2019年10月13日日曜日

台風19号を機にBCPの見直しを

氾濫をなんとか免れた荒川。河川敷のグラウンドやサイクリングロードは水没

史上最大の台風とも言われた台風19号は、日本の広い範囲で大きな被害をもたらしました。記録的な大雨によって千曲川を始め多くの川で堤防が決壊したり氾濫、越水と水害による被害が目立ちます。
また、広範囲に停電も発生し、1カ月前の台風15号直撃で房総半島全域にわたる大規模停電が長期にわたった事を考えると、経済活動が本格的に再開する連休明けまでに全て復旧するか心配です。

台風は強く大型になる一方


昨年関西に大きな被害を与えた21号、先月の15号、そして今回の19号と地球温暖化の現れと思われる日本近海の海面温度の上昇で、台風が強く大きな勢力を保ったまま日本を襲うようになってきました。
台風だけでなく、ここ数年毎年発生する大雨による大水害。昨年、西日本に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨(西日本豪雨)では、福岡も大雨特別警報(警戒レベル5相当)が発表され、携帯(スマホ)に緊急メールが次々に届き緊張したことを思い出します。那珂川、室見川、御笠川などは氾濫寸前、久留米市は広い範囲で冠水被害に遭いました。
これからも、台風や大雨など自然災害は想定されることです。

BCP最後に見直したのはいつ?


ビジネスでは様々なリスクを想定して準備しなければなりません。2011年の東日本大震災の後に、多くの企業が取り組んだのがBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)の策定です。自然災害や火災、テロ行為など緊急事態が発生した際に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ事業の継続・早期復旧を可能とするための計画を策定しマニュアル化しました。そのときに作成されたBCPでは、自然災害による緊急事態は地震を想定したものが多かったはずです。

本来はBCPも定期的(できれば毎年)な見直しが必要ですが、一旦策定すると安心してそれ以来見直しをしていないという企業も多いと思います。 地震や雨、風による直接被害だけでなく、長期間の停電や通信不通なども想定しなければなりません。交通インフラ・物流の寸断による影響もあります。今回の千曲川の決壊では、北陸新幹線の車両基地が水没し多くの新幹線車両が窓の直下まで水に浸かっている状況も映し出されています。こうなると、明日以降の運行に影響が出ないということはないはずです。

これを機にCPの策定も


さらに、昨年からは公共交通機関で計画運休が広がりました。災害が発生する前から人や物の動きが制限されたり止まったりと、影響を受けます。このような通信や交通インフラ が止まったときの想定はしているでしょうか?
何も的確な手を打たず、指示も出さずに放っておくと重大な危機を招きかねない事象も多く存在します。従業員が業務中に交通事故を起こした、発注した部品が届かない、食中毒を出してしまった、個人情報を漏洩してしまった、店舗に車が突っ込んできた、社長が突然倒れた…

そのような、事業運営上想定できる危機に際して、事前に対応手順をまとめたものがCP(Contingency plan 緊急時対応計画)です。BCPはめったに起きない事態が発生した後の長期的な対応を想定した計画になりますが、CPは日常起こりうる危機に対して瞬発力が求められる準備です。実際の企業運営にはBCPよりもCPの方が実用的で重要とも言えます。

台風19号の被害報道をきっかけに、今一度自社のBCPの見直しをしましょう。 BCP・CPの策定がまだでしたら、これを機に取り組んでみてはいかがでしょう。
もちろん、お声かけいただければお手伝いさせていただきます。



2019年10月10日木曜日

ノーベル賞受賞、心に染みた吉野さんの一言

10月1日の消費税増税対応や、そのタイミングに合わせて実施された価格改定や新商品発売など、さまざまな事象に対応していてあっという間の9月~10月の月の変わり目でした。

そんな慌ただしい毎日が落ち着いた昨日、そろそろ関電の毒饅頭受け取り謝罪会見についてまとめようかと思っているところに嬉しいニュースが飛び込んできました。旭化成の吉野彰名誉フェローに、ノーベル化学賞の受賞が決定したというニュースです。
近年、私たちの生活を劇的に変えたリチウムイオン電池の開発での受賞。私自身、携帯電話3台(うちスマホ2台)、携帯Wifiルーター、ノートPC、予備の充電用バッテリーと、日常的に6つのリチウムイオンバッテリーを持ち歩いていることになります。
今や、青色LED(同じく中村修二氏がノーベル賞を受賞)とリチウムイオン電池は生活の中に浸透して、なくてはならないものになっています。このような、普通に生活している市井の人々に身近な物の開発でノーベル賞を受賞されると、ノーベル賞自体も身近に感じてしまいます。

吉野さんは旭化成の社員として研究を続け、定年後の現在もフェローとして研究を続けていらっしゃるようです。肩書きも教えていらっしゃる大学の名前ではなく、旭化成名誉フェロー、受賞の会見時も背景に旭化成のパネルが設置されていました。
2002年にノーベル賞を受賞された島津製作所の田中耕一さんも、今はシニアフェローとして島津製作所で研究を続けていらっしゃるようです。
田中さんや吉野さんのように、企業で研究を続けた結果としてノーベル賞を受賞すると、その所属企業にも注目が集まりますし、そこで働いている従業員にとっても栄誉として受け止められ、仕事をする上でのモチベーションにも繋がることでしょう。

日本経済新聞では
出社後に開かれたセレモニーでは、約300人収容のカフェテリアが大勢の社員で埋まった。盛大な拍手で出迎えられた吉野さんは、大きな花束を受け取ると「皆様の子どもさんが『お父さんの会社ってすごいね』などと喜んでくれるのが一番うれしい」と話した。受賞決定の連絡は9日午後6時15分ごろだったと明かし、電話を受けた際は「ドッキリカメラかと思った」など振り返り、会場を沸かせた。
 とありました。

ブライト・ウェイの企業案内でも、コンサルティングの目標に「子ども達に自慢できる社会や企業にすること、子ども達と真正面から向き合える社会や企業になることをみなさんと一緒に考え、行動します」と入れていますが、まさに吉野さんの言葉はそれでした。

ノーベル賞受賞者が出なくても「お父さんの会社は凄いね」とこども達に喜んでもらえる会社を一緒に目指しましょう。

2019年9月4日水曜日

10月1日、消費税増税への準備は進んでいますか?

10月1日の消費税増税は計画通り実施されそうです。それに備えて流通・小売りの現場ではレジの対応や表示替えの準備などに追われています。
当社ブライト・ウェイはWEBの制作会社ではありませんが、ECサイトの運用コーディネートやマネジメント・管理、コンサル先からの要請によるサイトの運用管理なども複数お受けしています。
ECサイトの場合は消費税の変更に伴う作業が膨大になることはあらかじめ予想が付くので、各社様共に早くから準備を始めて既に改変作業にかかっています。しかし、今回の増税は複雑で様々な混乱が予想されます。

軽減税率制度への対応には準備が必要です!(リーフレット)

食品ECサイトでも軽減税率が適用されないものも



食品のECサイトは基本的に軽減税率(8%)対象ですので、大きな変更は必要ないような気がしますが、なかなかそう簡単ではありません。みりんや料理酒も酒税法で規定する酒類に該当すれば標準税率(10%)となります。食品であってもカタログギフトの販売も軽減税率対象とはなりません。詳しくは↓のPDFをダウンロードください。

消費税の軽減税率制度に関するQ&A - 国税庁

食品ECサイトでも、食品でない物も販売していればそれは標準税率となりますし、有料オプション(贈答用の包装など)や送料などは標準税率10%の適用となり、サイト内に軽減税率と標準税率が混在し処理も複雑になります。単純に一律の消費税率適用というわけにはいきません。決済時には、標準税率のものと軽減税率の物とは分け、それぞれの消費税を表示しなければならないため、確認画面も領収書も従来のシステムでは対応できないところがほとんどではないでしょうか。
軽減税率制度への対応には準備が必要です!(リーフレット) より
 

意外なところに見落としも


また、ASPを使っていても、EC-CUBEなどのオープンソースをベースにしていても、システムで対応しないカスタマイズのページが存在しているはずです。ランディングページやブランドを紹介するページなど、システムで消費税を変更してもhtmlで普通に作成したページには反映されません。そういうページの見落としは意外と多いのです。

例えば税込み○千円以上送料無料などとしていた場合そのままの金額で問題ないかとか、「特定商取引法に基づく表記」のページに送料などの金額表記が無いか、動画で商品紹介をしている中に金額が入っていないかなど、細かなところで変更の必要な場所が見つかります。

個別のサイトごとで事情は違いますが、まずは自社のサイトで見落としが無いかを今一度ご確認ください。




2019年9月1日日曜日

美術館のギャラリーツアー参加は、VTSやアートマネジメント研修のプレ体験に

近年、今後求められるビジネススキルとして、アメリカを中心にデザイン・クリエイティブ思考があげられるようになってきました。
今年6月にはNHKの「おはよう日本」でも特集されています。

ビジネスに求められる“アート”


ビジネスの課題解決にロジカルな思考だけでなく、アート的な感性や視点・発想力を取り入れ、全体をフラットかつ客観的に捉え独自の視点で創造的に解決する力が求められているというのです。ビジュアルシンキングストラテジー(Visual Thinking Strategy/VTS)アートマネジメント研修などで検索すると、多くの研修プログラムが見つかります。
また、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」』やビジネスの限界はアートで超えろ!』などの本も注目されています。


実は、上記「おはよう日本」の冒頭にも登場し、ビジネスの限界はアートで超えろ!』の著者である 増村 岳史さんは、リクルート時代に一緒に仕事をしていた同僚(宣伝部でケイコとマナブ担当)でもあります。今はこの分野の第一人者になっていたので驚きました。

身近にある本物のアート


さて、それでは普段から美術・アートに触れる機会が無い、感心がない人が本を読めばアート的な感性や視点・発想力が身につくかというとそう簡単ではありません。研修を受講すればその気になるかもしれませんが、職場に戻って直ぐに生かせるかも疑問です。
それは、そもそも本物のアートに触れた記憶や経験の少なさにもよります。何事もやはり本物に触れることは重要です。世界のエリートは美意識を身につけるためにアートスクールや美術大学に通うことも珍しくないと言います。アートの価値・見方が理解できないのでは、感性も視点も発想も薄っぺらなものになりかねません。ハリウッド映画にも、美術館や美術品を題材にしたり美術館が重要な場面に使われているものは珍しくありません。それだけ、美術館やアートが身近にあり、価値のある物として認識されているということでしょう。
福岡市美術館 リニューアルで大濠公園に向けたアプローチを新設

広報のお手伝いをさせていただいている、市民にも身近な大濠公園内にある福岡市美術館は、黒田家ゆかりの古美術品からダリやミロ、シャガール、バスキアなど近現代の著名な作家の代表的な作品まで、約16000点もの所蔵品を有し最高の環境で展示しています。コレクション展の観覧料は一般でも200円中学生以下は無料です。わずか200円で国内有数のコレクションを間近に見ることができるのです。コレクションをじっくり鑑賞すれば、優に2時間は必要です。

手軽に「アートの見方」に触れる


福岡市美術館では、毎日11時と14時からるボランティアによるギャラリーツアーを実施しています。観覧券があれば参加は無料です。

私は、先日このギャラリーツアーに参加しました。約40分のツアーは解説付きで3つの作品に向き合うのですが、これはまさにVTSやアートマネジメント研修に通じる体験です。目の前にある一つのアート作品に、10分間以上向かい合い様々な思考を巡らせるのです。普通に美術館や展覧会に足を運び、一つのアートと10分間向き合うことはなかなか無いと思います。一人ではなく複数の参加者がいて10分もの時間一つの作品に向かい意見を交換しあえば、見えなかった事や見ようとしなかったことも見えてきます。
わずか200円で本物のアート(仮に市場で取引されれば数億円になるような作品は少なくありません)と向き合い、高額な研修にも似た体験ができるギャラリーツアー。市内の企業であれば、福岡市美術館での1時間を確保するのはそれほど難しいことではないと思います。費用は一人あたりたったの200円(+交通費)なのですから、課などのグループ単位で参加してみると良いのではないでしょうか。

企業でなくとも、個人で参加するのもおおいにオススメします。個人的には、ミロの「ゴシック聖堂でオルガン演奏を聴いている踊り子」の解説の回に次回参加したいと思っています。あの作品はどういう風に見るのか?

ギャラリーツアーの当日の解説作品は、福岡市美術館のTwitterでtweetされています。
事前に知りたい場合には、福岡市美術館ウェブサイトのお問い合わせフォームで問い合わせることも可能ですが、直前/当日に変更となることもありますので、予定しなかった作品と出会うのも一つの楽しみ位に思って参加してみてはいかがでしょうか?

ギャラリーツアー、ビジネスマンにもオススメです。



2019年8月27日火曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(3)従業員のSNS利用…中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

ソーシャルメディアでの炎上は、アルバイトを始めとした従業員の投稿が火種の多くを占めます。個人アカウントでの投稿なので、コントロールが難しいことと、アルバイトなどは会社やブランド、雇用主に対してのロイヤリティが低いために、行動の基準が自分優先・自分本位になりがちなためです。

バイトテロ投稿は静から動、
不注意から確信へ


SNSへの不適切投稿による「バイトテロ」は、5年ほど前に一度大きな話題となり、今年になって再び立て続けに発生しています。5年前は単に自己顕示欲で注目を浴びたいなどから、主にTwitterに文字か写真で外に漏らしてはいけないような情報を投稿するパターンが主でした。しかし今年の炎上投稿はほぼ間違いなく動画です。5年前のバイトテロ騒ぎの後に暫く沈静化していた不適切投稿ですが、昨年あたりから主流になってきた「ストーリーズ」のへの投稿が原因のようです。

「ストーリーズ」はFacebookやInstagramの比較的新しい機能で、投稿後24時間で表示されなくなります。公開範囲も指定できるので、友人だけに24時間公開して、あとは見られないという安心感からも利用者が増えているようです。
しかし、Youtubeでもそうであったように、投稿された動画が話題になると、他の誰かがそれをコピーして再投稿するということは容易です。元の動画が表示されなくなっても、削除されても結局多くの人の目にとまることになり炎上に至ります。

5年前のバイトテロは、どちらかというと不注意や悪意のない、いたずらの延長で炎上したようなケースが多かったのに対し、今年のものはいずれも行動自体は確信犯です。バレることがないという前提で不適切な行動を動画に撮影し、身内ウケを狙っています。それだけに悪質と言えます。

不適切な投稿を防ぐには


動機は何であれ、
(1)問題行動を自ら実行し
(2)動画に撮る(撮らせる)
(3)投稿する
3つの段階を経て初めてネットに公開されます。

撮影をする、投稿するという行動を未然に防ぐためには、SNS利用に関するガイドラインを作成し、雇用契約時に確認する事が重要です。短期のアルバイトなどでも仕事場に関する投稿・書き込みをしないという誓約書を取っておくことです。最悪の場合は法的な措置や損害賠償請求の可能性について釘を刺しておくだけでも行動抑止に繋がるはずです。

不祥事を防ぐ根本的な解決には、原因となる「物」を排除するという方法があります。例えばスーパーなどで従業員の現金窃盗や事故を防ぐために、現金を自由に取り出せないレジの導入が進んでいます。入出金を完全自動化する、セルフレジにする、キャッシュレス化を進めるなどは、人手不足も相まって広まっています。
これと同様に、仕事場へのスマホ・携帯電話など(動画)撮影・録音可能な機器の持ち込みを制限するなどは簡単にできます。
精密機器や食品工場などでは、ポケットの無い上下一体の制服に着替えないと入室できないところも普通です。コンビニやファストフード店など、制服に着替えて仕事をする業態なら制服のポケットを無くす(あるいは必要最小限に抑える)ことで、スマホなどの機器の持ち込みは防げます。

そこまでの投資ができないのなら、パイロットやドライバーが乗務前に実施するチェックのように職場に入る際のチェックリストを作成し、毎回チェック(スマホを持ち込んでいない)をするという方法もあります。
しかし、深夜のコンビニやファストフード店のように、一人で全てを担当するワンオペではチェックそのものも無意味になる可能性があります。結局は、ガイドラインの周知徹底ということになるのでしょうか。

夏休みに入り、報道は連日「あおり運転」にフォーカスしていますが、夏休みが終わると再び不適切動画や告発動画が投稿されて注目を集めるかもしれません。もしも自社・店舗での動画が投稿された時には、従業員の不適切な行動や投稿を未然に防ぐための措置を講じていたかどうかが問われます。
今一度、SNS利用のガイドラインの確認、周知徹底を。



2019年7月30日火曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(2)企業アカウントでの運用…中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

前回は、ソーシャルメディアの基本として、代表的なツールの基礎情報を整理しましたが、今回はそれらを利用・運用するときに起こしがちなミス・トラブル、リスクについて整理します。
ソーシャルメディアでのトラブルの行き着く先は、「炎上」です。言い換えれば、炎上の火種を作らない運用が大切と言うことになります。また、ソーシャルメディア炎上の火種は、運営主体が自らの発信で作る場合と、従業員やお客様の投稿による場合があります。本稿ではまず、アカウント運営者としてのリスクについて書いてみます。

企業やお店などが公式アカウントでソーシャルメディアを運用する場合、多くは新商品やサービスの告知、そのほか各種お知らせといった情報提供か、共通テーマでのコミュニケーションを通じたファン・コミュニティ作りの2つに分けられるかと思います。

フォロワーが増えない=人気が無いという評価に繋がるリスク


官公庁や大企業・有名企業のアカウントは前者の運用がほとんどです。提供できる情報が多く、情報自体に価値があるために変な小細工の必要もありません。どちらかと言えば堅め、かしこまった運用で、コメントも制限しているケースが少なくありません。

無名の中堅・中小企業の場合、一方通行の運用ですのでシェアされたりRTされたりと話題にされるためには、提供される情報そのものが魅力的・貴重・楽しい・役立つ・共感できるなど受け手に価値がなければ読んでももらえず、フォロワーも増えません。
誰もが知っている様な企業・ブランド・店舗であれば、名前で検索してフォローされることもあるでしょうが、無名の企業や新しいブランド・お店ではアカウントにたどり着かせるだけでも大変なことです。Facebookページやtwitterで情報発信を始めてもフォローするのは従業員やその家族、身近な友人止まりでせいぜいフォロワーは数十人というアカウントがたくさんあります。こうなると、担当者の心が折れて更新頻度が落ちたりおざなりになったりし、結果フォローを解除する人が増えてますます悪循環に陥ります。

フォロワーが少ないアカウントは、人気が無い・役に立たない・オモシロくない、フォローする価値がないということでもあり、それが企業やブランド、お店の評価にも繋がりかねません。
こういう時に、担当者の上司や経営者が無茶なプレッシャーをかけると、たまりかねて誤った方向の企画や投稿に繋がり、結果炎上に発展することもあるので要注意です。

動画コンテンツの投稿は細心の注意を


ブログや動画のコンテンツは、ウェブサイトに埋め込んだりリンクしたりするだけでなく、情報のアーカイブとしても遡って検索対象となります。数年前に投稿したものでも多数の人に閲覧されることも少なくありません。永く残る前提で内容や表現には注意が必要です。投稿したときには問題が無くても、後に法律や社会情勢が変わり許されなくなるような物や事も少なくありません。たばこに関する扱いなどが良い例です。

ブログであれば不適切な内容や表現があれば修正も可能ですが、動画の場合は一部を修正するのは難しく、削除するか削除後に改めてあげ直すことになります。しかしその動画がネットで話題になったりしてしまうと、すぐにコピーされ再投稿、拡散されたりもします。動画の内容は、そこで何を伝えようとしたのかだけでなく、そこに偶然映り込んでしまった物や音(あるいは音楽)も問題になることもあり、制作時に注意するだけでなく、定期的に内容の確認も必要です。特に、ジェンダーの役割に関する表現やハラスメントとして受け取られるような場面には要注意です。近年では大手企業のネットCMでいくつも炎上に発展しています。

調子に乗らない


一方、ファン・コミュニティ作りが主目的の場合には積極的にコメントを求めたり、コメントに答えたりと担当者に相当なコミュニケーションスキルが求められます。ソーシャルメディアをひとくくりで考えず、FacebookとTwitterに別の役割を持たせるなども有効です。発信する情報も硬軟取り混ぜ(多くは硬よりも軟の方が主)、話題によってはタイムライン上で意見が衝突したりする場合もあります。FacebookやInstagramは、投稿後に編集も可能ですが、Twitterは投稿の編集はできません。一度投稿した不適切なtweetはスクリーンショットを撮られたりし、削除してもその画像がまた「削除されたtweet」として拡散されたりして、更なる炎上を招くこともあります。

世間で話題だからと、自社や自社の扱う商品・サービスとは直接関係の無い話題を投稿する際には要注意です。政治・宗教・差別・ジェンダーに関する話題は、基本的に避けたいものです。特に、どんな話題であっても否定的な意見や指摘をすることは避けましょう。担当者の認識不足やちょっとした言葉足らずな投稿が炎上に発展する可能性もあります。

商品やサービスに合わせたキャラクターを設定して、そのキャラクターの世界観で発信する事もよくされますが、過去には自治体のキャラクターが不適切な投稿をして炎上し、アカウントを閉鎖したケースもあります。コミュニティの参加者(フォロワー)が増えて、運用に手応えを感じ始める頃は特に注意が必要です。

まず運用ポリシーを明文化する


ソーシャルメディアを活用する場合、トラブルを回避するためには運用ポリシーとガイドラインを明文化しておくことが重要です。「発信して良いこと」と「発信してはならないこと」を明確にします。複数人で運用する場合には文書化するだけでなく、全員に周知徹底することも同時に行わなければ意味がありません。定期的な勉強会やチェックリストを準備するなども必要です。
流行だから、お金が掛からないからとソーシャルメディアをスタートする事も少なくないでしょう。しかし、それだけに行き当たりばったりや担当者の意欲・スキルに依存し過ぎて、いつの間にか企業やブランドから離れていってしまうこともあります。そうならないためにも、既に運用中のアカウントに対しても運用ポリシーやガイドラインを整備する事をオススメします。



2019年7月22日月曜日

会見の目的を明確にせず準備不足で大失敗の吉本興業

7月20日の宮迫さん、田村亮さんの会見を受け、本日14時から吉本興業の緊急会見が開催されました。



冒頭、広報室長から会見の進行についての説明があり、その際に質問がなくなるまで会見を打ち切らないと告げられました。私は、会見の事前準備は万全だという自信の表れだと受け止めました。しかし期待は裏切られ、途中10分の休憩を挟んで5時間半の長時間会見となりました。

まず法務本部長が、これまでの聞き取りなどでまとめた事実関係と経緯を時系列で説明(会見場では記者に紙資料配付)。その後に岡本社長が登場し、お詫びを述べた後に
2人の処分の撤回を告げ、これから会社として取り組むべき2つのテーマが示されます。
・コンプライアンスの徹底
・芸人・タレントファーストで物事を考える
というものでした。更に、社長・会長2名の役員報酬を1年間50%カットすることも発表されました。

これから予想を越えた、長い質疑応答へと移ります。
一言で言えば、一つ一つの質問への回答が簡潔でなく、だらだらと時間をかけて話をするばかりで何も答えが出ないのです。YESかNOを求められてもその答えを明確にしないのです。

7月20日の2人の会見で引きずり出された形の吉本興業ですが、会見を開くことありきで何のために会見を開くのかが明確になっていませんでした。2人の会見内容について説明・反論するのが目的か、それとも全てを認めて謝罪するための会見か。そのどちらも整理されず、具体的なことが何も提示されないため、まれに見る長時間で大失敗の会見となってしまいました。

よく似た記憶に残る会見


過去にも、このような経緯で開かれた会見はいくつもあります。特に昨年はスポーツ関連で同様の会見がいくつも開かれました。なかでも日大アメフト部、日本体操協会の記憶に残る2つの会見がありました。どちらも、直前の選手による(告発)会見を受けて開かれたものです。そして、同じように失敗しています。

日大の緊急会見は謝罪ではなく弁明会見、思い出すのは「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件の会見

準備不足で中途半端な日本体操協会記者会見の矛盾。

今回の吉本興業の緊急会見は、本来なら20日の会見で2人が明らかにした会話の内容について、認めるのかそうでないのかが焦点です。緊急会見を開催するに際し、当然そのことについて整理しQ&Aも準備されているものと思っていました。2人に下した処分を撤回するに至ったのも、その整理の結果だろうと。しかし、その期待は完全に裏切られるものでした。5時間半という無駄に長い記者会見となってしまった原因です。

会見の終盤に、フジテレビ「とくダネ!」の岸本レポーターの質問ー亮さん、宮迫さんの会見の中で、社長が言ったとされる言葉の中で、何か反論できることはありますか?これは事実とは違うと言うことはありますか?」ーがまさにその核心でした。
しかし、岡本社長はこの質問に明確に答えを返すことはできず、結果、二人の告発を否定することができないまま会見を終えることとなってしまいました。

処分や責任を取らせるという場合には、その処分の対象が明確に示されなければなりません。2人の処分取り消しは、そもそも何に対しての処分だったのか(反社会的組織との関わりに対してのはずだった)、どうして(反社との関係は否定されていない)処分を撤回したのか明確に示されませんでした。社長・会長の役員報酬の減額も、会社として何かに対しての非を認めて初めて意味を持つものですが、何に対してのものなのかがはっきりしない、どうでもいい「責任を取ったポーズ」でしかありませんでした。
期待されていた吉本興業の「体制変化」についても、何もありませんでした。サプライズが何もないという「サプライズ」会見だったと言えば良いでしょうか。

日大アメフト部も日本体操協会も、告発会見直後に開いた緊急会見では、告発内容に対する事実関係の認否と説明をするものでした。両者ともその後にも何度か会見を開いていますが、日本体操協会は具志堅副会長の会見でムードが大きく変わることになります。

誰が対応するかで記者会見の印象が変わることを明確に示した、具志堅副会長

吉本興業も、今回の会見は混乱に拍車をかけただけとなってしまいました。日本体操協会の具志堅副会長のように、信頼を取り戻せる人物の登場・納得の会見が待たれます。

今回の会見の様子もTHE PAGEさんのYoutubeチャンネルを貼っていますが、どうやらYoutubeの制限なのか後半4時間のみ、冒頭の1時間半はカットされています。上記岸本レポーターの質問は、3時間36分あたりです。



2019年7月20日土曜日

吉本興業がどう対応するのか、に注目。宮迫博之さん・田村亮さんの謝罪会見


お笑い芸人の闇営業問題では、吉本興業は会見を開かないまま1カ月以上が過ぎました。
そして今日、闇営業で吉本興業を契約解除になった雨上がり決死隊の宮迫博之さん、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さんの二人が記者会見を開きました。
今回も、THE PAGEの動画を貼っていますが、この動画では10分過ぎに二人が入場し、会見がスタートしています。田村亮さんの痩せてやつれた姿が痛々しい会見でした。

記者会見をさせてくれなかった


この会見では、FLYDAYの記事が出ることが明かになってからの吉本興業の対応について、つぶさに述べられました。二人の話が全て真実かどうかは分かりませんが、会見に出席していた記者や会見を観た芸人仲間などは(テレビの報道・コメントでは)、「嘘は言っていない」という印象を受けたと、皆一様に口にしています。
松本人志さんはtwitterで、以下のようにtweetしています。
後輩芸人達は不安よな。
松本 動きます。

このtweetには100万件近いいいね、RTは約25万にのぼっています(20日23時30分現在)。
この会見を観た芸人仲間や様々な人が、twitter他でメッセージやコメントを明らかにしています。

松本人志さん「松本動きます」と発信 宮迫さんらの謝罪会見に芸人たちの反応


吉本興業の対応の不味さを証言され(本当であれば、多分)それが誰の目にも明らかになった記者会見でした。吉本興業はこれまで記者会見を開かず、社長が個別に取材に答えていましたが、さて、そろそろお尻に火が付いてきたようです。吉本興業は、この会見の後の週刊朝日の取材に以下のように答えています。

吉本側が宮迫と田村の爆弾発言に反論 「会見場を押さえたのに、2人が来なかった」

これから吉本興業はどのような対応をするのか?芸能界だけでなく、マスコミ、政界や経済界、企業の広報に関わるような人間全てが注目していることでしょう。


2019年7月19日金曜日

ソーシャルメディア活用の基礎(1)ー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

初めて聞く社名や新たに取引を開始する企業などは、かつてなら帝国データバンクや東京商工リサーチに問い合わせをし、企業データを取り寄せたりしていました(しかも有料で)。しかし、今ではネット検索でどのような会社か、どんな評判かある程度まで簡単に調べられます。そのため近年、企業は自社の事業や商品・サービスを紹介するためにウェブサイト(ホームページ)を持つことは常識になってきています。自社サイトを持っていないと社名が同じというだけで別な会社と間違われたり、あらぬ疑いを受けることもあります。実は株式会社ブライト・ウェイは他にもあり、そのうちの1社は2chでもスレッドが立っていたこともあり、一時期 間違いの問い合わせが来たこともありました。
2017年には、東名高速のあおり運転で追突事故の原因を作ってしまった容疑者の名前と同じというだけで、誤った情報を信じた人から嫌がらせを受けた工務店がニュースでも取り上げられました。


東名高速追突事故の二次被害、デマによる嫌がらせや営業妨害から考えるホームページの重要性 

企業アカウントでソーシャルメディアを活用する


最低限の情報提供ツールとして自社サイト(ホームページ)を持ったとしても、基本的にはアクセスを待つことしかできません。そのため、SEO(検索エンジン最適化)やリスティング広告を駆使するなどしてサイトの訪問者を増やす努力をします。しかし、それにしても辿り着いたサイト上では一方的な情報発信に留まります。

そこで企業でも活用が増えているのがソーシャルメディアです。アカウントにたくさんのファン・フォロワーが付けば、そのファン・フォロワーに対してこちらから情報発信・コミュニケーションが可能になります。ソーシャルネットワークサービス(SNS)のFacebookやTwitterなど多くのプラットフォームは無料でアカウントを開設でき、利用開始も簡単です。しかしその分スタートする前に十分な準備も必要です。

企業が活用する主なソーシャルメディアは、

1,ブログ
2,Twitter
3,Facebook
4,Instagram
5,LINE
6,Youtube

等があります。順に特徴を簡単に整理してみます。

1,ブログ
写真や図・グラフなども駆使しながら、専門的なノウハウを提供するのに適しています。ブログの専門性のある記事コンテンツは検索対象にもなり、ブログが強力な営業ツールとなっている企業も少なくありません。社長のブログや担当スタッフのブログなどは読み物として固定ファンを持つ場合もあります。
AmebaココログBlogger(このブログはこれです)などのプラットフォームを利用すれば無料で開設できますが、運営会社の都合で閉鎖になったり利用制限が掛かるリスクもあります。自社サイト内にCMS(コンテンツ管理システムContent Management System)で構築するのが望ましく、ブログの更新によりサイトの充実も図れ、結果として検索エンジンに対するサイトの評価を上げることに繋がります。

2,Twitter
アメリカのトランプ大統領が利用していることで有名です。投稿できる文字数に制限(日本語では140文字)があるため、文章は簡潔を求められます。投稿はtweet(つぶやき)と言い、Twitterの最大の特徴はRetweet(RT リツイート)機能。気になるtweetや他のみんなにも知って欲しい情報があればRT(拡散)され、多くのフォロワーがいるアカウントがRTすると、意図せずあっという間に広がることもあります。一度投稿したtweetは修正がききません。削除は可能ですがRTされた物までは削除できないので、企業アカウントではより慎重に運用する必要があります。本人確認がないので、なりすまし(偽)のアカウント(企業でも)も多く存在します。
また、フォローは承認制ではなく、フォロワーが一方的に気になるアカウントをフォローするだけの繋がりです。知り合いでなくても勝手にフォローします。有名人以外では、フォローの決め手はプロフィール欄が重要になります。趣味や関心事が同じとか、フォローする理由がなければフォローしません。
利用者のタイムライン(ホーム画面)には、フォローした人のtweetがリアルタイムで流れていきます。多くのアカウントをフォローしていると、タイムラインはどんどん流れていくので保存性に乏しく、注目されないtweetは直ぐに過去のものになります。
アカウントの運用は、硬派(情報発信型)と軟派(キャラクター型)に分かれ、官公庁はほぼ硬派運用です。軟派の運用では、伊藤ハムの「ハム係長」や加ト吉のうどん部長(退職)も有名です。硬派運用アカウントはその発信する情報にフォロワーがつき、軟派運用ではそのキャラクターの言動にファンが付きます。こそだてではキャラクターのムーがつぶやいていますが情報発信型です。
Twitter内では検索も可能で、通常の検索エンジン同様&検索など絞り込みもできます。#(ハッシュタグ)を使ったグルーピングはイベントの情報共有や#Metoo運動のようなキャンペーンで有効です。

3,Facebook
こそだてFacebookページのヘッダ
企業の場合は、Facebookページ(スタート当初はFunページと言っていました)での運用になります。ページ情報にはかなり詳細な情報が登録可能です。個人商店などはウェブサイトを持たず、Facebookページをホームページ代わりに運用しているところも少なくありません。
Facebookページの投稿は、そのページに「いいね!」してくれた人にしか表示(リーチ)されず、しかも現状では表示されるのは「いいね!」してくれた人の1割以下という状況です。「いいね!」してくれた人が1万人いても、その人たちに表示されるのは1,000人にも届きません。その投稿が役に立つとか、みんなに知らせたい内容であれば、TwitterのRTに相当する機能として「シェア」があります。その投稿に「いいね!」や「シェア」が付けばリーチが広がります。
現在、こそだてのFacebookページの「いいね!」は8,000を越えていますが、リーチは投稿によって少ないと500程度から、多いときで3,000前後と幅があります。
しかし、これからスタートするのであれば、まず何よりもページの「いいね!」を獲得するのが容易ではありません

4,Instagram
画像・動画投稿を中心としたソーシャルメディアです。2017年に新語・流行語大賞を獲得した「インスタ映え」も記憶に新しいかと思います。羨ましがられるような写真や驚きの写真、美しい映像がこぞって投稿されています。Instagramは映像が主役で、文章は説明・補足です。Twitter同様に、検索機能がありますが、検索対象は3つ。人物(ピープル)とタグ(#)、スポットの3つの検索です。検索窓にワードを書き込むと、その3つから検索履歴を参考にオススメがまず表示されます。
twitterと違い全文検索ではないので、文中に#(ハッシュタグ)付きのワードを入れることでタグ検索が可能となり、#○○○で検索して美しい場所やインスタ映えする食べ物を探します。
突然外国人が多く訪れるようになった観光スポットなどは、Instagramがきっかけという事は少なくありません。例えば、これから福岡を訪問しようとする観光客が、#fukuokaで検索して出てくる画像の中から「これは!?」というところを見つけて訪問したり、再度詳細をGoogleで検索したりといった流れです。Instagram自体にはRTやシェアといった拡散機能はありません
Instagramを運用する際には、映像としての「世界観」の統一と、テキストに入れる#キーワードが重要になります。フォロワーを増やすには映像の世界観(に加えられる情報)のファンを増やすこと、検索で見つけてもらうには、#キーワードを多く入れることが重要になります。

5,LINE
LINEは個人間やグループ間でのコミュニケーションツール(トーク)としての利用が中心です。トークに表示されるためには、友達にならなければなりません。LINEの公式アカウントを取得(無料・有料)するのはもちろん、友達登録してもらうための施策が必要です。飲食店などでは、友達になると割引や特別サービスのような特典を付けてメニューやSHOPカードにQRコードを載せて勧誘したりしています。
友達登録してもらえれば、通常のトークと同じようにメッセージを配信できるようになります(プランによって配信可能数などが異なります)。
スマホが普及する以前、ガラケーで空メールを送らせてメールアドレスを取得していたのと同じと思えば良いかと思います。

6,Youtube
Youtubeについては、2つの使い方があります。1つはチャンネルとして多くの視聴者を獲得する使い方。いわゆるYoutuberといわれる人は、多くのチャンネル登録者を持つ人たちです。1回動画をアップすれば、すぐに数万人が動画を見るというYoutuberも少なくありません。しかし、Youtubeでも他のソーシャルメディア同様、役に立つ動画、面白い動画など「観たい」と思わせる動画を次々アップし続けないとチャンネル登録してくれません。Youtubeの企業アカウントでチャンネル登録が多いのは、CMを制作できる大企業がほとんどです。他では、料理レシピやガーデニング、釣りなどの分野に特化したノウハウを提供しているチャンネルです。
もう一つは、チャンネル登録者を増やすという目的ではなく、自社のウェブサイトや他のソーシャルメディアに動画をアップするのを主目的とする運用です。社長のご挨拶動画や新商品の解説、使い方マニュアルなどをサイトに埋め込むような使い方です。管理画面で公開範囲やコメントの可否なども選べます。
動画は写真や文字とは比べものにならない情報量を持ちます。それだけに、撮影場所・背景、服装や表情、さらには音(BGMを入れる場合には著作権)などにも十分チェックする必要があります。

他にも、最近若者に利用者が増えているTikTokや今やソーシャルゲームのプラットフォームとなってしまったmixi、あるいはビジネスに直接影響する口コミサイトでもある価格.comや食べログなどもありますが、ここでは割愛させていただきます。
ソーシャルメディアを活用する際に重要なのは、誰に向かって何を発信するのか?どういうコミュニケーションをとるのかということです。ソーシャルでもメディアですからコンテンツが重要なのは言うまでもありません。

21日投開票の参議院選挙でも、各政党・候補者はソーシャルメディアを駆使して戦っているようです。 

SNS選挙様変わり 動画作成や投稿、候補者自ら工夫

ソーシャルメディア活用を考えるときには、天国と地獄の境にいる候補者くらいの本気度を持って取り組まなければ、良い結果が出るはずはありません。
次回は、ソーシャルメディアの運用リスクについてまとめます。



2019年7月15日月曜日

後手後手になってしまったメルパルク仙台の最悪の対応

メルパルク仙台で結婚式・披露宴を行った利用者が、打ち合わせと違う不適切な対応をされたと式後にクレームを入れ、納得できる説明を求めました。しかしその後行われた式場側の数回の説明は、到底納得できるものではなかったといいます。

ゼクシィに投稿されたクチコミ
ゼクシィのメルパルク仙台の口コミ欄(花嫁・ゲストのクチコミ)には、当人が投稿したクチコミがあります。

式場とのやりとりとその顛末はしらべぇの

「結婚式トラブル」で苦悩し続けた夫婦 出席した友人の勇気ある告発の結果

で詳しく書かれています。
このトラブルはネットからテレビのニュースにとどまらず、さらには昨日のサンデージャポンでも取り上げられ、多くの人が知るところとなりました。

ナジャ、メルパルク問題に「わざとやった?」 藤田ニコルも苦言

この問題がネットで話題になり始めた当初、ホテル側は「事前に打ち合わせした内容と実際に提供された飲食や装花との差額分を返金する」としていたようですが、テレビでまで問題が取り上げられるようになった結果か、しらべぇの記事によると最終的には、「今回の費用を請求しないということと、プラスアルファとして海外の挙式や挙式のやり直しなどを提案された」とあります。

コンプレに対して式場が犯した2つのミス


私も2年間(株)福岡サンパレスの社長を経験し、ホテルでは結婚式・披露宴にも多くのお客様をお迎えしました。自身の経験からも打ち合わせと違う不適切な対応の数々は許せるものではありません。このようにいくつものトラブルが同時に起こってしまうというのは、打ち合わせした事が全く現場に伝わっていなかったということです。ホテルの責任において、申込書・打ち合わせ記録や聞き取りから原因はすぐに特定できるはずです。式のトラブルについてここで言及する必要は無いでしょう。

当日の式で起きたトラブルを時間を遡って修正することは不可能です。そこで、ここではその後の対応のミスがブランド価値と将来の売り上げを大きく毀損する可能性について検証してみたいと思います。報じられている記事やネットの情報から、事後の対応でここまで問題を大きくする前に収束できたタイミングが2回ありました。

まず、式後に被害者から指摘・コンプレイン(苦情)が入った段階での対応の問題です。申込書や打ち合わせメモが残っているはずなので、式場がお客様と事前に交わした約束が守られなかったことはすぐに把握できたはずです。その段階で誠心誠意の受け止めができていたのでしょうか?
もし、この段階でホテルが非を認め、お客様が納得できる回答ができていればそこで納まって、テレビでまで話題になるようなことにはならなかったはずです。メルパルクはかつては郵便貯金会館で、今はワタベウェディング100%出資のメルパルク(株)が運営しています。ワタベウェディングと言えば婚礼事業が専門の会社。そのグループ会社とは思えない失態と事後の対応です。

ゼクシィの口コミ欄に投稿された日付は6月30日となっています。ここに、「ゲストの引き出物の中に原価まで細かく書かれた発注表が同封」とあります。この発注表の事を知ったのは、友人が帰宅後引き出物を開いたら入っていたと、写真付きで報告があったからでした。6月の何日に式が執り行われたのかはわかりませんが、この投稿までには数日のやりとりがあったはずです。ここで被害者が納得できる回答が得られていれば良かったのですがそうとはならず、結局6月30日に我慢しきれずに告発投稿に至ったのです。

2つめのミスは、この6月30日の投稿に対してのレスポンスです。クチコミへの返信は7月5日。あまりにも遅すぎます。通常、婚礼担当者はこのような口コミサイトは常にチェックしているはずです。少なくとも翌日の7月1日には投稿されたことを把握しているでしょう。そこからさらに4日も経過しての返信が、木で鼻をくくったようなテンプレートの文章でした。
他社の事例では、スリーエムジャパンはSNSでのトラブル発生時には4時間以内にステートメントの掲載をルールづけているくらいですから、その彼我の意識の隔たりは歴然です。これでは被害者の気持ちは治まるどころか悲しみは増すばかりです。

その落胆ぶりを見ていた友人が、7月6日にTwitterに怒りの告発をしたことでいっきに拡散(約12万のRetweet)・炎上し、メディアが知ることになりました。
そして、メルパルク仙台もようやく7月8日、ウェブサイトにコメントを掲載しましたが、これまた他人事のような「お知らせ」でお茶を濁しています。この後特に公式な見解もゼクシィの口コミ欄へのコメントもありませんでしたが、上記の「結婚式トラブル」で苦悩し続けた夫婦 出席した友人の勇気ある告発の結果では、「今回の費用を請求しないということと、プラスアルファとして海外の挙式や挙式のやり直しなどを提案された」ということですので、この数日のクチコミ投稿→Twitterで拡散→炎上でメルパルク仙台もやっと自分たちの対応の問題に気がついたのでしょう。

式後、最初の指摘・コンプレインの段階で適切に向き合っていればこんなことにはならなかった(対面で話を解決し、土俵をネットに移さずに済んだ)はずです。しかし今は、誰でも情報発信が可能で、マスメディアもネットの情報をチェックし、フォローしています。
今回のメルパルク仙台は、目の前にいる苦情を申し出たお客様に対応することだけを考え、そのお客様やそのお友達・フォロワーのSNSでの拡散を軽視していました。結果として、目先の損失を避ける対応をしたことが、「婚礼費用全額+式のやり直し費用」だけでなく、メルパルク仙台の評判を大きく落とす事になりました。そして更には、親会社のワタベウェディングのブライダルのクォリティにまで疑念を抱かせることにも繋がりかねず、グループのレピュテーション(評判)にまで大きな影響を与える結果となりました。

日常の現場で起こる様々なトラブルは、その場の対応で完結したと安易に考えてはいけません。苦情や被害を訴えるお客様は、いったんは矛を収めて帰っても、実のところは不満足で十分に納得したわけではなく、火種がくすぶったままということは多いのです。お客様の立場になって、その真の気持ちを想像できなければ本当の解決にはたどり着けません。
メルパルク仙台の対応は、お客様の気持ちではなく、会社の立場・損得を優先させたことで最悪の結果を招いたと言って良いでしょう。



2019年7月12日金曜日

経営TOPにもしものことがあったらー中堅・中小企業のリスク回避と危機管理

代表取締役社長ジャニー喜多川に関するご報告
7月9日、ジャニー喜多川さんがお亡くなりになり、テレビのニュースはこの話題でもちきりでした。
50年以上にわたり日本の芸能界に影響を持ち続けたプロデューサーでありヒットメーカーの死は、日本の芸能界にとって衝撃であると同時に、株式会社ジャニーズ事務所という企業にとっては代表取締役社長の死でもあります。 社内においてもジャニー喜多川さんは絶対的、偉大な存在であることは間違いないでしょう。
ジャニー喜多川さんがここまでお元気でおられたことと、所属タレントの口からジャニーさんとの会話や多くの逸話が語られることから突然の感じはありますが、87歳は通常ならとっくに一線を退いていても不思議ではない年齢です。2017年の男性の平均寿命は81.09歳ですから、近い将来には体調不良で一線を退くことを想定して準備をされていたことでしょう。会社経営という面での実務は既に副社長以下で組織的に動いていたはずです。

後進の指導やプロデュースには、滝沢秀明さんが2018年でタレント活動を終了しプロデュース業に専念すると発表し、今年新たに興された関連会社・ジャニーズアイランド社長に就任するなど、次世代へバトンを繋ぐ準備は進められていました。 このように、株式会社ジャニーズ事務所にとって代表取締役社長の死去は想定内のできごとであり、これから事前に準備されていたシナリオに沿って淡々と様々なことが進められると思われます。

権限の承継とバックアップ


映画では、アメリカ大統領が暗殺された、あるいはそれに準じる事件が発生した際には、大統領権限が副大統領、下院議長へと順に継承される場面が描かれることがあります(「ホワイトハウス・ダウン」など)。日本でも、「シン・ゴジラ」では総理他多くの閣僚が亡くなり、農水大臣が内閣総理大臣臨時代理として就任しました。このように、国家や地方自治体、大企業ではTOPにもしものことがあった際の権限の承継について、明確に規定されています。しかし中堅・中小企業では、そのような権限の承継について明文化しているところはほとんどありません。

企業の代表が突然死亡した例で記憶に残っているのは、日航機墜落事故で亡くなった阪神球団の小津社長。任天堂の岩田社長も社長在任中に胆管腫瘍のため55歳という若さで亡くなっています。しかし、阪神球団は阪神グループ、任天堂はもともと山内家の同族経営から岩田社長を中心とした集団指導体に代わり、前年にも一度手術・入院、その後療養などで社長不在でも支障なく会社運営できる体制ができていました。

ところが、中堅・中小企業の多くはオーナー経営。創業者・オーナーに権限も情報も集中しているところがほとんどです。 そんな企業で、TOPにもしもの事があったら?皆さんの会社のTOPが事故で亡くなったり、心臓や脳疾患で倒れたり、あるいは出張先で行方不明になったり…… そんなときに慌てることなく会社運営は継続できますか?

コンティンジェンシープラン(CP)の策定


コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)とは、その策定対象が潜在的に抱える脅威が万一発生した場合に、その緊急事態を克服するための理想的な手続き、手順を決めたものです。 企業活動では、社長が出張先で事故に遭ったとか、工場から出火したなど、様々なリスクやトラブルが想定できます。それらを事前に拾い出し、万が一発生した際の対応について、手順や取り決めを文書化しておくのです。特にオーナー企業やTOPに権限が集中している企業では、経営TOPを対象としたコンティンジェンシープランの策定が必要です。オーナーに想定外のもしもというのが一番のリスクです。想定外を想定内にしておかなければなりません。

今日、SNSで「亡くなった夫のスマホのパスワードが分からなくて開けない」という投稿がありました。PCやスマホには重要な情報が詰まっているため、パスワードや生体認証でセキュリティをかけますが、反面そのPWを知る人がいなければ開けなくなって情報が取り出せなくなるリスクもあります。
個人の頭の中にしかない情報や未整理な情報を整理保管するのに参考になるのは、「エンディングノート」や「もしもノート」として販売されている整理ノートです。パスワードや暗証番号を記すページもありますし、他にも整理すべき項目の参考になります。
時間があるときに少しずつ整理し、「もしもの時にはここに」と厳重に保管するか誰かに託しておくこともあわせて検討しておきましょう。



2019年7月10日水曜日

中堅・中小企業のリスク回避と危機管理-まえがき

これまで、世の中で注目された事件や謝罪会見などを題材にブログを書いてきました。それは引き続き取り上げながら書いていこうと思いますが、一方で一貫したテーマで少し整理しながら書いていこうと思い立ちました。


コーポレート・ガバナンスからレピュテーション・マネジメントへ 


近年、企業の不祥事や問題発生を回避するという時に必ず出てくる「コーポレート・ガバナンス」。謝罪会見でも何度も聞いた言葉です。ウィキペディアによれば、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組みとあります(これも日経連「我が国におけるコーポレート・ガバナンス制度のあり方について」からの引用)。企業統治と訳されますが、ガバナンス=統治は権力やルールで押さえつけるイメージで私は好きではありません。特に、中堅・中小企業においては下町ロケットの佃製作所のように同じ志を持ち、同じ目的・目標に向かって一丸となって前向きに進みたいものです。

そして、こういう話題で必ず登場するもう一つの言葉は「コンプライアンス」。法令遵守と訳されることが多いですが、私は「消費者や社会の期待に応えること」と捉えています。

そこで、私は「統治」や「法令遵守」という「~でなければならない」ではなく「他者の目や期待」を意識し、「自らを客観的に見る」事で自立的に判断・行動する「Reputation Management(R) レピュテーション・マネジメント」を提唱(2001年に商標登録)しました。あらゆるステークホルダー(利害関与者)とのコミュニケーション・リレーションシップを良好に築き、最適化することがReputation(評判)を高く維持し、結果、企業業績の最大化にも繋がると考えています。

取り上げるテーマ


これまでご相談いただいたテーマや世の中で頻繁に起こっているトラブル、これから問題が多発しそうな隠れたリスクなどを順に拾いながら進めたいと思います。順不同ではありますが、以下のようなテーマを考えています。

・雇用契約・就業規則
SNS・ソーシャルメディア
・法人登記や商標・特許など
・ジェンダー規範、ハラスメント
経営者の死亡・入院・誘拐など
・安全管理・衛生管理
・従業員のプライベートでの事故・事件
・火災・盗難
・社会保険
・個人情報の取り扱い
・不祥事
・品質管理とクレーム対応
SDGs(持続可能な開発目標)の視点
など

危機的状態に限らず、好ましくない事象の発生確率を下げ、実際に発生した際の被害を最小限に留めるための準備と対応について整理できればと思いますが、私は法律や会計の専門家ではありませんので、そういった専門分野についてはリスクの拾い出しと注意喚起程度にとどめさせていただきます。また、投資リスクなどの経営判断についても言及しません。

「好事魔多し」といいます。業績が好調なとき、あるいは新規事業やプロジェクトに目処が立ちそうなときなど、思わぬトラブルに見舞われがちです。そんなトラブルを起こさぬよう、巻き込まれないよう、そして起こってしまっても慌てないよう、準備と予習に役立てていただければと思います。

これから不定期ではありますが、順次アップしていきたいと思います。



2019年7月1日月曜日

吉本興業は会見も開かず、サイトに「謝罪」ではなく「決意表明」を掲載

カラテカの入江慎也さん、雨上がり決死隊の宮迫博之さん、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さん、レイザーラモンHGさんら吉本興業所属芸人の12人とワタナベエンターテインメント所属芸人2人が、振り込め詐欺グループの忘年会に参加して金銭を受け取ったことをFRIDAYが立て続けに報じ、大騒ぎとなっています。
こちら↓は、FRIDAYからの転載のlivedoor newsの記事ですが、
まだあった! 有名芸人たちが今度は「詐欺組織誕生会」で闇営業
テレビでは言及されない生々しい内容が掲載されています。

吉本興業は、詐欺グループとの仲介をしたカラテカの入江さんを契約解除とし、他の11人を謹慎処分とした上で、ウェブサイトに「決意表明」を掲載しました。現在TOPページにはこの「決意表明」が表示され、英語・中国語でも読むことができます(画面の下にあるリンクで切り替え)。
吉本興業WEBサイトに掲載された決意表明

なぜ決意表明?


今回の闇営業(事務所を通さず直で受けた)問題では、吉本興業のコンプライアンスに対するスタンスや対応について批判が高まっています。そもそも、サイトに掲載したのは「謝罪」ではなく「決意表明」であることに違和感を覚えます。
掲載された決意表明は、長文を労して言い訳をしているようにしか読めません。吉本興業はこれまでも「所属タレントに向けた研修を通じて、コンプライアンス意識の向上及び徹底を図ってきた」けれどこういうことが起こったと。会社はやるべき事はやっている、悪いのはルールを守らない所属芸人だと言わんばかりに。これは、バイトテロが発覚した時の会社の対応にも多くありました。
吉本興業の場合には、過去にも反社会勢力との関わりを取り沙汰されたタレントの問題もあり、コンプライアンスの教育はしていたはずです。しかし、私たちが自動車免許の更新時に観るビデオのように、一時の啓蒙にはなっても自分事としては捉えられていない人がいる(だから交通違反も事故も減らない)のと同じでしょう。

どうして反社会的勢力との関わりを持ったのか、何故闇営業を許してしまったのか?その原因を自社の問題として分析していません。伝えられるところによると、所属タレントとの間に「契約書」という形に残る契約は存在していないと言います。契約書を交わしていないということは、何をしなければならないか、何をしてはいけないかなど、双方の同意が取れているかも不明です。そのことについてもこの「決意表明」には触れられていません。

懲戒処分を下す根拠


今年の春、クライアントさんから従業員が逮捕されたので解雇しようと思うのだけれど、との相談を受けました。 ここで詳しくは書けませんが、この時に問題になったのが就業規則と懲戒規定です。近年、ハラスメントが問題になり、懲戒処分を下すには処分の対象となる事実と明確な理由が求められます。最も重い懲戒解雇処分となると、どのような場合が該当するのかが就業規則の懲戒規定に明記されていないと、不当解雇だと訴訟を起こされる場合もあります。特にプライベートな時間に起こした事故や事件は、懲戒処分の対象になるのかならないのか。明文化しておくことは重要です。

今回のような反社会的勢力との関わりを持ったのが銀行や大手企業の幹部だったら、こんな対応では許されないでしょう。一連の騒動で、吉本興業は記者会見をしていません。会見を開けば想定質問は100や200は準備しないとなりませんし、答えづらいこともたくさんあるようです。だから開けないというのが本音ではないでしょうか。

吉本興業は「コンプライアンスの徹底に全力を尽くす」という決意表明だけで「逃げ切り」を考えているようです。




2019年6月25日火曜日

制度としての育休は充実しても、それを活用しきれない・させない日本

昨日、今日と気になるタイトルの記事が立て続けに目に飛び込んできました。 

男性の育休6割が「5日未満」 名ばかり育休加速 厚労省が啓発強化 - 産経新聞
保育士不足が深刻化 待機児童減でも…将来不安で退職 自治体間の争奪戦も激化
保育士不足が深刻化 待機児童減でも…将来不安で退職 自治体間の争奪戦も激化
保育士不足が深刻化 待機児童減でも…将来不安で退職 自治体間の争奪戦も激化
保育士不足が深刻化 待機児童減でも…将来不安で退職 
自治体間の争奪戦も激化 - 毎日新聞

日本は、父親の有給育児休業日数はOECD加盟国中、韓国に次いで2位、365日(子どもが1歳になるまで、または育休プラスで1歳2カ月まで)もあります。
OECD加盟主要国の父親の有給育児休業日数(2016) OECD 
しかし、2018年の男性の育休取得率は過去最高を記録したとは言っても6.16%。しかも上記の産経新聞記事のように、男性が育休を取ったとしても5日未満が約6割という有様。
一方で、女性は待機児童の解消が進まず子どもを保育園に預けられないために職場復帰もままならない。最悪はこのままマミートラックに乗せられてしまいます。これでは、女性が積極的に子どもを産み・育てようという気になれるはずがありません。

ノルウェーやスウェーデンは、クオータ制(割り当て制)があり、父親が育休を取得しないと母親の育休取得権利が消滅してしまいます。90%以上の父親が育児休業を取得し、 1歳になるまでは両親で自宅で子育てをするのが社会的な前提です。

保育園で0歳児の預かりが無いノルウェー


また、毎日新聞の記事にあるように、育休延長※を狙って落選を前提に認可保育園に申し込むケースもあるようで、せっかくの手厚い育児休業制度も政府が期待するようには活用されていません。
※本来の育休は1歳の誕生日の前日まで。しかし、子どもが1歳になった時点で「保育所の入所待ち」、「配偶者が死亡・病気」など特別な理由がある場合に限り、半年間の延長申請が可能。さらに1歳6カ月の時点でも保育所の入所待ちが続いているなどの場合に限り、再び申請をして子どもが2歳になるまで延長できる。延長期間中も育児休業給付(休業開始前賃金の50%を支給)が受けられ、育児休業給付は非課税となっていること、また、育児休業期間中には社会保険料免除措置があることから、休業前の税・社会保険料支払後の賃金と比較した実質的な給付率は8割程度となる。


父親の育休無しでも子育てに積極参加


ところで、上のOECD加盟主要国の父親の有給育児休業日数グラフを見ていて今更ながら(今頃?)に驚いたことがあります。これまで、子育て先進国として取材に訪れたニュージーランド、カナダの有給育児休業日数は0!ノルウェーやスウェーデンでも70日です。
しかし、取材で訪れたどの国も合計特殊出生率は高く、父親が子育てに深く関わっていました。
過去の海外取材はこちらに整理しています

子育て先進国と日本との違いを整理 2017-フランス取材で見えてきた日本の子育て支援の方向性 

政府は、父親の育休取得を義務づける検討を始めていますが、こうしてみると、男性の育児休業取得よりも重要なことが見えてきます。

ノルウェー・カナダ(BC州)・ニュージーランドは、EQUAL(平等)という考え方を非常に重要視していました。民族(先住民・移民・難民、国籍、肌の色など)の多様性を受け入れ、子どもの頃から平等教育を徹底しています。もちろん性差についても同様です。平等の考え方の延長に子育てもあります。
フランスは少し違っていて、21世紀に入ってから実行に移された様々な取り組みや制度により、男性が子育てに関わることを仕組みとして作り上げたと言っても良いでしょう。女性だけでなく、男性も子どもが生まれた瞬間から「親」になったことを意識させ、「親になる」ことを支援する仕組みです。その上で、「親であること」を支援する様々な金銭的支援やサポート体制が確立されています。

フランスもカナダも、保活の厳しさは日本と変わりません。妊娠が分かった段階で保育園に申し込みます。全員が認可保育園に入れるわけではないのですが、それ以外の施設や保育制度が充実し、フランスでは金銭的にも手厚い助成もあります。カナダは日本よりも保育園の保育料が随分高い(1カ月1000カナダ$以上)のですが、それでも母親が職場に復帰してキャリアを途切れさせないことを優先させます。
フランス、カナダ、それにノルウェーに共通していたのは、女性のキャリアに対する考え方と社会の受け入れ方です。出産・育児は女性のキャリアの妨げにならないしてはならない、日本で言うところのマミートラック は存在しない・させないという社会の共通認識です。

取材した国(フランスは除く)では午後4時くらいから帰宅ラッシュが始まっていました。夕方の小学校の周りには、お迎えの車が次々とやってきて、父親の運転する車で帰っていきます。育児休業よりも毎日の家族との時間を重要視し、家事や育児を夫婦で偏りなく分担していました。
日本の父親には、フランスで実施している産休の義務化と、北欧のクオータ制の併用が良いように思いますが、いかがでしょうか?

働き方改革が叫ばれるなか注目されたTBSドラマ「わたし、定時に帰ります」。
吉高由里子演じる主人公のように、全員が効率よく仕事を済ませ定時に帰る。日本の組織・社会でもそれを妨げない上司と会社の空気が当たり前になれば、少子化にも歯止めがかかると思うのですが。高度経済成長やバブルを経験していまだにその時の成功体験・幻想から抜け出せない世代はそろそろ退場して次の世代に社会を任せるときではないでしょうか。

先週、最終回放送の途中、新潟・山形沖地震のために放送中断となってしまいましたが、本日改めて最終回の放送予定。日本の会社で起こっていそうな様々な職場でのトラブル(パワハラ、引きこもり、マミートラック、空残業etc.)をケーススタディで見せられるようなドラマでしたが、さて、最後はどんな結末になるのでしょうか?


2019年6月21日金曜日

現実に目を向けず「家」制度を引きずり、少子化に向かう日本

今朝、BUSINESS INSIDER JAPANのこんな記事を見つけました。

30代子育て世帯の約1割が世帯年収1000万円以上! 共働きと片働きで二極化する収入

大和総研研究員の是枝俊悟さんの書いた記事で、大企業に勤める30代の平均年収は約500万円なので夫婦共働きなら約1000万円になり、二人なら世帯年収1000万円のハードルは大きく下がるというものです。公的年金2000万円不足問題で、年収1000万円についてネットでも様々な議論を巻き起こしているタイミングでキャッチーなタイトルです。
この記事をきっかけに、日本の子育ての現状について少し書いてみたいと思います。

昭和までは専業主婦が当たり前


私が社会人になった頃の1980年代前半までは、女子大、女子短大卒業後の職業は「家事手伝い」か企業の「一般職」(多くは角丸名刺)でした。どちらも永久就職口(結婚相手)を探すための腰掛け的な位置づけです。いわゆるお嬢様学校と言われる大学だと、卒業後に就職することは恥ずかしいと言う風潮さえありました。卒業後は家事手伝いをしながら花嫁修業をし、良い家の跡継ぎや医者・弁護士、あるいはエリートサラリーマンの嫁になるのが目指すゴールだったのです。家事手伝いのお嬢様が通う「花嫁学校」の取材をしたことがありますが、夫を支える妻としてのスキルや心構えを徹底的に教える学校でした。料理や洗濯、アイロン掛けといった家事全般はもちろん、和服の着付け、お茶やお花、書道などの日本文化、外交官や商社マンの夫と共に海外赴任も想定して語学やテーブルマナー、パーティに際しての立ち居振る舞いまで学んでいました。バブル期を境に花嫁学校という名前はやがて無くなり、発展的にフィニッシングスクールへと移行していったところもあります。

昭和50年代の初婚平均年齢は、男性28歳前後、女性25歳前後でしたから、大卒だと卒業後3年、短卒だと5年ほどで結婚して専業主婦というのが一般的だった頃です。

女性の就業率は上がっているのに出生率が上がらない


1985年(昭和60年)に男女雇用機会均等法が成立し、まもなくバブル景気に突入します。ビジネスの世界だけでなく消費における女性の存在感が高まり、「アッシー」「メッシー」「ミツグ君」といった言葉が生まれるほど男性の消費にまで女性が影響を与えるようになってきました。

就業率の推移

よく言われるのは、先進国では女性の就業率が高いほど合計特殊出生率が高いという正の関係です。しかし、上のグラフでは女性の就業率は右肩上がりであるのに対して、下の合計特殊出生率は男女雇用機会均等法が成立した1985年前後から2005年までは右肩下がりです。

出生数及び合計特殊出生率の年次推移ー内閣府より

女性の社会進出を後押しし子どもが生まれても働ける環境作りのために、育児休業法の改正や子ども子育て新制度のスタートなど、様々な施策が実行に移されています。しかし合計特殊出生率は、2005年の1.26から徐々に持ち直してはいますが、1.44で足踏みした状態です。

都道府県別合計特殊出生率の動向-内閣府より

都道府県別の合計特殊出生率の2011年と2016年を比べると、各都道府県共に出生率は上がっていますが大都市を抱える関東・関西圏は低くなっています。本来なら様々な政策の恩恵を受ける労働力人口が多い(若者が集まる)大都市圏での出生率はもっと上がっても良さそうですが、相変わらず低いままです。これはなぜなのでしょうか?
BUSINESS INSIDER JAPANの記事でもあるように、正規雇用の共働きであれば1000万円前後の世帯収入があり、勤め先の充実した福利厚生や育休制度もあるでしょう。仮に認可保育園に落ちても、高い世帯収入を背景に子育てしながら職場復帰をすることはできるはずです。しかし、そういう家庭はごく一握りです。

子どもがいる家庭の多くは共働き


平成30年国民生活基礎調査の結果を見ると、世帯収入の平均は545.4万円、中央値は427万円です。児童のいる世帯の平均所得金額は707万6千円で一人あたりの所得金額は下のグラフで示すとおり世帯収入のほぼ半分。このグラフから見てもほぼ共働きであることがうかがえます(正規か非正規雇用かはわかりませんが)。

児童のいる世帯の平均所得金額・有業人員1人当たり所得金額
平成30年国民生活基礎調査より
 冒頭で紹介した記事で、大和総研研究員の是枝俊悟さんは以下のような言葉でしめくくっています。
政府は近年、育児休業給付金の拡大や保育所の増設など子育て支援を充実させてきた。
それにもかかわらず出生率が伸び悩んでいるのは、世帯年収の向上や子育て支援の充実の恩恵を受けられたのが事実上共働き世帯ばかりであり、片働き世帯が取り残されていたからかもしれない。

近年、男女ともに婚姻年齢が上がり、生涯未婚率も高くなっています。内閣府が公表している未婚率の年次推移を見ると全年代に渡って未婚率が上がっていますが、なかでも結婚適齢期と言われる25~29歳では6割を超えています。
内閣府の同じレポートには夫婦の完結出生児数(結婚持続期間が15~19年の初婚どうしの夫婦の平均出生子供数)についても記述があります。1970 年代から2002(平成14)年まで2.2 人前後で安定的に推移していたが、2005( 平成17) 年から減少傾向となり、2015(平成27)年には1.94となったと。

女性の未婚率年次推移ー内閣府
日本の政府は、家族を全て戸籍や住民票という書類のベースで考えて処理しようとします。武家社会の家父長制、「家」制度を引きずった考え方です。婚姻は異性のみに許され、嫡出子を全てにおいて優先します。保育園に入るにしても、「家」の単位でポイント制にして順位付けしています。
女性の50歳未婚率が15%を越えている現状で、完結出生児数が2を下回っているのですから嫡出子を増やすことだけを子育て支援とするのは、既に現実的ではありません。しかし夫婦別姓でさえ法改正の道は険しいのが現状です。独立した個人を尊重し、嫡出子・非嫡出子に関わらず一人の子どもとして、あるいはその子の親として向き合い支援するべきです。
ここに、他の先進国(女性の就業率と出生率の正の相関)の仲間に入れない理由が有るように思います。

自ら親になることを選べる国に


2016年に取材で訪れたフランスは根本的に考え方が違っていました。翌2017年、取材をコーディネートしていただいた『フランスはどう少子化を克服したか』の著者、高崎順子さんが帰国された際に、「フランスの子育てのヒントを日本に生かすには」というセミナーを開催しました。
この時に印象的だったのが、フランスでは「自ら選んで親になる」ということでした。そして「親になることを支援する」「親であることを支援する」ために論理的に体系的な子育て支援策を用意するのが政府の役割だと位置づけていること。日本の行き当たりばったり、過去を捨てられない政策とは大違いでした。

このセミナーの書き起こしを、「家」制度を引きずり男女や家庭内の役割分担を固定化したままの昭和生まれの政治家・政府関係者に是非読んでいただきたいものです。






2019年6月20日木曜日

一歩前進 改正児童虐待防止法と改正児童福祉法の成立

2019年6月19日、親による体罰禁止を明文化した改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が参院本会議で全会一致で可決、成立しました。
改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が全会一致で可決、成立し一礼する根本匠厚労相(19日午前)=共同
 私の妻であり、【こそだて】の編集長であり、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事/NPO法人子どもすこやかサポートネット副代表理事/NPO法人タイガーマスク基金理事でもある高祖常子は、児童虐待・子どもの体罰を無くそうと長い間活動してきました。

彼女は、昨年、今年と家庭内の体罰・虐待による悲しい死亡事故が続いたことでいてもたってもいられなくなり、署名サイト「change.org」で自らが発起人となり、「虐待死をなくしたい!子どもへの体罰・暴力の法的禁止を求めます」というキャンペーンを立ち上げました。短期間で署名は23,388人に上り、その署名を持って党派を超えて国会議員に体罰禁止を訴え、勉強会にも積極的に参加してきました(もちろん、彼女一人ではありません)。

2万3千人に及ぶ署名は、プリントアウトするだけでも大変です。署名のファイルをUSBメモリーにダウンロードし、それをkinko'sに持って行き出力し、大量の署名を持っての陳情、参加です。 出力枚数も膨大で、出力時間もかかりますし、重量も大変です。毎回その署名リストは手渡していますから、そのたびに出力して持って行かなければなりません。kinko'sの領収書を見て驚いたものです。

そんな苦労もありましたが、無事、昨日法案は可決されました。
change.orgにはキャンペーンについてのお知らせが出ました。

キャンペーン成功!親権者等による体罰禁止の改正法が成立しました!

子どもへの体罰・暴力の法的禁止を求めるプロジェクト2019

署名の届け先も、上記リンク先に記してあります。
公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、NPO法人子どもすこやかサポートネット、認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワークによる共同声明もご一読ください。

 声明「親権者等による体罰禁止を含む 児童虐待防止強化のための改正法成立を受けて

ただただ高祖常子の頑張りを横から応援するだけで私は何も力になれませんでしたが、 この法案が成立したことで、子ども達を苦しめる体罰や虐待が少しは減り、しつけに体罰は必要ない、やってはいけないという意識が浸透することに期待します。

高祖常子はじめ、共同発起人の皆様、法案成立に向けて活動・ご支援いただいた皆様に深い感謝と尊敬の念に堪えません。ありがとうございました。





2019年6月16日日曜日

老後2000万円問題を自分ごと、として考えるときの参考に

先週、金融庁が公表した金融審議会 市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」報告書が物議を醸しています。メディアで大きく取り上げられ、麻生財務大臣が報告書を受け取る受け取らないとか、野党は選挙に向けた争点にしようと追求をするなど、騒動は治まりそうにありません。
件の報告書は、金融庁のサイトからダウンロードできます(上のリンクからもダウンロード可)が、金融審議会の報告書の公表は今回が初めてではありません。2016年には「国民の安定的な資産形成に向けた取組みと市場・取引所を巡る制度整備について」という報告書を公表していて、こちらもダウンロード可能です。

これらの報告書は、金融庁のワーキンググループの報告書です。公的年金は厚生労働省から委託された日本年金機構が業務運営を行い、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用していますから、いわば第三者の別な視点からの報告書です。ある意味、客観的に正しい指摘をしてくれているわけです。

それでは、この報告書を受けて、私たちはどうすれば良いのでしょうか?私の場合は年齢的にすでにできることは限られていますが、これから公的年金は先細りすることが確実な30代~40代、あるいは私たちの子どもの世代はまだ時間もあります。報告書にあるように、老後に備えて自分で何か手を打たなければなりません。
節約ライフプランの「家計診断 年金・老後」画面の一部

その参考になるのが、NTTイフが運営しているサイト「節約ライフプラン」です。
実は、このサイトのコンテンツの多くをブライト・ウェイが提供しています。 老後の備えに関しては「家計診断 年金・老後」が参考になります。
相談者からの具体的な相談に対して、ファイナンシャルプランナーがキャッシュフロー表やグラフを示しながら、具体的にアドバイスをしています。iDecoやNISAに対する質問もあり、金融商品や投資に関するアドバイスも多くあります。相談者の家族構成や所得、相談の背景などバリエーションも多く、これらのケースの中に自分と重なるパターンも見つかるのではないでしょうか?

参考にしていただければ幸いです。





2019年6月10日月曜日

田口被告の突然の土下座ー世間の反応から学ぶ、謝罪でやってはいけないこと

東京都内の自宅で、乾燥大麻を所持していた罪に問われているKAT-TUN元メンバー・田口淳之介被告。先週7日、300万円の保釈金を支払い、勾留されていた警視庁東京湾岸署から保釈されました。
そのときの様子をテレビ各局のニュースで伝えていましたが、いきなりの土下座に驚いた人も多いことでしょう(上の動画はTHE PAGEより)。

田口淳之介被告は、我が家ではKAT-TUNの元メンバーというよりも、堺雅人主演のドラマ「リーガル・ハイ」の加賀蘭丸として親しまれていました。田口被告が逮捕された一報が流れた際にも、息子が「蘭丸が逮捕された!」と家族のLINEグループに送ってきたくらいです。2016年にKATーTUNを脱退し、ジャニーズ事務所も退社してからはテレビでも見なくなりました。それだけに、蘭丸の印象が強く残っています。
「リーガル・ハイ」の中での加賀蘭丸の存在は、「忍び」のような存在。変装したり誰かになりすましたりしながら情報を集め、堺雅人演じる小御門弁護士をアシストします。実は、「リーガル・ハイ」の脚本を担当したのは古沢良太さんで、昨年の人気ドラマ「コンフィデンスマンJP」、現在ヒット中の映画「コンフィデンスマンJPーロマンス編」も手がけています。コンフィデンスマンJPの各登場人物は、私には加賀蘭丸の派生・発展の様にも見えます。

土下座を止めることはできなかったのか?


話が横道にそれてしまいましたが、 爽やかなイメージで売っていた若者が大麻所持で逮捕され、出てくれば土下座をして謝罪という、なんともギャップの大きな後味の悪い保釈劇。所属事務所は、実質的には自身の個人事務所で組織だった活動実態は無さそうですから、今回の逮捕後も事務所のサポートも無いでしょう。親族以外で唯一アドバイスできたとしたら弁護士さんでしょうか。しかし、さすがに弁護士さんが土下座をして謝罪しなさいとアドバイスをしたとは考えられません。

Wikipediaでも、
現在では土下座自体に謝罪というよりも「なりふり構わぬ自己保身の手段」というネガティブなイメージを抱く人が多くなった一面があり、土下座の使い方や使いどころ次第でかえって世間の反感や冷笑を買ってしまい、逆効果になってしまうケースも見られる様になっている。 
との記述があります。 ネット上の反応などを見ると、今回はまさにこのケースに当てはまったようです。

カメラの前での土下座は「パフォーマンス」


過去に土下座をした謝罪で思い出すのが、焼肉酒家えびすの勘坂社長です。和牛ユッケから腸管出血性大腸菌O-111による集団食中毒を引き起こし5名の死者と多数の食中毒被害者を出した事件です。当初は非を認めず強気の会見を行いましたが、数日後に報道陣の前で土下座して謝罪し、パフォーマンスだと非難されました。2011年の事でさんざん話題になった事ですから、田口被告も知らないということはないでしょう。

バラエティ番組やギャグでなくとも、テレビや報道カメラの前で行う土下座は謝意が本物かどうかに関わらず「パフォーマンス」にしか見られないのが今の現実です。謝罪に際しては、謝意を表す・伝えることは重要ですが、そこに余計なパフォーマンスは要らないのです。しらけたり不快に感じさせたりしてしまうことになります。
田口被告も今後、芸能界に復帰を希望するしないにかかわらず、「土下座をした人」として記憶され、 芸能界復帰どころか何をするにも自身を苦しめることでしょう。今頃、どうして土下座をしたんだろう、と後悔しているかもしれません。それとも、他人にはわからないもっと深い考え(カメラの向こうにいる特定の人に向かってのメッセージなど)があったのでしょうか?

何にしても、要らない土下座であったことは間違いありません。

過去にこの場でも何度も書いていますが、不祥事や不測の危機に際して当事者となると、その対応あるいは会見に際しては第三者のアドバイス無しで乗り切るのは極めて困難です。躊躇せず第三者に客観的なアドバイスを求めてください。

2019年6月6日木曜日

育休直後にパタハラで退職→ネットで炎上のカネカの対応について


今週、パピ_育休5月復帰さんの書き込みをきっかけに、Twitter始めネットでパタハラが大きな話題となっています。そもそものきっかけは、4月23日のこの投稿でした。
パピ_育休5月復帰さんのTwitter投稿より
 この投稿に多くのアドバイスや励ましのコメント、更には 1,100を超えるRTが付き、その後の労組や連合、労働局との相談結果などもつぶさにtweetをしています。そして、4月26日に
ちなみに夫は日系大手メーカー勤務。連結1万人くらいの規模、本社で2人目の男性育休取得者で、取得前人事からは、社会の流れから男性育休の事例作らなきゃいけないんです、的な事言われてた。取ってみたら明けて2日で地方に単身赴任命令。時代に逆行してるのか、まだまだ本質がそこにあるのか。
とtweet(赤字は筆者が強調)し、どこの会社なのかに注目が集まるようになりました。結局ご主人は5月31日付で退職し、6月1日に
改めて決意
夫日系一部上場企業で育休とったら明けて2日で関西に転勤内示、私の復職まで2週間、2歳と0歳は4月に転園入園できたばかり、新居に引越して10日後のこと。 いろいろかけ合い、有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。
私産後4か月で家族4人を支えます
とtweet。さらにその後のtweetに、「#カガクでネガイをカナエル会社」とハッシュタグを付けたことで、その会社がカネカだということが判明したのです。 
Twitterを 端緒とするネットでの炎上については、
 
 会社から『男性育休の事例を作らないといけない』と言われ1ヶ月の育休を取得した夫が職場復帰したらパタハラに遭ってしまった話(togetter)
などの複数のサイトにまとめてあります。

 

ネットからリアルビジネス誌へ

 

テレビでも知花くららさんを起用し、企業CMを多く流している知名度の高い一部上場企業のカネカであったことから、リアルなビジネス誌からも注目を集めます。日経ビジネス電子版は直ぐに当事者を直撃取材し、

「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃
を6月3日にアップしています。
すると今度は、角倉護社長から社員宛てにメールが配信されたことがわかり、
カネカ続報、「即転勤」認める社長メールを入手
と続報を流します。
さらに、 今日6月6日に
カネカが初めてコメント「弁護士を入れて調査している」
とする記事をアップするや、カネカのWEBサイトのTOPページには、「当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて」とする公式コメントが掲載されました。
日経ビジネスの記事の公開後にカネカのサイトが更新されたということで、記事の2P目に追記として全文が紹介されています。

Googleトレンドに見るカネカへの関心度


 4月23日のパピ_育休5月復帰さんの最初のtweetから、カネカが公式に行動を起こす今日までの流れをざっと振り返ってみました。
この1ヶ月半の間、カネカは何をしていたのでしょうか?何をすべきだったのでしょうか?

パピ_育休5月復帰さんのtweetを遡ってみると、既に4月23日には上司にも人事にも相談しています。その後、労組や連合、労働局にまで相談していることもわかります。しかし、この段階では一従業員と会社との間でのやりとりなので、表に出ることはありません。ところが、退職し雇用関係が無くなった途端に恩も義理もないので→ #カガクでネガイをカナエル会社」とtweetです。
パピ_育休5月復帰さんのTwitterアカウント取得は2015年で、遡るとアフリカと日本の遠距離恋愛の後結婚、ご主人は海外での単身赴任が長かったことなどもわかります。4月以前のtweetはほとんどお子さんとの日常のことで、ご主人の帰国を心待ちにする様子以外には会社への不満などはほとんど見られません。それなのにこのような事になったのは、4月の転勤内示以降のコミュニケーションに問題があったと言わざるを得ません。

カネカは、このネットでの騒ぎをいつ知ったのでしょうか? 知ることができたでしょうか?

 これだけ大きな企業となれば、広報や総務では自社に関するネット上での書き込みや話題については常にチェックしているはずです。リアルタイムでなくてもGoogleやTwitter、FacebookなどのSNSのツールを使えばある程度は把握できます。社内で対応できなくてもアウトソースで監視してくれる企業はたくさんあります。
Googleトレンドの急上昇ワードを確認すると、社名が判明した直後から検索が増え、6月2日の検索急上昇ワードの3位にランクイン、10万+となっています。Googleトレンドの最初の変化は6月1日の23時頃です。その後深夜にかけて一度山は低くなり、6月2日の夜明けと共に一気に検索が増えていきます。
日経ビジネス、6月3日の最初の記事では カネカIR・広報部は取材に対して、「ツイッターでの一連の議論は承知している」と答えていることから、2日の時点では把握している事がうかがえます。

早い段階で把握し、経営TOPにまで情報は上がっています。その証拠に3日には社長名で社員にメールが配信されているのですが、不用意すぎます。社長名で出す必要があったのでしょうか?社長名で誰(一部の幹部?社員全員?)宛てのメールだったのでしょうか?こういうメールはどこで漏れるか分からない(現に漏れています)ものですし、年月が経ってから見つかっても問題となることがありますから、細心の注意が必要です。

パピ_育休5月復帰さん本人のTwitterアカウントから読み取れる情報、まとめサイトや他のサイトで話題にされている内容はすぐに集める事が可能です。カネカがどのような企業だと見られ批判の的になっているかはわかっているはずです。その上でサイト上に公表した公式見解。ここから読み取れるのは、カネカは法的に間違ったことはしていないので問題ない、一般生活者がどう思おうと経営には支障が無いのでこのまま押し切る、という姿勢を明確にしたと見ることができます。

かつてこのスタンスで対応したB2C企業であるベネッセやマクドナルドは批判を浴び、業績を落としました。B2B企業であるカネカはそこは意に介さないのでしょう。しかし、この突き放した対応がカネカの企業姿勢だと捉えられると、他の事例や不祥事の内部告発などが週刊誌やネットに相次ぐ心配もあります。優秀な社員が他の会社に出て行く可能性もありますし、少なくとも、採用には大きく影響するでしょう。
昨日、自民党で「男性育休義務化議連」が発足しました。「パタハラ」への罰則規定も検討するということですが、今回のカネカの事例についての見解も聞いてみたいものです。


パタハラはもってのほかですが、労使間での希望や要望の食い違いはある程度は起きるものです。最悪、退職に至ったとしても退職者に対しては円満に、気持ちよく去ってもらえる対応を旨としたいものですね。



2019年6月5日水曜日

「日経MJ 2019年上期ヒット商品番付」を福岡で見て思うこと

今朝は、福岡出身の女優、蒼井優さんと南海キャンディーズの山里亮太さんの電撃結婚のニュースで、パッチリと目が覚めました。そんな一日の始まりでしたが、芸能ニュースがない日経新聞には「日経MJ 2019年上期ヒット商品番付」の記事がありました。
日本経済新聞デジタル 6月5日 より
 これを見て、横綱の「令和」と「スマホペイ還元」は誰もが納得いくところでしょうが、大関以下になると人によって受け止め方も違うでしょうし、そもそも「これ何?」というものもあります。西の大関、任天堂「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」 からして私にはわかりませんが、ゲームをやる人には納得の番付なのでしょう。

関脇の「ダイナミックプライシング」は、これまでも宿泊施設やパック旅行が季節により料金を変えたり、スーパーや百貨店の閉店前に値引きするなど、小売りの現場では普通に行われていた需要と供給の関係で価格を変えていくという行為。私は、東京への夕方移動で、スケジュールの変更が無いようなときにはSkymarkやJETSTARを使うことがありますが、購入するタイミングで価格が変わります。JETSTARだと1週間前の予約で、足下が広いシート(+990円)を選んでも7000円以下で購入できるときもあります。JAL・ANAの正規料金の1/5以下です。
ダイナミックプライシングは、これまでは定価・定額販売だったものを季節や曜日、天候など市場のニーズの変化に合わせてダイナミックに価格を変えていくというものです。どちらかというと需要期に価格を上げる方向の自由度が注目されています。これまでホテルなどはタリフ(料金表)を印刷したりウェブサイトに掲載して、需要期でもその金額に縛られていましたが、その呪縛から解き放たれた訳です。
名前が「ダイナミック」というので何か新しいような気もしますが、これまでごく一部で行われてきたことが、もっと大々的に広い業種で行われるようになったと言うことです。
変動料金制を言い換えただけですけど、名前は大事ですね。

さて、この番付では東京あるいは関東圏でないとよくわからない、あるいは接点がない物もいくつかあります。「無印良品 銀座」は銀座にできた新しい無印良品ですし、「ムーミンバレーパーク」は埼玉県の新しいテーマパーク、「うんこミュージアム」も横浜にできたテーマパークです。 店舗やテーマパークは足を運ばないことには何が魅力なのか、なにが話題なのかはわかりません。「翔んで埼玉」も、原作のコミックがあるにしても、関東圏で生活していないとその空気というか背景を肌で感じられないので、単なるコミック原作の映画がヒットしただけという捉え方になるでしょう。

首都圏で話題になる物はこうして全国のヒット番付に登場しますが、地方発のヒット商品がなかなか出ません。人気投票やマーケットデータに基づくものではなく、(多分首都圏在住でしょう)担当記者による番付のせいもあるのでしょうが。
マーケットの大きさだけではなく、今はSNSやネット発信で話題になることも増えてきました。福岡発でヒット番付に載るような新商品・サービスが出てくることを期待したいと思います。

ところで、本日もう一つの驚きは、西日本リビング新聞社の解散報道でした。フリーペーパーを取り巻く環境は厳しいのは確かですが、サンケイリビング新聞社がRIZAPグループになったことも影響しているのかもしれません。