ニュースリリースを書く場合にはいくつかの基本となる注意点があります。その一つが、業界用語や専門用語は使わない、できるだけ平易な言葉で書くというもの。カタカナ言葉もできるだけ使わないというのが基本の「き」といえます。
それなのに、大手出版社のリリースでありながら、今時のカタカナ言葉を見つけてしまいました。リリース本文にあった「エビデンスのしっかりした記事」という部分です。 エビデンス(evidence)は、医療や医薬分野で主に使われる用語です。あるいは科学や取引の証拠を示す場合などに使われますが、昨年の「ウェルク」事件まではほとんど一般的には知られていない言葉です。逆にIT系では早速頻繁に使われるようになった感はあります。それだけに注釈も無く、よくネットの「あるある」で揶揄される「なんとなくカッコイイでしょ?」的な空気を感じ取ってしまいます。
ニュースリリースは、基本的にはマスメディア向けの情報提供として書かれています。本来であれば、それを見て取材をして欲しい、記事に書いて欲しいのです。リリースは素材に過ぎず、2次加工された露出を期待している訳です。大きな案件であればマスコミ向けの発表会やイベントを実施することもありますが、そこまで力を入れるケースは極限られます。そこで、できるだけ効率よく露出を確保しようと今時のニュースリリースは、PR会社によってネット配信されるのが普通です(このリリースもそうでした)。しかし、PR会社によりネット配信されると、多くの場合は取材されることなく複数の提携サイトにそのまま、一言一句変更されずに掲載されます。
「海老でんす」「スキー無」「混線さす」他にもいっぱい
今回のこのリリース(ニュース掲載記事)を読んで、どれだけの人がエビデンスを理解できたのか疑問です。
「海老でんす?」って頭の中に海老の映像を浮かべた人もいるかもしれません。同じように、「スキーム」も決算発表記者会見などではよく出る言葉ですが、これも「スキー無?」という人も多いでしょう。「コンセンサス」だって頭の中で「混線さす」と勝手に置き換えている人もいるでしょう。
休止を発表したリクルートR25(残念)の記事にも、「日本語で言え!不快カタカナ語1位」というのがありました。因みに「エビデンス」は3位でした。
この記事から以下引用して不快カタカナ語10位までをご紹介します。
1位 コミットメント(約束、集中する)日常会話でも不快に思われているカタカナ言葉、よもやリリースに使うことのないように。
2位 ユーザー(利用者、消費者)
3位 エビデンス(証拠、確証)
4位 スペック(能力、性能)
5位 アジェンダ(議題、課題)
6位 コンセンサス(合意)
7位 フィックス(決定)
8位 ジャストアイディア(思いつき)
9位 シェア(共有)
10位 ペンディング(保留、中止)