2017年5月20日土曜日

メルカリが変えるリユース市場とブランド価値

いろいろな意味で「メルカリ」が話題です。
メルカリ」は、誰でも簡単に自分の物を個人間で売り買いできるスマートフォンのフリマアプリです。リアルなフリーマーケットのように、自分で値付けをして出品し、欲しいと思った人がそれを早い者勝ちで購入するという解り易い仕組みです。ブランド物や衣類、家電等に留まらず、トイレットペーパーの芯まで出品されるそうです。

ヤフオク!などのオークションサイトだと時間内で落札価格を競り合って、一番高値を付けた人が購入する権利を得ます。一方、フリマでは出品された時点で価格は決まっているので市場が価格を決めると言うよりも、マッチングによる物流と言えます。その時、その商品を欲しいと思う人がいて、提示された金額が妥当だと思えば売買は成立します。場合によっては市場相場よりも高い値付けの物も購入されているようです。最近は、紙幣が額面よりも高い価格で出品されて問題にもなりました。昔から有るカードのショッピング枠の現金化ですね。機会コストならぬ機会価格と言えば良いのでしょうか。

東洋経済ONLINE
 「メルカリに食われる」、リユース業界の悲鳴 より
この「メルカリ」の利用者が爆発的に増えて、様々な所で影響が出ています。ブライト・ウェイが運営する育児のポータルサイト【こそだて】の、無料でお下がりを譲る「こそだてバザール」は、出品が激減しました。「こそだてバザールだと無料ですが、メルカリで売れれば、少しでも現金収入が得られます。

東洋経済ONLINEでは 「メルカリに食われる」、リユース業界の悲鳴 と題する記事を掲載しました。この記事によると、リユース市場はメルカリに商品が流れてしまって、仕入れも売り上げも大幅に減少していると言います。 

買い取りショップや質店に商品を持ち込んでも、特別なプレミアム商品で無ければ、ガッカリするような価格が提示されます。売る側からすれば、一つ一つの品物には愛着や思い出も有り、自己査定額は市場価値よりも高くなりがちで、なおさらそのギャップは大きくなります。
先日母が誰も着ることがなくなった、有名ブランドのミンクのコート(数十万円で購入して、手入れもきちんとしてありました)を買い取りショップに持って行ったら、提示された価格は3000円でした。母は肩を落としていましたが、持っていても場所を取るだけなので手放しました。
これがメルカリだと、そんな思いや来歴なども表明しながら、あるいは物語付きで価格を設定して出品することができます。
「物」消費から「コト」消費と言われますが、メルカリに出品される商品は、それぞれに持ち主がいて物語があります。持ち主の思いや物語も受け継ぐ形でその価格に納得して購入を決定します。物理的な市場の商品価値ではなく、その1点に対する共感も価格に含まれているのかもしれません。
1点ずつの写真に説明文。「いいね!」を押すような感覚でその価格に納得し購入を決める、SNSの延長にメルカリがあるとも言えます。

母のミンクのコートも、メルカリでその来歴と思いを添えて、数万円の価格を付けて売ったら、売れていたのでしょうか。