2016年4月7日木曜日

2度の謝罪会見で記者が注目したのは「ヒゲ」!

ワイン製造などを手がける「丹波ワイン」(京都府京丹波町)が、2013年に食品衛生法違反を指摘されて回収したローストビーフを、2014年~15年に系列レストランなどで提供していたことが明らかになり、社長の黒井 衛氏が謝罪会見を行いました。

丹波ワインは2013年11月、食品衛生法で認められていない結着剤を使っているとして、保健所から食品衛生法違反を指摘されたローストビーフを自主回収していました。そして回収した肉について、保健所には廃棄処分にすると届けていました。ところが今年2月、保健所の立ち入り調査で廃棄予定だった肉を客に提供していたことがわかりました(MBS News)。

また起こった食品の問題。しかし、各メディアの報じ方もバラバラで、問題点として指摘している事もバラバラですので、まず整理してみたいと思います。

問題点1,食品衛生法で認められていない結着剤を使った成形肉

このローストビーフはどこで製造されたのか報道では不明ですが、同じ時期(2013年11月)、同様に食品衛生法で認められていない結着剤を使用したローストビーフを販売していたとして、高島屋が謝罪しています。丹波ワインと高島屋が同じ食肉加工業者からブロック肉(あるいは商品としてのローストビーフ)を購入していたかどうかはわかりません。2013年11月と言えば、ホテルや百貨店が相次いでメニューの食材についての不適切表示を認めて謝罪した時です。

消費者に対しては販売した高島屋や丹波ワインが加害者ですが、そうと知らずに仕入れていたのであれば販売会社は納入業者に返品(あるいは返金要求)できたはずです。しかし、丹波ワインはそれをせずに冷凍保存しました。
ここで考えられる故意に保存する可能性は2つ。
(1)最初からわかっていて仕入れて販売していた。
  だから返品もできず再販売をしようと考えた。
(2)保健所に廃棄処分すると伝えたので処分する、ついては返金して欲しいと納入業者からお金も受け取り、肉を販売して2重取りをしようとした。

※過失の可能性を否定しているわけではありません。

問題点2,保健所・お客さまに嘘をついた

嘘はダメです。今年の2月になって保健所から立ち入り調査があったということは、内部告発による着手の可能性もあります。 本来廃棄されているべき肉を売り続けていることに良心の呵責を感じた従業員がいたのかもしれません。

問題点3,賞味期限切れの肉を提供していた

これはどちらかというとメディアの報道の仕方の問題ですが、賞味期限と消費期限は全く違います。賞味期限は美味しく食べられる期限を製造者が決めます。賞味期限切れ=食品の安全性に問題が発生するわけではありません。(消費期限切れ前の)賞味期限が切れた食材を煮込んだりして再利用することは普通に行われます。
賞味期限切れの肉をそのままレストランで提供していたのか、加工して提供していたのかで全く意味合いは違います。しかも、加工しないまま販売・提供すればそもそも食品衛生法違反です。そういう意味で、2015年4月に提供したというローストビーフ丼は、賞味期限切れを問題にする前に食品衛生法違反です。
今年3月に保健所が行った品質検査では、食中毒の原因となる菌などは見つかっていません。

そして、昨日の社長の謝罪会見です。

4月6日の正午過ぎに一度、そして1時過ぎにもう一度マスコミの前に現れて謝罪しています。この僅か1時間あまりの間の変化が話題となっています。

ヒゲを剃り、ジャケットを替えて再びマスコミの前へ

FNNニュースより
 1度目にマスコミ陣の前に姿を現した社長は、口ひげを蓄え、茶系ツイード風のジャケットといういでたちでした。しかし、2度目に現れたときにはヒゲを剃り、濃紺のジャケットに着替えていました。
1度目は慌てて対応して、これではいけないと身なりを整えて再度カメラの前に現れたのでしょうが、このあまりにも短時間の変化にかえって不審感を抱かせる結果となっています。
お昼のニュースに流れた映像を見てこれではまずいと思ったのか、それとも奥方か女性従業員辺りから指摘されたのかもしれませんが。

そもそも、2月に保健所の立ち入り検査が有った時点で、いずれ公表されることはわかっていたはずです。その時から1か月以上の時間があったのに何も準備していなかったということになります。
食品偽装など、保健所に通報があり調査が始まってからメディアへの公表まではある程度の時間がかかります。その間に対応の準備は可能です。確かに、ヒゲを剃った2度目の会見の方が印象が良いだけに、どうして最初からそうしていなかったのかと思うばかりです。

謝罪会見は2度目があってはならないのです。

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