2017年6月25日日曜日

パリ取材で見えてきた日本の子育て支援の方向性-その1 取材先をフランスにした理由

これまで子育ての先進国、ニュージーランド、カナダ(BC州)、ノルウェーと取材してきました。特にノルウェーは、母親・子どもに優しい国として様々な指標で世界で1、2を争う国です。スウェーデンやフィンランド、デンマークなど北欧の国々はだいたい同じような政策・制度ですので、これが子育て先進国の海外取材としては最後になると位置づけていました。2014年9月のことです。

miku 海外の子育て事情

それから2年が過ぎ、 「保育園落ちた、日本死ね!」のブログが話題となるなど、待機児童問題が大きくクローズアップされる様になりました。

2年ぶりの海外取材は当初ロンドンを予定


一向に改善されない待機児童問題の報道ばかりで、再び海外の最新実態を見に行きたくなりました。最初は、ロンドンへの取材を計画。布袋寅泰・今井美樹夫妻や葉加瀬太郎・高田万由子夫妻、それに宇多田ヒカルさんといった有名ミュージシャンがロンドンで子育てをしています。特に宇多田ヒカルさんが日本と比較して子育てしやすさについて語ったことで、ロンドンでの子育てが注目されました。イギリスの合計特殊出生率は1.83(2014年)です。
そこで、ロンドンに行こうと、昨年秋頃から取材の準備を始めました。取材時期はmikuの発行スケジュールや現在進行中の福岡市美術館リニューアルプロジェクトの進行などを考慮して、翌年2017年6月後半で。ところが、まず希望するロンドン便がなかなか取れなかったのに加え、予想外のEU離脱で政権交代、イギリスは混乱していきます。

時を同じくして、1冊の本が上梓されました。

新潮新書 「フランスはどう少子化を克服したか」高橋順子著

新聞やWebメディアでも多く取り上げられ、話題となったので早速購入して読んでみました。フランスは一度落ち込んだ合計特殊出生率を劇的に回復させた(2014年の合計特殊出生率は1.99)国です。しかし、国民性や文化の違いから、子育て支援の制度も特別で参考にはしづらいと思い込んでいました。ところが、この本を読むと全く違う世界が記されています。これまで取材に出かけた子育て先進国とは、取り組み方が大きく違っていながら、いいとこ取りをしているようにも見えます。日本の参考になることも多そうです。イギリスはニュージーランドやカナダなどのイギリス連邦の総本山でもあります。制度的にも両国と似ていることは想定できます。ひょっとすると新たな発見は無いかもしれません。
そこで、急遽取材先をフランスに変更し、取材準備を始めました。

 

大使館の協力は得られず……


これまで、カナダBC州やノルウェー、(現地取材はできなかったものの)フィンランドなどは、大使館や政府の出先機関を窓口に取材協力依頼をすると、スムーズに事が進んでいました。しかしタイミング悪く、フランスは大統領選挙とそれに続く代議士選挙を控え、mikuの取材依頼なんかに構っている余裕はありません(と無言のアピールを受け取りました)。
私たちは大使館への取材依頼と併行して、「フランスはどう少子化を克服したか」の著者である高橋順子さんへもアプローチしていました。この本にフランスの子育て支援政策はほぼ整理されています。本の執筆に当たっては様々な所へ取材にも行かれているはずですし、取材ルートもお持ちのはずです。 mikuの取材に協力していただけるのではないかという淡い期待を持って。
そして、有り難いことに高崎さんと連絡が取れ、取材にご協力いただけることになりました。

フランスで暮らし、出産経験のある日本人ママの座談会コーディネートなどは、友人のネットワークを駆使して段取りを付けて貰いました。ここまで、高崎さん始めフランスの取材先や協力先とはメールとFacebook(Messenger)でのやりとりのみ。電話と違い、時差も気にする必要はありません。

滞在中のホテル予約や空港からホテルまでの送迎は、EXPEDIAで日本を発つ前に済ませています。取材先やホテルの場所も、住所がわかっているのでGoogleMapに全て登録して、あとはパリへ飛んで取材をするだけ。本当に世の中便利になったものです。

※取材に出かける直前、イギリスではテロが相次ぎました。そういうタイミングで出かけても、意図する取材はできなかったかもしれません。そういう意味でも、取材先をロンドンからパリに変更したのは正解だったのでしょう。





2017年6月2日金曜日

子どものインターネット利用は避けて通れないのであれば

内閣府 低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査より 
5月に内閣府が「低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査」結果を発表しました。0歳から9歳の子どもの保護者2000人を対象にし調査票を訪問配付し、訪問回収調査した大規模なものです。
この調査結果では、いくつもの注目すべきデータが提示されていました。ます、0歳児からインターネットを利用しているということ。 実際には母親がインターネットに繋いだ動画やサイトを見せているのでしょうが、まさに生まれたときからネットと繋がって生活しているのが現代社会だということを、改めて認識させられるデータです。
2番目はタブレットの所有・利用率の高さです。ただ、調査票を見ると、iPadなど私たちが普段使っているタブレットとは違う、学習用や子どもの娯楽用としての専用タブレットです。今や子どものおもちゃも学習教材も、ネットに繋がったタブレットが大きな存在感を示しています。
3つめは、保護者無しで一人でインターネットに繋いでいる子が2歳ですでに半数以上にのぼることに驚きます。小学校に入る直前の5歳では、86.7%が一人で繋いで利用しているのです。

こんな調査結果を見ているところに、少し遅れて、気になる2つのニュースが飛び込んできました。いずれも子どものネット利用に関連する話題です。

1つめは 米アマゾン、「子どもが勝手にアプリ内課金」した約78億円の返金を開始。1アプリ当たり最高約1万円 という記事です。子どもがネットに繋がる機器を持つと、勝手にいろんなサイトやアプリを開いて、知らない間に課金してしまう事例が多く発生しています。当然、日本でもそのようなことは起こっているはずです。パスワードを設定していても、見よう見まねで子どもは記憶して、簡単に開いてしまう様子が、ニュースなどでも報じられています。

2つめのニュースは、YouTubeが子ども向けに開発したYouTube視聴アプリ「YouTube KIDS」がスタートしたというもの。 
 YouTube「子ども向け動画」に好機 出版社など手応え



早速アプリをダウンロードしてみました。記事にある様に、確かに様々な配慮がしてあります。動画の対象年齢や検索機能のオン・オフ、フィルタの設定などに加え、最初の設定は保護者がすると言う前提で、ログインするために保護者の同意を確認するメールの設定もあります。
設定が完了してアプリを開くと、なんとも楽しげなコンテンツがずらり。これなら子ども達に人気なのもわかります。ざっとラインナップを見る限りでは、健全なコンテンツばかりのようです。
これからの子ども向け動画コンテンツのプラットフォームになる可能性は高いと思います。






2017年6月1日木曜日

子育て支援が叫ばれているのに、育児誌の部数減少が止まらない。

先日、Yahoo!ニュースで「育児系雑誌の部数動向をさぐる」という記事が流れてきました。一般社団法人 日本雑誌協会(JMPA)が四半期毎に発表する、「印刷証明付き部数」の最新値から不破雷蔵氏が計算し、記事にしたものです。
育児系雑誌の部数動向をさぐる」よりー不破雷蔵氏作成
JMPAが発表したのは数字だけですが、不破氏は解り易くグラフ化してアップしてありましたので、ここでもこのグラフをお借りしました。
私の記憶では、数年前まではひよこクラブの印刷証明着き部数は20万部前後でしたから、ほぼ4割減、 たまごクラブも12~3万部だったように記憶しているので、ほぼ半減でしょうか。
対前年だけの数字を見ても、たまごクラブもひよこクラブもほぼ11%減っています。
このペースで減少すれば、4年でほぼ4割減です。4年後にはひよこクラブの発行部数は7万部ほどになってしまう計算です。
少子化が進み、年間の出生数が100万人を切ったとは言え、出生数が同じように毎年1割も減っているわけではありません。出生数の減少以上に雑誌離れが進んでいることになります。
この減少傾向は他の育児誌も同様で、プレモに至っては対前年18.2%減。前の年には発行部数4万5千部ほどあったということになりますが、1年で2割近くも部数が落ちてしまうと言うのも驚きです。

実際の販売部数は6掛け


上記の印刷証明付き部数-発行部数は実売数ではありません。雑誌の実売率はだいたい6割前後と言われています。発行サイクルと店頭在庫の関係で、週刊誌は実売率が高め、月刊誌や季刊誌は低めになります。
雑誌の実売率・返本率のデータがないかと探したら、やはり不破雷蔵さんのガベージニュースにありました。
新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる

再び不破氏のデータを引用させていただきますと、ちょっと古いですが2009年の雑誌全体の返本率は36.2%となっています。これもずっと右肩上がりですから、やはり今は4割くらいでしょうか。
そうすると、ひよこクラブの実売部数は約7~8万部、たまごクラブは4万5千~5万部といったところでしょう。

紙だから読まれなくなったのか?


不破氏は自らが運用管理するサイト「ガベージニュース」では、育児系だけでなく広く全般について考察しています。
部数が非公開になった雑誌、順位の入れ替わりが確定した分野…時代の流れを覚えさせる新たな動き…諸種雑誌部数動向(2017年1-3月)
これで見ると、育児誌に限らずあらゆるジャンルの雑誌が部数を落としているのがよく分かります。あれほど影響力があったKADOKAWAの東京ウォーカーも、今や5万部ほど。一時期の約1/3にまで落ち込んでいます。ウォーカーが扱う情報は、時間軸とセットになったフローな情報中心で、むしろネットの方が即時性や情報量、検索性、加えて写真・動画によるビジュアル情報による具体性などに優れているので、ネットに移行するのは致し方のないことです。リクルートが発行する情報誌も、ゼクシーを除けば全て紙の本を無くしてしまいました。週刊文春や新潮など、他では読めない特ダネを毎号探し続けることは通常の雑誌ではほとんど難しいものがあります。
紙の雑誌が優れているのは、保存性や一覧性。持っていること、目の前に形として存在することの安心感などがあります。私も持ち歩くのが重いからと、資料となる書籍・雑誌などはamazonのKindleで電子書籍を購入することがありますが、やはり目の前に物理的な本が無いと、いつの間にか購入したことさえ忘れてしまいます。

では、単純に紙の本が読まれなくなったのでしょうか。絵本がタブレットに全て置き換わるかと言えばそんなことはないでしょうし。かつて、本屋は情報収集の場であり、一つのエンタテイメントの場でもありました。学校帰りや散歩のついでに、何かと言えば書店に立ち寄ったものです。特に雑誌は,店頭での偶然の出会いで購入することが多く有りました。しかし、その書店も今や少なくなってしまい、店頭で偶然出会って購入するというシチュエーションがなくなってしまっています。

書店数の推移を調べてみると(書店組合のデータから一生懸命グラフを作っていたら、これまたガベージニュースにしっかり出ていました(T_T)。こちらも「書店数とその坪数推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)」からお借りしました)やはり減少しています。
書店が減ったから本が売れなくなったのか、本が売れなくなったから書店が減ってしまったのか。いずれにしても本と接する機会・接触ポイントが少なくなってきていることも大きな原因で有ることは間違いありません。

現に、フリーペーパーであるmikuは、配付場所(配付協力施設は、先方からの申し出によるものです)が増えるだけ持ち帰られる部数も増えて、今では13万部の発行部数にまでなっています。持ち帰られるのはだいたい10〜11万部といったところですが、小児科などでは待ち時間に読んでいる方も多いので、実際の読者数は更に多くなります。

出産・育児を妨げる大きな要因は経済的な負担です。子どもの6人に一人は貧困と言う日本の現状では、若い子育てファミリーにとってはネットで調べれば事足りることで、有償の育児誌はわざわざ買うほどの物でもなくなっているのでしょう。

一方で、ネットの情報への不信感や不安感は常につきまとっています。そういう中で、無償で手に入り信頼できる媒体としてのmikuの存在はこれからも重要なのかと思っています。