「バイトテロ」や「バカッター」で検索すると、まとめ動画がいくつも作られてアップされています。テレビで放映されるときには顔にモザイクがかけられて個人を特定できないよう配慮されてもいますが、まとめ動画はそのまま。誰がやっているのかすぐにわかってしまいます。
当然、どのお店のどの従業員かはすぐに特定されるわけです。
そして、ついにくら寿司は不適切な行為を働いた従業員を解雇した上で、刑事・民事で法的措置の準備に入ったと発表しました。
2月6日 当社従業員による不適切な行為とお詫びについて
2月8日 くら寿司守口店における不適切行動をとった従業員2名について
被害者は誰か?
一連の動画騒動で、「バカッター」、「バイトテロ」に対しては厳しい対応を取るべきだとの意見や主張も多く観られるようになりました。しかし、過去に企業の業績に大きな影響を与えるに至ったトラブルを見ると、自分たち(企業)は被害者だという立場で記者会見を開いた企業はその後に再び謝罪会見や新たな改善措置を発表することになります。
マクドナルド、ベネッセも事件発生直後の会見では、自社は被害者だという立場でしたが、批判を浴びてその後に改めて訂正をしています。現在まさに渦中のレオパレスも、昨年5月の会見では下請けのミスだとして自社の非を認めませんでした。
くら寿司はバイトテロの被害者ではあるけれども、本当の被害者はくら寿司に食事に来ているお客様です。動画ではゴミ箱に一度捨てた魚の切り身を再び取り出し、まな板にのせています。動画に映っていた魚は捨ててお客様には提供されていないとされていますが、動画にそれを証明する映像はありません。あんな馬鹿なことをしておいて、本当に提供せずに捨てたの?と疑問に思うのが普通です。発表と違って「もったいないので洗って使いました」と答えていた可能性もあります。
この動画を見た常連のお客様や、当該の店舗で食事をしたお客様は「ひょっとしたらあの魚を口にしているかもしれない」と不安に思っているかもしれません。一組のバイトテロを追求して反省させたとしても、お客様の不安がなくなるわけではありません。
もちろん、再発を防ぐために今回の当事者へは厳しい措置を執ることは必要ですし、雇用契約や教育プログラム、業務遂行時に持ち込める私物の制限などの見直しも当然必要です。
しかし、くら寿司が今するべきは、疑問と不安を払拭すること、お客様を安心させること。お客様が再び安心して足を運べるようになるための策を必死で考え出すことです。今回のくら寿司の元従業員への厳しい対応は、報道でもネットでも話題になっています。
本来ならば、もっと前向きな改善策の発表で話題になるべきだと思うのです。