2015年10月9日金曜日

「VWがスズキに関するネガティブステマ依頼」という記事に違和感

昨日、【衝撃】フォルクスワーゲンはスズキのネガティブな「逆ステマ」を超高額で依頼している。フリーライターが怒りの告発 という記事が netgeek に掲載されました。この記事を読んで、いささかの違和感を感じています。

まず、お断りしておかなければならないのは、記事に名前が挙がっている国沢さんを擁護するわけでも、伏木さんを批判するわけでもなく、客観的な視点でこの記事に違和感を感じると言うことです。確かに一つ前のフォルクスワーゲン(VW)には「リスクの神様」は現れなかったのかでも国沢さんの名前を挙げていますし、個人的にも親しくさせていただいています。しかし、個人的な思いはここでは一旦横に置きます。

さて、この記事の違和感ですが、「フォルクスワーゲンがスズキのネガティブリポートを高額報酬で募集していた」という部分。再三このブログでも書いているように、知られたくない話に限って広まるものです。ライターさんに事前にNDAを結んで話をする(この記事で言う募集)ようなことはなかなか考えられません(新車発表前の情報公開時などは誓約書やNDAは結びます)が、このような話は同業者や業界ではすぐに噂となって広まっても不思議ではありません(NDAを結んでいるのであれば、第三者に話しをした段階で契約違反)。
伏木氏のTwitterでは、「VWとスズキの提携解消話がこじれ訴訟になった頃、VWに縁の深い旧知からスズキに関するネガリポートを定期的に行う"仕事”のオファーを受けた」とあり、VWから直接ではないものの、間接的にVWからの依頼である様に書かれています。
訴訟になった頃というのはずいぶん前(2011年~)で、今年の8月末で一旦区切りが付いています。今後は株の買い取り価格とスズキに対する損害賠償が言い渡されるかどうかが焦点なので、むしろネガティブキャンペーンで株価が下がるとVWにとっては不都合な話です。このタイミングでこのような話(Tweet)は不自然に映ります。ディーゼルエンジン不正の件もあり、この行為自体が今のVWにとってマイナスにしかならないはずですし、スズキのネガティブな記事がなにかのメリットになるとは考えられません。

政治の世界でのネガティブキャンペーンや落選運動はあること。しかし、自動車をはじめとする民生品・一般消費財で 比較広告はあってもこのような(逆)ステルスマーケティングは、今や炎上のもとです。隠していてもいずれ表に出て炎上するくらいのことは容易に想像がつきます。昭和の時代とは違います。マーケティング担当者はよく知っているはずです。それほどVWの経営者やマーケティング担当の感覚が鈍っているとは思えませんが、ディーゼルエンジン不正の件もあり全く否定もできないのが悩ましい所です。ドイツ本国の経営幹部からジャパンにこのようなネガティブステマ依頼の指示が来たことに嫌気がさして、庄司茂氏が7月末に「本人の意向により」突然退任という流れになったのかと深読みしてしまいそうです。

今後、VWはそのような高額報酬で逆ステマを依頼したのか?伏木氏の言う「VWに縁の深い旧知」は誰なのか?に興味が移っていくのでしょうか?それとも、私と同様に違和感を感じ、他のメディアではスルーされて終わりでしょうか。netgeekがどのくらいの覚悟を持ったメディアかはわかりませんが、個人名をあげて批判めいた記事を書くのならば、きちんと関係者に対して取材をするべきでしょうが、どうやらそうでもなさそうです。この記事を書いたGil Penderという記者も存在が不明です。少なくとも、ネットで調べた限りでGil Penderで拾えたのはパリ在住のこの人だけでした。これだけリアルタイムに日本語で記事を書くのですから、日本在住の方と思われますが、Googleでの日本語検索では、netgeek以外でこの名前を見つけることはできませんでした。

VWほどの大企業であっても一度問題を起こすと、ある事も無い事も様々に注目され、報道されてしまいます。普段から不正や虚偽、ごまかしを排除し、正しく誠実な経営が一番大切であることを改めて感じ、自社を振り返る経営者は多い事でしょう。

いずれにしても、古いゴルフではありますがVW車の一オーナーとしても、早い信用回復を望むところです。これからフォルクスワーゲンから発っせられるメッセージに注目したいと思います。

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