2014年2月15日土曜日

少子化対策と子育て支援策は似て非なるもの

ここ数年続けている子育て先進国の取材は、一昨年のニュージーランド、昨年のカナダBC州に続き、今年はノルウェーを取材しようということになりました。子育て支援制度の充実に加え合計特殊出生率や各種経済指標の客観的なデータも高水準。きっと日本の現状と比較して色々と参考になることも多いはずです。そこで、ノルウェー大使館にアポイントを取り、取材協力の御願いに行ってきました。対応いただいたのは、ノルウェーの女性参事官と日本人の広報官です。

これまでのスウェーデン、ニュージーランド、カナダBC州の取材状況などを伝え、今回の取材目的や趣旨、希望する取材先・対象と時期などを伝え、本国との調整を依頼しました。同時に、ノルウェーの子育て支援の状況などについて軽いヒアリングを行いました。


まだ本取材ではないのですが、様々な話をした中で2つの事が印象に残りました。

パパクォータ制度への抵抗は強かった

今回ノルウェーでの子育て状況取材の主題の1つが「パパクォータ制度」。1993年にノルウェーで初めて導入され、ヨーロッパ各国などに広がっています。日本でも2010年の育休法改正により導入された「パパ・ママ育休プラス」は、このパパクォータ制度を手本にしたと言われています。
パパクォータ制度の話を取りかかりに、ノルウェーの子育て支援の話に入っていったのですが、いきなり「その前提は違う」というところから始まりました。子育て支援が主体ではなく、家族のあり方が大事なのですと。カナダBC州の子供家庭省での取材時にも同じことを言われました。言い方を変えると、「木を見て森を見ず」とならないようにということでしょう。日本では法律や各種制度が、子育ては母親の役割というところからスタートしています。 子育てに父親が関わる前提では考えられていないとも言えます。
ノルウェーの子育て・家族に関する政策を担当する大臣は「子ども・平等・社会大臣(Minister of Children,Equality and Social Inclusion)」です。政策の決定や実行状況についても、オンブット制度(国が任命する監視員)で国民の厳しい目が光っています。

北欧の国々は冬も長く貧しかったため、夫婦で働くのが当たり前でした。そのため、ノルウェーでも政治にも経済活動にも女性の進出が早くから進んでいました。それでも、本格的になったのは1970年代に男女平等、地位獲得の運動をした結果だと言います。今では上場企業の取締役には、一定比率以上女性を登用しなければならないとか、政権交代すると閣僚に何人女性が入閣するかなど、国民が厳しい目で見ていると言います。思えば日本でもウーマンリブ運動が盛んでしたが、高度成長期の男世界の壁を打ち崩すことはできず今に至ります。ノルウェーでも一時合計特殊出生率が下がり、 それを何とかしなければと導入されたのがパパクォータ制でしたが、決定に際しては相当な抵抗もあったそうです。それでも導入にこぎ着けられたのは、男女平等が前提という国民意識の高さが背景にあり、押し切ることができたということでした。

国家戦略としての出生率維持

日本では、子育て支援だけでなく北欧の手厚い社会保障制度について注目します。しかし、そのために高い所得税や消費税を受け入れていることにはあまり目を向けません。当然、物価も高くなります。わずか500万人という人口では、いくら高率の課税をしても税収には限りがあります。北欧の国の中でもノルウェーは、1970年代に石油が出たことによって裕福な国となりました。国民一人あたりのGDPも高水準です。一方で、限りある資源に頼っていても先が無いのは明かです。
それだけに、余裕があるうちに出生率を快復させ、労働者人口の減少に歯止めをかけ、優秀な人材を育てて次の産業を育成しなければなりません。
国家戦略として、「米百俵の精神」で子育てに力をいれていると感じました。

まだ、大使館での情報交換だけですが、大変興味深い内容で、現地取材が楽しみです。


戻って取材準備のためにノルウェーの事を調べ始めて驚きました。ヨーロッパで最も物価が高い国の一つだということです。デフレが続いた日本から欧米に行くとどこも物価が高く感じるのに、その中でも最も高いとなると、取材経費はどのくらいにのでしょう?ちょっと不安になりました。

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