しかし、実際には被害者数は拡大するばかりで、使用を止めても改善しない症状に対してはその治療方法も確立されていません。
カネボウ化粧品のホームページに掲載された最新データ(2014年3月31日時点)では、白斑様症状確認数は症状が確認された人数は18,692人。うち、4,195人が完治あるいはほぼ快復とありますが、快復していない人が14,497人もいらっしゃいます。
被害者グループが弁護団を結成し、集団訴訟も視野に
そんななか、全国で複数の被害者グループが、損害賠償を求め弁護団を結成しています。既に広島、山梨・静岡で提訴され、ほか、東京や神奈川、京都など各地で弁護団を結成(2014年4月時点で15弁護団)して提訴に向けて準備中だということです。提訴されれば、それぞれの地域での裁判所で争われることとなります。花王・カネボウ化粧品の法務担当者や美白化粧品の開発責任者・プロダクトマネジャーなどは、それぞれの訴訟に対応しなければなりません。費用だけでなく、何時終わるとも知れない法廷闘争は、精神的なストレスも相当なものです。加えて、花王・カネボウ化粧品の経営サイドが、この提訴に対してどのような態度で臨もうとするかによっても、その流れも担当者のストレスも違って来ます。花王・カネボウ化粧品は、全面的に非を認めて早期の損害賠償調停に持ち込もうとするのか、あるいは賠償責任から逃れるために徹底的に法廷で争うのでしょうか。
堺雅人主演の人気ドラマ「リーガルハイ」では、事の善悪や常識のとらえ方ではなく、手段を選ばず法廷で勝利することが正しいというわかりやすいストーリーが視聴者に浮け、高視聴率をマークしました。しかし、企業同士が特許や商標を巡って争う訴訟とは違います。企業が自らの負担と損害を軽くするために、手段を選ばず勝ちに行こうとするのであれば美白化粧品だけでなく、花王・カネボウのブランドもいずれ生活者の選択対象からは外されることでしょう。現状では他を選ぶことができない電気やガスとは違って、多くのブランドの一つにしか過ぎないのです。
京都弁護団の様子を伝える毎日新聞京都版によると、「大メーカーだから適切に対応してくれるのではないかと思うが、そうではなくなっている」とカネボウ化粧品側の姿勢を批判し、裁判も視野に交渉にあたる姿勢を示したということです。
カネボウ化粧品の品質保証関連部門は昨年親会社である花王の品質保証部門に統合されました。新安全基準の策定なども、花王の品質保証部門主導で進められているはずですが、ここのところの新聞報道などでは、花王の関与はほとんど報じられていません。当初は花王グループ一丸となって対応すると明言していましたが、思いの外深刻な状況となってきたので親会社としては少し距離を置き、花王ブランドに傷が付かないよう立ち位置を変えてきたとも映ります。
いずれにしても、法廷闘争に多額の費用と労力をつぎ込む前に、白斑症状の治療法確立に全力を尽くして欲しいと、誰もが思っていることでしょう。次回、5月12日最新データが発表されるようですが、被害者の症状の改善は進んでいるでしょうか。
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