2018年8月30日木曜日

準備不足で中途半端な日本体操協会記者会見の矛盾。


昨日29日、体操の宮川紗江選手(18)が、専属コーチである速見佑斗コーチに対する日本体操協会からの無期限登録抹消などの処分について、処分の見直しを訴える記者会見を開きました。過去には暴力行為を受けたことは確かにあったが、それは危険な行為に対する厳しさと愛情によるもので、パワハラは無かったとし、逆に体操協会からのパワハラを告発しました。

この会見を受け、 同日夜に日本体操協会が緊急記者会見を開きました。残念ながら、この会見を見ることができず、動画も見つけることができませんでしたが、会見の要旨はこの記事で見ることができます(動画も)
【速報】「宮川選手の聞き取り必要ない」 日本体操協会が反論

この会見で記者からの質問に次のように答えています。
「暴力に関して処分までの間に宮川選手には聞き取りをしていないということか?」
「聞き取り調査は、必要限度で実施しているということで、暴力認定については、宮川選手から聞き取りをする必要はないと思っています」。

2013年にもあった 暴力指導問題


昨日の会見を伝えるデイリースポーツの記事
体操協会が主張 速見コーチの暴力内容を公表 直近は今年5月、宮川は異なる説明
では、
関係者への聞き取り調査で判明したとされる暴力行為は以下の通り。
 【2013年9月】NTC(ナショナルトレーニングセンター)で国際ジュニア合宿の時、顔をたたく行為
 【2015年2月】海外合宿での大声で怒鳴りつける行為
 【2016年1月】海外試合で顔をたたき、顔がはれた。練習中に怒鳴る行為。他コーチからの引き留め。
 【2016年3月】国際大会中、Tシャツをつかみ、引きずり降ろす行為。
 【2016年5月】前所属先で頭をたたく、怒鳴る行為。日常的に実施。
 【2016年1月】海外合宿中、1時間以上立たせる行為。
 【2017年1月】前所属先で再び暴力があり、無期限の出入り禁止処分。
 【2017年8月】NTCで髪の毛を引っ張り、出口まで引っ張り出した行為。
 【2017年9月】NTCで髪の毛を引っ張り倒す、押し倒すほどの行為。
 【2018年4月】NTCで指導中、大声で怒鳴る行為。
 【2018年5月】東京体育館のサブ会場で、怒鳴る行為。
とあります。
日本体操協会の暴力・パワハラは、2013年にも問題となり、JOCと協会が8月22日に会見を行っています(冒頭の動画-KyodoNews )。この時は選手がJOCに暴力的指導を受けたと告発、大阪府警が捜査に乗り出し、12月にコーチが書類送検されています。
今回の聞き取り調査で示された暴力行為で、最初に出てきた2013年9月は、この会見を開いた直後です。体操協会としてもナーバスになっていた時期でしょうし、速見コーチもそんな状況はよく分かっているはずです。叩いたとしても軽いビンタ程度だったのではないでしょうか。どの程度から暴力行為と見なすかは難しい(合意の上での猪木議員のビンタは他者から見れば暴力か?)ですが、一番の問題は宮川選手への聞き取りをしていない事です。当初のリリースではパワハラとしていたのを暴力行為と訂正したのも、宮川選手の介入を避けるためだったのでしょう。
2013年の会見では、双方の聞き取り調査をしていますが、今回は一方のみです。

なぜ準備不足のまま会見を開いたか?


もう一つの疑問は、明らかに準備不足のまま会見を開いたことです。通常なら、宮川選手の会見を受けて、「○日◎時に、□□で会見をひらきます」とマスコミに連絡して準備をすればよかったものを、拙速すぎます。協会内の「ドン」の怒りを買い、「すぐに会見して否定しなさい」と指示されたような会見です。

力を持つ側の一方的な主張に対して、もう一方の当事者が事実を暴露するという形では、宮川選手の会見は、日大アメフト部の時と重なります。また、密室で丸め込もうとする行為は日本ボクシング連盟(日大も)と同じです。
今年に入って立て続けに明るみに出るスポーツ界での問題。いずれも誰かが嘘をつき、事実を隠そうとしていたことが最後には明るみに出ています。このように拙速な会見を開く時に共通するのは、自分に非があると現場は認識している場合が多く、それを認めさせない「ドン」が悪あがきをし、最後には「ドン」がその地位を失って幕を下ろします。

今回の日本体操協会でも同じ事が起こりそうな予感がします。