神戸製鋼のデータ改ざんが明るみに出たあとのブログ、
歴代「申し送り」がある組織は、いずれ問題が表面化する
でも指摘していましたが、経営の目の届かないどこかに現場だけで申し送りされている不正が、いたるところに時限爆弾のように眠っている可能性があり、その時限爆弾が東レでも破裂したのです。
4年前のバナエイエビ≠芝エビ偽装から始まった
メニュー不適切表示を彷彿とさせる
ここで思い出すのが4年前、ちょうど今と同じ頃に立て続けに明るみに出た、ホテル・レストランのメニュー不適切表示です。
雪崩をうつホテルの不適切表示(誤表示・偽装)発表
実に多くのホテル・レストランがこの時とばかりに不適切表示を公表しました。ホテル・レストランでは、11月の3連休、年末年始のお歳暮やクリスマス・お正月商戦を睨みながら公表のタイミングを謀っていた節があります。この4年前の例を見ていると、これからもまだまだデータ改ざんの公表が続くのではないかと思えてしまいます。
東レハイブリッドコードでは、1年以上前からこの不正について把握していたのに公表していませんでした。しかし、ネットで不正を指摘する書き込みがあり、公表せざるをえなくなったと東レの日覚昭広社長が謝罪会見で述べています。ネットの指摘が公表のきっかけになったのでしょうか。それとも文春が記事にしたからでしょうか。ひょっとしたら、ネットにも文春にも載らなかったら、そのまま公表しないままだった可能性もあります。
今回の不正の舞台となった業種カテゴリーは、素材を中心とするメーカーです。B2Bの取引で、直接のお客さまは消費者ではありません。しかし、タカタのエアバッグの時と同じように、最終的には消費者にその被害が及ぶ可能性があるのです。にもかかわらず、個別取引先との間だけで問題をうやむやに片付けようとする様子がうかがわれます。メーカーの場合は個別取引なので公表しなければ知られることは無いと高をくくっているのかもしれません。それでも、ネットで、SNSで、個人が情報発信できる時代となり、いずれ不正は明るみに出てしまいます。
ホテル・レストランの場合は一般消費者の消費行動を睨みながらタイミングを謀って、赤信号みんなで渡れば怖くないと一斉に公表に踏み切った感じでした。経団連会長の榊原定征氏の出身企業でもある東レのトップが謝罪会見をしたことで、これに続く企業の公表、謝罪会見も大きく取り上げられることはなくなるかもしれません。今回も、大手に注目が集まっている間に公表のタイミングを見極めようとしている企業がたくさんあるでしょう。文春砲に続き、新潮砲や日経砲もあるかもしれません。年内は同じようなデータ改ざんの公表が続く可能性があります。
隠し続けることが難しい時代。公表が遅くなればなるほど、最終消費者を危険にさらしたとの批判が大きくなり、その後の信用修復が難しくなるということを認識しなければならないのです。
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