2017年10月24日火曜日

2017衆院選で有権者が感じ取ったのは「風」でも「空気」でもなく「覚悟」

衆院選は与党の圧勝、というよりも、野党の惨敗で幕を閉じました。

小池都知事が「希望の党」を立ち上げた時には、ひょっとすると「風」が吹いて野党が一気に躍進するのかとも思われましたが、みるみる勢いをなくして結果惨敗でした。「希望の党」の失速については公示直後に書いたこちらで触れています。

希望の党の失速は都民ファースト(都議会選)と何が違ったのか?小池氏の誤算はどこに?

今回の選挙を振り返ると、立憲民主党以外は全ての政党で議席数を減らしています(自民党は後の追加公認で解散前と同数に)。総議席数が10減ったためでもありますが、各党からの減少分は全て立憲民主党に行ったような形です(しかも、比例で立憲民主党は名簿掲載数を超えて得票し、1議席は次点の自民党に移っています)。

この立憲民主党の勢いはどこから来たのでしょうか?何が支持されたのでしょうか?上のブログでも書いた、日本人の判官贔屓による勢いもあるでしょう。しかし、有権者が感じ取り支持したのは「覚悟」だったと思います。

解散理由も明確でないうえに、「政権選択」が前面に出て選挙の争点もよくわからないままでした。「希望の党」に至っては自公との大連立を臭わせるような小池さんの発言も有り、与党にすり寄るような空気もありました。争点は原発なのか、消費税なのか、反安倍なのか?最後まで絞られることなく公示日を迎えてしまうのか?そうこうしていうるちに、小池さんの排除発言や踏み絵などに反発した枝野さんらは、突如新党を立ち上げ、同時に希望の党への風向きが変わってきました。やがて希望の党に向いていた風が止んでしまったところに、立憲民主党(枝野さん)や希望の党と合流せず、無所属で戦った旧民進党候補者の覚悟が際だったのです。

降りる場所をコントロールできない落下傘


一方、希望の党は230名を超える候補者を立てて、選挙区に割り当てました。候補者にとっては縁もゆかりも無い土地や、今までの地盤を捨てて他の選挙区に移らされた候補者もいます。地元の有権者にとっては落下傘で見ず知らずの人が突然降りてきただけです。落下傘と言えば、映画でも途中で木に引っかかったり民家の庭に降りで犬に追っかけられたり、川に落ちたりとろくな事はありません。まさにそんな戦いだったと思われます。

落下傘候補が降りてこずにガチンコ勝負だったのが新潟4区。毎回金子恵美(自民)さんと菊田真紀子(無所属)さんとの一騎打ちで、注目の選挙区でした。今回は菊田候補が当選したのですが、今朝のテレビで新潟の有権者の声を拾っていてなるほどというのがありました。
「金子さんは自民党で比例復活があるけど、菊田さんは無所属で復活できないでしょ。だから菊田さんに入れました」という年配の婦人。菊田議員は、前回選挙では民主党で、金子さんに惜敗して比例で復活していました。今回は希望の党に合流せずに無所属で立候補した一人です。菊田候補の覚悟に、この選挙区には他の野党も候補者を立てませんでした。
個人的には今後の子育て支援政策立案などで期待していた金子さんですが、残念ながら比例での復活もなく、議員バッチを外すことになってしまいました。

新潟4区のような戦いが全選挙区で繰り広げられていたら、結果は大きく違っていたでしょう。

今回の衆院選は、マーケティング・コミュニケーション的な視点で見ても、大変興味深いものでした。