2018年5月21日月曜日

「危機管理学部」を持つ日本大学、常務理事でもある内田監督のありえない会見


5月6日に行われた日本大学と関西学院大学とのアメリカンフットボール定期戦で、日大の選手がボールを持っていないクォーターバックの選手にタックルをして全治3週間のケガをさせたなど、「意図的で危険」なプレーを繰り返したことに対して抗議文(10日付け)を送付したと、関西学院大学が12日に会見を行いました。
(経緯は朝日新聞の記事「アメフト日大との定期戦取りやめも 関学大が抗議文」などに)

その会見で提供された当該試合のプレー動画は繰り返しテレビの報道番組などで流され批判が高まり、日大の対応に注目が集まっていました。
そして15日、日大からの回答書がアメフト部コーチによって関学大に持参され、それを受けて17日に関学大が再び会見を開きました。
「疑問、疑念を解消できておらず、誠意のある回答とは判断しかねる」との見解を表明し、日大側の24日までの再回答を待つとしました。
日大回答は「疑念を解消できず」 関学大会見 - 毎日新聞ー会見動画有り
日大回答は「疑念を解消できず」 関学大会見

ところが19日(土)、日大の内田監督は、関学大に謝罪と説明に行った帰りという伊丹空港で突然会見を行いました(上の動画)。さらに到着した羽田空港でも再び会見をしました。


危機管理学部はお飾り?


内田監督は、1度目はピンクのネクタイで会見に臨み、関西学院大学を「かんさいがくいんだいがく」と名前を間違えるなど、そもそも会見内容について語る以前の問題です。何も事前準備をしないまま会見に臨んだことは明らかです。羽田空港の2度目の会見ではピンクのネクタイを外し、名前も正しく「かんせいがくいん」としていましたから、移動する機内で指摘されたのでしょう。2度とも内田監督は「全て私の責任」を繰り返すばかりで、何も重要な事は明らかにしていません。日本大学には広報部もあるはずですが、「一人で責任をとれ」と大学から突き放されたのでしょうか。あるいは自分が責任を取るといえば、騒動は収まると思って一人で対応しているのでしょうか。

日大アメフト部の監督である内田正人氏は、日大の常務理事でもあり、報道では大学の実質ナンバー2ということです。今回の騒動は、日大アメフト部のみならず、アメリカンフットボールというスポーツのイメージも日本大学という大学のイメージも同時に大きく毀損しかねないものです。既にマスコミにも大きく取り上げられ、世間の耳目を集める問題に発展している中で、大学としても最優先で対応しなければならない案件のはず。しかも驚くことに、日本大学には「危機管理学部」が設置されています。

危機管理学部」の教授陣は危機管理の専門家であるはずですし、5月12日の関学大の会見を受けて何かしらの行動(事実関係の確認、大学・アメフト部への問い合わせ、危機管理の専門家としての助言)に移っているはずです。少なくとも私なら、すぐに関係者にアプローチして「翌日の5月13日には何かしらの会見かコメントを発表する準備を」、と助言したはずです。しかし、その後の15日の回答書、19日の内田監督の会見ともに危機管理の専門家がサポートした形跡は見受けられません。自分達が所属する大学の危機に際して、何も動かなかったのでしょうか?

今日、タックルを受けた関学大の学生の父親が、警察に被害届けを出したそうです。これからは警察の捜査も始まることになります。
サイトの理事長あいさつでは「日本一教育力のある大学」を目指すという日本大学ですが、今回の対応の仕方次第では、その「教育力」自体にも疑問符が付きかねません。
日大には法学部も有り法律の専門家もたくさんいらっしゃいます。 今後、どのような展開になるかも普通に想定できるはずですから、学内の専門家を総動員して目の前に迫る危機に対処するのでしょう。ある意味、大学の総合力を検証されるような事態になりました。

24日の回答書の再提出、恐らくその提出後に開かれる会見に注目したいと思います。