2014年5月17日土曜日

賞味期限切れや傷物商品の扱いについて

クライアント様の従業員の方と個別面談したり親しくさせていただくようになると、意外と多いのが彼らからの内部告発です。特に若い方から問題行為ではないかと「疑問」として投げかけられます。

・会社の商品を勝手に持ち帰る人がいる
・持ち込んではならない物を持ち込む人がいる
・特定のお客様に対して過剰にサービスしたり、料金を請求しない事がある
・テーマパークやイベント、アトラクションに裏口から入れる、便宜を図る
・(飲食店などで)つまみ食い、食材を持ち帰る人がいる
・返品商品を不適切に取り扱い・処分(分配)する
 など

社内や業界の古い慣習が残ったままの企業で働く先輩従業員の行為は、そこで働くようになった若い従業員にとっては不適切な行為にしか映らないのです。しかもその視点の方がだいたい正しい。そのまま見て見ぬふりをしていると、ある日突然共犯者になってしまうケースもあります。かつてはあたりまえに行われていたことが、現在ではやってはならないことになっているのです。当然、本人には罪の意識はありません(中には仲間を募って確信犯のケースもあるでしょうが)。社内で明確な(明文化された)ルールが無い事も原因です。
また、自社の事業に関連する法律についての認識不足もよくあります。法律の改正も頻繁です。
赤福で発覚した巻き直しや船場吉兆の使い回しなどは、物の無い時代の「もったいない精神」の延長ではありましたが、現在ではJAS法違反や食品衛生法違反行為です。

指摘されても問題が理解できない

このような行為が社内にあることを報された経営者が発する言葉は、大きく3通りに別れます。

1,それの何が悪いの?-問題・隠れたリスクが理解できない
2,誰かそんなことをやってるんだ!?-犯人捜し
3,そんなことあるはずがない-従業員を信じたい、問題に向き合いたくない

いきなり犯人捜しなど始めたら社内が騒然としますし、先送りはさらに問題を大きくする可能性もあります。しかし一番問題なのは、もちろん1です。
指摘された問題の重大性がわからないので、それを理解していただくことから始めなければなりません。だいたいにおいて、今でも30年40年前の高度成長期の記憶が脳内を支配しています。身内や仲間内で持ちつ持たれつでここまで大きくなってきた、続いてこれた様な会社です。知り合いに甘く、いい顔をしたい、法律よりも業界や仲間内の常識が優先します。なかなか無くならなかった、土木・建設業界の談合が良い例です。
食品を扱う業界では、余った食材や賞味期限が近づいた食品、傷が有り販売できないような商品を持ち帰ったりすることが今でもあるようです。どうせ捨てるくらいなら、もったいないから有効活用しようというのもわかります。コンビニでは厳格にコントロールしていますが、一般の企業や飲食店でこの行為をルール化して明文化しているところはほとんどありません。大手のホテルチェーンでもなかなか無いのではないでしょうか。

「もったいない」だけで世間は納得しない

法律に違反する行為は説明すれば理解していただけますが、消費期限切れや売れ残りの生鮮品の持ち出しについてはなかなか理解していただけません。社内で処分するんだから何の問題があるの?と開き直られることもあります。どんなリスクがあるかというと、主なリスクだけでも

1,処分(誰かが持ち帰る、社内で安く販売など)方法は誰が判断するのか?
  →客観的なルールがないと不公平感に繋がる→社内の不協和音
2,持ち帰った後の商品の扱いは管理できない
  →自宅で消費するのか、第三者の手に渡るのか?
   転売するかもしれないし、型崩れや半端物の流出。
   最悪、食品の保存方法が悪くて食中毒など第3者を傷つける可能性
  →社外に出た商品に起因するトラブルリスク
3,ルールを決めずに商品を社外に出すことによる批判
  →商品管理に対する不審感、噂や風評リスク

などがあります。
売れ残りや傷物だからと言って、ルールも決めずに安易にその場その場の対応を取っていると、いずれ思いもよらない問題に発展する可能性があるのです。最も危険なのは、廃棄すべき物を持ち帰ることです。
商品の処分方法、払い下げや社内販売のルールは、きちんと明文化しておきましょう。

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