2015年1月10日土曜日

不正表示、異物混入の次に来るのは炎上目的投稿か?

臭いが強かったり穴の開いたチーズでも、知らないふりをしてわざとクレームを言ってくるかも?

2008年の騒動が再び


まるか食品(ペヤング)、日本マクドナルドの異物混入事件をきっかけに次々と(過去にまで遡り)異物混入がメディアに取り上げられ、各社はその対応に追われています。
振り返ると、2007~2008年も不正表示や異物混入で世の中は大騒ぎでした。毎日のように新聞には企業のお詫びと告知広告が掲載されていました。ミートホープ、比内地鶏、船場吉兆は事件がきっかけで会社が無くなってしまいました。そして、2008年と言えば中国製冷凍餃子事件を始めとする、食品・飲料への農薬混入事件が相次いで起こった年です。
不当表示や異物混入事案が沈静化する一方で、店頭で縫い針を刺したり悪意を持った従業員が薬物を混入したりという、個人(と思われる)犯罪行為はその後も続いています。

当時このような事件を知るのは、テレビや新聞などのマスメディアを通してでした。まだTwitterもFacebookもスマートフォンも(Twitterの日本語対応は2008年4月、Facebookは2008年5月、iPhoneの日本発売は2008年7月)世に出る直前でした。

iPhoneの発売をきっかけにスマートフォンという新たな端末が普及し、それとともにSNSが身近な存在となりました。スマホではその場で写真や動画を撮影し、ネットにアップする事が容易になります。TwitterやFacebookが広まる前は、個人がネットに投稿できたのはせいぜいネット掲示板や口コミサイトとブログ。ネット上で公開されているとはいっても、存在しているだけでたくさんの人の目に触れることはなかなかありません。商品やサービスへの不満やトラブル、悪意を持った書き込みなども、特定のサイトと検索でのチェックである程度把握・対応が可能でした。

2011年 SNSが爆発的に普及するきっかけの年に


TwitterやFacebookだとRetweetやシェアで伝播する力が全く変わってしまいます。その伝播力を見せつけたのが2011年3月11日の東日本大震災への支援でした。日本中が被災者に寄り添い、有益な情報を届けよう、協力しようとネット上で情報が飛び交いました。ほぼ同じ頃、アラブの春でもSNSを活用して抗議活動や集会への参加呼びかけなどがなされ、次々と革命へと進んでいきました。SNSは情報発信や共有・拡散には有効であると認知されたのです。
しかし、利用上の注意やマナー、ルール、あるいは危険性が浸透する前に急速な普及となったために未熟な利用者が多くのトラブルを起こし、巻き込まれました。一つの投稿があっという間に拡散され、意図せず炎上すると言うことも頻繁に起こっています。
そして2013年は、炎上投稿がピークに達しました。
ネットの炎上投稿、企業はどう対処すべきか

2013年 ホテル・レストランの不適切表示に始まり…


炎上投稿が一段落したと思ったら、今度はホテル・レストランのメニュー不適切表示(偽装)が立て続けに発覚。明るみに出たのは、内部告発によるものです。そしてそれに続く異物混入騒動。
まるで、2007年~2008年のデジャブのようでもあります。
とすると次に続くのは、悪意を持った異物混入・犯罪です。
SNSで拡散することを前提に、ブランドや企業のreputation(評判)を毀損することを目的とした犯罪が起こることは十分に考えられます。わざと虚偽のクレームを訴えて、その対応を問題にして投稿するなどということも想定されます。さらには、事故承認欲求を満たしたいだけの、はた迷惑な炎上投稿も続くことでしょう。

何が起こっても「想定内」として対応できるよう、準備をしておくことが肝心です。


1月16日追記

1月13日、一連の異物混入騒動に便乗したかのようなスナック菓子につまようじを故意に入れる動画が投稿され、波紋が広がりました。その後、同じアカウントから万引きを繰り返す等の動画が投稿され、警察は窃盗罪などで15日に逮捕状を取り行方を追っています。
便乗、模倣犯が増えないことを祈るばかりです。

1月19日

1月18日、スナック菓子につまようじを混入したとする動画を投稿した少年が逮捕されました。逮捕容疑は建造物侵入。どうして窃盗罪ではなく?

■混入・万引き、偽装の疑い
 「(万引きは)楽勝にできますね」。1月5日夜に撮影された動画では、撮影者がコンビニの冷蔵庫に並ぶ紅茶飲料を手に取り、代金を支払わずに店を出る様子が映されていた。
 しかし、警視庁が店の防犯カメラを解析したところ、実際の動きはこうだ。投稿された動画の場面の前に、少年とみられる人物が入店し、自ら持ち込んだ飲料を冷蔵庫の陳列棚に放置し、いったん店の外へ。その約3分後に再び入店し、自ら置いた飲料を取り出し立ち去っていた。
 別の日には、東京都内のスーパーで菓子の容器につまようじを混入したとする動画も投稿されていた。しかし、店からふたに穴の開いた容器は見つからず、購入した客もいなかった。警視庁が少年の自宅を捜索したところ、同様に穴が開いた菓子の容器が見つかったという。
 捜査幹部は「(実際にしていない万引きなどで)誤認逮捕を誘発する狙いだったのかもしれない」。同庁によると、一連の動画に絡んで実際に万引き被害が確認された例はこれまでにないといい、少年が異物混入や万引きを装った動画の投稿を続けていた可能性もあるとみている。

-以上、朝日新聞(1月19日)より引用

自己顕示欲・承認欲求から このような行動に至ったのでしょうか?