2015年1月5日月曜日

まるか食品ペヤングとマクドナルドのチキンナゲット、2つの異物混入

昨年チキンナゲットの生産委託をしている中国の工場で、消費期限切れの鶏肉を使ったり、床に落ちた材料をそのまま戻している衝撃の映像がテレビで放映され、業績を落としているマクドナルド。その中国工場の事実が発覚した際、カサノバ社長の会見が適切でなかったことなども手伝って業績悪化に歯止めをかけることがで きませんでした。

1月6日、福岡では販売されていました。
業績不振のまま年を越し、心機一転攻勢をかけたいところでしたが、またも問題が発生しました。問題となったのは、今度も先の事件で生産拠点を中国からタイに移したチキンナゲット。3日に青森の店舗で購入した消費者が、ビニール様の異物が混入していると4日お店に申し出て発覚しています。
これを受けて、マクドナルドはその商品を製造したタイの工場(3つのうちの一つ)で、同じ日に製造された商品についての販売を中止し、該当する工場以外で生産された商品並びにその工場でも別な日に製造された商品については引き続き販売を継続すると発表しています。

ペヤングは虫混入で工場停止・設備刷新へ


ここで思い出すのが、昨年12月に発生した、まるか食品のペヤングへの異物(ゴキブリ)混入事件です。本当なら昨年のうちに取り上げるつもりでしたが、事件発覚後の見解を自ら否定する発表を繰り返し、きちんとした形での会社TOPからの謝罪も説明もないままに時が過ぎてしまい、ここで触れること無く年を越してしまいました。
改めて整理すると、ゴキブリとみられる異物が混入したペヤングを購入した消費者が、12月2日にその写真をTwitterに投稿したことからNETで話題となりました。それに対してまるか食品は「製造過程での混入は考えられない」とすぐさま事実を否定し、書き込み削除を要求したといいます。そのやりとりを購入者は再びTwitterで公開、まるか食品の対応を非難する声が高まりました。結果、ペヤング全商品の回収・販売自粛と、数十億円かかるとも言われる工場設備の全面的な刷新をするために、工場の操業も長期で停止するに至りました。

まるか食品は、全商品の回収、工場閉鎖・刷新という道を辿りました。過去には「白い恋人」の石屋製菓が賞味期限改ざんなどで商品を回収し、賞味期限改ざんができないラインにするなど全面的に工場を刷新したのを思い出します。石屋製菓の場合は、賞味期限改ざんの発覚と前後してアイスクリームから大腸菌群なども検出されたことも工場刷新に繋がったと思われます。
それでは、まるか食品は今回の虫の混入で工場を刷新する必要があったのでしょうか?確かに建物や設備が老朽化したりラインに問題があれば、順次刷新していきます。しかし通常であれば、(複数の工場で生産しているなら別ですが)工場を全面的に停止するようなことありえません。一時的に多少の生産ダウンはあっても、計画的に段階的な刷新・移行をするものです。
業績への影響だけではなく、消費者や流通からの期待を裏切らないためです。

虫の混入が発覚した時、最初の対応を間違っていなければ、冷静に原因分析をし計画的な工場の改修を実施できたのではないでしょうか。

ナゲットの混入物と混入原因は特定されているのか?


今日のマクドナルドの発表は、まるか食品と同様の印象を受けました。混入の事実を認めてはいますがそれ以外は何もわかっていません。
混入物・混入の原因が特定されていないのに、特定の工場の特定日に生産した物だけの販売を取りやめて他は問題なしとしています。しかし、これまでの報道でも日本マクドナルドのWEBサイトを見ても、混入物が何だったのか、ラインのどこで混入したかを特定された情報を見つけることはできませんでした(見落としがあったら申し訳ございません)。
ビニール状の物が、原材料を入れていた袋なのか、工場のラインの機械の一部なのか、従業員の衣類や持ち物なのか、それとも他の物だったのかなどで対応も改善策も変わってきます。それなのに、1つの工場の特定日にだけ起こったこと(他では起こりえない事)と決めつけた対応をしています。少なくとも消費者に安心感を与える発表とは言えません。
今後、原因やその他の事実が明らかになって、これまでの会社の見解を否定しなければならなくならないかと不安になってしまいます。最悪のケースはまるか食品の様に、後追いで全商品の回収・販売停止になることです。その時には「どうしてあのときに全商品を回収しなかったのか?販売を続けたのか?」ということになって更に商品の安全性・信用を傷つけることに繋がりかねません。その時、日本でマクドナルドのブランドは維持できるのでしょうか?

年初から、初動の対応が大切だと改めて考えさせられるニュースでした。


1月6日追記

一夜明けた6日、事務所近くのマクドナルドに寄ってみました。チキンマックナゲットは通常通り販売されていました。


1月8日追記

日本マクドナルドがホームページで事実を発表したのは1月6日午後10時半だと報道されていました。そして1月7日に謝罪会見を開き、他にも3件計4件の異物混入があったと発表しています。
今回の謝罪会見では、サラ・カサノバ社長は海外出張からの帰国途上のためと言うことで会場には現れませんでした。


1月14日追記

日本マクドナルドは「混入経路が特定できなかった」との調査結果を発表しました。

外部調査機関による成分分析の結果、混入物は「ポリアセタール」というフィルム片であることが分かった。また調理工程で熱を加えられた形跡がないことも確 認された。ナゲットを製造したタイ工場の製造ラインや日本での販売店舗ではポリアセタールを使用していないことから、「工場、店舗での混入の検証はいずれ もできなかった」とした。タイ工場での入室時の持ち物チェックは正常に実施されていたという。
 -以上日本経済新聞より引用

それでは、あの青い混入物は、事故ではなかったのでしょうか?だとしたら誰が何の目的で入れたのでしょうか?
これから更にネット上で混乱しそうで心配です。
かさねがさね初動の失敗が悔やまれます。


6月8日追記

販売を休止していたマルカ食品のペヤングが、本日販売を再開しました。 再会当初は待ちわびたファンだけでなく話題性もあり、暫くは販売も好調が予想されます。ペヤングのファンは他の焼きそばには流れていないという調査結果もあります。6か月間の販売休止期間に失った売り場の棚は取り戻せるでしょうか。

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