2013年11月4日月曜日

世界ブランドのホテルの名に傷を付けた代償は?

一連のホテルメニュー不適切表示(客観的には偽装表示)の舞台に、ザ・リッツ・カールトンを皮切りにハイアットリージェンシーやシェラトン、ウェスティンといったグローバルブランドのホテルの名前も並びました。

新聞報道などから拾うと

ザ・リッツ・カールトン大阪  (阪急阪神ホテルズ)
ハイアットリージェンシー東京 (小田急ホテル)
シェラトン都ホテル東京 (近鉄ホテルシステムズ)
ウェスティン都ホテル京都 (近鉄ホテルシステムズ)
シェラトン都ホテル大阪 (近鉄ホテルシステムズ)
ルネッサンスサッポロホテル (マリオットインターナショナルとフランチャイズ契約)

などでメニューの不適切表示があったほか、ミシュランの星を獲得したホテル・旅館やレストランでも不適切表示を公表しています。

これまでの経験では、海外の企業と契約しビジネスをする際には、微に入り細に入り細かな条件が付くことが普通です。ロゴの使用方法からWEBサイトのデザインにまで本国・本部のチェックが必要なのは当たり前です。 それぞれのホテルグループが持つ会員プログラムにも対応しなければなりません。ブランドを毀損するような行為やそのような可能性に対しては厳しく規制をかけ、それを破ったりブランドに傷を付けるような行為にはそれ相応のペナルティを課すと、事前に契約書の中に盛り込まれています。

ミシュランに対しては契約が存在するわけでは無いので、ミシュランガイドの信用や権威を毀損する可能性はあっても、損害賠償請求することはできないでしょう。しかしフランチャイズや提携で世界的なホテルブランドと契約を結んでいると、契約時の条件次第では莫大な損害賠償や契約解除の通達を言い渡される可能性もあります。
どのホテルグループも、会員プログラムを持っており、世界中に会員を抱えています。その会員に対しての責任があります。今回の不適切表示(偽装)に対して、各ホテルグループは会員に対して何らかの告知と案内が必要になる(と主張される可能性)でしょう。何もしないと、不作為を理由に、あるいは不義・不実行為として会員から訴訟などを起こされる可能性もあります。そのような会員に対しての告知や案内にかかるコスト負担、ブランドの損失はどうするのかと主張されると、拒否する事も難しいでしょう。
夏に続いたアルバイトの炎上投稿で、フランチャイズ契約を打ち切られたり閉店したりしましたが、行為の悪質度から言えばそれ以上ですから。

無形・知的資産-インタンジブル(intangibles)に対する価値評価と管理体制は日本の比ではありません。今後、グローバルブランドとの交渉内容などが表に出ることはないとは思いますが、なんらかの対応が求められることは、容易に想像が付きます。
別な視点では、「日本のホテルの多くでは、不適切表示がまかりとおっている」と全世界の会員に知らされてしまうと、オリンピック招致プレゼンで強調した「お・も・て・な・し」に対しても、不審感を抱かれかねません。オリンピックの評議員や関係者は、きっとどこかのホテルグループの会員でしょうから。

いずれにしても、海外企業との契約・提携をしている企業様は、今一度その契約文の内容を確認することをお勧めします。

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