2018年10月18日木曜日

データ改ざん、隠蔽報道の度に思い出す「七つの会議」

大手メーカーのデータ改ざん・隠蔽報道が絶えません。日産やスバル、三菱マテリアルなどが謝罪会見を開いたのは、まだ記憶に新しい出来事です。
そして今週テレビ・新聞を賑わせているのは、油圧機器メーカーKYBによる免震・制振装置の検査データ改ざん問題。KYBは、もともと萱場製作所(後にカヤバ工業)を起源とするオイルダンパーやショックアブソーバ、サスペンションまわりの油圧緩衝パーツメーカーとして、自動車・二輪メーカーやモータースポーツの世界で有名な「カヤバ」でした(2015年よりKYB株式会社)。KYBのウェブサイトで製品別売上高を見ると、今でも6割は自動車・2輪社向けであることがわかります。


さすが池井戸潤


これだけデータ改ざん・隠蔽について社会の目が厳しくなっているのに、まだ同じ事が繰り返されるのを一般の生活者は不思議に思うでしょう。5年前、ホテル・レストランで立て続けに発覚した食材偽装・メニュー不適切表示の際には、身に覚えがあるホテル・レストランはここぞとばかりに一斉に公表しました。しかし、自動車や建物、あるいはそれらに使用される素材や部材においては、人命や財産の安全に関わる問題であり影響が大きいためにおいそれとは公表できません。過去にまで遡っての補償の問題も出てきます。多くの企業では、それに関わった人たちは口をつぐみ隠蔽しようとします。内部告発や第三者からの指摘で明るみに出るまで長い間隠し続け、その間に傷を深くしていきます。

このような企業ぐるみのデータ改ざんや隠蔽の報道に触れる度に思い出すのが、5年前にNHKでドラマ化され放映された「七つの会議」です。日本的な組織で働いている人は、自分の会社の事かと思う様な会議の様子が描かれます。組織のリアルな葛藤が描かれていて、引き込まれました。下町ロケットと同じく池井戸潤氏の小説が原作です。
今年映画にもなった「空飛ぶタイヤ」も、三菱自動車工業のリコール隠しを題材にした池井戸潤氏の小説が原作でした。そして今度は「七つの会議」が映画化され、来年2月の封切りを控えています。どちらも企業不正の隠蔽を暴く内容です。

企業の不正とそれに立ち向かう会社員の姿を描く映画やドラマが次々と作られている背景には、潜在的な企業への不信感が市民にあるからでしょうか。昨年も「不正や悪事を見逃すと、いずれ時限爆弾や不発弾が爆発する」でも言及しましたが、問題の先送りと隠蔽は、いずれ企業に「倍返し」で解決を迫ることになるのです。





2018年10月5日金曜日

「台風に強い家」商品化は早い者勝ち!

昨日、
立て続けに襲来する大型台風で、ハウスメーカーのマーケティングは方向転換、差別化の絶好のタイミング 
をエントリーしました。気になり「台風に強い家」は商品化されていないのかと検索してみたところ、大成建設ハウジングのパルコンが性能説明で「風雨に強い家」としての解説ページを持っている程度です。ということは、「台風に強い家」をすぐに商品化してローンチすれば、競合他社に先行することができます。

大切なのは、「台風に強い家」をどう定義するかということです。
クライアント様のソルーシアジャパン社(当事)と私たちは、2002年に防犯ガラスでGoodDesign賞を受賞しました。それまで日本には「防犯ガラス」という概念もなければ規格も存在していません。そこで、規格が確立していた欧米のsecurity glass審査機関に持ち込んで合格証を取得し、欧米の規格を元に独自に規格を設定し商品化しました。基準は、手に隠し持てる道具(ドライバーや金槌)を使い、手首が入る穴を開けるのに5分以上かかる強度。この商品が注目され認知されたことで、後にこの規格をベースに各社が防犯ガラスを発売し、市場が形成されました。
官民合同会議が「防犯性能の高い建物部品」の普及を促進するため、CPマークを制定(2004年)する前です。

それでは、「台風に強い家」の規格をどう決めたら良いでしょう? 台風被害は、「暴風」によるものと「豪雨」によるもの、さらに雨風が引き起こす洪水や土砂崩れ、飛来物による建物破壊、さらには高潮まであります。

「○○mの風に耐える」家


風に強いという場合には、壁全体にかかる風圧に建物が耐えられることに加え、サッシやガラス、ドアなどの建具も風圧に耐えられなければなりません。また、壁に垂直に当たる風だけでなく、軒や庇に下から吹き上げて持ち上げようとする風圧にも耐えなければなりません。

建築基準法で定められる耐風圧性能は、地域毎に基準風速が違う等複雑です。日本の内陸部や日本海側ではほとんどの地域の基準風速は30m/s。しかし、室戸市や枕崎市では40m/s、沖縄では46m/sと基準風速は違います。東京と沖縄で求められる耐風性能が違うのは当然です。しかし住宅等級の耐風等級は、この基準風速をベースに決められるので、地域によって変わる事になります。全く同じ家を建てても、建てる地域によって耐風等級が変わるということです。これでは解り辛い。
今年、関西地方を直撃した台風21号は 最大瞬間風速58.1m/s、大阪市でも47.4m/sを記録しています。大阪市の基準風速は34m/sなので、基準風速の1.4倍の風です。昨年も台風が東北や北海道を直撃して大きな被害が出るなど、台風の進路も過去の常識では考えられなくなっています。今後、地域に関係なく暴風や竜巻による被害の発生が考えられます。こうなると、日本全国地域がどうというよりも「風速○○mの風に耐える家」がニーズになってきます。
壁材、工法、建具まで全て含めてデータに基づいた性能表示と共に、「風速○○mの風に耐える」と明示されていれば安心できます。

「時間雨量150mm/hに耐える」家


数十年に一度の大雨に対して出される「大雨特別警報」や「記録的短時間大雨情報」が珍しいものではなくなってきました。 ゲリラ雷雨で都市部がいきなり冠水することも日常茶飯事です。もちろん、台風に伴う豪雨被害も毎年報告されています。
雨に対して家に求められる性能としては、箱形の家だと屋根(屋上)の排水能力、それに浸水阻止能力。今年の短時間に降った雨だと、時間雨量120mm程度の大雨があったと記憶しています。今後は150mm/sなんていう大雨も考えられます。短時間の大雨と冠水であれば、地上から○○cmまでの水は入らないとかという性能表示があると安心できます。

いずれにしても、具体的な性能表示をして「台風に強い家」を打ち出すハウスメーカーの登場は近いと思います。あとは何処が最初に出すか、どんな付加価値を付けるか(停電や孤立に備えるオプションなど)ですね。

一番は、パルコンでしょうか?





2018年10月4日木曜日

立て続けに襲来する大型台風で、ハウスメーカーのマーケティングは方向転換、差別化の絶好のタイミング

今年は、毎週のように台風がやって来ます。先週末の24号、その前には21号が日本全国に大きな被害をもたらしました。そして再び、今週末にも25号が日本海側を日本に沿うように通過する予想です。

育児のポータルサイト【こそだて】では、毎年「災害への備え」についてアンケートを実施しています。日頃から意識する自然災害について、東日本大震災前年の2010年、直後の2012年、そして今年を抜き出すと以下の様になります。

●日頃から何か自然災害を意識していますか?  (2012  2010)
1位 地震のことが気がかり……………………82.4% (90.9% 75.3%)        
2位 台風が気がかり……………………………18.6% (20.4% 23.4%)        
3位 特に何も意識していない…………………14.7% ( 6.7% 19.0%)        
4位 水害が気がかり……………………………13.7% (10.9% 10.3%)        
5位 津波が気がかり……………………………11.7% (13.2%   -  )        
6位 大雪が気がかり…………………………… 9.4% (  -     -  )        
7位 火山が気がかり…………………………… 2.3% ( 4.3%  2.4%)        
8位 雪崩・山崩れが気がかり………………… 1.3% ( 2.1%  2.4%)        
  その他……………………………………… 1.0% ( 1.3%  1.2%)
※複数選択

一貫して地震に対する意識は高いものの、東日本大震災後に大きく高まり、その後は少しずつ下降しています。逆に「特に何も意識していない」は、2012年には6.7%にまで減少していたのに、今年は震災前の19.0%ほどではないにしても14.7%にまで戻しています。
台風は一貫して地震に次ぐ感心事ではありますが、これも徐々に関心が薄らいでいるようです。
今年はこれだけ台風が多く発生・襲来し大きな被害をもたらすと、来年のアンケート結果には変化が出るのではと思っています。

「住宅の強さ」の中身とは?


阪神淡路大震災、東日本大震災を経験し、ハウスメーカー各社は地震に強い家、震度7にも絶える家を売りにプロモーションをしてきました。今では大手ハウスメーカーの家は地震に強いのは当たり前となっています。しかし、この数年の自然災害による住宅被害、特に新築物件に於いては地震での倒壊よりも水害や突風・強風による被害の方が多いように見られます。
大規模な洪水が発生すると、水位が上がれば低地の家はその被害から逃れることはできません。1999年、福岡市の洪水の際には実家周辺も一面30cmほど冠水しました。実家は道路面から50cmほど盛り土をした土地に建っていたので被害はありませんでしたが、隣は床下浸水していました。2015年の鬼怒川堤防決壊、大規模水害の際には、他の家が次々に濁流に流される中、それに耐えた白い家が話題になりました。この白い家は流失は免れましたが、当然のことながら浸水被害は被りました。
また、あまり報道されませんが、強風(あるいは突風・竜巻)による住宅被害も多く発生しています。2012年にはつくば市で発生した竜巻で、ほぼ新築の住宅が基礎ごと持ち上げられてひっくり返り、一人が亡くなる惨事も起きています。竜巻や強風では、窓ガラスが割れてそこから中に風が入り込み、屋根ごと吹き飛ばすという被害もよく発生します。

「家が強い」と言っても、「強い」の対象は様々です。「地震」に強い、「風」に強い、「火災」に強い、「水」に強い、あるいは「泥棒」に強いなど。

ソフトが伴う提案がポイント


地震に強いは、日本ではもはやデフォルトの性能となっています。地震にも横風にも強い基礎と構造があるという前提に立てば、これからマーケティング的に強調するべきは水や風に強い家と言うことになるでしょう。

浸水を最小限に抑える作り(止水機能や密閉性)、浸水しても被害が及ばない収納庫や構造などのハードの提案だけでなく、ハザードマップを元にもしもの水害で孤立する事までを考慮した設計提案など、ソフトでの差別化も有効です。
風に強い家は、防犯ガラスを全面に採用することで、ガラス破損による怪我も防ぐ事ができ、開口部を作らない事で屋根を飛ばす被害も抑えることができます。

ハウスメーカーはすぐにでも広告プロモーションの内容を変更して、住宅検討中の潜在顧客にアピールする絶好のタイミングだと思います。




2018年9月9日日曜日

日本体操協会が取材窓口を一本化できないのは「権力闘争」が背景に?

宮川選手の会見に始まる日本体操協会のパワハラ問題。
29日の協会の記者会見の翌日朝には、塚原副会長の取材に対するコメント、そして協会の2度目の記者会見。
その後31日には、塚原夫妻からは反論の声明文がFAXで送られました。宮川選手へ直接謝罪の申し出をしたもののそれが拒否されると、「宮川紗江選手に対する謝罪」とするFAXがマスコミ各社へ配付されました。

そこまでの経緯は
体操協会からではない塚原副会長のプレスリリースから見えてくるもの 
であらかた整理しています。

その後、速見コーチが宮川選手を平手打ちする動画がフジテレビ系列で流され、これを機に再び様々な議論が巻き起こっています。
  

日本体操協会の広報窓口は機能しているのか?


日本体躯協会2018年度組織図

日本体操協会が30日に記者会見をした後、塚原夫妻は独自に報道各社に対してプレスリリースを配信し、個別取材にも応じています。
今日も、フジテレビ系列のMr.サンデーで、宮根氏と2時間に及ぶインタビューに答えています。そのインタビューの中で、「権力闘争」という言葉も飛び出しました。

野次馬的にはますますオモシロイ展開になってきた!というところですが、客観的に見ると「体操協会大丈夫なの?」という展開です。

塚本夫妻は現時点でも日本体操協会の副会長と女子体操強化本部長という立場。それなのに協会を通してとは思えないプレスリリースをFAXしたり、メディアの取材に単独で応じ、時には協会批判とも受け取れるような発言をしています。

この状況を見る限り、日本体操協会のガバナンスは既に崩れていると見て良いと思われます。あるいは塚原夫妻は日本体操協会のコントロールから外れて暴走をしていると言っても良いでしょう。
日本体操協会の組織図を見ると、コンプライアンス委員会も広報委員会もあります。しかし、実態として機能しているのか疑問としか言いようが無い状況です。塚原夫妻がマスコミに登場し発言している様は、協会の役員として看過できるものなのか、第三者として見ていても疑問を抱かざるをえない状況です。

ガバナンス・広報のコントロールを欠いていると受けとめられる状況は、組織のあり方として非常に危ういといわざるをえません。
今回は宮川選手に対する暴力・パワハラに端を発した問題でしたが、このまま体操協会全体を見直さざるをえない問題と捉えるのが一般の受けとめ方になって来ているのではないでしょうか。ますます先がオモシロク、いえ混迷しそうです。

2018年9月6日木曜日

もう一度、IDカードを下げて外出していないか注意を

1992年アメリカズカップ取材時のIDカード
先日、83歳の母親がテレビドラマを見ながら、こう尋ねてきました。

「近頃は、首からなんか札下げるのが流行っとるんね?」

最近、オフィスビルではセキュリティチェックが厳しくなっています。そもそもテレビ局や大手広告代理店では、オフィスの入退出はIDカードをかざすのが当たり前です。そんなこともあり、オフィスや病院を舞台にしたドラマだと、職場の場面では登場人物が首からIDカードをぶら下げているのが普通になりました。

かつては、IDカードはF1やアメリカズカップなどの国際的なイベントの際、世界中からやってくるジャーナリストを一般人と明確に識別し、セキュリティエリアへの立ち入りを許可するためなど、限られたシーンで求められていました。そのため、IDを取得するためには定められた要件を満たす事前の申請書類の提出が必要で、認められれば発行PINの通知かIDカードが送られてきました。今のようにICカードなど無い時代ですから、顔写真付きです。
一方国内では基本顔パスみたいなもので、見慣れない顔だと停めて確認する程度。名刺がID代わりでもありました。国会やプロ野球の球場だと記者クラブ章やペンクラブのバッジなどで識別していました。

首からカードを下げる様な場面は、参加した人をグループ分けするなどのイベント性の強いシーンに限られました。名札を首からぶら下げて外を歩くことは、小学生が名札をつけて歩いているような恥ずかしさを感じたものです。

外をオフィスの延長で考えない


昨年、「ピースサインの写真よりも怖いIDカード下げた外出」 をここにエントリーして警鐘を鳴らしました。しかし、冒頭の母の発言のように、テレビや映画、Net配信の番組でIDカードをぶら下げた登場人物を多く見ていると、どこでもそれが普通で場合によってはカッコイイと思ってしまう人も出てくるでしょう。職場で同僚はみなIDカードをぶら下げ、一緒に昼食を食べに外に出れば外でもIDカードをぶら下げています。本人達は何の違和感も感じません。しかし、まわりから見れば異様な集団であり、しかもIDカードのおかげでどの会社のどの部署のグループかまで容易に識別できてしまいます。スマホで写真を撮れば、一網打尽でグループの情報が取れてしまいます。
あれだけ個人情報について神経質になっていながら、不思議です。

今、小学生でも学校の外では名札を着けないか裏返すようにしています。名前で呼ばれて話しかけられると警戒心は薄れ、犯罪に巻き込まれる可能性が高まるとの懸念からです。スマホで写真を撮り、拡大すれば名前がすぐにわかります。
IDカードから顔と名前、所属がわかれば、今ではネット検索でいろいろなことが解ります。ストーカーの危険だけでなく、ネット上の情報プロファイリングにより自宅住所や家族・交友関係まで探り当てられまてしまいかねません。

テレビや映画でみんな首からIDカードを下げているからと、それが施設の外に出ても普通の事、格好いいことと勘違いしないよう、今一度従業員に徹底しましょう。それが徹底できないのなら、蓋付きのIDカードホルダーの導入を検討するべきです。