2015年1月25日日曜日

ネット時代のリスクマネジメント勉強会(第1回報告)

昨年も企業不祥事や食品偽装・異物混入などで多くの謝罪会見が行われ、企業からの発表がありました。しかし、その対応や会見時の発言などを巡り更に信頼を損ねる事になった事例が多くあります。
年初から日本マクドナルドが、またしてもチキンナゲットでの異物混入で謝罪会見を実施しましたが、その会見もネットでは様々に批判され、やぶ蛇とも言える結果となっています。


我々コンサルタントは守秘義務も有り、個別クライアント様の事例などを口外することができません。セミナーを開催しても一般的に知られている事例を元にお話しせざるをえません。そこで、直近の事例をテーマに参加型の勉強会をする方が興味も沸くし、具体的な事例と対応を突き詰めて議論できるので参加者の実になるのではと、定期的な勉強会ネット時代のリスクマネジメント想像会を実施することにしました。

少人数(当面は最大8人程度)での議論(その時どきの担当者や経営者、会見者の状況や心情を想像する)を中心とした勉強会です。クライシス(危機)発生時に求められるのは、知力ではなく個々人の「想像力」だからです
 


スマホとSNSの普及が変えた、情報の量とスピード


 背景にはSNSとスマホの普及があります。情報の伝達スピードはほぼリアルタイムとなり、伝わる情報もテキストや画像だけでなく音声や動画も伴い、詳細になっています。スマホ・SNSが普及する以前の3年前とは要求される対応のスピードも内容も大きく変わっています。
第一報を受け取ってから、どれだけ漏れなく想像力を発揮できるかが、連絡するべき先や対処方法を変えてしまいます。

第1回目のテーマは 
ペヤングの対応はどこが間違っていたのか?

ペヤングの製造販売元のまるか食品は1匹の虫混入で、工場停止・数十億円とも言われる設備刷新まですることになりました。第一報を受け取ったのは誰で、その人は何を考えてどう行動したのか?からスタートします。ペヤングの数日後、同様にパスタから虫が出た日清食品は発表後間もなく沈静化して話題にならなくなったのとは対照的です。
群馬県の優良企業”まるか食品”の事例は、福岡の企業にとっても参考にするべき事は多いのではないかとの思いから、第一回のテーマとしました。

当日は、ペヤングの異物(虫)混入発生からを時系列で追いながら、被害者(購入者)とまるか食品のやりとりとそれぞれの行動・思考を想像しながら進めました。大まかに振り返ると、

12月2日 購入者が虫が入ったペヤングを発見、Twitterに投稿

      保健所とまるか食品に連絡
12月3日 保健所とまるか食品から担当者が被害者宅を訪問
      新聞等で報道
12月4日 まるか食品 お詫び文掲載
  ↓   この間、NET上ではまるか食品、被害者双方への誹謗中傷などが続く
12月11日 2つの工場とも生産休止、全商品回収

勉強会では、ネット上の書き込みや(現在は削除されている12月4日のお詫び文含め)お詫び文、YouTubeにアップされているまとめ動画なども検証しました。
そして、それぞれのタイミングでは、誰が何を考え、決定していったのか?
その結果、どの範囲にまで、どんな影響が及んだのか?

この勉強会では、セミナーなど大人数では話せないような、あるいはこれまでに私が対応したり相談を受けた現場の状況なども具体的に紹介しながら現場を想像し、情報共有ができたはずです。

メディアで報道されている事の裏側や投稿する人の心理、それを受け止める企業担当者の心理やスキルと報道に接する人の捉え方を想像しながらの「想像会」となりました。
次回(2月)、何をテーマにするか(どんな事件が起こっているか)楽しみです。 


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