補者は?

いよいよ参院選が4日公示され、初めてのネット選挙もスタートしました。


早速、「参議院選挙を知る!」というブログも立ち上がっています。福岡選挙区からの立候補者は6人。福岡の候補者一覧ページ があり、ここからそれぞれの候補者の関連ニュースや経歴などをまとめた簡単なページを閲覧できます。
今、選挙に限らずまとめサイトがたくさん立ち上がり、影響力を増しています。これからもこのようなまとめサイトはたくさん立ち上がるでしょうし、個人のブログでも整理されていくことは容易に想像が付きます。

7月4日午前時点 数字はフォロワー数 50音順
そこで、7月5日朝時点での各候補の主なNETの取組について簡単に調べてみました。

 候補者は全員、ホームページは開設していました。しかし、それ以外の取組はばらばらです。
Facebookにつては、個人のアカウントページをそのまま活用している候補者が3人、選挙のためにFacebookページを立ち上げている候補者が2人。松山候補は自身のページではなく、「応援する会」として立ち上げられたもので、1人称と3人称が入り交じったページとなっています。
Twitterの利用は意外にも3人だけ。いきなりアカウントを取って始めても、フォロワーの獲得には苦労しますから、今回の選挙のために取ったのではないかもしれません。
ブログは政策や主張を日々のニュースや出来事と共にじっくりと文章にまとめられる場です。それだけに労力もかかるし始めるには覚悟がいります。ブログの公開は3人でした。
YouTubeについては、本人のホームページやFacebookで公開しなくても、いずれ周辺からどんどんアップされるでしょう。

今のところ、どの候補もNETの活用は、日々のスケジュールの告知と活動報告程度に留まっています。今後、候補者のページ上ではない所(2chやTwitter、Facebookなどのソーシャルメディア上)で、どんな情報が飛び交うのかはわかりません。解禁されたNET選挙では、落選運動も認められています。落選コムというサイトも立ち上がっています。落選コムには「落選運動の鉄則」が示されていますが、その4に「正々堂々と主義主張を議論で戦う」とあるように、NET選挙の本質はここにあります。
NETを、単なる告知ツールにとどめることなく、政治に対する議論の場として活用した選挙を期待したいものです。

7月16日追記

2013参院選の選挙期間の山場、3連休を終えたところで、再度各候補のネットでの活動をチェックしてみました。そこで前回、吉田候補のFBページを見落としていたことが判明いたしました。7月4日時点でのフォロワー数がわかりませんが、開設は4月28日でした。お詫びして修正いたします。

7月16日昼の時点
 各候補のネット活用は、ほとんどスケジュールの告知と「毎日頑張っています」という報告に留まっています。ブログについては、活動報告や雑感以外に、政策やあるテーマについての主張を展開するものもあり、唯一読むべき物と言えるかもしれません。TwitterやFBページのフォロワー数も、それぞれ増えてはいますが(候補によっては倍くらいに伸びていますが、絶対数が大きくない)どの候補も大きく伸びたとは言い難いでしょう。

選挙区が福岡県全域と広いため、多くの有権者にとっては 選挙戦といっても候補者と握手したり演説を生で聴く機会はほとんどなく、選挙カーさえ見ないままで投票日を迎えるのではないでしょうか。ネットは有効に利用すれば、「生の選挙活動に接することができないが、ネットを普段から利用している」有権者にアプローチすることも可能なのに、今のスケジュール告知だけでは話題にもなりません。残り5日、このまま話題にもならないネット選挙活動が続くのでしょうか?

7月22日追記
上記の状態はそのまま変わらず、どの候補も有効なネットの活用をすることなく選挙当日を迎えた結果は以下の通りです。