2018年5月22日火曜日

息子を「卑怯者にしたくない」父の愛情が支えた、日大アメフト部員会見


関西学院大学とのアメリカンフットボールの試合で、危険なタックルをして関学大QBの選手にケガをさせた日大アメフト部の宮川選手が、本日記者会見を開きました。
加害者である宮川選手の謝罪会見ですが、ここ最近の謝罪会見とは少し様相が異なっていました。

日本記者クラブの異例の対応


会見場は日本記者クラブ。会見の進行役は記者クラブの企画委員である、スポーツニッポン新聞社の方です。
まず、進行役が記者クラブで会見を行うことになった経緯などを説明します。それによると、試合後マスコミの取材を受けてこなかった加害選手の「記者会見を、日本記者クラブで行いたい」との要望が代理人(弁護士)を通じて申し入れられたと言うことです。それに対し、「社会を騒がせている事案であり、真実を知るには本人の説明が不可欠」と判断して申し入れを受けたということが説明されました。
また、記者クラブの取り決めとして「会見時に弁護士の同席は認めないことになっているが、今回については会見者が20歳になったばかりの学生さんであり、今後の(発言による)責任問題などを考慮して、代理人である弁護士の同席を特例として認めた」ことも告げられました。

家族で危機に向き合った姿


続いて、代理人である2名の弁護士(西畠正氏、薬師寺孝亮氏)から、顔出し・本名を隠さず会見に至った経緯と両親の思い、謝罪の意を明確にしたい旨などが話されました。また、「これから長い将来のある若者であり、この先どのような不測の事態が起こるかもわからない、被害を被らないよう」代理人の立場からマスコミに対して配慮を求めました。
その後、 会見の主旨と開くに至った経緯の説明(←マスコミに配付された主旨と経過 参照)がありました。

経緯の説明では、試合の後、宮川選手とそのご両親は、関学大の被害学生に対して、早くから謝罪のために接触を試みようとしていたことがわかります。しかし監督・コーチからは個別に謝罪に出向くことを認めて貰えません。そして15日、日大アメフト部から関学大に対して回答書が送られ、その中では監督・コーチからの指示でタックルをしたことが否定されていました。謝罪もできない上に、このままでは宮川選手が勝手に行動をして怪我をさせたことになりかねない。そこで宮川選手のお父さんが西畠弁護士の元を訪れたということでした。

翌日、両弁護士が宮川選手から詳細な聞き取りを行い(陳述書はこの聞き取りを元に作成されたのでしょう)、同時に関西学院大へ個人的に謝罪に出向きたいと申し入れをしました。その申し入れは受け入れられ、18日に宮川選手と両親で謝罪に出向いています。
この経緯を見ると、宮川選手のお父さんは関学大アメフト部から日大アメフト部に申し入れ書が送られた翌日の11日以降、ずっと仕事を休んで宮川選手につきっきりだったようです。10日以上家族の為にずっと走り回り、家族がひとつになって今回の問題に向き合っていたことがこの会見から伝わってきました。

恐らく記者クラブとも入念に打ちあわせをしたはずです。十分な準備をして臨んだ会見は、宮川選手本人の決意とそれを支えた両親、息子に卑怯者の誹りを向けさせたくないという父(と代理人)の思いが会見場を支配していたように見えました。

記者会見の全容は、上に貼った動画(SankeiNews)と、マスコミ各社の報道でご確認ください。以下は、陳述書の全文を書き起こしたハフポスト記事です。
危険タックルの日大アメフト選手「1プレー目で潰せば出してやる、と言われた」(陳述書全文)

この会見を受けて、24日に予定されている再回答書を含め、日本大学はこれからどのような対応をするのか、日本中が見守ることになります。対応次第では来年の学生募集や卒業生の就職にも影響しかねない重大な局面を迎えそうです。