2015年4月16日木曜日

アシアナ航空はなぜ記者会見を開かないのか?



4月14日午後8時過ぎに起こった、広島空港でのアシアナ航空機事故。一つ間違えば死亡者も出ていた可能性のある重大事故です。運輸安全委員会は、航空事故調査官3人を派遣して調査を開始しています。事故の詳細については報道各社が報じているのでここでは触れませんが、事故を起こしたアシアナ航空の記者会見はまだ開かれていません。
上に貼り付けていますANN Newsでは、韓国ソウルでは報道各社へFAXが送られたようですが、その内容は謝罪と、機長・副機長の飛行時間程度のもののようです。また、機長の会見もコメントも発表されていませんし、今どこにいるのかさえもはっきりしません。事故の原因や前後の経緯・搭乗員の行動などは、今後マスコミの取材や事故調査委員会からの報告で明らかになるのでしょう。

ここで疑問です。
アシアナ航空は、日本にも支社が有ります(東京都千代田区 山王パークタワー)が、支社でマスコミ対応をしている様子もありません。アシアナ航空のWEBサイトを見ると、TOPページの上に!マークがあり、ソウル(仁川)発広島行きHL7762に関するご案内とだけあります。
これを開くと、事故後の対応状況が掲載されています(16日14時時点で第4次まで)。

このご案内の第3次に、特別機の運航を実施したとあります。
「アシアナ航空の事故対応のための現場支援班と関係者たちが搭乗した特別機を運航しました。該当便には当社職員37名、韓国国土交通部の事項調査団8名 合計45名が搭乗しており、現地で事故対応、搭乗客支援などの任務を行う予定です」
続けて、
□ 運航乗務員関連情報
    該当航空機には計2名の運航乗務員が搭乗しており、機長の総飛行時間は8,233時間、副機長は1,583時間です。

この乗務員の総飛行時間は、先の報道各社に送られたFAXの事故機の機長・副機長の総飛行時間と同じです。ということは、ここでいう該当航空機とは事故機のことで、その前の該当機(特別機)とは違うと言うことになります。
韓国語を日本語に翻訳したためにこのような解り辛い表現になったのか、それとも「事故機」という表現を避けるためにこのようになったのかはわかりませんが、この第3次のご案内を見る限りでは、正しく誠実に事実を伝えようとしているとは思えなくなります。□特別機運航 ではなく、□現場調査団派遣 とすべきでしょう。また、乗務員の飛行時間は、搭乗者情報と共に第2次のご案内で発表されるべき情報です。

欧米の航空会社はクライシスコミュニケーション体制を最初に確立する


私が知る限りでは、福岡に拠点を置いている大手のPR会社は有りません(広告代理店系列は除く)ので、当社には、東京のPR会社からの相談が時々寄せられます。福岡や九州でのPR活動の際にパートナー(実働部隊)として組んで欲しいという依頼です。

福岡に新たに乗り入れる欧米の航空会社(既に羽田に就航、支社も東京に有り)が、福岡での広報活動をするパートナーを選ぶコンペに声をかけていただいたことがあります(コンペ参加はいずれも東京の外資系を含む大手PR会社)。 その際に重視された事の一つはクライシスコミュニケーション体制でした。もしも福岡で事故やトラブルが発生したときに、本社(本国)や東京の日本支社と連携を取りながら即座に対応する体制を作れるかというものです。残念ながらこのときのコンペでは当社が参加するチームは選ばれませんでしたが、航空会社が路線を開設するときにはこれくらい準備(あらゆる事を想定)と要求があるものだと思っていました。
ですから、アシアナ航空の日本でのメディア対応についても疑問ですし、会社として内向きな視点しかなく、長期的にブランドを毀損しREPUTATIONという視点を持たない姿勢に驚きを隠せません。
恐らく、事故原因が自然現象や航空管制の問題など、アシアナ航空以外に原因を求めてその可能性を捨てきれず、調査結果が出るまで会見を開かない(謝罪しない)つもりなのでしょう。
現在の日本の航空会社(企業)では、このような姿勢は許されません。

ウォールストリートジャーナルで、サンフランシスコ空港でのアシアナ機事故に際してアメリカの航空会社に求められる危機管理体制について記述されている記事を見つけたました。

米 国の大手航空会社は詳細な危機プランを準備し、これを実行するフルタイムのチームを置き、従業員はいつでも対応できるように訓練を行っている。大規模空港 も訓練を実施しており、これには航空会社も参加する。航空会社は、従業員向けに危機時の支援とカウンセリングの訓練を施し、事故時にコミュニケーション面 での支援を得るために外部の広報面の危機管理の専門家と契約している。

米国では考えられないアシアナ航空の事故対応の悪さ」より

Wikipediaによると、2013年のサンフランシスコ空港の事故では、航空会社の事故対応として乗客の家族への支援などを義務付けた米国法に違反すると判断され、アシアナ航空に50万ドルの罰金を課したとあります。ご案内では、搭乗客(被害者)に対しての対応なども公表されていますが、今回の事故によって空港が今後も長期にわたって閉鎖されることになり、他の航空会社や利用者、空港関係者(そこで生計を立てている人も)に多大な迷惑をかけているという意識はなさそうです。

アシアナ航空の利用客(搭乗率)は今後どのようになるのでしょうか?


16:50追記
このブログを書き上げて、公開した直後の16時過ぎ、広島空港で山村副社長が謝罪会見を行いました。

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