メニュー表示と異なった食材を使用していたことに関するお詫びとお知らせ
今回の木曽路の発表も、昨年一連のホテルレストランの不適切・偽装表示やこれまでの食品不祥事に何も学んでいないと言えます。
朝日新聞によると、
北新地店に7月、大阪市消費者センターなどの立ち入り調査があり、偽装の疑いが浮上。これを受けて、全118店舗を対象に、12年4月以降の仕入れ数量と販売数量などを調べたところ、3店舗で偽装が確認された。とあります。まず、今年7月の立ち入り検査の時点で最悪のケースを想定しなければなりません。社内調査と併行して発表のタイミングや内容・補償などについても検討を始めたでしょう。少なくとも半月以上の日数が経過しています。その間、十分な議論と準備をして14日の発表を迎えたはずです。しかし、松原社長の謝罪会見は翌15日となり、14日に発表した補償内容を修正しました。
14日の発表時には、当該メニューを食べたお客様に対しては、予約記録やレシートなどで確認できれば差額分を食事券などで補償するという内容でした。しかし15日、社長が出席する謝罪会見で、一転して現金で補償すると発表しました。お客様からすれば、「差額だけ補償?」という声も聞こえてきそうです。
しかも、謝罪会見の席で社長は(こんな場で言うのもなんですがと前置きをした上で)「木曽路の肉は上等なので、味にそう差は無い」 という発言まで飛び出しました。
7月の立ち入り検査のきっかけについては何も発表されていませんが、内部告発であることは間違いないでしょう。偽装をしたのは料理長だとしていますが、毎月の商品別売上と仕入れ原価を店舗毎で管理しているのであれば、すくなくとも店長は気がつくはずです。むしろ、店長が自店の利益を水増しするために指示していた可能性すら否定できません。さらには、それを本部が見て見ぬふりをしていたかもしれません。そうでなければ、内部告発に至ることは希です。
最初の発表では社長が同席せず、後日社長が改めて会見をしたといえば、そう、昨年の阪急阪神ホテルズの会見と全く同じです。
阪急阪神ホテルズ 出崎社長遅すぎる会見 偽装を否定し誤表示と強調
しかも、阪急阪神ホテルズの出先社長と同様、松原社長は言わなくてもいい「言い訳」を口にし、会社ぐるみの関与を否定しました。株価も同様に大きく下げました。阪急阪神ホテルズと同じ轍を踏んだとしたら次は社長の辞任会見になるのでしょうか。
東証・名証1部上場企業でありながら、木曽路もコンプライアンス・広報についての認識が甘いうえに、お客様に再び嫌な思いをさせていることに気がついていません。
1人前7000円の松阪牛を注文するお客様が、1500円の差額をわざわざ請求するでしょうか?接待で会社の経費で処理していたら?全額返金であれば別ですが、大人数で食事して、返金額が大きな金額になるような人でなければなかなか請求しないでしょう。そして多くは請求をせず、裏切られた思いだけを記憶に留めて離れていくのでしょう。
サイゼリアでは、単価は安かったとはいえレシートが無くても自己申告で返金に応じました。
こんなところからも、お客様への姿勢の差が見事に見えてしまいます。
松阪牛 松阪牛みや川さんのホームページより拝借いたしました |
木曽路の返金額を計算してみると、
差額1,500円×7,000食=10,500,000
約1000万円余分に貰っていたのでその分だけ返金しますと。
しかし、全額返金しても、7000円×7000食で4900万円。しかも、これは全員が返金請求した場合。予約記録やレシートがなければ返金されないので、実際には半分も請求があるとは思えません。全額返金でも、2000万円にも届かないでしょう。
売上高 457億2,100万円(平成26年3月期)の企業にあって、この額をケチった!という印象が残ってしまいました。
7000円の料理を注文するお客様は、木曽路にとっても上顧客だったはずです。全額返金だけでなく、なお「プラスの何か」を考えて、改めて木曽路ファンにするくらいのことを考えるべきです。
クライシスに際しての対応次第で、会社の評判を地に落とすこともあれば、ジャパネットたかたの時のように信頼に繋げるきっかけとなることもあります。しかし残念ながら、最近の記者発表・クライシス対応ではますます会社の評判を落とすことばかりなのが残念です。
ブライト・ウェイへのご相談はこちらから。