2019年1月30日水曜日

明石市泉市長だけではない、政治家は常に気をつけないとならないサウンド‐バイト(sound bite)


昨日から、明石市の泉市長の暴言・パワハラ発言(音声)が大きく取り上げられています。
「立ち退きさせてこい」「火をつけてこい」など、驚くような言葉の連続です。この音声が明らかになり、、泉市長はすぐに謝罪会見を行いました。

音声ファイルには続きが



この音声ファイルはどこかがアップしていないかと探すと神戸新聞社のサイトにありました。
【生音声】明石市長が暴言「火付けてこい」
しかし、この音声はすべてではないようです。
同じく神戸新聞社のサイトでは、書き起こし全文が掲載されています。
部下に「辞表出しても許さんぞ」「自分の家売れ」 明石市長の暴言詳報
こちらを読むと、暴言に至った背景がよくわかります。
引用すると、
「ずっと座り込んで頭下げて1週間以内に取ってこい。おまえら全員で通って取ってこい、判子。おまえら自腹切って判子押してもらえ。とにかく判子ついてもらってこい。とにかく今月中に頭下げて説得して判付いてもうてください。あと1軒だけです。ここは人が死にました。角で女性が死んで、それがきっかけでこの事業は進んでいます。そんな中でぜひご協力いただきたい、と。ほんまに何のためにやっとる工事や、安全対策でしょ。あっこの角で人が巻き込まれて死んだわけでしょ。だから拡幅するんでしょ。(担当者)2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。市民の安全のためやろ、腹立ってんのわ。何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。後回しにしてどないすんねん、一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は」
  と、市民の安全のためになんとか早く前に進めたいとの思いからの暴言であったことがわかります。

今回、各局のニュースや朝の報道番組でもこの最後の部分はほとんど取り上げていません。ただ、今朝のフジテレビ「とくダネ!」では同じくこの神戸新聞の記事を全文紹介しながらのものでした。また、上に貼り付けているAbema newsでは、報道ステーションから活躍の場を移した小川アナウンサーが彼女らしく鋭く突っ込んでいます。

何者かが音声ファイルを送りつけてきて発覚


マスコミは、第一報で伝えるときに限られた尺でより刺激的な伝え方をしようと、言葉や表情を切り取ります。過去には雪印社長の「私は寝てないんだ」発言や森元首相の「あの子、大事なときには必ず転ぶ」発言などが思い出されます。

このような、見出しや音声で刺激的な部分だけを切り取って使われることはよくあります。森さんの発言も実は続き・背景があって、浅田選手をおもいやってのことだったのですが、そこは報道されませんでした。
森喜朗 元総理・東京五輪組織委員会会長の発言 書き起こし

そもそも、この音声、いつのものかというと2年前、市長室で担当者を叱責した時のものということです。それが2年も経った今頃になって、しかも音声ファイルとして報道各社に送られてきて騒ぎになったようです(ニュース番組による)。
4月に市長選挙があるというタイミングです。このような騒ぎになることを期待して、何者かが仕組んだのでしょう。 

この音声の公開が2年前だったら、これほど大きな騒ぎにはなってなかったのかもしれません。なにはともあれ暴言はいけません。市長室での会議やミーティングでは、職員がレコーダーを持ち込むのは普通のことだそうです。私も、会議や大事な打ち合わせでは、スマートフォンの音声メモ機能で録音しています。今は録音だけでなく録画もあります。どこにカメラが仕込まれているかわかりません。
しかしそれ以前に、#Metoo運動以来「ハラスメント」に対して社会が敏感に反応する時代になってきたということを、改めて意識しなければならないのです。


2月2日追記

2月1日、泉市長は辞意を表明し、市議会議長に辞表を提出しました。
本日(2月2日)臨時市議会で辞任を認めるかの採決が行われます。どういう結果になるのでしょう?