※ダイヤモンド・プリンセス号の 状況や対応は、ウェブサイトで随時アップデートされています。
今はまだ国内での感染者は40人を超えたところで全員が隔離された状態ではありますが、3次感染が確認されたということは既に気付かないまま感染している人が、市中にいる可能性もあります。ダイヤモンド・プリンセスを香港で下船した乗客は横浜から乗船しており、乗船時には既に感染していた可能性があります。もしそうであれば感染源は船の中ではないことになり、日本国内の乗船までのどこかでか、あるいは日本に来る前に感染したことになります。
また、ダイヤモンド・プリンセス号は、那覇、鹿児島にも寄港して乗客は下船して観光をしているということですから、そこで感染している人がいるかもしれません。昨日奈良で感染が確認された20代の男性も観光客との対応の過程で感染したとみられており、無症状の感染者が観光をしていることが考えられます。他にも、中国から空路で入国した人でも、感染して潜伏期間だったり無症状であった人も複数いるかもしれません。
こうなってくると、満員電車で濃厚接触の可能性が高い都市部では静かに感染が拡大している可能性もあります。国際線も就航し、飛行機や新幹線で大都市との人の行き来が多い福岡市も、既に感染者がいるかもしれません。
「もしも」を想定してみる
感染のピークは4月頃になるという予想もありますから、まだまだ広がる可能性は否定できません。それでは、自社の従業員やその家族が新型コロナウイルスに感染していることがわかったらどうするでしょう?
まず、職場で日常接触する人は濃厚接触者として検査を受ける可能性は高いでしょう。感染源は自社内にあるのか、あるいはそれ以外かは大きな問題です。もしも社内で複数の人間に感染が確認されたら、社内の誰かが感染して広げたことになり、放置しておくと新たな感染源となりえますし、既に社外へも広げている可能性もあります。これまでの報道を見ていると、混乱を避けるためにある程度の報道規制か情報開示の制限をしている可能性もありますが、当事者となった場合には想定外とならないように準備をしておく必要もあります。
業種や職種によっても人との接触頻度や程度は違いますが、ビジネスのモデルがB2B(対企業)かB2C(対一般消費者)かでも対応は大きく変わります。
B2B企業であればWEBサイトで事実公表をし(許されれば)、お取引先や関係する業務上のパートナー、従業員へ電話やメールで知らせる必要があります。しかし、その前に以下の事を整理しておく必要があります。
1,緊急対応のメンバー指名と組織図(役割分担の明確化)
2,事実の整理(感染者の特定、状態など)
3,考えられる感染源と感染者の接触範囲
4,クライアント様、お取引先企業への影響
5,対応措置ー営業自粛、IT系企業であれば在宅やテレワークでの業務分散など
6,Q&A
など
B2C企業だと、感染者が多くのお客様に対して接客していることもあります。飲食店であれば、保健所からの営業停止やなんらかの指示が出るのでしょうか?
いずれにしても、まずは営業自粛をしてその後の対応を検討せざるをえません。予約中心の高級レストランであれば顧客リストもあるでしょうから個別の連絡、対応もある程度可能です。昨年放送されたTBSのドラマ「グランメゾン東京」でも、スタッフからノロウィルスが検出されたという場面では、自主的に休業して直前にお食事をしたお客様1軒1軒に様子伺いと事情説明に行く場面がありました。しかし、これが不特定多数のお客様を迎える繁華街の居酒屋であったり、郊外のショッピングモールの食品売り場であったらどうでしょう?
これだけのことを感染が発覚して直ぐに準備するのは実際には無理です。しかし、4~6については今からシミュレーションすれば準備は可能です。正解はありませんが、一度シミュレーションしていれば慌てることはありません。特にQ&A。クライアントさんや従業員、マスコミや株主など、その立場になって考えるといろんな疑問や知りたいことが出てくるはずです。100くらいの想定質問を書き出し、それぞれに対する回答を議論しながら整理できれば自信も付きます。これだけ話題になり、自社への影響の可能性が否定できない状況では、どの会社も想定外という言い訳はできません。
自社の業務を振り返る機会としても、研修やグループワークで検討してみてはいかがでしょうか?
もちろん、手洗い・うがいの徹底とアルコール消毒液の設置などは言うまでもありません。
※リタイアしたら、私も豪華クルーズ経験してみたいものです。ということで ダイヤモンド・プリンセス号の紹介動画を貼り付けさせていただきました。
2月15日追記
ダイヤモンド・プリンセス号では2月13日までに713人の検査結果で、218人の陽性が確認されています。国内でも北海道から沖縄まで、2次・3次感染者が広がりつつあります。
そんななか、千葉県在住で感染が確認された20代の男性について、勤務先(パートナー企業からの男性の協働先)のNTTデータがニュースリリースを出しました。
リリースには、「本社対策本部を設置し、所管保健所と連携を図り対応を進めてきました」とあります。
上で書いたとおり、最悪の事態を想定して準備されていたのでしょうか。冷静に対応・検討した上での公表だということがわかります。
もう、日本中どこでも対岸の火事ではなくなってきています。