BLDが「こども・平等・社会省」 |
ノルウェーの社会では、育児休業を取るのは当然とされています。育休中も給与が保障され、保育園に入れないということもありません(ただし、小学校から大学まで公立学校は無料なのに、保育園は有料です)。そのようなノルウェーで特に興味深かったことが2つありました。それは、
1,パパクォータ制(育休を母親と父親で分け合う制度)は、父親に割り当てられた育児休業を取得しなければ、その権利が消えて、その割り当て分だけ有給日数が削られる。
2,保育園の0歳児預かりは基本的に無い(公立の保育園では預からない)事。保育園に関する様々なデータは、1歳から5歳のものだけです。
この2つのことは、「世界一子育てに優しい国」と言われるノルウェーなのに、「あれ、おかしいんじゃないの?」と思ってしまいます。
しかし、その理由を聞くと納得せざるをえません。
まず、1の父親の育休取得については、子育ては(父子家庭など特殊な状況を除いては)父親と母親が一緒にすることが前提。母親だけ、父親だけでは子育てはできないという考えのもとで決められたようです。
2の、保育園での0歳児預かりが無いことについても、親には1年以上の育児休業を取得する権利が有り、育休取得中も給与の100%(49週以下取得時)~80%(59週取得時)支給されるため、収入のために保育園に預ける必要が無いということです。平たく言えば、こどもを育てることが親の仕事なので、0歳児の間はきちんと子育てをしなさい。その間も、今まで通り収入を保障しますよ、ということなのです。0歳児の間は親の元で育てることがこどもにとっても一番なので、保育園では1歳になるまではこどもを預かりません。
バスにはベビーカー専用スペースも |
翻って、そもそも日本では出産を機に退職する女性が多いので、育児休業の取得者数も保育園への入所希望も0歳児では母数が限られます。それでも0歳児の待機児童が話題になります。母親はもっと子どもといっしょに過ごしていたくても、早く復帰しないと職場を追われるからです。自分の居場所が無くなる不安から、早い職場復帰を望むのです。しかし一方で、0歳児保育には、こども1人あたりの保育士の数も他の年齢よりも多く必用(1・2歳児の倍、3歳児~の約7倍)で非効率です。逆に言えば、0歳児の保育預かりをしなければ、他の年齢のこどもをもっと多く預かれます。
しっかりと1年間の育休を取得し、社会復帰させる仕組みは、実は様々な視点からも効率的な社会と言えます。
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