思わずそう叫びたくなる名門ホテルでの料理メニュー不適切表示。
ザ・リッツ・カールトンといえば、パリのホテルリッツを起源とする、名門中の名門ホテル(現在のホテルリッツと、ザ・リッツ・カールトンとは経営上の関係はありません)。
従業員は常に「クレド」を携帯し、クレドの精神を忠実に守るよう教育されています。ザ・リッツ・カールトンのクレド経営は、コンプライアンス教育やホテル・レストランなどサービス業界の研修で、題材としてよく取り上げられます。「リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功法則」など、リッツ・カールトンを題材にしたビジネス書も多く出版されています。
そのザ・リッツ・カールトンは、日本には今回不適切表示を行った大阪を皮切りに、東京、沖縄に進出しています。ただそれぞれの経営母体は別で、「ザ・リッツ・カールトン大阪」は阪急阪神ホテルズと同じ阪急阪神ホールディングス傘下の阪神ホテルシステムズが経営しています。六本木ミッドタウンのザ・リッツ・カールトン東京、リゾートホテルのザ・リッツ・カールトン沖縄は、経営・運営共にザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.Cが行っています。
ザ・リッツ・カールトン大阪は謝罪会見を10月25日に実施。7月には不適切標記が判明していたにも関わらず、公表していませんでした。それが、阪 急阪神ホテルズの発表(10月22日)からされに3日遅れて25日の発表。これは、前日の阪急阪神ホテルズ出崎社長の謝罪会見を報道するマスコミや社会の 激しい批判を見たからでしょうか。
同じ阪急阪神ホールディングス傘下とはいえ、別会社の別ブランドホテルということで、親会社もまさか同じ事をしているとは考えもしなかったのかもしれません。あるいは、出崎社長の謝罪会見報道を見て、ホールディングスから発表するよう指示が出たのかもしれません。
い ずれにしても、このタイミングでの謝罪会見に、マスコミも生活者も阪急阪神ホールディングス傘下と知って「またか」であり、「やっぱり」と思わざるをえな いでしょう。阪急阪神ホールディングスとしての広報体制、クライシスマネジメント体制にも疑問があることが露呈しました。これが、本業の鉄道事業だったと しても同じような対応や会見で済ませるのでしょうか?当然株価にも影響が出ています。最初の謝罪会見をした10月22日の翌日には大幅に下落(日経平均のピークになっている縦線が10月23日)し、その後も日経平均の下落幅以上に大きく下げ続けています。
日経平均の1ヶ月の株価変動 |
阪急阪神ホテルグループの1ヶ月の株価 10月22日をピークに下落が続いた (Yahooファイナンスのスマホの画面キャプチャ) |
これから想定できるのは、7年前の相次ぐ食品偽装が明るみに出たときと同じように、全国のホテルやレストランで「社内調査」が実施され、相次いで(どさくさに紛れて)公表していくという事になりはしないか、ということです。もしそうなら、一つの節目(公表のピーク)は3連休直前の11月1日。新聞の社会面の「社告」が増えるかも知れません。
ヤマト運輸のクール便仕分けが、社内規定を外れて常温で行われていたことが明るみに出ましたが、これも内部告発によるものでした。実際に偽装を行っているホテルやレストランでは、ネットやマスコミに内部告発が相次ぐ可能性もあります。内部告発で明るみに出る前に自ら公表し、謝罪会見をしようと準備にはいっているところもあるかも知れません。
場合によっては、ホテルやレストラン以外でも同様の内部告発が相次ぐ可能性があります。
公表するしないは別として、自社のコンプライアンス体制や仕事への取組姿勢について、今一度検証・見直しすることをオススメいたします。
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