2013年11月2日土曜日

雪崩をうつホテルの不適切表示(誤表示・偽装)発表



1028日、阪急阪神ホテルズの出崎社長が辞任を発表した翌日から、全国のホテルが同様の不適切表示に関して雪崩を打って公表を始めました。
どのホテルも、阪急阪神ホテルズの公表を受けて社内調査をしたとしていますが、先の56月の同様の公表と報道で、心当たりがあるところは既に調査はしていたはずです。社内的には発表するかしないか、するとしたら何時にするかと検討していたのではないでしょうか。
10月22日に始まった阪急阪神ホテルズの不適切表示に関する一連のお粗末な謝罪記者会見と、それを報じるマスコミ報道や世間の反応を見て、全国のホテルは発表のタイミングを見計らっていたはずです。

 公表日       ホテル・レストラン
 530         東京ディズズニーリゾートの3ホテル
 617         軽井沢プリンスホテルほか4ホテル
1022        阪急阪神ホテルズ直営ホテル・レストラン
1024        六甲山ホテル
1025        ザ・リッツ・カールトン大阪
1029        ルネッサンスサッポロホテル
                 札幌プリンスホテル
      札幌グランドホテル
          JR四国系ホテル・施設内3レストラン
          ホテルコンコルド浜松
          大津プリンスホテル
1030        ジャスマックプラザホテル
          ホテル札幌ガーデンパレス
          宇都宮東武ホテルグランデ
1031        帝国ホテル
          近畿日本鉄道系ホテル・旅館
          かんぽの宿塩原
          山形グランドホテル
          山形国際ホテル
          東京第一ホテル米沢
          新さっぽろアークシティホテル
111         ホテルメトロポリタン山形
          江陽グランドホテル
          東京第一ホテル鶴岡
          仙台国際ホテル
          名鉄グランドホテル
          ホテル日航熊本
          JR北海道ホテルズの2ホテル
          千里阪急ホテル(阪急阪神ホテルズ)
          金沢スカイホテル
          小田急リゾーツのホテル・レストラン
   岐阜グランドホテル
          ホテルグランヴェール岐山
112          ホテルニューオータニ熊本
          KKRホテル熊本
          海辺ホテル プライムリゾート賢島
          ノボテル甲子園
113日       城山観光ホテル 
          大和屋本店(道後温泉)
115日       JR西日本ホテルズ運営の3ホテル
          秋田ビューホテル
          ホテル京阪運営の3ホテル
          東急ホテルズの20ホテル
          富山第一ホテル
          第一イン新湊
116日      ホテルニューグランド  
          東部ホテルマネジメント運営の4ホテル
          グランビスタホテル&リゾート運営の6ホテル
          福山ニューキャッスルホテル
          広島エアポートホテル
117日       ホテルオークラグループ13ホテル&関連3レストラン
          ハイランドリゾートホテル
          JALホテルズの16ホテル
118日     東京ドームホテル
          かんぽの宿
1113日    藤田観光のグループホテル・結婚式場など19施設
1114日    ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ
          神戸ポートピアホテル
1115日    大和リゾート運営の12ホテル
          パレスホテル(東京、立川、大宮)
1119日    リーガロイヤルホテル




28日夜の出崎社長の辞任発表会見を見たからでしょう、タイミングを計っていたホテルが翌日から一斉に公表し始めました。まるで申し合わせていたかのように。そして、25日のこのブログ「ザ・リッツ・カールトン、おまえもか!-料理メニュー不適切表示」でも予想していたとおり、111日に向けてやはり名門帝国ホテルやハイアットリージェンシー東京(小田急リゾーツ)を始めとする多くのホテルが不適切表示の公表をしました。ただ、今回はホームページでの公表が中心で、社告は(私が見る限りでは)見つけることはできませんでした。7年で、告知媒体の比重が変わった(と良いように判断した)結果でしょう。
112日の昼の時点で、ネット上のNewsサイトで、ホテルの不適切表示に関する記事について、主なホテルを拾ってみました。他にも有名レストランに関する 同様の記事もありましたが、ここではホテルに限定しました。阪急阪神ホテルズやJRホテルズ、小田急リゾーツのように、グループや企業体とすると一つです が、実際には多くのホテルやレストランがそこに含まれています。タイミング的にはここがベストであり、これを逃すとまた集中して攻められてしまいます。ここまでに不正が社内で確認されていれば、これからあえて公表するホテルもレストランも無いでしょう。この3連休が明けると、ビジネスのスタートでの話題は日本シリーズの結果が一番になり、 マスコミの興味も薄れて、新たに他のターゲットを求めているので、わざわざ謝罪会見を設定しても、マスコミの取材も無いかもしれません。かといって、不適切表示の事実があったことがわかっていながら隠蔽したり揉み消そうとすると、それがまたソーシャルメディアやマスメディアに漏れて更に悪い事になりかねません。

来週からは、謝罪会見はあえて設定せず、ホームページでの公表が増えることでしょう。ホテルのレストランを予約する際にはホームページのお詫びとお知らせをチェックすると、こっそりとお詫びのPDFのページがリンクしてあるかもしれません(しかも目立たないように)。そのようなホテルは確信犯だと思って良いかもしれません。

マスメディアの矜持を見るような記事を最近見ていないなあ、と感じるのは、私だけでしょうか?


11月4日追記

10月31日に不適切表記を公表した近畿日本鉄道系ホテルの対応(利用者への返金はしない)に批判の声が上がっていましたが、奈良市の旅館「奈良万葉若草の宿三笠」で、お子様向けメニューにアレルギー食品を含む成型肉を和牛として提供していたことがわかりました。アレルギー食品については命に関わること。今後の対応が注目されます。
また、近鉄ホテルシステムズが運営するホテルで,今回不適切表示を行ったホテルには,ウェスティン都ホテル京都(京都市)、シェラトン都ホテル大阪(大阪市)ウェスティンやシェラトンといった世界的なホテルチェーンのホテルもありました。

現場のオペレーションは、ザ・リッツカールトン大阪同様にホテルブランドよりも、 運営会社の考え方や価値観に左右されることが明らかとなったと言わざるをえないということでしょうか。
世界的なホテルチェーンの反応も気になったので、少し考察して次のブログに書いてみました。


11月6日22時追記

「奈良万葉若草の宿三笠」を運営する近鉄旅館システムズの北田社長が,辞任を発表しました。同時に三笠以外の4施設でも不適切表示があったと発表し、「偽装」と認めざるを得ないと初めて「偽装」を自ら認める発言をしました。詳細に見ると、高級食材キャビアの偽装なども発表しています。


11月8日 8時追記

2日以降に発表されたものを、一覧に追加しました。