1992年アメリカズカップ取材時のIDカード |
「近頃は、首からなんか札下げるのが流行っとるんね?」
最近、オフィスビルではセキュリティチェックが厳しくなっています。そもそもテレビ局や大手広告代理店では、オフィスの入退出はIDカードをかざすのが当たり前です。そんなこともあり、オフィスや病院を舞台にしたドラマだと、職場の場面では登場人物が首からIDカードをぶら下げているのが普通になりました。
かつては、IDカードはF1やアメリカズカップなどの国際的なイベントの際、世界中からやってくるジャーナリストを一般人と明確に識別し、セキュリティエリアへの立ち入りを許可するためなど、限られたシーンで求められていました。そのため、IDを取得するためには定められた要件を満たす事前の申請書類の提出が必要で、認められれば発行PINの通知かIDカードが送られてきました。今のようにICカードなど無い時代ですから、顔写真付きです。
一方国内では基本顔パスみたいなもので、見慣れない顔だと停めて確認する程度。名刺がID代わりでもありました。国会やプロ野球の球場だと記者クラブ章やペンクラブのバッジなどで識別していました。
首からカードを下げる様な場面は、参加した人をグループ分けするなどのイベント性の強いシーンに限られました。名札を首からぶら下げて外を歩くことは、小学生が名札をつけて歩いているような恥ずかしさを感じたものです。
外をオフィスの延長で考えない
昨年、「ピースサインの写真よりも怖いIDカード下げた外出」 をここにエントリーして警鐘を鳴らしました。しかし、冒頭の母の発言のように、テレビや映画、Net配信の番組でIDカードをぶら下げた登場人物を多く見ていると、どこでもそれが普通で場合によってはカッコイイと思ってしまう人も出てくるでしょう。職場で同僚はみなIDカードをぶら下げ、一緒に昼食を食べに外に出れば外でもIDカードをぶら下げています。本人達は何の違和感も感じません。しかし、まわりから見れば異様な集団であり、しかもIDカードのおかげでどの会社のどの部署のグループかまで容易に識別できてしまいます。スマホで写真を撮れば、一網打尽でグループの情報が取れてしまいます。
あれだけ個人情報について神経質になっていながら、不思議です。
今、小学生でも学校の外では名札を着けないか裏返すようにしています。名前で呼ばれて話しかけられると警戒心は薄れ、犯罪に巻き込まれる可能性が高まるとの懸念からです。スマホで写真を撮り、拡大すれば名前がすぐにわかります。
IDカードから顔と名前、所属がわかれば、今ではネット検索でいろいろなことが解ります。ストーカーの危険だけでなく、ネット上の情報プロファイリングにより自宅住所や家族・交友関係まで探り当てられまてしまいかねません。
テレビや映画でみんな首からIDカードを下げているからと、それが施設の外に出ても普通の事、格好いいことと勘違いしないよう、今一度従業員に徹底しましょう。それが徹底できないのなら、蓋付きのIDカードホルダーの導入を検討するべきです。