2019年6月6日木曜日

育休直後にパタハラで退職→ネットで炎上のカネカの対応について


今週、パピ_育休5月復帰さんの書き込みをきっかけに、Twitter始めネットでパタハラが大きな話題となっています。そもそものきっかけは、4月23日のこの投稿でした。
パピ_育休5月復帰さんのTwitter投稿より
 この投稿に多くのアドバイスや励ましのコメント、更には 1,100を超えるRTが付き、その後の労組や連合、労働局との相談結果などもつぶさにtweetをしています。そして、4月26日に
ちなみに夫は日系大手メーカー勤務。連結1万人くらいの規模、本社で2人目の男性育休取得者で、取得前人事からは、社会の流れから男性育休の事例作らなきゃいけないんです、的な事言われてた。取ってみたら明けて2日で地方に単身赴任命令。時代に逆行してるのか、まだまだ本質がそこにあるのか。
とtweet(赤字は筆者が強調)し、どこの会社なのかに注目が集まるようになりました。結局ご主人は5月31日付で退職し、6月1日に
改めて決意
夫日系一部上場企業で育休とったら明けて2日で関西に転勤内示、私の復職まで2週間、2歳と0歳は4月に転園入園できたばかり、新居に引越して10日後のこと。 いろいろかけ合い、有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。
私産後4か月で家族4人を支えます
とtweet。さらにその後のtweetに、「#カガクでネガイをカナエル会社」とハッシュタグを付けたことで、その会社がカネカだということが判明したのです。 
Twitterを 端緒とするネットでの炎上については、
 
 会社から『男性育休の事例を作らないといけない』と言われ1ヶ月の育休を取得した夫が職場復帰したらパタハラに遭ってしまった話(togetter)
などの複数のサイトにまとめてあります。

 

ネットからリアルビジネス誌へ

 

テレビでも知花くららさんを起用し、企業CMを多く流している知名度の高い一部上場企業のカネカであったことから、リアルなビジネス誌からも注目を集めます。日経ビジネス電子版は直ぐに当事者を直撃取材し、

「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃
を6月3日にアップしています。
すると今度は、角倉護社長から社員宛てにメールが配信されたことがわかり、
カネカ続報、「即転勤」認める社長メールを入手
と続報を流します。
さらに、 今日6月6日に
カネカが初めてコメント「弁護士を入れて調査している」
とする記事をアップするや、カネカのWEBサイトのTOPページには、「当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて」とする公式コメントが掲載されました。
日経ビジネスの記事の公開後にカネカのサイトが更新されたということで、記事の2P目に追記として全文が紹介されています。

Googleトレンドに見るカネカへの関心度


 4月23日のパピ_育休5月復帰さんの最初のtweetから、カネカが公式に行動を起こす今日までの流れをざっと振り返ってみました。
この1ヶ月半の間、カネカは何をしていたのでしょうか?何をすべきだったのでしょうか?

パピ_育休5月復帰さんのtweetを遡ってみると、既に4月23日には上司にも人事にも相談しています。その後、労組や連合、労働局にまで相談していることもわかります。しかし、この段階では一従業員と会社との間でのやりとりなので、表に出ることはありません。ところが、退職し雇用関係が無くなった途端に恩も義理もないので→ #カガクでネガイをカナエル会社」とtweetです。
パピ_育休5月復帰さんのTwitterアカウント取得は2015年で、遡るとアフリカと日本の遠距離恋愛の後結婚、ご主人は海外での単身赴任が長かったことなどもわかります。4月以前のtweetはほとんどお子さんとの日常のことで、ご主人の帰国を心待ちにする様子以外には会社への不満などはほとんど見られません。それなのにこのような事になったのは、4月の転勤内示以降のコミュニケーションに問題があったと言わざるを得ません。

カネカは、このネットでの騒ぎをいつ知ったのでしょうか? 知ることができたでしょうか?

 これだけ大きな企業となれば、広報や総務では自社に関するネット上での書き込みや話題については常にチェックしているはずです。リアルタイムでなくてもGoogleやTwitter、FacebookなどのSNSのツールを使えばある程度は把握できます。社内で対応できなくてもアウトソースで監視してくれる企業はたくさんあります。
Googleトレンドの急上昇ワードを確認すると、社名が判明した直後から検索が増え、6月2日の検索急上昇ワードの3位にランクイン、10万+となっています。Googleトレンドの最初の変化は6月1日の23時頃です。その後深夜にかけて一度山は低くなり、6月2日の夜明けと共に一気に検索が増えていきます。
日経ビジネス、6月3日の最初の記事では カネカIR・広報部は取材に対して、「ツイッターでの一連の議論は承知している」と答えていることから、2日の時点では把握している事がうかがえます。

早い段階で把握し、経営TOPにまで情報は上がっています。その証拠に3日には社長名で社員にメールが配信されているのですが、不用意すぎます。社長名で出す必要があったのでしょうか?社長名で誰(一部の幹部?社員全員?)宛てのメールだったのでしょうか?こういうメールはどこで漏れるか分からない(現に漏れています)ものですし、年月が経ってから見つかっても問題となることがありますから、細心の注意が必要です。

パピ_育休5月復帰さん本人のTwitterアカウントから読み取れる情報、まとめサイトや他のサイトで話題にされている内容はすぐに集める事が可能です。カネカがどのような企業だと見られ批判の的になっているかはわかっているはずです。その上でサイト上に公表した公式見解。ここから読み取れるのは、カネカは法的に間違ったことはしていないので問題ない、一般生活者がどう思おうと経営には支障が無いのでこのまま押し切る、という姿勢を明確にしたと見ることができます。

かつてこのスタンスで対応したB2C企業であるベネッセやマクドナルドは批判を浴び、業績を落としました。B2B企業であるカネカはそこは意に介さないのでしょう。しかし、この突き放した対応がカネカの企業姿勢だと捉えられると、他の事例や不祥事の内部告発などが週刊誌やネットに相次ぐ心配もあります。
昨日、自民党で「男性育休義務化議連」が発足しました。「パタハラ」への罰則規定も検討するということですが、今回のカネカの事例についての見解も聞いてみたいものです。


パタハラはもってのほかですが、労使間での希望や要望の食い違いはある程度は起きるものです。最悪、退職に至ったとしても退職者に対しては円満に、気持ちよく去ってもらえる対応を旨としたいものですね。