2014年11月30日日曜日

消費税増税の一番の失敗は税別表記を認めたこと

2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられて8か月が過ぎました。その間に円安の影響もあり消費者物価が上がる一方でGDPは下がり続けています。
生鮮食品を除いた物価指数が前の年の同じ月を2.9%上まわって、17か月連続の上昇となりました。消費税率の引き上げで、消費者物価指数は2%程度押し上げられると日銀は試算していますので、増税分を除いた上昇率は、0.9%程度と見られます。
一方、先日発表され市場に大きなショックを与えた7~9月期のGDP速報値は、年率換算で前期比マイナス1.6%でした。消費税増税の反動で大幅にマイナスになった4~6月に引き続いてのマイナスですから、未だに増税の傷から立ち直れていないことがわかります。アベノミクスで株価(日経平均)はほぼ2倍に上昇し、景気は回復基調にあるといわれている中でのGDPマイナスです。
GDPの約6割は個人消費といわれます。大手企業の業績が好調というなかでのマイナスですから、個人消費の落ち込みが大きく響いているのは明らかです。消費支出が下がれば、消費者を対象とする企業業績(売上)も下がり、その企業とビジネスをしている企業の業績も玉突きで悪くなります。当初、増税前の駆け込みの反動で4~6月期は落ち込むものの、7~9月期はプラスになると予想されていたのに、どうして個人消費は快復しないのでしょう?

高齢者人口は、消費税初導入時の2倍以上


 10月は有効求人倍率など雇用関連の指標が改善し、鉱工業生産指数もプラスを維持してはいます。しかし、消費支出は4%のマイナスでした。
私は経済評論家ではないので、マクロ経済を語る程の知見は持っていませんが、消費支出が伸びない一番の要因として、外税表記を認めたことだと考えています。そう考える背景には、人口構成があります。

今年発表された人口推計では、人口の25.1%が65歳以上です。日本人の4人に一人は高齢者で(基本)年金暮らしということです。
これまで消費税が導入・増税されたのは、1989年、1997年、そして今年ですが、1989年の高齢者人口は1,431万人(高齢化率11.6%)、97年が1,976万人(高齢化率15.7%)、そして現在は3,189万人(高齢化率25.1%)です。この人口構成の変化を見逃しています。
今年3月までは税込総額表示で、5%の消費税もあまり意識することなく買い物ができていました。表示価格の現金を財布から出して支払うだけで良かったのです。しかし外税表記を認めたことで、多くの店では店頭表示価格で買い物できなくなりました。
お年寄りにとってはこの外税での支払いがとてもやっかいです。外税表記では、店頭価格に8%を加えての支払いとなりますが、このときに2つの点で購入を躊躇わせることになります。

1点目は、店頭の価格が税込なのか税別なのかを確認しなければならないこと。外税だといちいち計算しなければなりませんが、お年寄りにはその計算自体が苦痛です。多くの場合はレジで初めて支払総額を知ることになります。
2点目は上乗せされる8%という金額が意外に大きいと意識すること。これは5%であっても同様だと思いますが、既述のように内税では意識せずにすみました。外税にしたことによって、上乗せされる消費税を意識することになったのです。高額商品であれば尚更その金額のインパクトは大きくなります。
この2点に加えて、表示方法の不統一が更に混乱させています。高齢者にとっては買い物そのものが苦痛になってしまったのではないでしょうか。

個人商店やスーパーでも店によっては税込表記の所もあります。福岡のスーパー「ルミエール」はその価格の安さだけでなく、全品税込価格表示で大変な賑わいです。週末、私も両親の買い物に荷物持ちとして同行することが多いのですが、お客様の大半は高齢者に見えます。価格も安く、店頭表示価格で買い物ができる安心感からでしょうか。
一方、若者は近くのコンビニで買い物をすませ、若い家族連れは、こども達も楽しめる大きなショッピングモールなどに出かけているのでしょう。

今回の増税に際しては、産業界や流通業界からの要望を受け入れ、政府は税別表示を認めてしまいました。消費者(買い手)の利便性よりも企業(売り手)の理論、都合を優先させたのです。しかも、表示方法を統一しませんでした。大きく落ち込み、なかなか回復しない消費支出のトレンドを作ってしまったのは、増税だけではなく外税表記を認めてしまったことにあると思えてなりません。

次期増税に向けては、これまた低所得者・消費者のためという都合の良い業界の要望を受けて、軽減税率の導入などを検討しているようです。このまま税別表記を続けたままだと、さらに複雑になって混乱するだけです。そんなことを検討する前に、税込総額表示に戻す方が消費の回復は早いと思いますがいかがでしょうか?

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2014年11月24日月曜日

大分県立美術館OPAMの取組に注目


来年4月24日に開館する大分県立美術館 OPAM。2006年に開館した青森県立美術館以来、9年ぶりに新設される美術館です。設計は、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を2014年に受賞した坂茂氏。館長は西武美術館・セゾン美術館が一番元気だった頃に学芸員として数々の展覧会を手がけ、2011年には第7回西洋美術振興財団賞「学術賞」を受賞した武蔵野美術大学教授 新見隆氏。建築の面からも、美術館のあり方、コンセプトからも開館前から注目を集めている新しい美術館です。このOPAMの開館に向け、当社ブライト・ウェイは、大分県外広報のお手伝いをさせていただいています。今回はOPAMの来年の開館に向けての取組について、触れてみたいと思います。

OPAMは10月末に建物が完成・引き渡され、11月23日からオープニングイベント「誕生祭」が開催されています。開館は来年なのですが、その前に県民に向けて建物を開放してのイベントです。美術館の建物は、作品の展示と収納をする入れ物ですから本来は脇役なのかもしれません。しかし、ミシュランのレストランガイドでも、料理(星の数)だけではなく、お店の内装からテーブルウェア、それを提供するサービス(フォークとスプーンの数)を評価して掲載しているように、美術館もその収蔵作品や展示作品だけで評価される時代ではなくなっています。
OPAMは、収蔵・展示館という単なる箱とは位置づけず、建物自らもソフトとして機能しようとしているような、これまでにない柔軟性を兼ね備えた美術館です。
コンセプトに、
「五感で楽しむことができる」
「自分の家のリビングと思える」
「県民と共に成長する」
美術館を掲げています。

新見館長も、美術館は作品を収蔵する場ではなく見せる場だとし、所有にこだわらず世界中から多くの良い作品をここで紹介したいと明快に話します。

高まる好奇心を満足させ、かわす誕生祭


人には誰にも好奇心があり、話題になった物や新しい物に興味を持ちます。新しい商業施設やランドマークとなる施設がオープンする時には、大挙して人が押し寄せます。多く人の来場目的は「見るだけ」です。かつて福岡ドームやシーホークホテル&リゾートがオープンしたときには、それはものすごい人でした。シーホークはホテルでしたが、宿泊やレストラン、宴会場を利用するわけではなく、その話題性から好奇心旺盛な「単に見に来た人」で館内はごったがえしました(ドームに来たついでに見学も)。

その時とは違うとは思いますが、OPAMも開館すれば多くの人が美術品ではなく「建物を見に来る」人で溢れることは容易に想像がつきます。それを想定してか、「五感で楽しむ出会いのミュージアム」のお披露目は2段階としました。まず11月23~30日、新しい美術館ができたことを祝う誕生祭。プリツカー賞を受賞したことで俄然注目されることになった坂茂氏設計の美術館そのものを誕生祭でお披露目です。誕生祭ではまだ収蔵作品を展示せず、OPAMのコンセプトを伝えるために依頼された3人の作家と、こども達の作品だけが展示されました。
他でやるようなことはしたくないという新見館長の意向なのか、どこででも実施するテープカットは行われず、これから結婚式という新郎新婦が最初に入館するというパフォーマンスからスタート。iichico総合文化センターと繋がるペデストリアンデッキを渡っての入館です。道路を挟んで寿町と高砂町というおめでたい町名にちなんだ演出でした。
さらに、県民の美術館の誕生を共に祝うという県民参加のイベントが目白押しです。美術館の前の道路を歩行者天国とし、美術館の中だけでなくそこでもイベントを実施。建物の一つの目玉である折り戸式の外壁をオープンにし、美術館から歩行者天国までもが一体化したような開放感のある空間を来場者に印象づけました。
県民はこれから30日まで続く誕生祭を通じて、OPAMの建物の魅力に触れ、それは十分に伝わることでしょう。
そして、来年4月の開館イベントは世界から集まる美術品の企画展。いよいよ美術館の本領を発揮するソフトを前面に出すことで本来の魅力をアピールします。建物を見るよりも作品、企画イベントを見るために美術館を訪れるお客様が中心になるはずです。いわゆる建物見学の冷やかしの来館者は減るので、美術愛好者には落ち着いて鑑賞できるので嬉しいでしょう。

2段階でお披露目することにより、新しい県立美術館に対しての理解をすすめると共に、開館までの半年の間に修正や(場合によっては来館者による汚れや破損の)修復、サイン計画や導線の見直しなども可能となります。商業施設も公共施設も、一度開業して通常営業に移ると簡単には休館したり営業をストップすることはできません。
形ある物に巨額な投資をするビジネスやサービスは、形ができたときがゴールではなくスタートです。そのことを良く理解したオープニング(まだ第一弾ではありますが)だと感心しました。来年4月にはJR大分駅ビル「JRおおいたシティ」を含めた駅周辺の再開発オープンも控えます。来年の春は、大分から目が離せません。

※誕生祭ではマスコミ向け内覧会の案内~当日対応と、式典の取材対応のサポートをさせていただきました。これからも来年の開館に向けて、他の美術館とは違う取組を発信していく予定です。お楽しみに。

大分県立美術館OPAM http://www.opam.jp/
コレクション        http://www.opam.jp/page/collection.html
誕生祭フライヤー(PDF) http://www.opam.jp/files/TopicDetail_8284_file.pdf
開館記念展覧会(PDF) http://opam.jp/files/SpcDocumentDetail_3155_file.pdf

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2014年11月19日水曜日

生番組中での差別発言を、長嶋一茂さんが注意

11月14日の朝の番組「モーニングバード」で、出演者の不適切な差別発言を長嶋一茂さんがその場で指摘し、訂正を促したことでネットで賞賛されています。
事の顛末はこちらのニュース記事で

長嶋一茂、韓国について「みんな同じ顔」と評したコメンテーターを叱る「今、謝んなさい」

この様子を見ていた視聴者やニュースで知った人は、ネットで長嶋一茂さんに対して多くのコメントを寄せています。

長嶋一茂さんが経済学者・飯田泰之さんの差別発言を一喝しネットで賞賛の嵐

私はその放送を見ていませんでした。上記ニュースでは、生放送中にその場の雰囲気に流されることなく「今謝りなさい」と言ったということです。「朝まで生テレビ」などの、あるテーマについて議論をするような番組ならばこのようなシーンはよく見ます。しかし、朝のバラエティ色の強い報道番組です。コメンテーターもそれぞれの分野では専門家ですので、なかなか注意できるものではありません。しかし、その発言が社会常識的に不適切だと感じ、その場で注意できる。普段から考え方・意識を高く持っていたからこその発言であり指摘だったと言えます。

組織内で不適切発言を同じように指摘できるか?


ところで、企業や組織の中でも同僚や上司の不適切な発言もあるのではないでしょうか。上下関係や仲間内の同調圧力により否定できない・指摘できない空気が支配する組織では、そのような発言を指摘したり注意することは困難です。特に緊張感が漂う会議の場などでは、経営トップが発する不適切発言には誰も何も言えないものです。そういう組織では、不適切な発言であってもいつの間にか何の違和感も罪悪感も抱かなくなってしまいます。しかし、一歩外の世界-常識的で正常な感覚を持つ人の社会-に出るとそれは差別発言であったりセクハラであったり、パワハラであったりするのです。
政治家の不適切な発言が指摘され問題になることがありますが、これも同様に「小さな身内の世界の常識・空気」に染まって正常な感覚が無くなってしまった結果です。

周囲にイエスマンや同調する人だけを置き、自分だけが居心地の良い組織になっていませんか?今回の長嶋一茂さんのように、間髪を入れずに誤りを指摘し・正すよう促す人と仕事をしましょう。それは時として苦痛だったり鬱陶しかったりしますが、組織や経営を健全に保つためには必用な「刺激」でもあるのです。


また一方で、家庭内の日常生活でも注意しなければなりません。こども達は両親の行動や発言はよく見て覚えているものです。何気ない会話の中でも、差別発言や排他的な発言を聴いていると、自分もそのような行動や発言をしても良いのだと思ってしまうかもしれません。いじめをする子になってしまうかもしれませんよ。

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2014年11月3日月曜日

子育て先進国と日本との違いを整理してみると

OECD加盟国の出生率予測
2012年 ニュージーランド、2013年 カナダ ブリティッシュ・コロンビア州、そして今年2014年はノルウェーへと、3年連続で子育て先進国を取材してきました。いずれもOECDに加盟する先進国で、合計特殊出生率は日本よりも高く、ノルウェーとニュージーランドは2に迫っています。世界母親指標2012(セーブザチルドレン調べ)の評価では、1位ノルウェー、2位アイスランド、3位スウェーデン、4位ニュージーランドとなっています。

カナダの出生率は1.7に届きませんが、第三次ベビーブームを迎えて子供の数が増えています。昨年カナダ取材を終えて、「根本的に前提を変えるべき時に来た日本の子育て支援」としてこのブログで一度整理しました。
今年、さらにノルウェー取材を実施し、社会的・歴史的な背景と共に日本と比較しながら、子育て先進国の特徴を整理してみました。

この表の女性の就業率はOECDのデータですが、15歳~64歳の数値です。25歳~を取るとノルウェーは82%程度の就業率となりますが、日本はそれでも70%に届きません。正規雇用だけでなく、非正規・パートタイムまで含めた就業率です。
もちろん、女性の就業率が高いから良いというわけでもありません。それぞれの国の歴史や背景が有り、税制も違います。正規雇用と非正規・パートタイムの比率も違っています。
暮らしやすさについては、所得と物価を分けて語ることはできません。ニュージーランドを訪れた時は円高が進んでいましたので、総じて日本よりも物価は安く感じました。対してカナダはだいたい日本の1,5倍、円安が一気に進んだ今年のノルウェー取材ではだいたい3倍ほどでした。

このような背景があるという前提の元でも、参考にすべき・見習うべきと思う点をいくつか列挙してみます。

 

人は皆平等であるという前提


日本でも法の下での平等を謳い、自分達では平等意識があると思っています。しかし、北欧やカナダでいう平等とは根本的に違います。外国人と言うだけで色眼鏡で見たり、肌の色や髪の色がが違うからといじめにあう子どももいます。彼の国と比べると、日本が「平等」に対して高い意識を持つ国とは恥ずかしくてとても言えません。先住民や移民、難民と区別しないばかりか、先住民に敬意を払います。間違っても「アイヌはいない」なんて言うことはありえません。

男女平等はもちろん、国籍や民族、肌の色、育った環境……そのようなことで差別するとがあってはなりません。移民や難民を多く受け入れ、幼い頃より平等に関する教育を受けて人を色眼鏡で見るようなことはありません。1人の人間として向き合います。ノルウェーで子育てを所管する省庁はMinistry of Children, Equality and Social Inclusion=こども・平等・社会省 です。省の名前に「平等」が入っているくらいです。取材をノルウェー大使館へ打診した際に、事前資料として送られてきた物には、 Equality 2014 - the Norwegian Government’s gender equality action plan もあり、いかに「平等」について力を注いでいるかがうかがえます。


対して地続きの国境が無い日本では、大陸の民族との争いも少なく、天皇制のもと身分や階級が固定化しました。士農工商を始めとする身分制度や男尊女卑の考え方、あるいは「神国日本」という特別な民族意識など、様々な場面で身分や階級を意識しながら生活してきました。加えて、村や(戦国~江戸時代の)国・藩単位での集団責任体制(五人組や村八分)に始まるグループや組織での連帯責任の意識が染みついているのでしょうか、グループの構成員に迷惑をかけない・かけてはいけないという文化。それだけに自分が所属するグループへの帰属意識が強く、他者をも格付けし仲間以外を排除し差別しようとします。そのような排他的な文化がいじめが無くならない原因の一つなのかもしれません。
政治や組織内での派閥やグループだけでなく、都会のママ友間でも格付けして、階級差別的な関係性ができあがっていると言うくらいですから。 母親同士がいじめをしていたら、子どももまねしてしまいます。

Poverty rates for children and the total population, 2010 (OECD)
日本の子供の貧困率はOECD平均を上まわっています。ニュージーランド・カナダも同様に平均を上まわっていますが、ノルウェーは極めて低い貧困率になっています。北欧の国々は総じて貧困率も低くなっています。

今回のノルウェー取材で印象的だったのは、子どもを社会全体で受け止めようとしているところ。日本人の母親を集めた座談会でも「妊婦やベビーカーを押した母親が地下鉄などに乗ってくると、お年寄りまで立って席を譲ろうとしてくれるので恐縮してしまう」と言っていました。
社会保障(保険)の予算は、給与所得者は所得の7.8%、個人事業主は11%を支出(徴収)しています。年金所得者も4.7%負担しています。個人個人が明確に意識して全体を支えています。雇用主(企業)の負担は地域によってその税率は違い、利益の0~40%です。国家予算総額の35.4%(2012年)と基金の運用益などを加えて全体の社会福祉予算となります。

社会福祉政策で子どもに関わる投資は 産休制度保育園政策職場での柔軟性子どもの医療費の4つになります。

今でこそ女性の社会進出においては世界TOPレベルではありますが、1970年代の女性の就業率は50%にすぎなかったといいます。そして現在、子どもを持つ母親の82%はなんらかの職に就いています。子どもを持つ女性でも働きやすい制度を整備することが重要と考えて取り組んだ結果といいます。


育児休暇取得は当然であり、

育休後は元の職場・ポジションが保証されている


取材をした3つの国で共通していたのは、16時を過ぎると帰宅のラッシュが始まること。定時の終業時刻は17時が一般的なのですが、早く仕事を始めて早く帰るのが普通です。残業するよりも早出、会議は早朝で夕方のプライベートな時間をお互いに大切にしていました。
カナダやノルウェーでは、妊娠・出産・育児がキャリアの障がいにはなりません。出産・育児に関わる事は権利であり社会全体で支えサポートする対象であるという認識。育休後は、元の部署・元のポジション・元の給与で復職することが保証されているから、安心して1年間の育児休暇を取得できます。1年間は育児休暇ということが社会的に共通認識なので、組織運営も社会の仕組みも全てその前提で組み立てられています。

ノルウェーでは、出産前3週間も含め育休期間49週を選ぶと期間中は給与の100%が支給され、59週を選択すると80%が支給されます。そのうえ産後の育休期間は父親と分けて取らなければなりません(クオータ制)。2014年は父親が10週以上取らなければならないのです(2003年は4週だったのが、2012年に12週、2013年は14週、政権交代などで毎年改訂)。1993年は2~3%しかなかった男性の育休取得率が、現在では約90%の取得率になっています。
今回インタビューさせていただいた漁業省のアームンド副大臣は、「要職にあっても、育休でも有休でも取るべきであり、トップが不在でも組織に停滞は有り得ない」と明確におっしゃいました。
 
一方で、政府は育児をサポートするのであって、育児そのものを代替するサービスを提供しているわけではありません。カナダはこどもを預かる保育サービスも充実していますが、保育園での1歳児の保育料は月額10万円以上です。ニュージーランド・ノルウェーは保育園ではなく就学前幼児教育の場という位置づけで、ノルウェーでは一律にbarnehager (英語ではKindergarten)です。1年間は育児休暇が取れるので、0歳児を預かる公立の保育園はありません。社会全体が出産後1年間は育児休暇を取得する前提で動いていると言えます。
因みに、barnehager (Kindergarten)での昼食を用意するのは親の役目で、基本的に弁当を持参です。

日本型の子育て支援は? 

 

取材した子育て先進国では、どの国も子育てに関する政策を担当し、予算措置をする省庁は集約されていました。ニュージーランドは「教育」と言う視点から、カナダは「家庭」のあり方を働く母親の視点から、ノルウェーは「子ども」を真ん中に置いて母親と父親の役割と負担をを平等に考え、それぞれの国の政策や仕組みが整備されているようです。
日本では就学前教育という位置づけで文部科学相が管轄する幼稚園があり、(主に母)親の就業などで保育に欠ける子どもを預かる場として厚生労働省が管轄する保育園があります。来年スタートする子ども子育て新システムについても、認定こども園の助成額を巡って移行取り下げを申し出る園が出ていると言います。そもそも、文部科学相・厚生労働省にまたがったままの制度設計に無理があるとも言えます。

消費税増税で財源確保も必用でしょうが、日本の未来の有るべき姿(働き方・子どもの居場所)を真剣に議論し、その実現には省庁再編をも排除せずに今一度検討して欲しいと切に願います。
ノルウェーでさえも、20年前は父親の育休取得率は今の日本とほとんど変わらなかったのです。

※追記
2017年、フランス取材後に再整理をしましたので合わせてお読みいただければ幸いです。
子育て先進国と日本との違いを整理してみると 2017

ノルウェーの子育て
ニュージーランドの子育て
カナダBC州の子育て


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