2016年7月22日金曜日

「G20子どもの豊かさランキング2016」 日本3位の違和感

本日、国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが、「G20諸国の子どもの生活実態に関する比較調査の報告書」を発表しました。G20に国として参加している19 ヶ国の子どもの豊かさを、8つの分野ごとに比較し、総合的に評価する「G20 子どもの豊かさランキグ(Child Prosperity Index)」です。日本は総合3位という結果となっています。


評価指標は、
1)保健(出生時の平均余命、子どもの死亡率、子どもの肥満率)
2)教育(就学年数、OECD学習到達度調査(PISA))
3)所得(国民一人あたりのGDP、所得分配の不平等度(ジニ係数))
4)安全(人口10万人あたりの殺人発生件数、人口10万人あたりの交通事故死者数)
5)雇用(若者の失業率、世界奴隷指数)
6)ジェンダー平等(UNDPジェンダー不平等指数)
7)インフラ(電力供給の安定性、安全な飲み水と衛生施設の利用)
8)環境(自然保護区の割合、大気汚染、国民一人あたりのCO2排出量)
の8項目ですが、子どもの豊かさというよりも、子どもをとりまく・育てる環境整備についての評価とも言えます。
ニュースリリースによりますと、8つの指標のうち保健の分野で1位、雇用の分野で2位、安全の分野で3位という結果。一方、環境の分野では自然保護区の割合が低いことや、国民一人あたりのCO2排出量が比較的多いことから平均以下の11位、所得については8位、ジェンダー平等は7位とふるいませんでした。

OECD資料より、みずほ総合研究所作成 「日本の格差に関する現状」2015.8.28 より 
所得についてはジニ係数が高いことが以前より指摘されていましたし、ジェンダーの平等に関しても言わずもがなの状況です。しかし、国民一人当たりのCO2 排出量が比較的多いというのは、意外かもしれません。既にヨーロッパ諸国では自然エネルギーによる発電が主流になりつつあり、原発問題に振り回されて自然 エネルギー利用に舵を切りきれない日本は、いつの間にか先進国の中では遅れを取ってしまいました。 


子どもの貧困率とのギャップ


日本の子どもの貧困率は6人に一人。OECD加盟国の中では下から10番目に悪い状況です。この貧困率と今回の子どもの豊かさランキングとのギャップはなんでしょう。一方は貧困、一方は豊かさ。子どもの貧困で下から10位、ジニ係数でも下から9位なのに、豊かさでは上から3位。
相対的貧困率の国際比較2010 内閣府発表資料より
現実には、子育てを担う若い家族の雇用・就業問題が影を落としています。バブル崩壊後に社会に出た現役の子育て世代は、正規雇用率が低く、所得は横ばいのままです。特に、一人親世帯の貧困率は50%を超えています。
国としては安全で義務教育や国民皆保険など制度としては整備されています。しかし、その整備された制度も、そろそろ財源不足からほころびが見え始めました。富の再配分としての税金のあり方と使い道について、根本的に見直す必要がありそうです。
まるで過去に向かってお金をばらまくような税金の使い方は、もう終わりにしなければなりません。

ブライト・ウェイへのご相談はこちらから。