伊調選手らへのパワハラ が内閣府から認定され、その後公の場に出ていなかった栄氏が突然記者会見を行いました。昨日6月14日の午前9時20分からのことです。
この会見は、色々な制限が付いたもので、様々な憶測と更なる批判の的となっています。
生中継不可、20分の制限付き
会見は午前9時20分からなので、民法各局は朝の報道番組やワイドショーの放送時間。生で中継することも可能でした。しかし、生中継は禁止と事前に通告され、それを受け入れなければ会見の取材を認められなかったと言うことです。さらに、会見時間も20分間のみ。理由は、10月に開幕する世界選手権の代表選考会を兼ねる全日本選抜選手権の試合前だからということ。至学館大学レスリング部監督として会場に来ており、試合開始前の20分のみの取材対応という理屈です。
また、会見は屋外での囲みかと思ったら違っていました。
The PAGEの「レスリング栄氏のパワハラ謝罪会見に残った疑念と不透明な再発防止策」の記事によると試合が開催された駒沢体育館のウォーミングアップ場ということです。駒沢体育館への取材入館も、
栄氏の会見は、1週間前に締め切られていた明治杯へ取材申請したメディアにしか取材が許可されなかった。とあり、1週間前に取材申込をしていなければ会見場へも入れなかった訳です。栄氏の会見は前日の夕方にマスコミ各社へ連絡があったということなので、当初より大会を取材する目的だったごく限られたメディアのみを対象として会見を設定したことになります。
制限を設けるほど深まる不信感
直前には、日大アメフト部の内田前監督とコーチの謝罪会見が大失敗となり、かえって火に油を注ぐことになってしまいました。あの会見を他山の石として、ある意味用意周到に準備された会見でした。
日大の時の様に限りなく質問が続くのを避けるために、最初から理由を付けて会見の終了時刻を設定しておくというのは、「はれのひ」社長の謝罪会見でもありました(あちらは会場の制限時間)。
取材制限は、限られたメディアにしか案内しない、事前に申請を受け付けたところに限るなどはあります。厳重なセキュリティが求められるサミットやオリンピック、あるいはF1やAmerica's Cupなど大きな規模のスポーツイベントなどでは事前申請と許可が当たり前です。取材者を制限するというのは、記者クラブ主催の会見でもよくあることです。日大悪質タックル問題では、加害学生の会見は日本記者クラブ主催で開催されましたので、記者クラブ会員以外は取材できなかったはずです。 今回はこれを逆手に取って、週刊誌やゴシップ紙など都合の悪い取材を排除するために最初から取材可能なメディアに制限を掛けてしまいました。
それにしても、生中継は不可というのはどんな意図があったのでしょうか。プロモーションを目的とした解禁日時指定というものもありますが、今回のような謝罪会見で制限をかけることはかえって心象を悪くします。試合開始前に会見が流されるのを嫌ったのでしょうか。放送される時点では別の場所にいたかったのでしょうか。
いずれにしても、会見の模様はテレビやネットで何度も放送され、再生されることに変わりはありません。
今回の会見で伝わってくるのは、形だけでいいから謝罪を済ませてしまおう、できるだけ短時間で強引にでも終わらせてしまおうという姿勢です。これでは伊調選手や関係者への謝罪にもなりません(そもそも謝罪する気持ちも無さそうです)。レスリング協会の中で「謝罪は済ませた」という既成事実を作りたかったのでしょうか。
昔の株主総会(シャンシャン総会)を思い出す、日大アメフト部前監督らとはまた違う醜悪な謝罪会見を見せられたという感想を持つのは私だけでしょうか。
6月18日追記
至学館大学の谷岡郁子学長は17日に記者会見し、栄氏のレスリング部監督を解任すると発表しました。解任理由は
「全く反省できていないと思わざるを得ない。このチームを率いるにはふさわしくない」というものです。
しかし、栄氏の会見後に、学長は観覧席で一緒に観戦・談笑していた様子がテレビや新聞でも報道されています。何故今頃になって?という感はぬぐえません。栄氏の会見や試合後の学長のコメントに対して、ネットでかなり批判があったのを受け、急に解任したように思えます。あるいは、17日午前中にフジテレビで放送された「ワイドなショー」で、千原せいじさんが栄氏と一緒に 会見した日のお昼に焼き肉を食べた事をしゃべったことが影響したのかもしれません。日本大学のように、大学へ批判の矛先が向くのを恐れてのことでしょうか?