2018年10月5日金曜日

「台風に強い家」商品化は早い者勝ち!

昨日、
立て続けに襲来する大型台風で、ハウスメーカーのマーケティングは方向転換、差別化の絶好のタイミング 
をエントリーしました。気になり「台風に強い家」は商品化されていないのかと検索してみたところ、大成建設ハウジングのパルコンが性能説明で「風雨に強い家」としての解説ページを持っている程度です。ということは、「台風に強い家」をすぐに商品化してローンチすれば、競合他社に先行することができます。

大切なのは、「台風に強い家」をどう定義するかということです。
クライアント様のソルーシアジャパン社(当事)と私たちは、2002年に防犯ガラスでGoodDesign賞を受賞しました。それまで日本には「防犯ガラス」という概念もなければ規格も存在していません。そこで、規格が確立していた欧米のsecurity glass審査機関に持ち込んで合格証を取得し、欧米の規格を元に独自に規格を設定し商品化しました。基準は、手に隠し持てる道具(ドライバーや金槌)を使い、手首が入る穴を開けるのに5分以上かかる強度。この商品が注目され認知されたことで、後にこの規格をベースに各社が防犯ガラスを発売し、市場が形成されました。
官民合同会議が「防犯性能の高い建物部品」の普及を促進するため、CPマークを制定(2004年)する前です。

それでは、「台風に強い家」の規格をどう決めたら良いでしょう? 台風被害は、「暴風」によるものと「豪雨」によるもの、さらに雨風が引き起こす洪水や土砂崩れ、飛来物による建物破壊、さらには高潮まであります。

「○○mの風に耐える」家


風に強いという場合には、壁全体にかかる風圧に建物が耐えられることに加え、サッシやガラス、ドアなどの建具も風圧に耐えられなければなりません。また、壁に垂直に当たる風だけでなく、軒や庇に下から吹き上げて持ち上げようとする風圧にも耐えなければなりません。

建築基準法で定められる耐風圧性能は、地域毎に基準風速が違う等複雑です。日本の内陸部や日本海側ではほとんどの地域の基準風速は30m/s。しかし、室戸市や枕崎市では40m/s、沖縄では46m/sと基準風速は違います。東京と沖縄で求められる耐風性能が違うのは当然です。しかし住宅等級の耐風等級は、この基準風速をベースに決められるので、地域によって変わる事になります。全く同じ家を建てても、建てる地域によって耐風等級が変わるということです。これでは解り辛い。
今年、関西地方を直撃した台風21号は 最大瞬間風速58.1m/s、大阪市でも47.4m/sを記録しています。大阪市の基準風速は34m/sなので、基準風速の1.4倍の風です。昨年も台風が東北や北海道を直撃して大きな被害が出るなど、台風の進路も過去の常識では考えられなくなっています。今後、地域に関係なく暴風や竜巻による被害の発生が考えられます。こうなると、日本全国地域がどうというよりも「風速○○mの風に耐える家」がニーズになってきます。
壁材、工法、建具まで全て含めてデータに基づいた性能表示と共に、「風速○○mの風に耐える」と明示されていれば安心できます。

「時間雨量150mm/hに耐える」家


数十年に一度の大雨に対して出される「大雨特別警報」や「記録的短時間大雨情報」が珍しいものではなくなってきました。 ゲリラ雷雨で都市部がいきなり冠水することも日常茶飯事です。もちろん、台風に伴う豪雨被害も毎年報告されています。
雨に対して家に求められる性能としては、箱形の家だと屋根(屋上)の排水能力、それに浸水阻止能力。今年の短時間に降った雨だと、時間雨量120mm程度の大雨があったと記憶しています。今後は150mm/sなんていう大雨も考えられます。短時間の大雨と冠水であれば、地上から○○cmまでの水は入らないとかという性能表示があると安心できます。

いずれにしても、具体的な性能表示をして「台風に強い家」を打ち出すハウスメーカーの登場は近いと思います。あとは何処が最初に出すか、どんな付加価値を付けるか(停電や孤立に備えるオプションなど)ですね。

一番は、パルコンでしょうか?