miku 海外の子育て事情
それから2年が過ぎ、 「保育園落ちた、日本死ね!」のブログが話題となるなど、待機児童問題が大きくクローズアップされる様になりました。
2年ぶりの海外取材は当初ロンドンを予定
主要国の家族関係社会支出の 対GDP比(内閣府少子化対策より) |
私たちは中学校の社会科だったと思いますが、イギリスの社会福祉政策は「ゆりかごから墓場まで」と手厚いことを教わりました。現在に於いても、家族関係社会福祉支出比率はスウェーデンよりも高いくらいです。
そこで、ロンドンに行こうと、昨年秋頃から取材の準備を始めました。取材時期はmikuの発行スケジュールや現在進行中の福岡市美術館リニューアルプロジェクトの進行などを考慮して、翌年2017年6月後半で。ところが、まず希望するロンドン便がなかなか取れなかったのに加え、予想外のEU離脱で政権交代、イギリスは混乱していきます。
時を同じくして、1冊の本が上梓されました。
新潮新書 「フランスはどう少子化を克服したか」高橋順子著
新聞やWebメディアでも多く取り上げられ、話題となったので早速購入して読んでみました。フランスは一度落ち込んだ合計特殊出生率を劇的に回復させた(2014年の合計特殊出生率は1.99)国です。しかし、国民性や文化の違いから、子育て支援の制度も特別で参考にはしづらいと思い込んでいました。ところが、この本を読むと全く違う世界が記されています。これまで取材に出かけた子育て先進国とは、取り組み方が大きく違っていながら、いいとこ取りをしているようにも見えます。日本の参考になることも多そうです。イギリスはニュージーランドやカナダなどのイギリス連邦の総本山でもあります。制度的にも両国と似ていることは想定できます。ひょっとすると新たな発見は無いかもしれません。
そこで、急遽取材先をフランスに変更し、取材準備を始めました。
大使館の協力は得られず……
これまで、カナダBC州やノルウェー、(現地取材はできなかったものの)フィンランドなどは、大使館や政府の出先機関を窓口に取材協力依頼をすると、スムーズに事が進んでいました。しかしタイミング悪く、フランスは大統領選挙とそれに続く代議士選挙を控え、mikuの取材依頼なんかに構っている余裕はありません(と無言のアピールを受け取りました。因みにフランス大使館の「フランスの家族政策」ページは2012年から更新されていません)。
私たちは大使館への取材依頼と併行して、「フランスはどう少子化を克服したか」の著者である高橋順子さんへもアプローチしていました。この本にフランスの子育て支援政策はほぼ整理されています。本の執筆に当たっては様々な所へ取材にも行かれているはずですし、取材ルートもお持ちのはずです。数日の取材でこの本を超える記事はもとより無理です。何より、高崎さんにお話しを伺いたい。 一方的に打診をし、淡い期待を持って連絡を待ちました。
そして、有り難いことに高崎さんと連絡が取れ、取材にご協力いただけることになりました。
フランスで暮らし、出産経験のある日本人ママの座談会コーディネートなどは、友人のネットワークを駆使して段取りを付けて貰いました。ここまで、高崎さん始めフランスの取材先や協力先とはメールとFacebook(Messenger)でのやりとりのみ。電話と違い、時差も気にする必要はありません。
滞在中のホテル予約や空港からホテルまでの送迎は、EXPEDIAで日本を発つ前に済ませています。取材先やホテルの場所も、住所がわかっているのでGoogleMapに全て登録しています。スマホと地下鉄の路線図、それに一応パリのガイドブックと少々の現金があればパリでは道に迷うことなく動けます。あとはパリへ飛んで取材をするだけ。本当に世の中便利になったものです。
※取材に出かける直前、イギリスではテロが相次ぎました。そういうタイミングで出かけても、意図する取材はできなかったかもしれません。そういう意味でも、取材先をロンドンからパリに変更したのは正解だったのでしょう。
パリ取材で見えてきた日本の子育て支援の方向性
その2 出産の負担が経済的・体力的に小さいこと
その3 男性が「産休」を取って育児・家事をする事の意味
その4 保育園とベビーシッターの差が僅かに月1万円
その5 都市インフラ的には子育てに優しいとは言えないパリなのに
子育て先進国と日本との違いを整理してみると 2017