2019年7月1日月曜日

吉本興業は会見も開かず、サイトに「謝罪」ではなく「決意表明」を掲載

カラテカの入江慎也さん、雨上がり決死隊の宮迫博之さん、ロンドンブーツ1号2号の田村亮さん、レイザーラモンHGさんら吉本興業所属芸人の12人とワタナベエンターテインメント所属芸人2人が、振り込め詐欺グループの忘年会に参加して金銭を受け取ったことをFRIDAYが立て続けに報じ、大騒ぎとなっています。
こちら↓は、FRIDAYからの転載のlivedoor newsの記事ですが、
まだあった! 有名芸人たちが今度は「詐欺組織誕生会」で闇営業
テレビでは言及されない生々しい内容が掲載されています。

吉本興業は、詐欺グループとの仲介をしたカラテカの入江さんを契約解除とし、他の11人を謹慎処分とした上で、ウェブサイトに「決意表明」を掲載しました。現在TOPページにはこの「決意表明」が表示され、英語・中国語でも読むことができます(画面の下にあるリンクで切り替え)。
吉本興業WEBサイトに掲載された決意表明

なぜ決意表明?


今回の闇営業(事務所を通さず直で受けた)問題では、吉本興業のコンプライアンスに対するスタンスや対応について批判が高まっています。そもそも、サイトに掲載したのは「謝罪」ではなく「決意表明」であることに違和感を覚えます。
掲載された決意表明は、長文を労して言い訳をしているようにしか読めません。吉本興業はこれまでも「所属タレントに向けた研修を通じて、コンプライアンス意識の向上及び徹底を図ってきた」けれどこういうことが起こったと。会社はやるべき事はやっている、悪いのはルールを守らない所属芸人だと言わんばかりに。これは、バイトテロが発覚した時の会社の対応にも多くありました。
吉本興業の場合には、過去にも反社会勢力との関わりを取り沙汰されたタレントの問題もあり、コンプライアンスの教育はしていたはずです。しかし、私たちが自動車免許の更新時に観るビデオのように、一時の啓蒙にはなっても自分事としては捉えられていない人がいる(だから交通違反も事故も減らない)のと同じでしょう。

どうして反社会的勢力との関わりを持ったのか、何故闇営業を許してしまったのか?その原因を自社の問題として分析していません。伝えられるところによると、所属タレントとの間に「契約書」という形に残る契約は存在していないと言います。契約書を交わしていないということは、何をしなければならないか、何をしてはいけないかなど、双方の同意が取れているかも不明です。そのことについてもこの「決意表明」には触れられていません。

懲戒処分を下す根拠


今年の春、クライアントさんから従業員が逮捕されたので解雇しようと思うのだけれど、との相談を受けました。 ここで詳しくは書けませんが、この時に問題になったのが就業規則と懲戒規定です。近年、ハラスメントが問題になり、懲戒処分を下すには処分の対象となる事実と明確な理由が求められます。最も重い懲戒解雇処分となると、どのような場合が該当するのかが就業規則の懲戒規定に明記されていないと、不当解雇だと訴訟を起こされる場合もあります。特にプライベートな時間に起こした事故や事件は、懲戒処分の対象になるのかならないのか。明文化しておくことは重要です。

今回のような反社会的勢力との関わりを持ったのが銀行や大手企業の幹部だったら、こんな対応では許されないでしょう。一連の騒動で、吉本興業は記者会見をしていません。会見を開けば想定質問は100や200は準備しないとなりませんし、答えづらいこともたくさんあるようです。だから開けないというのが本音ではないでしょうか。

吉本興業は「コンプライアンスの徹底に全力を尽くす」という決意表明だけで「逃げ切り」を考えているようです。